地元の手話通訳士養成講座(二次試験対策)の準備をやってる。
聞き取り(表現)通訳の方を担当している。今日は過去問の分析、そして練習問題を作るため資料集めなどやった。
二次試験の聞き取り問題は2問。
▼1問目が、ろう者に伝わる表現の工夫など「表現力」に重きを置いた出題、2問目は数字や固有名詞の表現など聞き漏らさず「正確性」を試す問題かと考えていたが、必ずしもそうではなかった。
平成16年度第1問テーマ「一生懸命に走る姿」 655文字
(合格率10.2%)第2問テーマ「コンビニと『便利さ』について」695文字
平成15年度第1問テーマ「声を掛け合う」 667文字
(合格率10.4%)第2問テーマ「幾つになっても人間は向上する」559文字
平成14年度第1問テーマ「思いやりの心」 542文字
(合格率9.7%)第2問テーマ「孫との生活」 555文字(聴)
▼平成14年度の第2問は、ちょっとタイプが違って、登場人物が孫、娘夫婦、夫と多く、演じ分ける力が問われるような問題だった。
平成13年度第1問テーマ「老後の夫婦」 626文字(聴)
(合格率4.4%★)第2問テーマ「都会での一人暮らし」 569文字
▼平成13年度も第1問・第2問の違いがあまりない。
平成12年度第1問テーマ「子どもの家庭内事故」 617文字
(合格率6.2%★)第2問テーマ「成人病が変わってきた」 578文字
平成11年度第1問テーマ「バイクに乗りたがる息子への悩み」520文字(聴)
(合格率5.6%★)第2問テーマ「人生と顔」 500文字
▼平成11年度に一次試験の科目構成の見直しがあったが、二次試験については、第1問と第2問の違いがあまりはっきりとは感じられない。ただ、やはり第2問の方が、より論理的な文章である傾向が若干あるように思う。
▼ここ2年間に限って言えば、第1問はエッセイ風の文章で、何を言いたいのかをつかみにくい文章で、かつ、話されている「情景」をどう表現し伝えるかが難しい文章であるように思う。
そして第2問は論説文というかテーマが明確であるかわりに、カタカナ名や固有名詞、あるいは数字が多く含まれ、手話の表現力もさることながら問題文を正確に聞き取る力、話しの速さに遅れずにキチンと聞き貯めて漏らさず表現する力を問うているように思う。
▼平均文字数は590文字で、だいたい朝日新聞のコラム「天声人語」くらいの長さだ。従って練習問題としては、一つは新聞のコラムを使うという手が考えられる。『
新聞コラム社説リンク』なるサイトがあって、これはなかなか便利だ、是非利用させていただこうと思った。また、『
朝日新聞・社説、コラム補完録 ― log 別館』には読者投稿もカテゴライズされていて、練習問題を選ぶのにとても強力な援軍サイトだ。
▼なお、聴力障害者情報文化センターのホームページにある
過去問だが、平成13年度以前の問題はテキストがコピーできない設定のpdfファイルになってるようだ。私はOCRをかけて10年度分までテキスト化したが、是非情文センターとして第1回問題文からテキスト化を図って欲しいものだ。
▼この情文センターのホームページに掲載されているのは、第4回以降の実技問題文だが、第4回から第11回までは、必ずどちらか1問に聴覚障害者が登場していた。第12回は2問とも聴覚障害者と関係のない文だったが、第13回、第14回と再び聴覚障害者が登場している。しかし、ここ2年間は2問とも聴覚障害者とは無関係の文章なので、今後の傾向としては、2問とも聴覚障害者と関係のない一般の文章が出題されるのではないかと私は予想している。
▼なお、合格率は、第10回までは10%そこそこだったが、11回5.6%、12回6.2%、13回4.4%と一時たいへん厳しくなった。私の地元でも、この間は合格者がでなかった(他県での取得者1名)。その後、14回9.7%、15回10.4%、16回10.2%と回復(?)してきている。
▼参考;第10回以前データ
第10回第1問テーマ「退職への対応」(聴)
(合格率9.8%)第2問テーマ「野菜は太陽と土のエネルギー」
第9回第1問テーマ「職場での悩み」(聴)
(合格率13.9%)第2問テーマ「高齢化社会を迎えて」
第8回第1問テーマ「登校拒否」(聴)
(合格率9.4%)第2問テーマ「疑似体験」
第7回第1問テーマ「私のリハビリテーション」
(合格率14.5%)第2問テーマ「職場での悩み」(聴)
第6回第1問テーマ「災害発生への対処について」(聴)
(合格率16.3%)第2問テーマ「父親について」
※私はこの年合格した。昔は合格率高かったのだ!
第5回第1問テーマ「育児について」
(合格率24.6%)第2問テーマ「娘への対応」(聴)
第4回第1問テーマ「感じる心」
(合格率19.7%)第2問テーマ「長女の結婚」(聴)
■(聴)マークは、問題文に聴覚障害者が登場。