木のつぶやき

主に手話やろう重複の仲間たちのこと、それと新聞記事や本から感じたことを書き込んでいきます。皆様よろしくお願いします。

手話通訳制度調査検討報告書(60年報告)

2005年05月30日 22時32分54秒 | Weblog
前回書いた「60年報告」を読み直した。

正式には、「手話通訳制度調査検討報告書」というタイトルで、1985年(昭和60年)5月20日に全日本ろうあ連盟の中に設置された『手話通訳制度調査検討委員会』から”中間報告”という形でだされたものだ。

とりあえず項目を拾ってみると、まず委員会の構成は
○ろうあ団体関係者 4名
○関係行政機関 3名
○言語教育等専門家 4名
○学識経験者 3名

でした。そして主な検討事項は、
第1部 日本のろうあ者と手話の現状
 1.ろうあ者の生活をめぐる問題点
  (1)家族関係
  (2)医療関係
  (3)職業関係
  (4)教育関係
  (5)司法関係
  (6)文化関係
  (7)その他
   ①電話
   ②緊急または非常時の連絡
 2.ろうあ者のコミュニケーションをめぐる問題点
  (1)社会のろうあ者観
  (2)社会参加を拒む壁
  (3)ろうあ者の復権の歴史
  (4)コミュニケーションの現状
   ①口話
   ②聴覚を主体とするコミュニケーション
   ③筆談
   ④手話
 3.手話の機能と位置づけ
  (1)手話の機能
   ①伝達的機能
   ②心理的機能
  (2)手話の位置づけ
   ①教育的位置づけ
    イ)ろう学校における手話の現状
    ロ)高等教育機関における手話
   ②社会的位置づけ
 4.手話発展への課題
  (1)手話の独自性と音声言語
  (2)標準手話と地域性
   ①標準手話
   ②手話の地域性
  (3)手話開発のあり方
  (4)専門分野の手話
  (5)手話の普及
   ①聴覚障害者自身への普及
   ②関係者への普及
 5.コミュニケーション保障のための課題
  (1)コミュニケーション対策の現状
  (2)手話通訳に関する問題点
  (3)コミュニケーション対策の課題


そして、第2部が「手話通訳士(仮称)」となっているのですが、「なお、その実現のための具体的方策については引き続き検討する必要があろう。」として、わずか5頁でまとめられているのが残念です。たいした量ではないので全文掲載します。

制度の在り方について
1.手話通訳事業の充実の課題
 今後における手話通訳事業の充実をめぐる課題としては、多様に変化する社会生活に対応して表現できる手話を含め、共通語としての「標準手話」の充実について、関係者の協力のもとに研究開発・普及のための方策を講ずる必要のあること、手話使用の主体である聴覚障害者が「標準手話」や新たな手話表現を日常的に駆使できるよう普及体制を整え、定着化をはかる必要があること等である。

2.「手話通訳士制度」の在り方
 本制度は、聴覚障害者の生活にとって必要不可欠なコミュニケーションの保障のための手段である。殊に、司法分野における基本的人権に関わる場合や、医療などの命に係わる場合、また、国民としての権利を行使する場合においては、社会的に認められた手話通訳者によるコミュニケーション保障が確実になされなければならない。
 このような任務を有する手話通訳者には、コミュニケーション技術における高い専門性、高い倫理性が要求されるとともに、そのために必要な養成、資格審査および適切な処遇が、全国斉一的に考えられなければならない。
 本制度は、福祉、職業、教育、医療、司法、情報、交通、公民権の行使など、社会生活全般に広がるものであるので、それぞれの分野における法的整備が検討される必要があるが、当面特に聴覚障害者の社会参加や平等の実現をめざす根拠法である身体障害者福祉法および身体障害者雇用促進法などにおいてその位置づけを明確にする必要があろう。
 こうした性格をもつ「手話通訳士制度」は、国が資格、養成、認定等に関する基本方針を示し、その実施は都道府県・指定都市が行うことが適当であろう。

3.「手話通訳士」の職務および処遇
(1)「手話通訳士」の職務
 「手話通訳士」の職務は、次のとおりとすることが望ましい。
  イ)聴覚障害者のコミュニケーションに関すること。
    これは、単なる言葉の置換のみではなく、日本語(口話を含む)と手話双方の語を訳して相手方に伝えることである。
  ロ)聴覚障害者への情報提供に関すること。
    これは、聴覚障害者問題の正しい理解にたって各種の情報を適確に提供することである。
    ただし、「手話通訳士」は設置場所、地域等により、上記イ)ロ)以外の業務を行うことも考慮する必要がある。
(2)「手話通訳士」の処遇
 原則として専任職員(常勤)とし、その処遇は公務員と同等または準ずるものとすることが適当である。
(3)「手話通訳士」としての責務
 「手話通訳士」はその職務の特質から次のような責務を有する。
  ① 職務を行うにあたっては、個人の人権を尊重し、その身上に関する秘密を守らなければならない。
  ② 自発的に職務に関する研修に励み、資質向上に努める。
  ③ 職務を通して聴覚障害者の社会参加と平等の実現に努める。

4.「手話通訳士」の養成
(1)養成の主体は、原則として都道府県・指定都市とすることが望ましいが、実施に際しては、適当な団体に委託することも検討されてよい。
(2)養成の費用は、都道府県・指定都市の負担として、国がこれに助成を行うことが適当であろう。
(3)学習内容は、聴覚障害者のコミュニケーションに関する科目、聴覚障害者の教育・福祉に関する科目、手話理論および手話実技に関する科目を必須とすることが望ましい。

5.「手話通訳士」の資格認定
(1)資格認定について
 手話通訳者の資質向上と人材を確保するため、「手話通訳士」の認定を行うことが必要である。認定の主体は国とすることが適当であるが、その実施については適切な団体に委託することも検討されてよい。その費用は国の負担とすることが適当であるが、受験料については受験者の負担も考慮されてよい。
(2)認定試験の実施
 試験科目については、全日本聾唖連盟が実施している認定試験および「手話通訳士」の養成内容等を参考にし検討することが望ましい。
 受験資格としては、学歴は問わず、年齢は20 才以上とし、2年以上の「手話通訳士」養成を終えた者または、5年以上の手話通訳を経験した者が適当であろう。ただし、現在手話通訳活動に従事している者については経過措置を検討する必要がある。
 なお、試験実施に際しては、「手話通訳士」認定試験委員会を設置し、合格基準の認定、試験内容の作成、試験審査等を行わせることが望ましい。

6.「手話通訳士」の設置派遣等について
(1)「手話通訳士」設置派遣
 上記により養成認定した「手話通訳士」を全国斉一的に設置することが必要である。
 設置場所については、都道府県・指定都市本庁、市役所、福祉事務所、身体障害者更生相談所、身体障害者福祉センター、公共職業安定所に重点的に設置するとともに、聴覚障害者の要請に応じ派遣も行える体制が考慮される必要がある。また手話通訳派遣専門組織の設置も検討されてよい。
 「手話通訳士」の設置数については、設置場所・派遣対象等を勘案し、聴覚障害者100人に1人を標準として、概ね4,000 人程度を目指すべきであろう。

(2)政府機関等における「手話通訳士」の確保
 聴覚障害者に必要なコミュニケーションの保障をするために、医療、司法、教育、労働等、聴覚障害者の生命および権利の擁護に深くかかわる政府諸機関等は、「手話通訳士」の確保について積極的に取り組むことが望まれる。

(3)「手話通訳士」の優先採用
 「手話通訳士」認定制度で認定された「手話通訳士」は、政府諸機関、地方自治体、関係機関または民間企業等において、優先的に採用されることが望ましい。

7.現在の施策と関連
 手話通訳に関連する事業として、厚生省の「手話通訳設置事業」および「手話奉仕員養成・派遣事業」並びに労働省の「手話協力員事業」は、聴覚障害者の生活・福祉の向上・拡充に大きく寄与してきている。
 これらの事業は「手話通訳士」制度を支える基盤であり、聴覚障害者の社会参加と平等を促進するうえで欠かせない重要な役割を有しているので、次によりさらに充実が期待される。

(1)手話通訳設置事業
 「手話通訳士」設置事業に統合発展することをも含め、より有効適切な実施方式を検討すべきであろう。
(2)手話奉仕員養成・派遣事業
 地域に即して機動的に活動できる手話奉仕員が、聴覚障害者の日常的コミュニケーションの確保に尽くしている役割はきわめて大きい。「手話通訳士」への資格がこうしたボランティアの励みとなり、さらに裾野が拡がって行くような配慮が必要である。
 派遣事業についても、「手話通訳士」設置派遣事業との有機的関連づけが必要であり、広域的な派遣システム等も含め、より発展の方向で検討する必要があろう。
(3)手話協力員事業
 聴覚障害者の社会経済活動への参加を促進するために「手話通訳士」設置派遣事業との有機的関連をもたせることにより、より一層の充実を図らなければならない。


という簡潔なものだったのですね。”中間報告”たるゆえんです。でも、ここであの有名な(?)「「手話通訳士」の設置数については、設置場所・派遣対象等を勘案し、聴覚障害者100人に1人を標準として、概ね4,000 人程度を目指すべきであろう。」という文言が書かれたのもこの報告書なのです。
 そして、最後の「おわりに」で以下のように書かれていたのもとても印象的でした。

特に、ろうあ者が社会生活全般を通じて、最も強く期待している「手話通訳」の不十分さが痛感された。
ろうあ者にとって意志疎通おける「手話通訳」は、肢体不自由者の移動における「義肢」「義足」「車椅子」等、視聴覚障害者の歩行にとっての「安全つえ」、読書における「点字」と同等の地位を占めるものであり、それらが補装具、日常用具等重要な位置づけがなされていることにかんがみ、これと同様な扱いがなされるべきであろう。
本報告にあたって最大の論議を費やした点は、「手話通訳」の「職務」であった。
我が国の多くのろうあ者が真に求めているものは、「手話通訳の専門家」プラス「ろうあ者福祉相談員」というものであるといわれている。これは、言語習得に障害をもち、コミュニケーションや情報からも阻害されている現在のろうあ者の孤独で不安定な状況を端的に物語っているとともに、ろうあ者福祉の遅れを反映しているものと考えられる。
本報告では、「手話通訳」の制度化を前提としたため、その職務については、コミュニケーション担当の専門家としての位置づけを示した。そうした資格をもつ人々が、関係行政機関等のろうあ者福祉担当者として配置され、ろうあ者の福祉を担当する体制の実現する日の一日も早いことを期待しつつ報告としたい。


改めて地域のみんなで学びたい資料だと思います。
そうそう、こういう資料がネットですぐに手に入らないのって、どうもねぇ~という感じです。とりあえず全通研の創立30周年記念出版「はばたこう未来へ」という本の付録CD-ROMに収録されていることを書いておきますね。(全日ろう連のサイトに掲載して欲しいですよねぇ~)
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聴覚障害者のコミュニケーション支援の現状把握及び再構築検討事業報告書

2005年05月30日 00時32分54秒 | Weblog
全日本ろうあ連盟のホームページに「平成16年度 聴覚障害者のコミュニケーション支援の現状把握及び再構築検討事業 報告書」(中間報告書)が掲載されました。

本編42頁、資料編62頁の分厚い資料ですが、是非大勢の方に読んでいただきたい報告書です。
PDFファイルが1.5MBもありますが、これは49頁(54頁)、59頁(64頁)、60頁(65頁)に貼り付けてある図が大変大きなデータであることが原因のようです。※( )内は、PDF上のページ数です。

冒頭の安藤理事長のあいさつには、こう記されています。

 独立行政法人福祉医療機構のご支援を得て, 全日本ろうあ連盟が, 手話関係者等の協力を受けて取組んできた「聴覚障害者のコミュニケーション支援の現状把握及び再構築検討」事業の中間報告書をお届けします。
 この事業は,2 年間の継続事業であり,中間報告となる1 年目の検討事項は,「現状把握」が主テーマです。
 昭和45 年に始まった手話奉仕員養成事業を出発点として,手話を言語とする聴覚障害者の情報・コミュニケーション保障を目的として実施されるようになった手話通訳設置事業, 手話奉仕員派遣事業の現状と課題に焦点をあてた検討が行われました。

 この中で鮮明になったのは, まず, 手話奉仕員養成事業による国民的な手話の普及が評価され, それに比例して手話と聴覚障害者に対する社会的な差別や偏見の意識も変革されつつあることです。
 しかし, 手話を言語とする聴覚障害者の社会参加や自立をサポートする手話通訳制度はまだ発展途上にあり, 聴覚障害者はもとより社会的なニーズに応えるものになり得ていません
 私が社会的なニーズというのは, 手話通訳者は聴覚障害者だけでなく, 聴覚障害者への情報提供やコミュニケーションを必要とする健聴者側にも必要なものであり, いわば社会的なものと認識すべきと考えるからです。

 手話普及の努力としては, 毎年, 全国の市町村で手話講習会が開かれていますが, 修了者の多くが,「聴覚障害者との初歩的な会話が可能」なレベルに終わり,生命・財産・権利の分野に関る手話通訳が可能なほどに習熟する人が少ないことです。
 その原因は,専門的な養成システムを備えた機関での養成になり得ていないのと, 手話通訳士の資格を取得しても職業として自立できる条件が未整備等の問題があるためです。従って,この中間報告は,課題面が前面に出たものになっています。
 現在の手話関係事業は, 予算的, 制度的な不備が克服されないまま継続されていることに特徴があります。

 このような現状に対して, 聴覚障害者が感じていることは, 手話に対する国民的な理解は深まっているが, 情報・コミュニケーションを支援する手話通訳者の技術的・知識的なレベルは, 地域的, 個人的な差が大きく, 手話通訳派遣体制も聴覚障害者人口の多い都市に集中し, 多くの市町村では手話通訳者不在が続いていることの不合理です。

 我が国の手話を中心としたコミュニケーション支援の現状が, この中間報告で明らかにされ,次の再構築の検討に活かされることを期待します。


 私もまだ最初の方を読み始めたばかりですが、是非地域の仲間でこの報告書をテキストに勉強会を持ちたいものです。

 参考までに目次を掲載しておきます。

第1章 はじめに
 1. 事業の目的
 2. 本事業を行うにあたって
第2章 手話通訳設置・手話通訳者派遣事業の現状
 1.聴覚障害者の実態
  (1) 聴覚障害者数
  (2) コミュニケーション方法
  (3) 手話通訳者の通訳と生活支援
 2.手話通訳関係事業費の状況
 3.設置された手話通訳者の実施状況
  (1) 設置手話通訳の状況把握の困難
  (2) 『手話通訳者の労働と健康実態調査の報告』にみる設置された手話通訳者
  (3) 札幌市専従手話通訳者の業務内容
  (4) A市における手話通訳業務状況
  (5) 手話通訳・援助事例
 4.手話通訳者派遣の実施状況
  (1) 派遣事業の実施状況
  (2) 自治体単独事業の実施状況
  (3) 聴覚障害者情報提供施設の実施状況
  (4) 手話通訳分野
  (5) 手話通訳事業の財源
 5.手話通訳者の状況
  (1) 手話通訳者数
  (2) 登録手話通訳者の状況
  (3) 手話通訳単価
 6.手話通訳実施体制
  (1) 手話通訳設置・派遣体制
  (2) 市町村と広域の手話通訳派遣体制
第3章.手話奉仕員養成事業、手話通訳者養成・認定・研修事業等の現状
 1.はじめに
 2.各種事業の現状
  (1) 手話奉仕員養成事業
  (2) 手話通訳者養成事業
  (3) 手話通訳者現任研修事業
  (4) 手話通訳者認定事業
  (5) 手話通訳士認定事業
  (6) 講師養成事業
第4章.課題
 1.設置・派遣制度の課題
  (1) 手話通訳ニーズの把握
  (2) 手話通訳者の役割の明確化
  (3) 手話通訳実施体制の検討と推進方法の提示
 2.養成・認定制度の課題
  (1) 手話奉仕員養成事業のあり方の検討
  (2) バリアフリーとしての手話普及事業のあり方の検討
  (3) 手話通訳者養成・研修事業のあり方の検討
  (4) 手話技能評価事業・手話通訳技能評価事業のあり方の検討
  (5) 手話通訳者認定事業のあり方の検討
  (6) 手話通訳士認定事業のあり方の検討
  (7) 手話奉仕員養成事業、手話普及事業、手話通訳者養成・研修事業における講師養成の
あり方の検討
  (8) 各種事業の実施主体および事業費用のあり方の検討

【資料】
 1.静岡の事例:市町村事業全面展開
 2.香川の事例:聴覚障害者情報提供施設の広域派遣実施の例
 3.札幌の事例:専従手話通訳業務と登録手話通訳者派遣
 4.介護保険・支援費制度における課題
 5.全国手話研修センター委託登録試験県別合格率一覧
 6.手話通訳者登録試験実施についてのアンケート

【委員会開催経過報】
【委員名簿】


 手話通訳士制度を作ったときの60年報告?だったかな、そんな熱意の感じられる報告書です。
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山田ズーニーさん「大人の小論文教室」

2005年05月28日 15時41分34秒 | Weblog
桜餅さんにトラックバックしていただいて、山田ズーニーさんの「大人の小論文教室」を読みました。

最初「日本語なるほど塾」のテキストにズーニーさんが書かれたのを読んだときは、”そうそう全くその通り!こういう上司が多いんだよなぁ・・”くらいに思っていたのですが、桜餅さんが「絶賛!」されてて、えっ、そんなに山田ズーニーさんて面白いの?と、改めて「ほぼ日刊イトイ新聞」の「おとなの小論文教室」を見に行きました。

Lesson249は、「ブレイクスルーの思考法」

「捨てて、ひらく」

問題が起こる→守る→視野が狭まる→ゆきづまる
の回路からなかなか抜け出せないとき、

問題が起こる→捨てる→ひらく→再び問題に戻る
という行き方も試してみてはどうだろうか?


驚きました。簡潔にして明快。
私も40を過ぎてやっとちょっとだけ「捨てる」ことの大切さが分かりかけてきた感じです。

そして「ひらく」ですか。

捨てるのも難しいけど、行き詰まったときに「ひらく」のはホント難しいですよね。

山田さんは

自分が執着し、
視野を狭めているものの正体をつきとめるには、
「書く」ということが、とても向いているように思う。
私は「書いた」ことで、「捨てる」ことができた。


と書かれています。

僕にとってのブログがそんな場所になれたらいいかもな、なんて感じました。
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手話文化村ビデオ「第15回手話通訳技能認定試験」

2005年05月28日 13時54分50秒 | sign language
(有)手話文化村(トップページを開くといきなり音楽が鳴るのでご注意!)のビデオ「第15回手話通訳技能認定試験」を見ました。
平成15年11月30日に行われた手話通訳士試験の聞き取り表現問題について、「参考表現」を提示しています。

まず、田中清さんが表現している「参考表現」すっごいです!
その田中さんの表現に対して、米内山さんが「解説」。さらに米内山さんの「翻訳版」の表現も見ることができます。チョーお得なビデオ。定価5000円はけっして損しないお値段です。
解説の中で米内山さんも「翻訳版は、聞きながら表現している手話通訳とは別物」とおっしゃっていますが、目指すべき手話表現が「翻訳版」にはあると感じました。
こうした「翻訳版」の提示は大変参考になる方法だと思います。

解説の最後に米内山さんは「手話通訳者からろう者に向かって一方的に表現される手話表現でなく、ろう者と手話通訳者の間を行ったり来たりする手話表現」が素晴らしいとおっしゃっています。田中さんや米内山さんの手話表現を見ていると確かに「へえ~そうなの」とか「えっ、そんなことあるの?」と話しに引き込まれてしまうのですね。
”情報を伝える=手話通訳”とは本来一方向のものではなく、情報が自由に行ったり来たりできる太いパイプの役割を果たすことなのだなあ~と改めて認識させられました。

今年度は地元の手話通訳士養成講座の担当をすることになり、こんなビデオ(手話通訳)を見てしまうとすっかり自信を失ってしまいそうになりますが、私自身が田中さんや米内山さんの表現をシャドーイングして、自分の勉強のためにも頑張りたいと思っています。

こうしたビデオを日本手話通訳士協会や、全日ろう連などもどんどん作って欲しいと思うのですが、そんな話しは進んでいるんでしょうか? どれが正解というのではなく、目指すべき手話通訳・手話表現の姿をもっともっと学習者に提示する責任があると思うのです。
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5月11日の衆院厚労委で手話通訳士に関する質問がありました。

2005年05月20日 14時34分07秒 | Weblog
障害者自立支援法案について審議中の衆議院厚生労働委員会で、5月11日(水)公明党の古屋範子議員が、手話通訳士の「人材の育成、活動の場の確保」について質問をされました。
その議事録が衆議院ホームページに掲載されました。

■手話通訳士について「東京には20人」とか、「養成には早くて半年」など若干理解がなされていない面もありますが、厚生労働委員会の場で参考人である厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長から「来年度以降、必要な予算を確保すべく最大限努力をして、手話通訳士の方々の活躍の場がふえるよう努力をしていきたいと考えております。」との答弁を引き出しているのは、とても良かったのではないでしょうか。

■日本手話通訳士協会は、参議院での審議に備え、参議院厚生労働委員会の主だった議員へのコンタクトをとり、手話通訳士の問題のみならず、障害者自立支援法施行後の市町村レベルでの手話通訳派遣事業についての財政的な裏付けや広域派遣対応、これまで行われてきた都道府県単位の派遣事業の維持・発展の方策などについてできるだけ具体的な質問をしてもらえるよう資料作成し、議員に要請活動をすべきだと思います。

<古屋議員の手話通訳士に関連した質問部分の議事録>
○古屋(範)委員 次に、このたびもいろいろな障害者団体の方よりさまざまな御要望を伺っておりますけれども、特に、聴覚障害の方々からのコミュニケーション支援というような観点についての御要望も伺っております。
 聴覚障害の方々にとって、コミュニケーションの橋渡しをする手話通訳士というのは大変重要な役割を担っています。その手話通訳士ですけれども、今全国で約千五百名いると言われておりまして、その中で実際動いている人は約半数しかいない。そして、東京には二十人、また福岡でも一人ということで、大変数が少ない、また地域格差も大きいのが現状でございます。
 この手話通訳士は、基本的な倫理を踏まえるだけでなく、障害者の特性を理解した通訳が求められることであり、養成に早くても半年はかかると言われております。現在、活躍の場としては、聴覚障害者のいる行政機関、団体、企業、病院、役所などが上げられますけれども、そのほとんどが非常勤のボランティアでやっていらっしゃるわけで、職業としてはほとんど確立されていない。資格を取ったとしても、その所得の保障がないというのが現状でございます。この手話通訳士の人材の育成、活躍の場の確保というものが急務であると思います。
 また、聴覚障害者の方々にとって、例えば車いすでかつ聴覚障害を持っていらっしゃるというような方に関しては、地域支援事業に位置づけられているコミュニケーション支援が、市町村でもし財源がない場合に切り捨てられるのではないかというような懸念がございます。
 そこで、コミュニケーション支援については、こうした財政面での不安を払拭されるよう、障害者の地域生活や社会参加を促進するために重要な役割を果たしているとの実情を踏まえ、サービス水準の後退や市町村格差が拡大することがないよう十分な確保を行うべきと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
○塩田政府参考人 聴覚障害者のコミュニケーションの確保というのは、今度の自立支援法案でも大きな課題だと認識をしているところでございます。聴覚障害者のコミュニケーション確保において手話通訳士の役割も大変大きいということでありまして、日常的な活躍の場があるだけではなくて、例えば政見放送の場とか司法の場でもそういう方が活躍されているということでありまして、そういう活躍の場を広げていくことが必要だと思っております。また、地域間格差もあることも御指摘のとおりでございます。
 今度の法案の中で、市町村に聴覚障害者のコミュニケーション確保について仕事をちゃんとしていただくということを明記したところでありまして、今度の法案によって、いろいろな市町村でこういったコミュニケーション確保の手話通訳士の活躍の場が広がるものと考えているところでございます。
 しかしながら、地域生活支援事業は、義務的経費ではなくて、いわゆる裁量的経費、国として予算の範囲内で補助することができるというジャンルの事業に分類いたしておりますので、そのための予算を国としてきちんと確保するということが大事なことだと思っております。来年度以降、必要な予算を確保すべく最大限努力をして、手話通訳士の方々の活躍の場がふえるよう努力をしていきたいと考えております。
○古屋(範)委員 大変厳しい財政状況の中ですが、ぜひともこのコミュニケーション支援の確保をよろしくお願い申し上げます。


<参考>
ちなみに参議院厚生労働委員会の委員さんはこちらの方々

委員長 岸  宏一(自民)
理事  武見 敬三(自民)
理事  水落 敏栄(自民)
理事  辻  泰弘(民主)
理事  山本 孝史(民主)
理事  遠山 清彦(公明)
    国井 正幸(自民)
    坂本 由紀子(自民)
    清水 嘉与子(自民)
    田浦 直 (自民)
    中島 眞人(自民)
    中原 爽 (自民)
    中村 博彦(自民)
    西島 英利(自民)
    藤井 基之(自民)
    足立 信也(民主)
    朝日 俊弘(民主)
    小林 正夫(民主)
    櫻井 充 (民主)
    柳澤 光美(民主)
    柳田 稔 (民主)
    蓮  舫 (民主)
    草川 昭三(公明)
    小池 晃 (共産)
    福島 みずほ(社民)
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つつじがキレイです。

2005年05月20日 08時52分56秒 | Weblog
会社の入り口の坂にあるツツジがようやく咲いてくれました。かなり遅い気がしますが…。

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筑波技術短大が4年制大学に(その2)

2005年05月18日 00時52分45秒 | Weblog
技短が4年制になるのはすでに決まったことかと思っていたら、今162通常国会に法案が提出中でした。

国立大学法人法の一部を改正する法律案(内閣提出第54号)の概要

 本案は、国立大学法人における教育研究体制の整備及び充実を図ろうとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
二 国立大学法人筑波技術短期大学を廃止して、国立大学法人筑波技術大学を新設すること。
四 この法律は、平成17年10月1日から施行すること。ただし、学長となるべき者の指名等に関する特例等の規定については、公布の日から施行すること。


この法案には衆議院で付帯決議もつけられていて、

国立大学法人法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

二 障害者に対応した高等教育機関の整備については、筑波技術大学の整備・支援に努めるとともに、一般大学における受入れの促進を図ること。また、筑波技術大学は、聴覚・視覚障害者を対象とする我が国唯一の高等教育機関であることに鑑み、障害者教育に関する支援及び情報の発信等に努めるとともに、大学評価に当たってはその教育研究の特性に十分配慮すること。


なんだそうです。
法案は、4月13日衆議院に付託、4月22日の衆議院文部科学委員会(第11回)に諮られ「質疑終局後、採決を行った結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決し」、4月26日(火)の衆議院本会議において「文部科学委員長の報告の後、全会一致で委員長報告のとおり可決」されました。

その後、参議院に送られ、現在は、5月12日(木)参議院文教科学委員会まで進んでいるようです。 参議院文教科学委員には「大仁田 厚君」なんているんですね。また元茨城県教育長の「小林 元君」(民主党)も文科委員さんでした。
4月28日(木)の文科委員会では「第二に、筑波技術短期大学の四年制大学化についてであります。これは、視覚障害者、聴覚障害者のための高等教育機関である国立大学法人筑波技術短期大学について、障害者の社会的自立、参画、貢献の促進と教育研究の更なる高度化、専門化を図るため、これを四年制大学化し、国立大学法人筑波技術大学を設置するものであります。なお、国立大学法人筑波技術大学の設置は平成17年10月1日とし、平成18年度より学生受入れを行うことを予定しております。」と提案理由・概要が説明され、「5月10日、つくば市に視察をいたします」と議事録に書かれていますから、技短の「視察」が行われたんでしょうか。

文科委員会は毎週木曜日に開催されているようなので、12日に可決されていなければ明日19日も議論されると思います。参議院審議中継をチェックですね。

追伸
12日に審議後、17日に文科委員会を通過しました。

第10回文教科学委員会(平成17年 5月17日)
 政府参考人の出席を求めることを決定した。
 国立大学法人法の一部を改正する法律案(閣法第五四号)(衆議院送付)について中山文部科学大臣、上田財務副大臣、塩谷文部科学副大臣及び政府参考人に対し質疑を行った後、可決した。なお、附帯決議を行った。
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筑波技術短大が4年制大学に

2005年05月16日 23時17分44秒 | Weblog
5月16日(月)の読売新聞に筑波技術短大が4年制に移行するという記事が掲載されました。
何故にこの時期に、この記事が掲載されたのだろうか?ちょっと疑問を感じながらも記事を紹介したいと思います。

視聴覚障害者の国立大、筑波技術短大が4年制へ(茨城)

 国立大学法人として全国で唯一、聴覚や視覚に障害がある学生だけを対象とした教育を行う筑波技術短期大学(つくば市天久保)が今秋、4年制大学として新たに発足することになった。専門性の高い職業教育と、幅広い教養を両輪に体制づくりが急ピッチで進んでいる。

 4年制大の新名称は「筑波技術大(仮称)」。今年10月に設置し、来春の新入生から学生の受け入れが始まる。一学年90人。学内には、障害者高等教育研究支援センターも新設し、教授陣らによる視聴覚障害者向けの教育機器開発などにも力を入れる予定だ。

 4年制大学の設置は、1987年に開学して以来の夢だった。国内唯一の視覚、聴覚障害者のための高等教育機関として開学したが、国内初の試みとあって、3年制の短大という異例の形で発足、これまで1030人の卒業生を送り出してきた。

 近年は4年制開学を目指し、<1>教材開発などの施設整備<2>特殊教育ができる教授陣<3>卒業後の進路確保――の3点の実績づくりに特に力を入れてきた。教師の話を支援者が同時筆記通訳し学生に配布するシステムなどの教材開発に成功。当初は初の特殊教育に手探り状態だった教授陣らも、今ではスタッフ約120人のほぼ全員手話を使いこなすなど、特殊教育技能を兼ね備えるまでに成長した。

 一方、卒業後の進路も、聴覚部の就職率はほぼ100%で、視覚部も多くが医療機関で理学療法士などに採用されており、「4年制移行への学内体制はほぼ整った」と、同大の飯田恭市総務課長は力説する。

 特に聴覚部は、デザイン科や機械工学科などに細分化されていたコースを、産業情報学科と総合デザイン学科の2つに再編し、総合的な教育を実施する方針。

 在校生は、新4年制大にそのまま進学する機会はないが、「4年制大学なら、学士の資格をもらえる。就職やその後の待遇も全然違ってくる」(聴覚部3年の女子学生)など、学生にとっても4年制は待ち望んだものだった。

 「これで、ようやく一般の人と同じスタートラインに立てた。これからは、自立だけでなく、社会のリーダーになれる人材を育てていきたい」と、大沼直紀学長。例年県内出身の入学生は数人程度だが、今後障害を持ちながら大学進学を目指す生徒にとって、希望の大きな大学となりそうだ。

(2005年5月16日 読売新聞)
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