名取地区では、今集落のあちこちで野菊が咲いている。その中で最も多いのが白い野菊で、そのほとんどは、道脇の石垣の隙間から生えており、道行く人の目を楽しませてくれている。そして、近づくと甘い香りがする。子供の頃から良く見かけていたのだが、野菊という以外にこの花の本当の名前を知らなかった。インターネットで検索してみたのだが、似た花はいくつかあったけれど、どれも花びらや葉の形が少し違っており、わからないままになっていた。ところが、昨日「愛媛新聞」の一面に愛南町で咲いているこの花が掲載されていた。「ノジギク」と言うらしい。
名前がわかったところで、少し調べてみると、この花は、日本固有の種で、あの牧野富太郎博士が兵庫県で発見されたそうで、発見されたのが山道だったことからこの名前があるとのことだ(野路菊)。また、兵庫県の県花に指定されているようで、兵庫県以西の本州・四国・九州地方に自生しているらしい。白い花といっても、白いのは花弁(舌状花)で、中央部(筒状花)は黄色だ。このコントラストが、この花のかわいらしいところかもしれない。その他、花弁が黄色やピンクのノジギクもあるらしい。我が家の菜園の石垣に生えているノジギクの中にも、よく見るといくつかピンクがかった花があった。
このノジギク、なぜ平坦な場所に生えようとしないのだろうか?我が地区では、石垣の隙間から横に伸びて生えている。石垣に生えたほうが、日当たりが良いからだろうか。その証拠に、それぞれの花はしっかりと冬場の低い太陽の方を向いている。でもなぜ、こんなへんてこな箇所に根付くことができたのだろう?最初の種子は、何かの偶然で風に飛ばされて、石垣の隙間に入り込んだのだろうか?そして、そこに生えてみるととても居心地が良いことがわかり、それ以来ずっと石垣に生え続けることになったのだろうか。しかし、どこもここもそういう偶然が重なるはずはないように思えるので、きっと何か特有の事情があるのだろうと思う。石垣に生えている場合は、ほとんどが石垣の上の方に生えているので、このことが何かヒントになるのかも知れない。
とはいえ、ノジギクはもうしばらく私達の眼を和ませてくれそうだ。