最近ご縁があって知り合ったIさんのお宅におじゃました。Iさんは住宅の設計士で仕事場も兼ねているお住まいは、なんと土蔵である。昔、山繭を飼っていたらしい古い蔵を、たいして手を加える事もせずにお住まいである。だけどその暮らしが何とも素敵で、空間って使う人によってこうも生きるものかと感動する。おっかない梯子を上るガランとした畳敷きの土蔵の二階は、格子窓から光と風がとおり、古ぼけた土壁の匂いと不思議なBGMでタイムスリップしたようなゆるりとした時間が流れる。こんど此処で月を見ながら酔いましょうと、なんとも風流な約束ごと。打ち水をした玄関の砂利や苔むす木蓮の茂る小さな庭、帰り際まで心が清々しい。便利なこの時代に古き良き昔の暮らしをするのは憧れだけでは難しい事だろうけれど、Iさん夫婦の気張らない笑顔がとても自然ですばらしい。大好きな空間と気の合う方々、とても幸せな気持ちになって古い土蔵をあとにした。お月見が待ち遠しい…
秋の味覚、新物の秋刀魚が出だした。ああ、もうそんな季節かと秋刀魚と目が合って思う。「サンマサンマ、サンマ苦いかしょっぱいか…」と佐藤春夫も詩をよんだ。秋は本当に美味しいものがいっぱいで、まさに食いしん坊泣かせ。畑で採れた茄子と新物サンマで、まずは一番乗りの秋めいた食卓を堪能。あ~、困った、ご飯がすすむ…。
お盆の真っただ中、兵庫県から母や妹や叔父叔母たちがやって来た。ひさしぶりの再会でとっても嬉しいんだけど、なんせお盆、忙しくて料理の腕?もふるえない。(いいわけっぽい)
というわけで、地元の名店「レストラン.スタジオーネ」で夜のディナーをいただく事に…やった~!
田んぼの真ん中、目の前に有明山が望める素晴らしいロケーションにあるスタジオーネは、自家栽培の新鮮な野菜を使った本格イタリアンのレストラン。気軽にいただけるランチしか食べた事がなかった私、すごく楽しみだったのです。
そしてそして、名も知らぬフルーティーな発泡酒やブラッドオレンジのジュースで乾杯して、味の濃い野菜を使った盛り沢山な前菜、個性的なパスタ、メインの豪華な料理、至福の時間は一瞬で過ぎて行き「あっ!」と気がついた時には目の前にデザートのお皿が…。何に気づいたかって?写真を撮るのも忘れて夢中で食べていた事。
あ~~、おいしかったぁ、ごちそうさま。会いたかった家族と美味しい料理、スタジオーネの幸せな時間に乾杯!
長いお盆休みが終わってホッと一息つきたいところだけれど、スカスカになったお店の棚を目の前にして額に冷たい汗が…。きゃっ、たいへん!わざわざ訪ねてくれたお客さんに申し訳ないですー。「みなさんごめんなさい、一生懸命作りますのでご勘弁を。」って、大急ぎでミシンでダ~ッと縫わなきゃと思いはするのですが…こんな事しています。
そうなの、手縫いでチクチクにはまっています。気の向くままに施すステッチが楽しくてたまらない。布の表情がコロッと変わるんだもの。堅い感じがステッチひとつでユル~くて好きな感じになる。これは時間がかかってもわたしには大切なポイントかも。
ってわけで、みなさんお許しを。お店小物もバッグも、チクチクと作ってますので心をユル~くしてお待ちくださいね。気持ちのいっぱい詰まったものをお届けします、きっと近々。
穂高神社で行われた手筒花火を見て来た。毎年8月15日に行われているらしい奉納の花火である。迫力満点と聞いてはいたものの、初めて目の当たりにする火柱と爆発音はかなりのドキドキ体験。始まるまでは雲間に見え隠れするお月さんや、遠くに聞こえる神事のお神楽、心静かな夏の宵に浸っていたんだけど…照明が消されて勢いよく職人たちが動き回ると、たちまち目の前に火柱がたった。人が抱える手筒から炎が滝のように降り注いだかと思うと、筒が爆発したかのような轟音!すごい迫力に声も出ず固まっていた。かすかに花火師の人影が見える火の粉の舞う中、二人ほど女の人も混じってる様子。すごいなぁ~とその度胸に惚れ惚れする。クライマックスの大きな火の雨があたりを包みこみドカ~ンと大きな音が響くと、一瞬間を置いて拍手がわき起こった。緊張の後のため息にも似た深呼吸、ちょっとした興奮が疲れた身体に心地よかった。来年もきっと見に来よう、夏の終わりの幻想的な炎の滝。