何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

朝護孫子寺-(2) (生駒)

2017年11月28日 | 寺社巡り-奈良

【奈良・生駒郡】延喜十年(910)、命蓮上人が醍醐天皇(第60代)の病気平癒のため毘沙門天王に加持祈祷を行い、その功により「朝廟安穏・守護国土・子孫長久」の勅文を得、その祈願所として「朝護孫子寺」の寺号を賜った。 その後、坊舎66を数える大寺に発展し、山岳密教の聖地として多くの修行僧が訪れ、楠木正成や武田信玄ら中世の武将が毘沙門天への信仰を寄せた。

玉蔵院から毘沙門天王を祀る本堂に向かう。 南無神変大菩薩の幟が立つ行者堂に安置されている役行者像に参拝し、朱塗りの多宝塔、組高欄の回縁を設けた袴腰付き鐘楼堂、周囲に円形状の笠や中台の石燈籠や十三重層塔などの石造物がある虚空蔵堂などを拝観した後、大きな銅板張りの明神鳥居をくぐって本堂に向かう。
鳥居をくぐると直ぐ右手に檻に入れられた「福寅」と呼ばれる虎の親子象があり、少し悲しげな顔で迎えてくれる。 何故檻の中なのか....まさか深夜に虎が暴れ出すのを防ぐためではないだろうと後で調べたら、一時期、福寅の像を削って持ち帰る不届き者が続出したためとのことだ。
「福寅」の向かい側、毘沙門天王を祀る本堂への石の階の近くに経蔵堂が建つが、獏と獅子の木鼻や虹梁上の龍そして唐破風軒下の牡丹など精緻な装飾彫刻が実に見事だ。
 
切妻造銅板葺の行者堂..「南無神変大菩薩」の幟がある/行者堂に鎮座する修験道の開祖役行者の像

元禄二年(1689)建立の本瓦葺の多宝塔..明治十五年(1882)修復
 
恵心僧都作とされる本尊大日如来像を安置..二軒で扇垂木,組物は三手先,中備は蟇股,桟唐戸に連子窓

貞享四年(1687)再建の入母屋造本瓦葺の袴腰付鐘楼
 
組高欄を設けた縁を巡らす..柱上に大きな大斗と平三斗を乗せ、中備は蓑束

鐘楼が環から見た本堂方向の境内..手前の建物は地蔵堂と虚空蔵堂の屋根、その先に搭燈籠
 
切妻造屋根の石燈籠に囲まれて立つ5層の塔燈籠/脚部は花頭風輪郭の中に扉や菊紋等の彫り物

切妻造本瓦葺の地蔵堂と石造物群
  
歌碑(?)/安永三年(1774)造立の石燈籠/造立年不明の十三重石塔..初層軸部の月輪内に種子を薬研彫り

露盤宝珠を乗せた宝形造本瓦葺の虚空蔵堂

虚空蔵堂には無量無尽の知恵や功徳を蔵する虚空蔵菩薩を安置
 
向拝虹梁に蟇股の形の龍の彫り物/向拝柱に「智恵之祖 虚空蔵菩薩」の札が下がる

本堂境内への入口に立つ銅板で覆われた明神鳥居

明神鳥居から眺めた本堂境内..石燈籠や石幢などの石造物が並ぶ..正面石段上は本堂の唐破風玄関
  
端正な顔の阿形吽形の獅子の狛犬/奥の塔の正面に「大般若妙典宝塔」の刻..基礎に唐破
 
檻の中の親子の福寅..一時期続出した福寅の像を削って持ち帰る不届き者対策として檻が設置された/切妻造銅板葺の手水舎..横二軒で半分は四阿

露盤宝珠を乗せた宝形造本瓦葺の経蔵堂..本瓦葺の裳腰を巡らし、向拝の唐破風は銅板葺

正面は桟唐戸に脇間に花頭窓..堂前の石燈籠は天保七年(1836)造立

仏教のあらゆる法門の経典を集めた「一切経」を納めた経厨子が中央にあり回転できる
 
向拝の獏と獅子の木鼻、虹梁上の龍や唐破風軒下の精緻な装飾彫刻群 
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