何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

久米寺-(1) (橿原)

2018年07月13日 | 寺社巡り-奈良

【奈良・橿原市】創建年は不詳だが、境内に残る古い塔の礎石や出土した瓦から奈良時代前期には存在していたとされる。 寺伝では、聖徳太子の弟・来目皇子の開基とされ、眼病を患った皇子がこの地に祈願したところ、薬師如来が降臨して完治したため、伽藍を整備したという。
また、久米仙人の創建説話がある。 吉野の龍門寺で修行して飛行術を体得した久米仙人が、飛行中に川で洗濯している娘のふくらはぎに見惚れて法力を失って墜落。 その後、仙術を復活させて宮殿の建材を飛ばして運んだ功により、天皇から土地を賜って寺を建立した。 久米仙人ゆかりの寺。 宗旨は真言宗(御室派)で、本尊は眼病に霊験があるとされる丈六の木造薬師如来坐像。

近鉄の橿原神宮前駅から線路沿いに西へ向かうと、大和三山の一つである畝傍山の東南麓の樹林の中に本堂の側面が見えてくる。
南側に建つ仁王門へ回り、阿形吽形の金剛力士像に迎えられ、門をくぐる。 直ぐ先の石燈籠の奥に白鳳時代の大塔(多宝塔)の巨大な礎石が残っているが、そのあまりの大さに驚いた。 参道脇に佇む幾つかの石塔や石仏を見ながら進むと、砂利を敷きつめた境内が広がり、正面の本堂の手前の左右に仏堂が建ち並ぶ。 真ん中に設けられた幅の狭い切石敷の参道を進んで本堂へ。
本堂で興味深いものを2つ見つけた。 一つは「二つ引き桜」の寺紋を配した天水桶で、底の四方の隅に小さな力士像がいて、胡坐をかき腕組みしながら肩で桶を支える姿が何ともユーモラスだ。 もう一つは、若草文様が刻まれた正面の頭貫で、貫上に鬼像がずらりと並んで軒を支えているが、その踏ん張る姿がいろいろで面白い。

切妻造本瓦葺の仁王門....屋根に鬼瓦と花の文様の留蓋瓦が乗る

仁王門に「霊禅山」の扁額....奥に多宝塔跡と多宝塔の屋根と相輪が見える
 
憤怒の形相で仏敵から寺院を護る阿形吽形の金剛力士像....比較的近年の造立のようだ

大塔礎石....養老二~四年(718~720)建立の八丈(約10.9m)四方の我国最高最大の多宝塔があった
 
大塔礎石前に立つ石燈籠(造立元号を失念)

大塔(多宝塔)跡の巨大な礎石群....多宝塔には3粒の仏舎利と大日経典が納められていた

大塔礎石の傍の覆屋に鎮座する2基の庚申塔
  
左は自然石型文字庚申塔(日月)、右は悪疫を調伏する舟型光背青面金剛庚申塔(磨滅が激しく彫像不鮮明)/参道脇に立つ石塔..阿閦如来の種子のように見える/駒形に彫り窪めた中に6つか7つの種子が縦に並んでいるように見える....一番上は阿弥陀如来の種子か

仁王門近くから眺めた境内....左から本堂、阿弥陀堂、観音堂、地蔵堂が建ち並ぶ

「皇紀二千六百年記念塔」と刻まれた石塔越しに眺めた本堂

入母屋造本瓦葺の本堂....江戸初期の寛文三年(1663)の再建....寺紋の「二つ引き桜」が入った天水桶を担ぐ4人の力士像(?)

屋根に鬼瓦と唐獅子の留蓋瓦....朱塗りの擬宝珠高欄を設けた吹き放ち廻縁....本堂前に露盤宝珠を乗せた宝形造銅板葺の燭台(常香炉ではないようだ)

本堂には丈六の木造薬師如来座像を祀る....身舎の若草文様が入った頭貫の上に龍の彫刻を配した蟇股と鬼像が並んで軒を支えている
 
軒廻りは二軒平行垂木、柱上に出三斗と実肘木....扉は三枚折両開の桟唐戸、内側に格子戸があるのは内部に内陣がなく外陣だけか....向拝に鰐口、廻縁に釣燈籠が下がる
  
右縁の隅に鎮座する十六羅漢の第1尊者・賓頭盧尊坐像/入口上の長押に掲げられているナマズの彫り物(由来不詳)/本堂前の薬師如来の梵字が刻まれた巨岩
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