何気ない風景とひとり言

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安楽寺の八角三重塔

2018年10月29日 | 最古・唯一などの遺構

【長野・上田市】我が国に現存する唯一の八角三重塔。
鎌倉時代の1290年代に建立された。 初重の海老虹梁材が鎌倉時代正應二年(1289)に伐採された木材であることから13世紀末の建立と裏付けられ、日本最古の禅宗様建築である可能性が高いとされる。
平安時天長年間(824~834)創建とされる信州最古の禅寺・安楽寺に建つ杮葺の八角三重塔で、長野県内の建造物として最初に国宝の指定を受けた。
八角三重塔は、中国宋時代(960~1279)の禅宗様(唐様)という様式で建築されている。 八角塔は奈良・京都などに記録として残されているが失われ、我が国に唯一残されたのが安楽寺の八角塔。

本堂から杉の樹林の間を上がっていくと、山腹に建つ八角三重塔が見えてくる。
自然豊かで清浄な空気に包まれた墓所にひっそりと建つ八角三重塔....静謐な空間に優美な佇まいを見せ、まるで8枚の羽根が羽ばたいて天に舞い上がるかのように見えて、実に魅力的な塔だ。
初重に裳腰を設けているので四重塔に見える。 軒廻りは各重いずれも禅宗様の定法通り二軒扇垂木だが、裳腰も扇垂木になっているのは驚きだ。 窓は花頭窓ではなく和様の連子窓が設けられ、また、二重と三重に縁・高欄がない禅宗様式で貴重な仏塔といえる。 また、古代の仏塔のように四方に入口がなく、桟唐戸を裳腰の正面のみに設けているだけだ。
墓所のほぼ中心に建つ八角塔には禅宗寺院に珍しい金剛界大日如来像が安置され、周りに眠る人々を見守っている....この光景は、無数の石仏・石塔の墓碑が立ち並ぶ墓所の真ん中に立っている京都化野念仏寺の十三重石塔を思い起こさせる。

本堂裏の山腹の墓所内に建つ八角三重塔....塔内に金剛界大日如来像を安置

杮葺の八角三重塔(国宝)....鎌倉時代末期(1920年代)建立で、わが国最古の禅宗様建築である可能性が高いとされる
 
八角三重塔は高さ18.7mm(礎石上端~頂上)で、初重に裳腰を設けている/各重の軒廻りは二軒扇垂木で組物は二手目と三手目が尾垂木の三手先、柱間に台輪上に詰組を配す

裳腰も二軒扇垂木だが、組物は出組、柱間の台輪上に詰組....裳腰の正面のみに桟唐戸を設け、側面は板壁、各面に波連子欄間を配す

二重と三重に縁がなく、全面に花頭窓ではなく和様の連子窓が設けられている

構造形式は「八角三重塔婆」で、中国宋時代の禅宗様(唐様)という様式で建築されている/木造の八角搭としてはわが国に残された唯一のもので貴重な遺構
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