対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

直感、直観、直覚。

2018-06-06 | ノート
手元の英和辞典で、intuitionを引くと、直感、直観、直覚と3つ出てくる。いずれの訳も、推理や思考によらず、感覚によって物事を直接的にとらえることを指している。
ネットによると、intuitionは最初、西周によって「直覚」と訳されたが、徐々に「直観」に代わっていったとある。「直観」も「直覚」も、字形は違うが、中国に輸出されているという。intuitionのtuにはlookの意味があり、直「観」が正しい訳だという記事も見た。「直感」の履歴は見なかったが、『アインシュタイン・ロマン』2(NHK、1991)の思考モデルでは、最初の飛躍(J)を「直感」的と形容している。わたしに馴染みがあるのは「直観」だが、感覚を高度な「視覚」だけに限定する必要もなく、聴覚や臭・味・触覚を含めて広くとらえるのも「あり」かなと思う。「科学理論の形成に関するアインシュタインのモデル」(ホルトン、亀井理訳)では、最初の飛躍は「直観」的と形容されている。
「直観」と「直感」は見たことがあるのだが、「直覚」はなかった。正確にいえば、記憶になかった。「如何にして私は相対性理論を創ったか」(アインシュタイン京都講演、1922、石原純訳)に「直覚」があった。
(引用はじめ)
(前略)このマイケルソンの実験の不思議な結果を知り、そしてこれを事実と承認すれば、恐らくはエーテルに対する地球の運動ということを考えるのは私たちの誤りであろうと直覚するに至りました。つまりこれが私を今日、特殊相対性原理と名づけているものに導いた最初の路だったので、このとき以来私は、(後略)
(引用おわり)『アインシュタイン相対性理論の誕生』(我孫子誠也、講談社現代新書、2004)より。

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