怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

益田ミリ「ミウラさんの友達」

2023-01-05 22:39:20 | 
うろ覚えなんですが太宰治の「津軽」に、久し振りに帰郷して幼馴染と一緒にいても何も話すこともなく昔はあんなに肝胆照らす仲だったのにと過ぎ去った時間に呆然とする場面があったような気がします。
太宰のように故郷を離れ心中未遂事件を起こしたり薬物中毒になったりと無頼の生活を送った人とはあまりにも世界が違いすぎて仕方なのですが、友人とあることですれ違ってそのまま連絡が途絶えてしまうことは私も経験があります。学生時代には毎日のようにあって夜を徹して他愛のないことを話していた彼と今会ったら何を話すのだろう。もはや過去の思い出をたどるしかなく現在も未来も話題には上らないのだろう。
益田ミリの「ミウラさんの友達」で描かれているのは仲の良かった友達と些細なことで仲たがいして疎遠になったミウラさんの心の揺れ。喪失と新たなパートナーを見つけるまでの再生を描いています。
因みにこの本はコミックですので、寝転がって1時間ちょっとで読めました。

たまたま引っ越すことになり、その時不動産屋から紹介されたロボット「トモダチ」を100万円で購入。このトモダチは人間の表情を読みとって適切な返事をする。ただし返事の言葉は4つだけ。
その言葉とは「うん」「そうなの?」「大丈夫?」ともう一つは読んでいくうちに分かります。さらに購入者が一つだけ決めれるのですが、どういう言葉を決めるのかは読んでのお楽しみ。
まあ、この機能があるなら1億円以上はかかるはずなんですが、製作者は趣味でもうけなしで作っている。
実は製作者は紹介した不動産屋の弟で、面識はなかったのですが実は主人公と同じ会社に勤めている。ひょんなことから話をするようになっていつしか付き合うように。
それとともにロボットの「トモダチ」は返品される。心の再生を果たすまでの役割を終えたのです。
どういったこともない物語ですが、妙に心に響きました。
「大丈夫?」「そうなの?」「うん」
一緒に写っているのは今野敏さんの横浜みなとみらい署暴対係シリーズの短編集。ハマの用心棒と呼ばれる暴対係長の諸橋と係長補佐の城島。個性的な部下の刑事たちと組員一人の神風会の神野組長。おなじみの面々が活躍します。ところがよくあることですがシリーズの題名だけでは読んだかどうかわからず、とりあえず最新刊と書いてあるので借りたのですが、既に読んでいました。それもあって思い出しながら1時間足らずで読了。どうも記憶力の減退は覆い難いみたいです。
コメント
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