怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

東海林さだおがいっぱい

2021-05-01 07:13:14 | 
学生時代から愛読している東海林さだおさん。
マンガだけでなくエッセイも面白く、「東海林君の青春記」はいまだに読み返すことがあり持っている文庫本はボロボロになっています。
そんな東海林さだおも齢80歳を超え、1937年生まれなので今年で84歳!それでも未だ週刊誌に連載を持ち質の高いエッセイを書き続けているのには驚嘆します。
もっともその顛末は本になっているのですが、肝臓がんを患い手術で入院したりしています。1年前でしたか、田原総一朗と対談しているのですが、その時の写真を見るとそれなりにお歳を召していたので、やっぱり歳は平等なのだと感心した思いがあります。
まあ、いまだジャーナリストとしてご活躍の田原さんは東海林さんよりも年上で、お二人とも生涯現役バリバリ、本当に元気です。東海林さんは自分の漫画なり文章が思う水準にできなくなるまでは書いていくと言ってましたが、その自覚と自己管理能力はすごい。
ところで今回は、東海林さだおさんの本が3冊。

長く週刊朝日連載「あれも食いたい、これも食いたい」をまとめた丸かじりシリーズの最新刊2巻。
もう1冊の「ひとり酒の時間」は、過去のエッセイの中で表題に即したものを選りすぐったアンソロジー。おまけと言うかボーナストラックとして飲み友達と言うか東海林さんと同じビール大好き人間の椎名誠との対談を載せている。
書かれた時代はかなりばらばらだと思うのですが、まったく古さを感じない。コロナ禍で大人数での宴会が自粛されている時なので、タイムリーな企画なのでしょう。多分昔読んでいたものもあると思うのですが、ほとんど覚えもなく新鮮な気持ちで楽しく読むことができました。
居酒屋でひとり酒というのは、身の置き所が難しくて、私の長い酒場放浪でも数えるほどしかありません。地下鉄が主な通勤生活だったので、JRの駅のホームの立ち飲み屋で時間調整で一杯と言うことがなかったので、一人旅で夕食を食べるのに行った事があるぐらい。やっぱりお酒はみんなでワイワイやるのが楽しいですね。一人だと話す相手もおらず身の置き所がなくて壁のメニューをひたすら読むとか、時間がかかりそうなものを選んでつまみをゆっくりゆっくり食べるというのは、激しく同意です。
丸かじりシリーズは40冊を超えるのですが、図書館で借りていると書架に順番通りに置いてある訳ではなく、間を借りられていたりして、読んだ本がどれか分からなくなってしまうのが玉に瑕。さすがにこれだけ長い連載となると同じような題材を手を変え品を変えてと言うことも多くあり、半分ぐらい読んでやっとこれは読んだことがあるかと気が付くこともしばしば。
それにしてもちゃんと読者を楽しませるこのレベルのエッセイを毎週毎週書き続けるというのはすごい才能。ボケ防止に書いている私のブログの無駄話とは大違い、当たり前か。
東海林さんは日常感覚を忘れぬようにサラリーマンのように決まった時間に執筆をし、サラリーマンのように昼食に悩みつつ夜に飲みに行く。好奇心旺盛で世の流行りものとか新しいものにはすかさずチャレンジ。でもその視点はあくまで庶民のサラリーマンレベル。
机には「広辞苑」が常備されていて、頻繁に見ているとか。そう言えば広辞苑によるとという記述も結構出てきます。
文章は平易で読みやすいのですが、その語彙は豊富。
例えば「パンダの丸かじり」に出てくるシャンシャンの描写。
「シャンシャンはとりあえず無心、無垢、純真、私利私欲なく、邪心、邪推なく、忖度なく、裏切りもない。」
多分広辞苑を何回もくくりながら熟語を引っ張り出しているんでしょう。
読むたびにこのブログでもこんな文章を書くことができたらと思うのですが、簡単にすいすい書いているように見えて、老いることない才能とすごい技術と推敲がされています。
私にとって東海林さんの文章は読む精神安定剤です。
難を言うともともと「あれも食べたい、これも食べたい」は週刊誌見開き2ページなので、テレビを見つつ、CМになると読んでも読めてしまう。と言うことですぐに読了してしまう。
ここで本を返す時にもう1冊借りてしまいました。

これはもう中毒ですね。
コメント
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