怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

落合博満「コーチング」

2013-05-18 07:25:07 | 
今年の中日ドラゴンズの戦い方を見ていると、改めて落合前監督の非凡さがよくわかる。
選手としても三冠王を三度も獲るなど非凡さを遺憾なく発揮したが、中日ドラゴンズでの監督の実績は名選手名監督ならずと言う常識も打ち砕いていた。
その言動は「オレ流」と言われ異端視されていたが、今回この本を読んでみると言わんとすることはいたってまともな理に適っている事ばかりです。

それは見出しの言葉だけを追っていっても十分分かるのですが、プロ野球界での自らの体験にひきつけて書いてあるので、野球好きなら場面が頭に浮かんで、凡百の経営書よりも説得力があります。
落合がプロに入った時、当時の山内監督は教え魔で「やめられない止まらない」からカッパえびせんといわれていたのだが、落合はすべての話を聞いた上で「ほっておいてください」と言って指導を断っている。その上で自分のスイングを自分自身で作り上げていくのだが、その過程で山内の指導が実に的確だったことがわかっていく。ルーキーだったときにはその指導の意味することが理解できなかったのだ。指導者は往々にして選手を指導しすぎるのだが、選手の中にその指導を自分のこととして受け止め自ら学ぶ姿勢がなければ身につかない。本当は選手が勝手に育つまで教えることなく見ていることのほうがよほど我慢が必要で精神的には辛いのでしょうが、コーチングというのは指導者が選手を教育すると言う一方通行ではなくて、愛情を持って選手を育てようとする指導者と、必死に学んで成長しようとする意欲に満ちた選手とのハーモニーなのです。これは部下を育てることについて書いてある数多のビジネス啓発書よりよほど説得力があります。
そんなことを抜きにしてもプロ野球での裏話的エピソードもたくさん書いてあり、チームを替わっていった選手生活についても毀誉褒貶があってもぶれずに自分の考えをきちんと通したことが分かります。その中で針小棒大どころか、言わなかったことまで書いたりするマスコミに対しては警戒心が見えています。そこがマスコミ嫌いと言われる姿勢につながっていくのですが、きちんと取材することなく売らんがために無責任に書くマスコミは如何ともしがたいものです。
この本に書かれていることを踏まえて、中日ドラゴンズの監督時代の落合の言動を想い起こしていくと一つ一つ理由があることがわかります。監督として何をなすべきか、それはもちろん勝つことです。チームが優勝することです。シーズンを通して勝ち抜き優勝するためにはどうすればいいのか、やるべきことは何なのか、選手(部下)にどう接すればいいのか、この本は監督就任前の浪人時代に書いたもので、自分はそれまでの言動とオレ流を理解してくれる人がいないので監督にはなれないだろうと書いているのですが、敢えて落合を監督に抜擢した中日新聞社はえらい!にもかかわらず人気がないとかマスコミ受けが悪いなどと言って解任してしまうのはなんだかな~
昨年は落合が作り上げてきたものの余韻で優勝争いに絡んだのですが、今年の中日を見ていると、どんなにマスコミ対応がよくても、やっぱり勝ってなんぼでしょうと思ってしまいます。生え抜きの高木監督については好きですが、監督としての実績から考えるとどうでしょうか。中日のコーチ陣はこの本をみんなよく読みなさい!考えなさい!
コメント
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