A Rider's Viewpoint

とあるライダーのものの見方

恋に落ちる準備を進めていた

2008-12-04 22:45:52 | つれづれ
 夢を見た。
 過ぎ去りし日の夢、大学のオリエンテーションの教室だ。季節も天候もはっきりしない。白く淡い霞に包まれたような柔らかく厚みのある空気の部屋。音は柔らかく軽く残響が残る感じ。特徴のないぼんやりとした姿の多くの級友の中に、ひときわはっきりとした色彩をたたえたあの娘がいた。

 白いブラウスに水色のジャケット。腰までの長く黒い髪にくりっとした瞳。多少ふっくらとした頬にとがった八重歯。ちょっと舌足らずな話し方。

 人は突然恋に落ちると言うが、それは嘘だ。
 少なくとも僕は、彼女を初めて見たときから、恋に落ちる準備を進めていた。

 行き帰りの電車に、駅からの道に、教室の人混みに、さりげなくいつも君の姿を探す。名簿をもらえばその名前を、住所を知ればその場所を、好きな作家を知ればその本を。
 あの娘のデータを集めるたびに、知っている事の少なさと、知らない事の多さを比べて、ひとりため息をつく。そんな毎日だった。

 目が覚めて今、暖かさと切なさとを感じている僕。心は枯れ果ててはいないか?心はささくれだってはいないか?
 ふと、そう考えてしまった。

 夢にだって意味はあるから、これは何らかの警鐘に違いない。
 感受性を研ぎ澄まして、最近の僕は生きていたかな?

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