A Rider's Viewpoint

とあるライダーのものの見方

また、楽しからずや。

2008-11-29 17:03:32 | つれづれ
 故郷から友人が上京してきた。県の産業振興に関わる仕事をしており、都内での展示会に出展するとのこと。

 会社をほぼ定時で抜け出し車でホテルに迎えに行き、その後、車を置いて飲みに出かける。行き先は自宅隣の駅の焼き鳥屋だ。焼き鳥のコース料理をベースに焼酎や梅酒を堪能する。

 いつもは(一応)標準語の僕だが、彼と話すときは自然と方言に戻る。何の作為もなく自然に単語からイントネーションまでが自動的に切り替わる。不思議な気もするが不自然さはない。
 以前は方言を話すことにためらいもあったが、今はそんな気持ちもない。俺が育った土地の、俺の肌に慣れ親しんだ言葉だ。誰に遠慮することがあろう、地方人の寄せ集めのようなこの街で。

 ササミ、レバー、ハツ、皮、つくね。ねぎまにボンチリに手羽先。七味唐辛子や山椒をつけながら食べる鶏の部位は、それぞれに滋味深く、かみ締めると肉から旨みがしみ出てくる。
 決してしつこくはない脂を、ぐい飲みの酒で洗いながら、また新たな串を口に運ぶ。

 至福だ。

 料理も酒も、いや故郷の友人と旧交を温めながら干す杯の、何物にも代え難い甘露な時間……。

 明日からも頑張って行こうという活力を、派手ではなく確実に心の底辺に注ぎ込んでくれたような。そんなありがたい時間だった。

 ありがとう。また次の機会を楽しみにしているよ。

 そして次は、久々に君とも……。

窓から外を眺めて遊ぶ

2008-11-19 21:39:32 | つれづれ
 今日、某社のセミナーに参加し有楽町駅近くのビルの18階にいた。その部屋は見晴らしも良く、お台場と葛西臨海公園の観覧車やフジテレビ社屋の球体の構造物まで確認できた。
 空は晴れて天気も良く、青い空に白い雲が浮かんでいた。

 ビルの中から表を見下ろすとき、僕はたまにこんな遊びをする。
 窓の中から見える情報だけで、今の季節、天候を判断するという遊びだ。

 もちろん見慣れた自宅の窓から眺める場合、それは難しいことではない。
 表の木々の葉の色や、路面にある水たまりに映る雨の水滴の波紋などから季節や天気は容易に判断できる。

 しかし、これが初めての、しかも地上18階の窓だったらどうだろう。街路樹は遠い。路面が遠く水たまりが確認できない。窓に直接水滴が当たる場合は「雨だ」と判断するのはたやすいが、あえてその情報を考慮せずに判断するとしたら……。

 僕ならば、地上を歩く人の様子~小走りで頭に手や荷物をかざしながら走ってたら「にわか雨かな?」とか、傘をさしている人がいないかとか、車のワイパーは動いているか、とか。

 季節にしても、歩いている人の服装は?、カフェのテラス席が盛況か?、間近な低いビルの屋上にある空調ファンは忙しく回っているか?、日差しそのものの強さとそれによってできる影の濃さは?、等々を考えて判断しようとするかな。

この遊び、結構、面白いし観察力を養う訓練になるから、暇なときにぜひお試しいただきたい。

 ちなみにこれが変な方向に高じると、『街の外は有害な放射線に満ちている。僕は今、シェルターの窓状のスクリーンから表を眺めている。果たして動いている生物は見えるか。僕は本当に表にでて生きてゆけるのか』などというSFチックな妄想=仮想環境ごっこが始まってしまうので、ご注意。

満月の偶然

2008-11-13 22:18:04 | たわごと
 今日は満月だ。夜空にぽっかりと明るい月が浮かんでいる。
 旧暦では十月十六日。新暦の十月より空気が冷たくなった分、月が澄んで綺麗に見えるように思える。
 月影冴えるというか、凛とした雰囲気というか。

 今日、帰りがけにこんなことがあった。
 二車線の左側を走っていると、急に車間が詰まってきて、前を走る車が右車線に車線変更を始めている。例のごとくバイク専用の中央通路を走ると(……って、単なるすり抜けなんですけど)、左車線に回転灯を回したパトカーが一台停まっている。パトカーの前には砂利の山が車2台分の長さで敷き詰められている。一瞬、道路工事かと思ったが、それにしてはパトカーが停まってるのはおかしいし、工事作業員の姿も見えない。たぶん、どこかの過積載かなんかのトラックが、誤って砂利を道路にまき散らして、そのまま逃げ去ったに違いない。
 舗装路にいきなり砂利が敷いてあったら危ない。オートバイなんかは転倒の可能性も高い。そこでパトカーが停止して、安全確保をしていたものだと思う。

 砂利をやり過ごして交差点の赤信号で停まる。目の前の横断歩道にOLがひとり。横断歩道を渡る途中で靴が脱げたらしく、片足でおっとっと。
 無事に渡り終えたのだが、ふと僕は思った。
 道にいきなり敷かれた砂利。目の前の横断歩道で靴が脱げたOL。どちらもこの通勤路で初めて遭遇した出来事だ。それがこの晩、いきなり二つも僕の目の前に現れた。こんな出来事に遭遇する確率ってどのくらいだろう。
 考えてもわからないから考えるのをやめたんだけど、こんな偶然も満月の仕業かな、なんて考えてみたら、ちょっと楽しかったのだった。

 だからどうしたんだ? ……という話なんだけどね。

ぜーたくする

2008-11-08 22:53:32 | 食べ物
 ウェブでワインを買った。カリフォルニアワインの赤。以前、ジンファンデル・エッセンスという甘口のデザートワインを買ったことがあるリッジというワイナリーのものだ。そのワインは甘口ではなかったのが、畑の特徴(テロワールというそうな)が顕著に出た美味しいワインだという。ちょっと試して見たかったのだ。
   *
 図書館から予約資料を確保しましたというメールが来た。一作目が面白かった『僕僕先生』というシリーズの二作目、『薄妃の恋』である。早速、図書館に行き、本を確保してきた。
   *
 友人のラーメン屋さんに行った帰り、有楽町まで足を伸ばして有楽町イトシアに行き、グランプラスで『伊予柑ピール』を購入。このチョコレートはワインにもあいそうだ。
   *
 これぞ贅沢の真骨頂。有楽町に車を停めたのをいいことに銀座まで歩き、某店でイベリコ豚の生ハムとサラミを買う。これが本当にワインにはあいそうだ。
   *
 家に帰り、部屋着に着替え、ワインを開け伊予柑ピールとイベリコ豚の生ハムとサラミをつまみに赤ワインを飲みながら、図書館で借りた小説を読む。

 ワインは、抜栓したときに以前飲んだジンファンデル・エッセンスに似た特徴的な甘い香りが漂った。口に含むと酸味と渋みは突出していなく、飲みやすい。(ワインの素人の僕にはありがたい)とはいえ決して薄っぺらな味ではなく、葡萄の濃厚な香りと重層的な甘みと酸味のバランス、バニラのような香りが相まって、なかなか飲みごたえがあるワインだ。

 伊予柑ピールは、以前食べたことがあるオランジェットに比べ、皮の酸味が優しいせいか、ビターチョコレートとの組み合わせのバランスは絶妙である。非常に上品な逸品だ。しかしながら、皮の酸味が強いオレンジピールとチョコレート、上から振りかけてあるココアの粉~というオランジェットも捨てがたい。オランジェットはまた別の店のものも試してみたいものだ。
 とはいえ、この伊予柑ピールは旨い。ワインにもよくあう。

 イベリコ豚の生ハムは“まずい”。娘が「え?」という顔をしたのであわてて付け加える。「まずい。こんなうまいものを食べてしまっては、今後他のハムが食えなくなってしまう!」……というくらい旨かった。こくのある肉の味、さらりとしてくどさが感じられない脂の風味、豚肉特有の臭みと思っていたものは、じつは間違いなのではなかったのかと思われるほど、くせがなく逆にこくがある肉質(と脂)なのだった。本当にまずい。これは絶対また食べたくなるに違いない。

 ちなみに娘が僕の「まずい」の説明を聞いた時、「あべこべごっこかと思った」と言っていた。それはそれで間違いはない。

 ああ、まずい、全部がまずい。今度はこれが別の組み合わせ~イベリコ豚はそのままで、別のワインに別のオランジェットの組み合わせ~を試したくなるに違いない。

 『薄妃の恋』も期待に違わず、一作目同様の面白さである。安心して楽しめる。これに関しては詳しくは語るまい。

 午後二時から五時半まで、だらだらとワインを飲みながら小説を読み終える。
 その後、風呂を沸かし、ゆっくりとFMラジオで音楽を聴きながら風呂に入る。

 これは贅沢だ。自分で走り回って集めた材料で自分に振る舞う「ご馳走」。頭も口も体も満足。あとは心地よい音楽を聴きながらゆっくりと眠りにつこう。
 五感をフルに使った贅沢だった。(ちなみに視覚はワインの赤と、生ハムとチョコレート。「旨そうに見える」ってのも眼福の一種かな)

 それでは、おやすみなさい。(明日も休みだしね)

ウダウダとする

2008-11-02 14:15:34 | たわごと
 三連休である。仕事が溜まっている。本当なら休日出勤をして仕事を片付けなければならない。でもやる気がしない。やっていない。

 本当は昨日、腕時計を受け取ったあと行ったのだ、会社に。
 しかしながら体調も悪く、最低4つ片付けるべき仕事のうち1つを片付けるのが精一杯。昼食を取ったあと、机にうつぶせになったり、ソファに横になったりして、結局は家に帰ってきてしまった。

 今日も今日とて、朝食後、図書館に出かけ新たに予約の順番が回ってきた本の受け取りをしたら、もう表に出たくなくてこの時間(午後2時)になってしまった。

 結局、家族には「明日こそ会社に行く」なんて宣言して、今日はもうゴロゴロすることにしちゃったりして……。
 何なんだろう、これは。「うつ」だなんて考えたくはないぞ。

 『少しだけ助けて欲しい。立ち向かうべき意志と、やり遂げるだけの力を手に入れるために』……なんて、シミュレーションゲームの中じゃあるまいし。

『リアルな現実は、自分の力だけで乗り切らなきゃならないのさ。自分で選んで自分で責任を持つのが大人なんだぜ』
 自分自身の言葉ですら、今日の僕には重い。

 まあ、しょうがない。こんな日もあるさ。ジャンプの前に腰をかがめるように、長く歩き続けるために時折休憩するように、明日のために今日はウダウダしよう。

 こんなオレだってオレ。自分が自分であることに嘘はつきたくないのさ。

久々のソロツーリング

2008-11-01 19:09:01 | ツーリング
 そういえば先週の土曜日はツーリングに出かけていた。
 久々の、今年初めてのソロ・ツーリングだ。こんなに出不精になっていたのかと驚くほど遅い時間の、朝9時半に家を出た。
 朝食を食べ、新聞を読み、珈琲を飲んだあとのツーリング。勝手気ままな一人のツーリングだからかな。

 家を出てすぐ高速に乗る。首都高~外環~関越道を走り継ぎ、嵐山小川ICで降り、県道11号(埼玉)秩父~小川線を走る。
 そういえばここは友人の女性がハイキングで山を巡ったあたりだ。彼女も同じような景色を見たんだろうなと考えながら定峯峠を越える。
 秩父の街を抜けR140彩甲斐街道を山梨方面に。さほど渋滞もなく道の駅・大滝温泉に到着する。ここの温泉に入るのが最初の目的だ。
 大滝温泉には12時半頃到着。入湯料は600円。脱衣所でバックからタオルを取り出し、まず岩風呂、続いて檜風呂を堪能する。
 風呂上がりにマッサージをしないかと声をかけられる。ちょうど腰も凝っていたし「いいですよ」と答え、しばし歓談。自分が来た街の名を答えると、ここはその河口の川の源流あたりであるらしい。そうかこの温泉の脇を流れる川が僕の街まで流れていたのか。しばし感慨にふける。

 マッサージの前客が時間延長をしたらしく、あと40分はかかるということで、せっかくだがキャンセルして次の目的地へ向かうことにした。

 次の目的地は昼食の場所。いのぶた料理の店だ。
 この店、マンガ『美味しんぼ』の中で紹介されていて、昔一度行ってみたいとぼんやり考えていた。今回たまたまこのマンガを読み返し、戯れに住所を調べてみたら何度もツーリングで通ったこのR140彩甲斐街道のすぐそばだった。そのため今回の目的地に選んだという訳である。
 迷いもせずに店に着いたのが午後2時半。ランチタイムは3時までだったので間に合った。マッサージを受けていたら間に合わなかったな、と思う。まあ、そうしたら、この店での食事は次のツーリングのお楽しみにすればいいだけなんだけど。

 店に着き、席に座って「いのぶた鍋定食」を注文する。店の中には(やはり)『美味しんぼ』原作者の色紙やら、TV番組に取り上げられたときの写真やらが多い。店に置いてあった『美味しんぼ』を読みながら料理を待つ。置いてあったマンガはこの店を取り上げた巻ではなかったけどね。

 さて、ご飯や漬け物と共に鍋に入れられたいのぶたと野菜、キノコが届く。ここでまた小鍋の下に点火。「半煮えですけどお肉の色が変わったら食べられますよ」という説明をされる。程なく色も変わり、鍋がぐつぐつとしてくる。旨そうだ。マンガの中で「熱い。うまい。やわらかい」だの「おいおいこの脂身すごいよ。甘くて香りが良くて……」等々絶賛されていたいのぶたの肉であるがその実態はどうであろうか。

 『……とっても、幸せ(はあと)』

 次は家族、友人を連れてこようと思う。

 無事食事も終わり時間は3時半。このまま塩山から勝沼に降りて、中央道で都心に帰ってもいい時間ではある。しかしながら久々のツーリングである。もう少し峠が走りたい。
 そこで塩山からR411・大菩薩ライン~青梅街道と、奥多摩を通って都内へ戻るルートを選択した。右に左に車体を傾け、オートバイは夕暮れの峠を走り抜ける。峠のような曲がりくねった道路では、四輪車よりオートバイの方が速い。峠でも何台もの車に先を譲っていただいて、コーナーを抜けてゆく。峠を下り、奥多摩湖を右手に見ながら奥多摩駅のあたりを通り過ぎる頃には、もうすっかり暗くなっていたのだった。

 奥多摩から都心までは高速道不毛地帯。どこに行くのも一般道の渋滞が待っている。結局、青梅から八王子に抜けて中央道~首都高~湾岸道と走り継ぐルートを選択する。しかし、青梅から八王子までの滝山街道で渋滞にはまった。比較的狭い道路のためすり抜けすら思うようにできない。失敗だ。これなら青梅街道を走り、R16に合流してから八王子に南下すべきだった。
 それでもなんとか八王子から中央道へ乗り首都高・永福料金所を6時半頃通過。
 自宅へ帰り着いたのは、7時10分頃だった。本日の走行距離340キロちょうど。

 翌日クラッチを何度も握っては放していた左腕、ロー・ニュートラルと何度もギアチェンジを繰り返していた左脚の筋肉がつったように痛かったのだが、それも久々のツーリングのおみやげのように思えたのであった。


木枯らしの季節がはじまる

2008-11-01 18:07:31 | つれづれ
 今日、コンビニに朝食を買いに行くとき、店の前で枯葉がカサコソと音を立てていた。店の前につむじ風が立ち、枯葉が渦巻き状に舞っている。
 図書館で予約していた本を受け取り、修理に出していた腕時計(ベルトのピンが落ちてなくなっていたのだ)を受け取りに都内まで出る。

 車で街に出ている分には、風の冷たさはわからない。フロントガラスに差し込む太陽の光は暖かく、昼時は窓を開けて走っても寒くはない。

 街を歩く人は、ショートコートやマフラーが目立つ。
 とある交差点で止まると、風が強かったのか女性が額に手を当ててヘアースタイルが乱れるのを防いでいる。走り出すとフロントガラスの右側を枯葉が駆け上がり、カサカサッと乾いた音を立てる。

 しばらくしてラジオのニュースがこう告げた。今日、都心では初めての木枯らしが吹いたらしい。
 僕が思っていたより季節は冬に進んでいたようだ。