A Rider's Viewpoint

とあるライダーのものの見方

デジカメ購入!

2007-01-29 22:19:24 | ハード
 昨日デジカメを購入した。田舎の親父の分と自分の分。家電店での店頭表示価格を価格比較サイトの情報と比べてみると、だいたい10,000円近い差がある。
 デジカメという商品について特に詳しい説明が聞きたいわけでもアフターサービスを期待しているわけでもない。販売価格に交通費以上の差がつくならば、どこの店で購入しても基本的には構わないわけだ。

 ……ということで秋葉原の御徒町に近い側の店に出かけていった。
 店はチラシで価格を確認して商品を指名買いする人で列をなしている。
 早速僕も商品の在庫がガラスケースにあることを確認して列に並ぶ。
 床には黄色いラインが引いてあり、商談希望の人はこの列に並ぶ。列の先頭から順に空いたレジに呼ばれて商談が始まる。ほとんどの人がチラシを片手に商品の指名買いをする人だ。

 列に並びながらぼんやりと眺めていると、とあるメーカーの高級コンパクトデジカメ~フィルムカメラ時代に一眼レフに迫るコンパクトカメラとして一世を風靡したカメラのデジタル版、一般店では展示品すら置いていないようなマニアックな機種が2台。ほんの数分の間に続けて売れていった。驚いた。

 やがて自分の番が来た。親父のデジカメの機種名を話して店内在庫を確認する。ガラスケースに置いてあっても「売約済み」というケースもあるとのことで、店員さんがレジ横のノートPCを操作して在庫を調べてくれる。
 幸いなことに在庫があり販売価格を確認する。安い。Webで確認した価格に間違いはない。続けて自分の欲しいデジカメの在庫、メモリカードの在庫を確認する。商品を取り出し機種を再確認、現金を支払って商品が梱包される。
 十数分後、紙袋を手に店外へ。あっさりと買い物が終わった。

 その後そのまま秋葉原の大手販売店に出向き、オプションのバッテリー1個、腕に装着できるケースを買う。予備バッテリーは常時充電しておき、使いたいときに電池切れにならないための準備。ウェアラブルケースはツーリング時にジャケットの上から腕にカメラを装着し、いつでも撮影の体制に入れるためのものだ。カメラ自体が防水タイプだから多少の雨でも慌てずに対処できるしね。

 現在、一通りの簡単な機能を試し、静止画を数枚撮影してみた。購入してまだ2日目なので、あまり詳しいことはいえないが、満足している。

 実は既にこのカメラの後継機種~潜水深度を10mに伸ばし、零下10度程度まで使えるという新機種~が欧米市場向けに先行発表されている。通例1~2ヶ月で国内版の発表もあることだろう。
 しかし、自分の使用用途ではそこまでの性能の必要はない。ダイビングはやったことがないし、スノースポーツにも縁はない。スノーモービルに興味はあるのだが首都圏に住んでいる限りは日常的ではない。だからこのカメラで十分なのだ。

 この防水カメラをいつもポケットに入れておくことによって、僕自身の“見方”が変わりそうな気がする。いつも持ち歩いて撮影機会をうかがう癖を付けることで、逆に今まで気づかなかったような景色やシャッターチャンスを発見することだってあるかもしれない。
 僕にとっては、その方が興味深い。そしてそうなれば、この文字ばかりの日記にもう少し写真の数が増えるかもしれないとも思うのだ。

マグロ殺人事件

2007-01-28 21:18:58 | たわごと
 スーパーに行ったとき急に「マグロ殺人事件」なる単語が頭に浮かんだ。果物、野菜のコーナーを抜け、鮮魚のコーナーに差し掛かったあたりで。

 マグロで人が殺せるものか、いやいや冷凍マグロだったらカチンカチンに堅そうだから思いっきりぶん殴れば撲殺できる可能性もあるな。

 零下30度の冷凍倉庫の中、マグロで顔面をぐしゃぐしゃに崩された死体が見つかる。現場検証をしていた鑑識のオヤジが思わずこうつぶやく。

 「まぁ~、グロ」 (←そんなオチかい!!)

デジカメ買う? ……かも。

2007-01-27 23:29:10 | つれづれ
 田舎の親父と電話で話した際、デジカメの話が出た。
 どうやらデジカメとつないで印刷ができるプリンタを譲られたらしい。それで新しいデジカメが欲しいというのだ。
 「予算は?」と聞くと、「一万円」と答える。
 『それは予算じゃなくて希望だろ!』と心の中で大声でツッコミを入れる。
 結果、「なんか適当な商品を探して欲しい」という話だ。

 ちょうど家電店に捜し物に行く用事があったので、ついでにデジカメのコーナーを覗く。\10,000で普通のデジカメが買えないことは自明だったので、親父の知識でも使えるようなものを探してみる。自分が狙っている防水デジカメと同じシリーズで、「簡単モード」というのを搭載したユニバーサルデザインを謳うカメラがある。実売\35,000程度。『まあ、こんなもんかな?』

 自宅に戻りカミさんと交渉。娘のお祝いとか貰いそうだし、家計の補助を得て贈ってあげることとする。

 内容を確認するためにメーカーのホームページを見ていたら、僕の方の防水デジカメも欲しくなってきた。寒くて表に出る機会が減り自然とデジカメ自体への興味が薄れていたのだが、今回の件で自分の物欲が再燃した気配。

 二輪ETCのクレジット引き落としに備え、緊縮気味の財政方針で年末年始を乗り切った(=あまり表に飲みに行かなかった)おかげで、自分のデジカメを買える程度のささやかな蓄えがある。

 悪魔のささやきに対し、天使は沈黙を続けたままである。
 ……というより天使の口に猿ぐつわを咬ませてある状態というべきか。

 たぶん明日の今頃は、デジカメの説明書を読みながら鼻歌をフンフンと歌っている僕がいるような気がする。それも結構な確率で。(^^;

番号ポータビリティと携帯戦略

2007-01-25 13:08:38 | つれづれ
 会社の社用携帯を変更することになった。青とか橙とか白とかの色の名前が付いた料金プランのある会社だ。(バレバレですか?)
 計10数台の申込をして、変更が完了し一息ついた頃、最大手の会社から封筒が届いた。
 封筒を開けてみると番号ポータービリティ予約確認の書類と一枚のパンフレット。そこにはこう書かれていた。

 「おかえり特典」

 解約後、年度末までに再度自社契約に戻ってくれたユーザーのために、メールアドレス・使用したポイントなどを元に戻すサービスらしい。
 確認したら10数台全ての携帯番号ごとにパンフレットが封入された封筒が届いている。

 さすが最大手! 請求書送付先ではなく、全ての番号宛てに案内状を送るなんて太っ腹な戦略だ。

 でも、その分のコストとサービスを、既存の料金プランに反映してくれたら、そもそも乗り換えるユーザーは減るんじゃないか? ……という意地悪なことを考えてしまった本日の昼休みである。
 

マンガにはまって読書が進まない!

2007-01-21 23:39:10 | つれづれ
 地元の図書館で本を2冊借りた。1冊は『神の柩』という本。もう1冊は『フェッセンデンの宇宙』という短編集である。
 伝奇もののミステリが読みたかったので題名に惹かれて借りた『神の柩』。読み進めているうちに以前読んだものであることがわかった。登場人物、ストーリーの展開、かすかに記憶にある。
 そこで途中をぱらぱらと端折りながら借りた日のうちに読み終え、次に『フェッセンデンの宇宙』に移った。著者のエドモンド・ハミルトンといえば『キャプテン・フューチャー』シリーズの著者としてSF界では著名な人だ。土日の時間を使って短編を少しづつ読み進めていたのだが、予期せぬ障害に出くわした。

 何のことはない新しいマンガのシリーズをまとめ買いしたのだ。手塚治虫の鉄腕アトム、その「地上最大のロボット」をベースに「YAWARA!」の浦沢直樹が画を描いている『PLUTO』の豪華版(週刊誌サイズのカラー版)を最新刊4巻まで一気に。

 時間をかけてじっくり読んでみるとこれがまた面白い。豪華版の1巻目には手塚版の復刻版が同梱してあるのだが、そのエッセンスをミステリとして翻案し、新たな解釈が付け加えられている。

 その中でも遊びが加えられていて、たとえば忙しいお茶の水博士が、警察のパトカーの新デザインを決める選考委員に選ばれていて「パトカーのデザインなんか、この犬型のでいいじゃないか!」なんて言っているセリフがある。
 『そうか、あのアニメの鉄腕アトムで出てきた犬型パトカーは、一般公募のデザインだったのか』、なんてところ。
 それからドイツのロボット刑事「ゲジヒト」がアトムと話をするカフェの名前が「トキワ(トキワ荘が元ネタだろう)」だったりして。
 (ああ、なんでこんな小ネタをみつけて喜んでるんだろう、オレは)

 ともかくおかげさまでこの週末、読書はさっぱりはかどらず、逆にマンガは全巻読み終わって禁断症状を覚えるようになってしまった。(^^;

 ハミルトンの短編も決してつまらなくはないので、返却期限の来週までには読み終えたいと思ってはいるんだけど……。やれやれ。

娘の受験(合格編)

2007-01-18 22:40:31 | 所感
 娘が無事某私立高校に合格した。前期入試、昔でいうなら推薦入学だ。
 一昨日受験(面接と作文)をして昨日合格発表。単願入試を条件に推薦入試の枠に入れてもらったので合格が決まった今、他に選択肢はない。この私立高校に入学することになる。

 親としては正直に嬉しい反面、「あんなに勉強しないで受かって良かったのか? 世間を甘く見てしまうのではないか?」という懸念もあった。

 それでも面接を終えて「あー、あんなこと言うんじゃなかった」とか、発表の日の朝に「おなかが痛い」とか、人並みに緊張していた娘を見ると、やっぱり『良かったなー』と思ってしまう。しっかり親馬鹿である。

 昨日の娘のテンションが高かったのは当然としても、今日もまだ口数が多く、明るい。「本当に良かったな」というと素直に「うん」とうなづいている。

 思うに、やはり娘は自分に自信をなくしていたのではなかろうか? 口数少なく、いらいらしたり、覇気がなくすぐ眠たがったり、考えて見れば「鬱」の症状にも似ている。

 頭悪くてもいいから、いつも元気でいて欲しい。いつも笑っていて欲しい。素直に明るくいて欲しい。
 世の中に何億人の人間がいようとも、娘はたった一人だけなんだと改めて思う。

 『……浜の真砂は尽きるとも、世に親馬鹿の種は尽きまじ』(←ほぼ盗作)

拝啓 国土交通省 殿

2007-01-13 20:08:44 | 所感
 先ほど、「自動車騒音パブリックコメントに対する意見」を電子メールにて提出いたしました。その内容のほぼ全文を記載します。

   *

 まず最初に結論を述べます。
「今回の法規成案は、審議が不十分に感じられますので、反対いたします」

 私は**歳の会社員で自分の趣味として大型オートバイを所有しております。
 私自身は法を犯す気も他人に迷惑をかける気もなく、マフラーメーカーの自主規制値を遵守し、現在の車検制度に適合したマフラーを昨年購入しカスタムを楽しんでおります。 
 また、私はオートバイを「自分の一生の趣味」と考えており、今後も法を順守し「大人の趣味」としてオートバイを楽しんで行きたいと思っております。

 このような観点をふまえて今回の改正案を読むと、納得できない点が数点あります。

 現在、250ccの大型スクーターが走行車両に占める割合は比較的高いと思われます。これは路上、また二輪用品店での駐車車両の比率の印象からも同様であり、また二輪用品店の用品カタログを見て、250CCスクーター用に企画・販売されている用品が多岐にわたることからも容易に推測されることでもあります。
(その中で「スクーター用違法マフラー」のカタログを見た記憶もあります)

 自分が街で見かける250ccのスクーターは、爆音をまき散らしたり、走行中に音楽を鳴らしながら走るように改造されたものが多く、それ以上の排気量の『いわゆる暴走族仕様のようなオートバイ』の方を目にすることが少なくなっています。
 
 今回の法改正案は、車検制度を利用して取り締まるという方法ですが、この方法ですとその網の目をくぐる250CCスクーターは何の規制も受けません。
 これではあまり意味がありません。

 次にこの規制は海外からの輸入車、既に生産中止になったオートバイ(ビンテージバイクとしての楽しみ方)に関して細かい検証がされていないように思えます。
 海外で発売認可され、何の問題もなく走行している車両が国内で販売されない、また生産中止のため過去の部品が手に入らないオートバイ、これらに関しては今後全く走行できなくなる懸念を感じます。

 さらに走行騒音の測定方法・測定場所に関しても、何をどのように測定して違法とするのかがわかりにくく、不安を感じます。

 失礼な言い方をあえてさせていただければ、『現状認識が甘く、かつ審議が不十分で「取り締まりやすいところから手をつければいい」というような安易さが感じられる法規成案』と思われます。

 法規制の趣旨そのものには反対しません。むしろその趣旨自体には賛成です。
 
 しかし、上記のような矛盾と思われる点(取り締まり対象に大きな歯抜けがある)、審議不十分であると思われる点(輸入車・ビンテージバイクを阻害する)、運用上の不安を生じさせる点(測定方法の不備、もしくは運用上の説明不足)は看過できません。

 このままの状態で規制が開始されると、「わかりやすいもの」「取り締まりやすいもの」=つまりは、「250CC以上のオートバイを所有してカスタム・輸入オートバイ・ビンテージバイクを楽しんでいる者」だけが、その規制対象となるように思えます。
 
 そのような形で規制が働けば、オートバイを趣味とする人間の数は必ず減り、関連産業は間違いなく衰退の方向に向かうでしょう。

 日本は、現在、世界一のオートバイメーカー群を有する国です。
 その国の政府がこのような「審議不十分な歯抜けの法規制」を行い、その産業自体を衰退させるような愚かなことはして欲しくありません。
 
 オートバイを心から愛し、それを大人の一生の趣味として楽しみたいと思っているひとりの国民、ひとりのライダーとして、上記の意見をお届けしたいと思います。
 以上、宜しくお願い申し上げます。

夜の夢・第二幕

2007-01-11 22:23:44 | たわごと
 ……こんな夢を見た。

 結婚披露宴に出席している。海沿いに立つ洋館(ホテル)の上の階だ。
 窓から湾沿いの景色、青い海が美しい。
 花嫁は外人、白いウェディングドレスが美しい。花婿は黒いタキシードだが詳細はよくわからない。

 ホテルの支配人らしき人間が花嫁に耳打ちすると、花嫁の顔色がさっと悪くなった。
 お色直しと称して部屋を出て行くが、本当の理由を僕は知っている。
 戦争が始まり、この湾岸の地域は空爆の目標地点なのだ。
 窓の外から空を見ると、遠くの雲のあたりに黒い点。あれが戦闘機に違いない。(どうやら戦闘機はプロペラ機のようだ。明らかに今の時代ではない)

 『危険だ!』との思いは披露宴の招待客にも伝わった。パニックを起こすことなく、淡々と窓の反対側の階段を使って避難が始まる。
 階段を下りた扉の向こうで「避難船」が待機している。外人にたどたどしい日本語で話しかけられる。(セリフがカタカナであるイメージだ)
 「ハヤク、ヒナンセンニ、ノリコンデクダサイ」
 僕が、「家族と一緒に乗りたいので、(家族を捜しにホテルに)戻る」と言うと、
 「ソレハ、イイコトデスネ」という。丁寧な軍人だ。緊迫感はないが。

 避難口に戻ると、ちょうど家内と娘が階段を下りてくる。
 大声で呼びかけるが家内も娘も僕に気づかない。不思議なことに娘は5~6歳だ。
 そのうちにエレベーター傍らの扉(電気室?)に隠れようとしている家内の意図に気がつく。
 『ダメだ!この建物は空爆で崩壊してしまうのだ!!』
 必死になって家内と娘を呼び止めようとする僕。

 「おーい。そっちに行ってはダメだ! 行かないでくれ!僕を残して行かないでくれ!!」

 ……というところで目が覚めた。

 いったい何なんだ、この夢は。(^^;

虎落笛(もがりぶえ)

2007-01-10 22:26:37 | つれづれ
 地元のケーキ屋で「虎落笛」というお菓子が売っていた。
 「なんて読むの?」と、娘とカミさん。
 「確か“もがりぶえ”と読むはずだけどな。木の枝や電線に風があたってピューピュー鳴る音のことだったはずだよ」と僕。
 帰ってみて調べてみた。

 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「笛」の項によると、
 虎落笛(もがりぶえ) - 冬の激しい風が柵や竹垣、電線などに吹きつけて発する笛のような音。冬の季語。とのこと。

 さらに、フリー多機能辞典『ウィクショナリー(Wiktionary)』によると、
 名詞
 虎 落 笛(虎落笛: もがりぶえ  interwikiは虎落笛参照)
 冬に強い風が竹垣などにあたって鳴る笛の音のような高い音。冬の季語。
 虎落笛子供遊べる声消えて(高浜虚子)

 語源
 虎落(もがり)は竹を筋交に組んで作った柵。

 ……なんて答えもみつかった。

 答えはともかく、最近、その虎落笛を聞いていない。
 (オートバイで)走れば必ず風を受けるライダーとはいえ、最近のヘルメットは表面が滑らかでかん高い風音はあまりしない。
 (もっともかん高い風音が聞こえるようなヘルメットは、疲れやすく危険に思える)

 また、冬の、風の強い日に、表に出ている機会そのものが減っているのかもしれない。
 “子供は風の子”。
 寒いのなんかへっちゃらで遊んでいた子供の時分から、かなり遠ざかってしまったのだなぁ、と思うとちょっと悲しい。
 しかしまあ、いまは子供の頃にはできなかったこと~大型オートバイで疾走すること~ができるわけだから、悲しむにはあたらないか。

 そうだな。せいぜい「サマーライダー」などと陰口を叩かれないよう、寒い日でも元気にオートバイに乗ることにしよう。

初乗り~鍵がない。

2007-01-06 10:00:29 | つれづれ
 昨日、1月5日が会社の仕事始めだった。飲むことが多かったからか、耐寒装備をするのが面倒くさかったからか、この冬休み、オートバイには乗らずに仕事始めの朝が今年の初乗りとなったのだった。
 ヘルメットをかぶりイグニッションをON-☆。タンク下のチョークレバー(ガソリンと空気の混合比率を変え、ガソリンを濃くしてエンジンがかかりやすくする仕組み)を引き、セルスターターのボタンを押す。始動。エンジンを暖めている間に両手にグローブをはめる。
 ちょっと前の時間に犬の散歩に出かけた娘の姿がバックミラーに映っている。道の突き当たりの小さな公園で犬を引いてこっちを見ている。
 片手をあげ、チョークレバーを元に戻し、発進。暖まりきっていないタイヤが滑らないように慎重に舵角を取ってコーナーを曲がる。気温は摂氏5度。シールドの内側が曇らないように息を口の下に向けて吐きながら走り出す。
 信号をひとつ、ふたつ。コーナーををみっつ、よっつ。体が自然に動くように走り出すうちにいつもの感覚が蘇ってくる。
 低めのギアでスロットルを開け先行する乗用車を数台追い越すうちに「初乗り」ということではなく、昨年からの感覚が今年につながってくる。心なしか嬉しくなる。

 『今年も俺は紛れもなくライダーだ!』

   *

 仕事始めを無事終えて帰宅。オートバイを停めてイグニッションを切り、シート下から荷物を取り出し玄関のドアを開けようとしてカギがかかっていることに気づく。インターホンを押すが反応がない。どうやらインターホンの受話器が室内で外れているようだ。
 ハンドポーチから玄関のカギを取り出して解錠。ヘルメットを脱いでオートバイのU字ロックを施錠~なんてしているうちに肝心のメインキーを紛失した。
 ジャケットとパンツのポケットというポケット。ハンドポーチのすべてのファスナー。オートバイの周りと玄関の周り。気がつくところを全て探したが見つからない。間の悪いことに懐中電灯の電池が消耗していて照度が足りない。
 果ては自動車の向きを変え、ヘッドライトで玄関周りを探したが見つけることができなかった。オートバイの前後輪両方にロックをかけていることを頼りに、明るくなった翌朝に再度探すことにした。

 翌朝、朝刊を取りに行こうとして雨の降る玄関を探す。見つからない。インターホン下の傘立ての中や、全ての傘を逆さまにして振ってみたがやはり見つからない。
 これは玄関の掃除をかねて本格的な探索が必要かと思った。

 それから小一時間後。ゴミ収集車のチャイムが聞こえてきた。
 雨の中玄関脇に「燃えるゴミ」のビニール袋をおいて戻ろうとすると、玄関下の階段に落ち葉に紛れてオートバイのキーが落ちていた。
 なぜ昨日のうちに見つからなかったのだろう? 目に留まらないほど落ち葉の中に埋もれていたわけではないのだ。

 「雨の中のゴミ出しのご褒美かな」と、何の根拠もなくそう思う。
 僕の周りには、ちょっとお茶目な神様がいるのかもしれない。