A Rider's Viewpoint

とあるライダーのものの見方

春が来ていた

2008-02-25 22:33:09 | つれづれ
 首都圏を猛烈な春一番が吹き荒れた週末が過ぎ、月曜日がやってきた。
 僕はちょっと気落ちして玄関の戸を開けた。

 外出して用事をこなした土曜日と違い、日曜日は夕方まで外に一歩も出なかった。何をするわけでもなく部屋の中でゴロゴロ。お昼を過ぎてようやく友人達と会う会場の予約や市民サロンの使用料の支払いや、図書館に予約していた本を取りに行った。

 夕方にカミさんが作ってくれたチャーハンを食べ(これは順番からいえば昼食だったな)、借りてきた本を読みながら横になったら、妙な脱力感に襲われ、もう起き上がることができない。洗い物もせず、洗濯もせず、買い物にさえも行かずに夜遅くになってしまった。おまけに変に目がさえて、疲れているのに眠れず、図書館から借りた本を読みながら深夜1時を回ってしまった。

 部屋の電気を消して、無理矢理床について、なんとか眠ることはできたものの、朝起きたら体調も良くない。
 残りご飯を温め、買い置きの鮭を焼き、冷凍食品のほうれん草をレンジでチンして、やっとお弁当の体裁は整えたものの、今度は朝食のパンもない。
 結局、僕を心配して早起きしてくれたカミさんがスパゲティをゆでてくれて、それを朝食にして出かけることになった。

 やり残し感のある月曜日は気が重い。なんかこれからの一週間、仕事もプライベートもうまく進まないような悪い予感がする。
 オートバイを出し、ジャケットを着て鞄を背負い、ヘルメットをかぶろうとしてふといつもと違う方向を向いた。

『梅が咲いている……』

 屋根とヘルメットのふちの間の青空に、白い花弁を開いた梅の花が見えた。青空をバックに咲いている梅。つぼみではなく、きちんと花が開いている。

『そうか、もう春が来ていたんだな……』

 人間の気持ちなんかとは関係なく、季節は巡る。春は来る。

 何か救われたような気になって、僕はオートバイのエンジンをかけて走り出した。

友人のラーメン屋さんに行く・2

2008-02-23 23:54:50 | 食べ物
 昔、まだネットが一般的でなく、文字を中心とした情報のやりとりが「パソコン通信」と呼ばれていた頃。今はなきパソコン通信サービスに、オートバイのツーリング好きが集うサークルがあった。そのサークルは中庭を意味する「パティオ」と名付けられた掲示板のシステムを使って参加者が集い、情報交換をし、一緒にツーリングに出かけるサークルだった。

 その中でツーリング先でうまいラーメンとか蕎麦の情報を交換し、その店に食べに行くツーリングの企画をよくしていた。この手の企画が好きな人間数人を「麺食組」と称して遊んでいた。彼も一緒に参加して「喜多方ラーメン」とか「佐野ラーメン」とか食べに行ったなあ。

 閑話休題。
 さて今回は前回の宿題、つけ麺である。店の外にCBを停め、ジャケットを脱いで店に入る。店主に会釈して券売機で券を買う。今回は「特製つけ麺」¥950だ。つけ麺は中盛り300gを無料で大盛り(400g)にしてくれるサービス期間が続いているので、大盛りで注文することにした。

 待つこと数分。写真のように具が別盛りになった皿と麺とつけ汁が供される。
 まず麺だけを口に運ぶ。中太のもっちりとした麺である。表面は水で締めてあるのでつるつるすべすべ。口に運ぶともっちりとした感触である。うまい。
 また、つけ汁が濃厚で驚いた。スープ等の濃度を示す指標で「Brix(可溶性固形分)」という単位があるそうなのだが、この店の数値は11.5であるとのこと。
 一般的なラーメンスープの濃度がどれくらいなのか判らないので比較のしようがないのだが、文面から読み取るに、「濃い(=いろんな味が溶け込んでいる)」ということで間違いはないようだ。
(http://www.tokyo-ramen.co.jp/tabearuki/yumeakari.html)
 なるほど、豚骨と魚介系のWスープという特徴が明確に現れているつけ汁である。

 また今回、鰹節のだしがらに唐辛子をスープで練ってまぶしたような「辛みのもと」を店主が出してくれた。『つけ汁に入れても麺に絡めてもいいけど、麺に絡めるとフレッシュな辛みが持続するよ』とのことで麺に絡めて食べる。辛さはあまり強くないが確かに味のアクセントとしてはいい。つけ汁との相性も抜群である。

 大盛り400gの麺は思ったよりボリュームがあり、食べ応えがある。最後に少し残った麺と具をつけ汁に入れ、スープで割ってミニラーメン風にするのが好きなのだが今回調子に乗って麺を食べすぎた。(^^; 「辛みのもと」が僕だけのサービスではなく、いつでも選べることを期待する。(聞き忘れた)
 また、つけ汁を割るスープも、ポットに入られており、予想以上に熱かったのは嬉しかった。(ぬるいスープの店は論外だ!)

 正直に言おう、友人としてのひいき目な評価を差し引いたとしても、なかなか旨かった。ホントに。このブログで紹介しようとして、しっかり感想を記録してこようと思ったのだが、写真を撮影したのをいいことにして、普通に食いまくってしまった。(^^; いいや、また食べに来よう。

 そういえば、かの「麺食組」の“社長”(Jさん)が先週食べに来たとのこと。
『なんて言ってた?』と聞くと『“うまい”って言ってくれたけどさ、無口な人だから……』とのこと。
 そうそう。社長は寡黙で温厚な人だった。だから“専務”の僕が社長に代わって『馬鹿野郎!ウチは会社組織だ!組長じゃなくて社長と呼べ!』なんてセリフを作って遊んでいたんだけどね。

 地下鉄丸ノ内線・新大塚駅から徒歩0分の(=店の前から入り口が見える)このお店・「らー麺 夢あかり」、掛け値なしで一度試して欲しいと思う。マジでおすすめ。
(http://www.yumeakari.com/)

代車を返す~やっぱり自分の車はいいな

2008-02-17 17:02:21 | つれづれ
 6ヶ月点検のためディーラーに車を預けていた。
 かわりに借りていたのがオートマチック・トランスミッション(AT)の軽自動車。ディーラーの営業さん曰く「重ステ」の車だった。
 「重ステ」とはパワーステアリング=ハンドルを動かすのに動力のサポートを使わない、「ステアリングの重い車」という意味だ。
 「不便な車で申し訳ありません」といわれたが、なに、こちらはただで車を借りる身である。贅沢なことは言ってられない。預かった車をそれなりに楽しんで運転してやろうと思っていたのだった。

 この軽自動車は「車の原点」みたいな感じだ。遊園地のゴーカートのように、エンジンとタイヤとハンドルという走るための単純な構造で構成され(……とはいえ、ATというのは複雑ですごい仕組みなんだけどね)、それに屋根と窓が着いた車体。窓の開閉も手動だしラジオもAMだけ。本当に「走るだけの箱」というようなシンプルな車体だった。

 キーを回してエンジンをかけ、ギアを「D(ドライブ)」に入れてアクセルを踏み込む。エンジンはうなりをあげてぶぉーんと回り、ゆっくりと車体が動き出している。しかしその速度は遅く、時速40kmの巡航速度に達するには思い切りアクセルを踏み込んでやる必要があるのだった。

 一生懸命に走るこの車に慣れた頃、点検が終わったという連絡がディーラーから入った。
 改めて受け取った自分の車は、代車に比べてみると、やはり格段に進歩している車であると思わざるを得ない。

 それは単にオーディオとかナビゲーションシステムとかの装備のことではない。
 軽く踏み込んだだけで回るエンジン。小さい力では優しく柔らかく、踏み込みを強めると締め付けるようによく利くブレーキ。いや、そのまえに社内に入り、ドアを閉めた瞬間に感じる静寂感。
 車の「車体」としての作り込みの質の高さを感じる。
 それは「走る」という基本性能に加え、人が乗り込んで操作する~その操作のしやすさを車の基本機能として追求して具現化してきた結果というか、いわゆる「マン・マシン・インターフェース」の向上というか。

 それに加え、「走る気にさせる」というような演出がある。ドアキーを解除すると点灯する室内灯と、ブルーにぼんやりと光るメーターパネルのイルミネーション。ドアを閉める厚みのある音と、コクピットと呼びたくなるような程よい閉塞感のある室内。

 なんのことはない、やっぱり自分の気に入って選んだ車だけのことはある。
 ただ単純に、またこの車に乗れることが嬉しいのだな、と改めて思った。

 代車ってのはそんな気分を、自分の車に新鮮な気持ちを味あわせてくれるという意味では、とても刺激的な効果を発揮したようだ。

夜の夢 第六幕

2008-02-15 00:08:08 | たわごと
 空を飛ぶ夢を見た。
 場所はお台場。東京テレポート駅からフジテレビ社屋方面の遙か上方に向けて飛んでいる。

 空を飛ぶにはコツがいる。首を心持ち後ろに反らせて、首の後ろの生え際のあたりから肩胛骨の中央あたりを上に持ち上げるようなイメージを描く。視線は遙か上方を見据え、体の力を抜く。すると体は浮き上がり、糸に引っ張られるような感じで空を飛ぶのだ。

 力学的にいえば、体の重心そのものに力が作用するか、重心を中心に均等に力が作用しなければ、体自体が回転してしまう。しかし、僕が空を飛ぶときは、体に均等に浮遊力が働き、体の向きなどで動きが変わることはない。
 逆に行き先を決めるときは、まず視線を行きたい方向に向け頭と肩の線がそれに続いて向きを変えるように、進行方向のベクトルが変わって行く。特に大きな体のアクションはない。

 空の上。とある雲の上に街がある。その街にも高層ビルが建ち並び、さらにその上空に、また街があるのだ。世界は世界を内包し、その外側にも無限の世界が連鎖している。
 空にはこんな秘密が隠されているのだ。

 空の秘密を解き明かしながら、僕はより上空の街を目指し、とある建物に降り立つ。その街は雲の中に立っており、窓ガラスの外は灰色だ。エレベーターホールに到着するエレベーターは広く、果てしない階数のボタンが並んでいる。
 その場所で、僕は昔ながらの不良に絡まれる。『しまった。迂闊に空を飛べる能力を暴露してしまったか』
 どうやら奴らは僕が空を飛べることが面白くないらしい。僕はそのうちの一人に腕を捕まれる。逃げるためと見せしめのために、僕はそいつと階段の真ん中の空間に一緒に飛び降り、体を支えてやりながら、数十階の階数を飛び降りる。
 飛び降りた先で、その不良は姿を消し、僕はその、デパートの屋上のような場所から、雲の下の街に降り立つべく、また空へ飛び降りる。

 夢はいつの間にか空からエレベーターの中にかわり、夢の中だけでなじみのある会社の、エレベーターホールに僕は立っている。
 突然、館内放送が、マクドナルドのCMを流し出す。
「6時です」
 ……時報の後、聞き慣れたパーソナリティの声が流れ出し、僕はそれが目覚まし代わりのFMラジオであることに気づくのだ。

 やれやれ。朝だ。とりあえず起きて、新聞でも取りに行こうか。

夜の夢 第五幕

2008-02-10 09:08:39 | たわごと
 ……こんな夢を見た。
 とある駅で乗り換えをしようとしている。この駅で乗り換えをすれば、自宅の最寄り駅まで1本で帰れる。
 しかしその乗り換え経路がやたらに遠い。駅の改装をしたのか、昔改札口として使っていたらしい場所を通り、殺風景な、広告や看板が一つもない、無機質な白い壁の続く乗り換え通路を歩く。

 やがて目的のホームが見えてくる。なんということだ。目的のホームには無数の老婆があふれている。頭の中でざっと考えると400人はいる。駅のホームにあふれかえる400人の老婆。これはまともに乗り換えができそうにない。
 踵を返して別のホームに向かい、ちょうど滑り込んできた電車に乗る。遠回りだが、もう少し先の乗り換え経路から回り込もうという魂胆だ。

 僕は間違いなく電車に乗っていたはずなのに、いつの間にか道路を車で走っている。左側に街路樹が続いたあまり広くない田舎の道だ。すれ違う車も人も全くない。昼なのか夜なのか、季節はいつなのか全く判らない平坦な印象を感じさせる道だ。

 ふと気づくと、僕は木で土が崩れないように止めてある、山道の階段を登っている。目の前に数段上の階段が見えるから、かなり急な階段のようだ。右手、数十メートル下に渓谷が見える。崖っぷちというほどではないが、結構急な傾斜が右手にあり、渓谷の下を流れる川に続いている。川は比較的上流のようで、大きな岩がゴロゴロと転がっているのが見える。

 いつの間にか、僕が歩いていたのは階段ではなく、石や岩を積み上げた仮設の通路のようなものになっている。石の積み上げ方が緩く、そのまま上に載って歩こうとすると、石が崩れて道が崩落しそうである。
 僕は足で石を思いきり蹴る。石は崩れて、そのためしっかりと固定されて、道として機能する。僕がその石に乗ると、次の通路はそのはるか下方にある。どうやって足を乗せようか僕は思案する。下にある次の経路は、また石の積み上げかたが甘く、そのまま乗ると僕の体重で崩れて一緒に渓谷に落ち込むように思える。
 ふと振り返って後ろを見ると、僕は崖の上に支えられた石の上に乗っている。今まで歩いてきた通路はもはやなく、僕は、足元の危うい次の経路に進むべきか、どうすべきかの判断を迫られている。
 振り返って下方を見ると、僕の荷物と、なぜかライディング用の赤いグローブが見える。色のない夢の中で、グローブの赤だけが鮮やかだ。
 なぜこんな危険な状況にはまり込んでしまったのかと考える僕に、急に布団の柔らかさと暖かさの感覚が戻ってくる。よし、もう大丈夫だ。これは夢だったんだ。

 きちんと夢の内容を覚えていて、しかも段階的に覚醒するという珍しいパターンで僕は夢から目覚めたのであった。

外はそれなりの雪景色

2008-02-03 14:23:46 | つれづれ
 朝、目が覚めて窓の外を見ると雪だった。
 低気圧の接近に伴い、折しも天空には氷点下三度以下の冷気団。僕の田舎のさらさらとした雪には及ばないものの、水分を過分に含んだ雪が、それでも窓の外を白と黒に彩ってゆく。

 思わず窓から近所の風景を撮ってみると、それなりの雪景色の写真が撮れた。
 今日はこれからバイクカバーの雪落としと車のワイパーを立ててこなくちゃな、と思っている。

 旧暦では十二月二十七日。明日は立春という節分の今日。
「季節を分ける」という節分の日に、冬が最後の抵抗を示したような本日の雪である。