A Rider's Viewpoint

とあるライダーのものの見方

帰ってきたセンチメンタリズム

2006-06-18 22:57:27 | 所感
 やけに久しぶりのブログである。
 季節は春を通り越してすでに梅雨。梅雨の合間は初夏のような暑さすら感じるこの頃である。
 ……月並みな言い訳ではあるが忙しかった。
 いや、余裕がなかったという方が正解であろうか。単純に時間がなかったり、時間があっても仕事の失敗で落ち込んで、プライベートな記録を残そうとするほどの余裕持つことができなかった。

 しかし、人の思いと関わりなく時は流れる。
 乾いて冷たかった風はやがて幾ばくかの湿気と青臭いような微熱をはらみ、その風を受けたつぼみが柔らかく大きくなってやがて開花に至る。
 咲き誇った桜がやがて風に散り、葉桜が道の両側を覆う頃、遠くで雷の音が聞こえ、埃っぽかった街並みを雨粒が洗い流してゆく。
 ほんの少し強くなった日差しが梅雨の雨雲に隠される頃、街路樹の傍らに紫色の紫陽花が咲く。紫陽花はその紫の微妙なグラデーションを緑色の葉とともに競い、モノトーンのような街の片隅に街灯のように彩りを添える。

 ライダーはオーバーパンツを脱ぎ、冬用のインナーを薄手のものに替える。レインスーツに防水スプレーをかけ、押入の中からメッシュジャケットを探し始める。
 来るべき夏の梅雨が明けた青空のもとへ、あるいは涼しげな高原に、オートバイを持ち込んで風とともに疾駆することを夢想する。

 ああ。見果てぬ夢がいつも感傷的なのは何故なんだろう。
 僕はただ、なにも考えずに青空に通じるワインディング・ロードのなかを駆け抜けてゆきたいと思っているだけだというのに。

 2006年夏。CBを手に入れて3度目の夏。僕はどこの路上で風に溶け込んでいるのだろうか……。