A Rider's Viewpoint

とあるライダーのものの見方

桜・2012

2012-04-13 12:53:01 | つれづれ
昨年は桜を愛でる余裕がなかった、確かこう書いた。
「咲いたなあ」とか「綺麗だなあ」と思ってもなんか他人事で、美しさが心の中に入り込んで「何かものを想う」という状態を作り出すことはしなかったのだと。

今年の桜は、今はまだ、立ち止まって見てはいない。
オートバイの上から、車のフロントグラス越しに、咲き誇る姿、風に舞う姿、雨の翌日の水たまりを覆う姿、……を堪能している。

眺めているほどの時間はないのだが、フラッシュバックのようにそれらの光景が頭に浮かんでくるのである。
時間をかけてじっくりとではなく、短く、激しく、鮮烈に、心の中に届いているようなのだ。

たぶんこれから週末にかけて、僕は桜の花びらのシャワーを浴びながら、その樹の真下をオートバイで走り抜けるだろう。
桜は、僕とオートバイが巻き起こす風にその花びらを揺らし、散らし、舞い踊らせ、渦のように路上に舞い落ちる。

僕はというと、オートバイを停めてヘルメットを脱いだときに、ふと襟元からこぼれ落ちる花びらに目を奪われ、誰にも聞こえないような小さなため息を漏らすことだろう。


「さよなら!僕らのソニー」という本を図書館で借りた

2012-04-12 16:59:16 | 所感
端的に言うと経営トップの方針が「ものづくり」を重視しない体制へと変わったので、新たな市場を切り開くようなユニークな商品や高品質の商品が生まれなくなってきているというものだった。

確かに僕にとってのソニーはとても魅力的なメーカーだった。
高感度ラジオの『スカイセンサー』、生録デッキの『デンスケ』、『ウォークマン』、(市場の競争に負けちゃったけど)『ベータマックス・ビデオ』、高画質の『トリニトロン・テレビ』、薄型デザインのノートPC『VAIO』、おまけに犬型ロボットの『AIBO』。この中で『デンスケ』だけは当時の競合のビクター『KD-4』に浮気したけど、その他の商品は全部持ってたんだよね。

「その他大勢」の他のメーカー(失礼!)に比べて、確かに当時のソニーは品質やデザインで魅力的な商品が多かったように感じる。
振り返って今、「これは!」という魅力的な商品は思い当たらない。
群を抜いて高音質とか高画質とか、性能をそのままに薄型・小型化したものとか、新たな体験・感動的な体験を与えてくれるものとかは、今は見あたらないように思える。

少年の頃に感じた、あのワクワク感。1枚のカタログをひっくり返しては何度も読み返して、まだ見ぬ(買えぬ)商品に思いを馳せたあの頃。
スカイセンサーのためだけに、アルバイトを始めた当時の自分。(ささやかな夢を手に入れるために、頑張っていたっけなあ)

今このような商品は残念ながらソニーでは見つからない。そのことを称して「さよなら!僕らのソニー」という哀しい題名が付けられたのだろう。

それでは、他のメーカーや商品でその登場をワクワクして待ち、その商品を手にしている自分を想像し、待つことを含めて、憧れの対象になるような商品は最近身の回りにあっただろうか?
iPhione・iPad? ダイソンの羽のない扇風機? トヨタとスバルが共同開発したスポーツカー? BMWの新しいスクーター? 熱発電ができるキャンプ用ストーブ?

う~ん、それなりにワクワクするけど、あの当時のスカイセンサーに比類するものはないなあ。
身の回りの「モノ」に憧れることのできない時代。それはとっても哀しいことなのかもしれない。