A Rider's Viewpoint

とあるライダーのものの見方

郷愁へのツーリング・2

2014-01-04 18:54:50 | ツーリング
昨日の飲み会を無事終え、9:30頃、自宅を出発する。
自宅から八幡平までは通い慣れた道ではあるのだが、新しい道がいくつもできていて、いつの間にか見覚えない道を走っていたりする。しかしながらそこは地元。結構いい加減に分岐点を曲がっているうちに、昔ながらの道に出た。八幡平に向かう道は雨の後なのか並木に水滴が残っていて朝の光を浴びてキラキラと光っている。いや虹こそでていないものの天気雨の様相を呈している。煙るような小雨はやがて小さめの雨粒に変わろうとしてきた。
アスピーテラインの登り口で雨具を装着。これで上に登ってもし天候が良くなくとも対処できる。そう考えたのは後で正解だったことに気づくのだ。
アスピーテラインの登りは前に車が詰まっていて若干遅めのスピードだった。おまけに小雨が降ったり止んだりしている。それでも八幡平ユースホステル付近、かつての料金所の手前にたどり着いた。
(http://www.hachimantai.or.jp/area/area01.html)

ここで小休止し、写真を1枚撮って山頂方面に、岩手・秋田の県境、見返峠へ進む。


九十九折りのコーナーを越えてKは標高をあげて行く。程なく周りが霧に包まれてきた。雲の中に突っ込んだようだ。慎重にコーナーをこなし、やがて見返峠にたどり着いた。


駐車場にKを停めまた写真を1枚。
駐車料金バイク100円。ここは小雨が煙っていてとても寒い。雨具を着込んでいて良かった。
峠の下では青空が見えていたのだ。いや、本当に山の天気は侮れない。
凍えそうな程寒くなってきたので、早めに藤七温泉に向かうことにする。ここで購入して初めてKのグリップヒーターのスイッチを入れることにする。うう。掌が暖かくなってきた。グリップヒーターは本当に実用的な装備だ。寒いところを走るのが予め解っているならウィンターグローブを持ってくればいい。今回のような不測の事態にこそグリップヒーターの有り難みがよくわかる。
ふと気づくとディスプレイに見慣れないマークが表示されている。なんだ? このアスタリスクマーク「*」は? 後で調べてみたら「低温注意」のマークだった。摂氏4℃以下の気温で表示されるとのこと。
確かに峠での気温は3℃。寒くてしょうがなかった。

峠から樹海ラインへ向かい霧の巻いたコーナーを慎重に進む。すぐに右手に藤七温泉の建物が見えてきた。右ウィンカーをつけ慎重に駐車場に進み、足場を確認して静かにKを停める。ヘルメットをホルダーに取り付け、シートバッグを外し建物の中に入る。入浴料600円を払って脱衣場へ。手早く服を脱ぎ、バッグからタオルを取り出し浴槽へ。冷え切った身体を浴槽に投げ出すと足先や指先、身体の末端から痺れるように熱さが入り込んでくる。
ひとしきり内湯に浸かった後、露天風呂に出たり、また内湯に浸かったりして1時間以上をこの温泉で過ごしたのであった。(http://www.toshichi.com/index.html)

身体の中の熱が引く前に峠を降りよう。そう考えて昼食も採らずに藤七温泉を後にする。樹海ラインはアスピーテラインに比べ若干交通量は少ない。霧のコーナーをいくつか抜け、巻いている雲の下に降りたら薄日が射していた。ここから見る岩手山は盛岡市街から見る岩手山のちょうど反対側にあたるだろうか? 僕にとってはこの角度も馴染み深いのだが。


さて、藤七温泉をでる辺りでディスプレイに[FUEL!]の表示が出始めた。今日は日曜日、しかも連休の中日だ。開いているガソリンスタンドはそう多くないと考えて、見つかったら早めに給油しようと思う。
しかしここ樹海ラインにはスタンドがない。頭の中で東八幡平リゾートの地域をざっとスキャンするが、ガソリンスタンドの場所を明確に思い描くことができない。これはやはり八幡平の入り口のスタンドだな。そう考えて樹海ラインから真っ直ぐ八幡平方面に戻る。
途中何台かのツーリングライダーとすれ違う。彼らはこれから樹海ラインを登るのだろうか? それとも松川温泉にでも行くのかな? いずれにせよ気を付けて欲しいと思う。
県道212号を走り、13:20頃Kは程なくガソリンスタンドに辿り着いた。ここでハイオク13.73Lを給油。2,320円。

そろそろ人間様もエネルギー補給の時間ではあるが「ここに行きたい」と言う店が思い浮かばない。以前仲間とツーリングに来た際に寄った喫茶店『赤い屋根』も戻るには結構距離がある。そこではなはだ安直ではあるが、このまま盛岡方面に向かい途中の適当な店で食事をすることとした。
ガソリンスタンドを後にし、県道23号を走りR282から盛岡に向かうこととする。
途中まで快適に走ってきたKであったが、いきなり西根中学校前で渋滞に捕まった。最初は工事渋滞かと思い、脇道からR282に抜けてみたのだが、結局この国道が混んでいる。全く抜け出す先が見えない。
すり抜けを行おうとするが、この道は片側1車線。このため歩道を示すラインぎりぎり、所によっては側道にある雨水溝の蓋の上を走ることとなった。重く比較的幅もある車体を、ゴーストップをくり変えし、かつ右側の車体に接触させず、左側側道の縁石にこすらせないように、しかも歩行者や左側の店舗に出入りする車に気を付けて操縦することで、すっかり疲れ果ててしまった。
大更から西根を過ぎ一本木の辺りでようやく車が流れ始めるまで、約数十分この苦行は続いたのである。
結局、食事を採ることも及ばず、14:10頃、やっと滝沢の「分れ」交差点の付近にある親友の会社に辿り着いたのであった。
いや、まあ、しかし、本当に持つべきものは良い友人である。14:00を過ぎ、すぐ近くにあるラーメン屋のランチ営業時間が終わったことでもあり、僕は彼の会社の営業車を借り、滝沢駅前にあるコンビニに昼食を買いに行ったのであった。
結局のところ、昼食のサンドイッチを食ベながらまた小一時間ほど彼の仕事の邪魔をしてしまった。その後、簡単に御礼をし盛岡市に向かった。
盛岡市に入ると取りあえず駅前のビジネスホテルに16:00にチェックイン。荷物を下ろして、雨具をつるして乾かし、やれやれとベッドに身体を投げ出したら寝込んでしまった。(^_^;)
「はっ」と目を覚ますと20:00過ぎ。さすが身体が重く感じられ、これから1人で飲みに行く気も起きない。(ジビエを食べさせてくれる店の確認まではしていたんだけどね)
結局、盛岡駅の書店で文庫本を買って、駅前の松屋で牛焼肉定食ととろろに豚汁を食べ、帰りに缶コーヒーを2本買って、ホテルの部屋に帰った。
結局のところ文庫本を読んで0:50頃に寝た。
本日の走行距離113.2km。駐車料金100円+入浴料600円+ガソリン代2,320円+昼食代620円+宿泊費5,980円+文庫本640円+夕食代860円+胃腸薬代697円(^_^;)+缶コーヒー代240円で合計12,057円。



10/14 6:00起床。今日は東京に戻る。なるべく早く帰り身体を休めたい。6:30から朝食バイキングがあるのは知っていたが、それよりは早く帰路につくことを優先したい。
6:23 気温は摂氏6℃。息が白くなるほどの寒さだ。東北地方はこれから急速に冬支度を迎える。考えようによっては、快適なツーリングの季節はこれが最後だったかもしれない。
ホテル前を後にし、盛岡ICに向かう。寒いので雨具を引っ張り出して着る。これから南下するし、気温も暖かくなってくる。この寒さが今日の「底」だ。
合流路を加速しKは順調に速度を上げ、東北道に合流する。
昨日のアスピーテラインと樹海ライン。日を浴びてキラキラした並木の枝の雨粒。見返峠の雲海の中。藤七温泉の露天風呂、強い硫黄の匂い。樹海ラインから臨む岩手山。紅葉のコーナーを駆け抜けるK。すべてはもう思い出だ。新しい経験、新しい思い、その全てが僕を形づくる。
さようなら盛岡、さようなら東北、さようなら母と叔母の眠る地よ。戻らない時間に、それでも思い出を刻みつけて僕は東京に戻る。自分の世界に戻る。

8:05 盛岡ICからノンストップで約1時間半を経過して、長者原SAに到着、朝食にする。長者原SAといえば、かつて仙台に住んでいたときに帰省帰りによく利用したSA。ここは徒歩でエリアを抜けたところに公園があり、幼い娘を滑り台で遊ばせたことがある。その写真は母も喜んで見てくれたものだ。
現在の風景にかつての妻と娘の姿を重ね合わせる。そしてその光景を四角に切り取った写真を笑顔で眺める在りし日の母を思い浮かべる。幸せな記憶は良いものだ。いつ思い出しても心の中を暖かくしてくれる。
……とはいえ、実際のこの場所はまだ寒い。SAの食堂の、朝日があたる席を選んで座り、「牛タン定食1.5」を注文する。(肉の量が1.5倍)1,650円。


食べ終わってすぐに走り出す。そろそろ次は給油のタイミングとなるが長者原SAをでると、次の大きなSAは福島県境の国見SAまでない。このため状況を見ながら菅生PA辺りでの給油とする。
果たして仙台市街に入る辺りで[FUEL!]の表示が現れた。ほぼ想定通りだ。距離的には国見SAまでたどり着けないことはない。しかし仙台近郊から国見SAまでは結構なアップダウンが続く。やはりこれは菅生PAで給油するのが妥当だろう。
9:16 菅生PAにて給油。13.68L、2,408円。給油が終わると早々と出発する。

帰路は往路ほどのエピソードには出会わない。
また平均走行時速を往路より若干早めに設定したこともあり、僕自身が周りの状況により過敏になっていた。
思い出を反芻しながらのんびり走ることを良しとしなかったのだ。
ICやJCTなどの合流路、SA、PAなど待機車両が発生しそうな場所では特に気を使って、「白黒ツートンの車」と「白いヘルメットに白い車体に水色のウェアを着たライダー」が現れないかを見張っていたのだな。(^_^;)

菅生を出てから約2時間弱。Kはみちのくの地を越え関東圏に入った。
人間の休憩のため、11:19 那須高原SAに停車。身体を伸ばしてお茶を飲んで、ついでにアメリカンドックを食べる。300円。
那須高原を越えるとさすがに暖かくなってきた。雨具は既に脱いでいる。グリップヒーターもとっくに切っている。ツーリングシーズンの終わりを意識せざるを得ない東北と違い、やはり関東は暖かい。
やがて走行車線も2車線から3車線に変わり、スピードをセーブさえすれば、何も考えなくていいライディングで東北道を南下する。
周囲の車と適当な車間を保ち、遅い車両は抜き、速い車両には道を譲る。高速道という川を流れに沿って泳いで行く魚のように、岩を避け、淵を迂回し、僕はKで走りつづける。

やがて再び給油のタイミングが巡ってくる。[FUEL!]の表示が現れたここは宇都宮付近。次のSA、佐野SAで給油をする事にする。

12:34 佐野SA 12.98L 2,233円。ここで自宅にTEL。約1時間前後で帰ることを告げる。
ここまでくればもう一息だ。もう何も心配はない。

佐野SAからの帰路は特に印象に残っていることはない。淡々と、無意識に僕はKを操り、やがて最寄りのICを降りる。
県境の橋を渡りU字路のように左へ転回。突き当たりを右折してしばらく走ってまた右折。信号のあるT字路で右折して3つ目の角を右折。その先の2つ目の角を左折すると、その先がもう僕の自宅だ。
ゆっくりとKを停めてエンジンを切る。ふと訪れた静寂の中で僕は車体から降りヘルメットを脱ぐ。
13:42 到着。本日の走行距離557.1km。本日のコスト、朝食1,650円+給油菅生2,408円+アメリカンドック300円+給油佐野2,233円=合計6,591円。

このツーリング全ての通算走行距離1,261km。高速代とガソリン代を加算した総コスト、35,155円。
もっとも親友との飲み会のスーパー買い出し分が未加算なので、実際はもう5,000円増し程度かな?

ともあれKで走る初めての東北ツーリング、八幡平アスピーテライン・郷愁へのツーリング、これにて全編終了である。

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