医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

患者の胸を触り動画で撮影 悪質わいせつ小児科医 初公判で起訴内容認めるも「診察の確認・記録のため」

2024-08-20 18:47:36 | 医療界

静岡県掛川市の病院で、患者に対してわいせつな行為をしたほか、その様子を動画で撮影したなどの罪に問われている小児科医の男の裁判が始まり、男は起訴内容を認めた。

起訴されているのは中東遠総合医療センターに所属する小児科医の男(44)で、2017年から2023年にかけて、当時10代だった女性患者4人に対して、診療を装って服を脱がせ胸や陰部を触ったほか、4人を含む10人に対して裸やわいせつ行為の様子を動画で撮影するなどした強制わいせつ・準強制わいせつ・児童買春・児童ポルノ法違反の罪に問われている。

8月19日に静岡地裁浜松支部で開かれた初公判に、男は伸びきった長髪を後ろで束ね、よれた黒いスーツ姿で入廷。裁判官から氏名や住所、職業などを尋ねられると、かすれたような声で答えた。

そして、検察官が計7件の起訴状を読み上げると男はうつむきながら耳を傾け、裁判官から「起訴内容について何か言いたいことはありますか?」と問われると「特にありません」と述べ、「すべて間違いないということですね?」との質問には「はい」とだけ口にした。

検察側の証拠調べでは、撮影した動画は編集した上で、ハートマークやテロップを入れていたことや、被害にあった患者は「診察に必要だと思った」「相談にも乗ってもらい信頼していた」「『抱きついて』と言われ怖くて拒否できなかった」と証言していることが明らかに。また、被害者の保護者の中には「診察に3時間かかった時もあり不審に思っていた」と話す人もいたという。

ただ、続いて行われた弁護側による被告人質問で、男は動画を撮影した目的について「診察の確認・記録のため」と主張し、「文字や静止画だと必要な情報が入らなかったり、後から比較できなくなったりする場合があるため」と述べた。

また、被害にあった10人は、いずれも脊椎が側方に彎曲する側弯症の女性患者だったが「男性患者もいたが、そこ(動画を撮るほど)までの病状の方はいなかった」と弁明。

さらに撮影に当たって、マスクを外させていることについては「顔面の正中軸(体の中心軸)を確認するため。体全体の正中軸が顔面の正中軸に表れることがある」と話し、服を脱がせたことについては「着衣の上からだと細かい部分を判定できない」と回答。

加えて、胸を揉んだ理由について問われると「胸郭の進行を確認するため」と正当性を訴え、15分以上も行為を続けた点については「私の診察能力の拙さ」と釈明した。

警察や検察の捜査により、男は個人で所有する携帯電話で動画を撮影し、電子カルテにも反映していなかったことがわかっているが、男は「電子カルテは誰にでも見られてしまうおそれがある。第三者が院内のパソコンを開き見ることも可能性としてはある」と苦し紛れの主張を展開し、「診察中には性的な感情を排除するようにしている」と強調。

一方で、「自覚はないが、潜在的にはあったかもしれない。(性的意図や感情が)ゼロであるかというと自信はない」とも口にしている。

19日の公判では、他の医師が「診療には必要がない行為」と証言していることも明らかにされ、男は「そのような評価を受けているのであれば従う」と述べたほか、被害者や保護者などに謝罪したが、その傷が簡単に癒えることはない。

次回の公判は10月29日に予定されていて、検察側による被告人質問などが行われる。

2024年8月19日 テレビ静岡

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