医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

<二重のパワハラ発覚>「負の遺産しか残らなくなる」札幌医科大学医学部教授が自身の”パワハラとアカハラ”を撤回するよう部下教員に迫る 准教授も反論の協力求めるも…伝えた教員は被害者とは別人 北海道札幌市

2024-08-09 22:29:22 | 医療界

 過去のパワーハラスメントやアカデミックハラスメントで学校側から処分を受ける前に、処分の撤回や反論に協力するよう部下の教員に求めるパワハラをしたとして、札幌医科大学医学部50代の男性教授が停職5か月、50代の男性准教授が停職1か月の懲戒処分を受けました。

 男性教授は2023年度以前に、複数回にわたって同じ専攻科にいる部下の教員2人にパワハラの他、論文の指導をしなかったり、論文を放置したりするアカデミックハラスメント(アカハラ)をしたとして、2024年5月29日付で停職3か月の懲戒処分を受けています。

 大学側が教授の処分を検討していた2024年4月、教授は男性准教授とともに、部下の男性教員1人を大学内の一室に呼び出しました。

 教授は自身の懲戒処分を軽くするため、教員にハラスメントを申し出たか確認したり、申し出た場合は撤回するよう求めたりしました。

 このとき教授は「ハラスメントを申し出たのではないか」「撤回するよう協力してほしい」「このままだと負の遺産しか残らなくなる」などと教員に迫っていました。

 専攻科のいわゆる「ナンバーツー」の准教授は、教授がトップの態勢を維持できるよう、大学側への証言内容を教員に確認したり、教授の反論に協力するよう求めたりしました。

 このとき准教授は「教授の懲戒処分を軽くする方向でまとめたい。協力できるか」などと伝えていました。

 大学側は教授と准教授の行為が「パワーハラスメントに当たる」として、8月8日付で教授を停職5か月、准教授を停職1か月の懲戒処分としました。

 大学側によりますと、教授と准教授に呼び出された教員は、ハラスメント被害を訴えた2人とは別の人物でした。

 教授と准教授は教員が「ハラスメント被害を訴えた」と勘違いしていたとみられます。

 大学側は教授と准教授が辞職の意向の有無を把握していません。

 札幌医科大は「道民の皆様の信頼を損ない、多大なご心配とご迷惑をおかけしたことに深くお詫び申し上げます。全学をあげてハラスメント防止への教職員の意識向上や環境づくりに取り組み、信頼の回復に努めます」とコメントしています。

2024年8月8日 北海道ニュースUHB


東京女子医大 岩本理事長を解任 再発防止策や改善計画策定へ

2024-08-09 22:14:28 | 医療界

同窓会組織をめぐる不透明な資金の流れなどについて警視庁の捜索を受けた東京女子医科大学は7日、臨時の理事会を開き、トップの岩本絹子理事長を解任しました。

東京女子医科大学では、岩本前理事長が去年までの10年間トップの代表理事を務めていた同窓会組織「至誠会」をめぐって不正な経理処理があったとして、警視庁の捜索を受けたほか、会への寄付額が人事評価や推薦入試の過程で考慮されていたことなどが明らかになっています。

大学が設置した第三者委員会は、一連の問題の背景に岩本前理事長の「一強」体制があり、理事会も機能不全に陥っていたとして、経営陣の抜本的な改革が必要だとする報告書を公表していました。

大学によりますと、7日夕方、臨時の理事会が開かれ、岩本理事長の解任について理事の過半数が賛成し、7日付けで解任したということです。

当面の後任の理事長として肥塚直美常務理事が選任されたということです。

岩本前理事長は、今月5日に大学で開かれた教職員を対象にした説明会で、一連の混乱を謝罪した一方、早期の辞任は明言せず、理事たちからは直ちに辞任するよう迫る意見が相次いでいました。

大学は今後、第三者委員会の指摘を踏まえて再発防止策や改善計画を策定することにしています。

東京女子医科大学とは

東京女子医科大学は、東京 新宿区にある私立大学で、国内で唯一、女子学生のみを対象に医学教育を行う大学です。

1900年に東京女医学校として創立され、1952年に現在の東京女子医科大学となりました。

大学には医学部と看護学部のほか、大学院や大学病院、医療センターなどがあります。

また、法人として看護専門学校や東洋医学研究所などを運営しています。

事業報告書によりますと、去年5月1日の時点で、学生数は1300人余り、教職員や研修生は合わせておよそ5700人となっています。

役員は、理事長を含む理事11人と監事が2人となっています。

東京女子医大の同窓会組織めぐる問題

東京女子医科大学の同窓会組織「至誠会」をめぐっては、岩本絹子前理事長が去年までの10年間にわたってトップの代表理事を務めていて、さまざまな問題が明らかになっています。

1つは推薦入試です。

大学では、卒業生や在校生が3親等以内の親族にいる受験生を対象に、至誠会が審査を行って推薦する入試が行われています。

その過程で、至誠会に提出する「審査依頼書」に、受験生の親族による大学や至誠会への寄付額などを申告する欄があり、「貢献度」として点数化され、審査の際に加算されていました。

その結果、本来なら推薦を受けられた一部の受験生で、寄付をしていなかったことから推薦を受けられなかった可能性が出ています。

また、卒業生の教員が採用や昇格を希望する際にも至誠会への寄付実績や会合などへの出席回数が評価の対象になっていて、こうした人事でも寄付額などが考慮されていたことが分かっています。

さらに不透明な資金の流れも明らかになっています。

至誠会から勤務実態のない職員におよそ2000万円の給与が不正に支払われた疑いが出ていて、警視庁がことし3月、特別背任の疑いで大学本部や岩本前理事長の自宅などを一斉に捜索しました。

一連の問題を受けて大学が設置した第三者委員会が調査を行い、8月2日に報告書を公表しました。

その中で、不正な経理処理については、至誠会から大学に出向した職員に給与が「過大」あるいは「二重」に支払われた疑いが濃厚だとしたほか、前理事長の知人が代表を務める会社と大学法人の間で結んだコンサルティング契約で、会社への支払いが前理事長側に還流した可能性が高いなどと指摘しています。

そして、岩本前理事長について、推薦入試や人事の選考で寄付を求める発想を持ち込んだことや、不正な経理処理に加えて、教職員の人件費を抑える一方で、みずからの報酬額は2023年度で2015年度と比べて72%増額させるなどしている点から、金銭や金もうけに対する強い執着心を指摘しています。

そのうえで、異論を述べた人物に報復が疑われる人事を行うなど、問題の背景には「岩本一強」体制があり、理事会も機能不全に陥っていたとして、抜本的な改革の必要性を求めています。

国に適切な指導求めた教授「普通の医療ができる状況に」

東京女子医科大学をめぐっては、7月2日、大学病院に勤める教授など医師7人が文部科学省を訪れ、「社会における信頼を著しく損なっている」などとして国に適切な指導を求めていました。

その1人、本田五郎教授は、第三者委員会が一連の問題について、岩本前理事長の「一強」体制が背景にあり、理事会も機能不全に陥っていたと指摘したことを受けて、「理事長の『一強』と言われた以上は、人が変わるほかない。そのうえで、理事会全員が責任を取って辞め、社会に対して責任を示してほしい」と話していました。

さらに「医療の安全はチームでチェックするもので、ガバナンスが大事だ。これまで大半の職員は言いたいことも言えない状況だった。みんなリスクを感じ、萎縮しながら医療を提供してきたので、普通の病院で普通の医療ができる状況に戻してほしい」と訴えていました。

盛山文科相「大学の対応状況を確認し対応」

盛山文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で、6日、大学側を呼んだことを明らかにし「第三者委員会の指摘を受け止めたうえで、責任の所在を明確化するとともに、速やかに管理運営体制の再構築などの改善計画を策定するよう指導した」と述べました。

今後については「報告書を踏まえた大学の対応状況を確認しながら、しっかり対応していきたい。まずは大学の対応を見守っていく」と述べました。

2024年8月8日 NHK