医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

慶応大学病院 (新宿区)   松戸支部 

2012-06-08 22:44:20 | 傍聴記
 本日は、向井万起男医師が出廷する慶応大学病院に対する医療裁判を傍聴するために松戸支部に行ってきました。 医療裁判は5階の501法廷というところで、傍聴するにあたり傍聴券は配られず先着順でした、開廷前から入り口付近で裁判所職員が腕章を付けて居ましたので、通常よりは、ピリピリとした雰囲気でした。裁判は午後1時30分から5時まででした。

 証人尋問は原告側の患者さんを担当した婦人科医師から始まりました。この医師に対する尋問時間が最も長く原告側の反対尋問を含め約110分の時間を要しました。
 争点は、患者さんの子宮付近で隆起した細胞がポリープ状の偽肉腫(良性)であるか腫瘍(悪性)であったのかを争うもののようです。
 医師は専門書や英語論文等を引用して、腫瘍の診断をしないで偽肉腫という良性の診断をした根拠を示す主張をしました。ただ悪性の腫瘍も疑い厳重な経過観察をしていたようですが、そういった説明が原告側の主張と違っているので、少なくとも患者さん側に病気のリスクが上手に伝達されていなかった様子です。 

 休息後の3時30分頃に向井医師が訴訟関係者入り口から緊張した面持ちで入廷しました。宣誓書を読みあげ証言台にミネラルウォーターを置くと原告側の尋問が始まりました。
 病理診断について尋ねられると診断等の経緯の説明をされました。その主張によりますと産婦人科から病理標本を持ってこられた時に、病理組織の診断は腫瘍の診断をしたが、臨床的に妊婦に腫瘍は起こりづらいので、偽肉腫の可能性もあるので、最終的には臨床医が判断するべきであると伝えたようです。
 病理医なので診断時にはカルテを読んでいないなど自分の立場が誤解されているのではと、裁判官に向かって興奮されて釈明をしたり、マスコミに対しても不当に名誉を傷つけられているなどと言って、そのうえ向井医師は婦人科が嘘を付いているので、裁判からも手を引いている、裁判に関与していないなどと婦人科批判ととれる発言をして裁判に非常に納得されていない様子でした。それから亡くなられた患者さんのご遺族への説明会では、自分の奥さんだったら子宮を取る等の話はしたようです。
 向井医師に対する慶応大学側の反対尋問はありませんでした。

 裁判は、人証のテープ翻訳が済むと再び弁論準備手続きに入るようです、鑑定については被告側が調書が出来てから考えるそうです。


提訴:「慶大病院、がん誤診」 死亡女性の両親、賠償求め 向井万起男氏ら担当  毎日新聞

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