第9回アート鑑賞いろは塾を下記のように開催します。
日 時:11月9日(土)P.M.2:00~ (受付は1:45~ )
会 場:和光大学ポプリホール3F会議室(町田市鶴川)
テーマ:日本美術の特質
講師:笹山 央(「かたちの会」主宰)
受講料:2,500円(飲物代込み)
推薦展覧会:国宝「卯花墻」と桃山の名陶 三井記念美術館(中央区日本橋室町2-1-1)11月24日まで
※ マイカップをご持参ください。
参加お申込みはこちらから。
テーマ「日本美術の特質」として、以下の3点を挙げて解説します。
1. 物質の発見
2. 平面(フラット)表現の豊かさ
3. 「おもてなし」の造形としての美術――「間」「余白」の意味
1.西洋の美術史において「物質の発見」は20世紀に至ってなされますが、日本ではそれより400年も遡って、16世紀後半すなわち桃山期に果たされています。
中心となったのは、利休、等伯、光悦、宗達の面々、そしてこの人たちを取り囲む、いわゆる「文化サロン」を醸成していた武士や豪商たちです。
この時の「物質の発見」によって、日本美術は東アジア文化圏域において真に独自の書画文化を確立するのであり、江戸期のアヴァンギャルドな活動を促していきます。
西洋での「物質の発見」は日本の書画からインスパイアされてなされたものです。
では具体的に「物質の発見」とはどういうことだったのでしょうか。
塾ではこれについてお話したいと思ってます。
2.「物質の発見」は書画制作の支持体である紙や布、素材の顔料、染料、墨、その他種々の工芸素材、道具の筆や刀などを、単なる表現手段以上のものとして捉える意識を育みます。
特に絵画においては、紙や布などの支持体は平面(2次元空間)であるという、至極当たり前な認識に基づいて創作が進められます。
琳派や浮世絵などがその代表的なジャンルであって、それらの領域では「平面表現の豊かさ」ということが究極まで追求されていったと見ることができます。
平面(フラット)性を特質として捉えるもうひとつの根拠は、琳派や浮世絵が、貴族や大名ではなく商人や一般町民によって支持され、そのエネルギーをいわゆる「町民文化」の中から得ていたことです。
これは狩野派のように封建システムのヒエラルキーに乗っかったのとは逆の、いわゆる「フラット」な社会関係性の中で育てられていったということを意味しています。
これが江戸期日本美術の創造的エネルギーの基盤をなしていたということです。
3.日本の「おもてなし文化」を、ここでは「もてなし(主)―返し(客)」の関係で捉え、主客の合一(一座建立)が目指されていく中で、あらゆる文化的現象が発生してきたと捉えていきます。
江戸期書画に特徴的な「間」や「余白」も、主客の合一を目指す「もてなし―返し」の構造の中で追求されていった、造形空間の在り方を象徴していると見るわけです。
以上、3つの視点から「日本美術の特質」を捉えていこうと考えています。