KATACHI-JUKU No.02をまもなく発行します。
去る3月7日に染織作家中野みどりさんの櫻工房で開催した「かたち塾第2回」の報告です。
テーマは「気韻を軸に」というものです。
最近は「気韻」という言葉があまり使われないので、聞いたことがない人も増えてきているようです。
聴講に来られた方の中にも、初めて聞く言葉だという人もいました。
そういうほとんど死語になりかけているものをここでわざわざ持ち出してきたのはなぜかというと、
「コンセプチュアル」というのが物質性を軽視する傾向があるのに対して、
「かたち」とか「工芸的」というのは物質性(生身性)ということに根ざして活動していく領域で成り立つものです。
そういったものの価値をどう受け止めていくかといったときに、
西洋近代の芸術論とか認識論とかではそれに対処することができませんが、
東アジアの伝統的な表現の在り方ならば、それを参考にすることができると思うのです。
それは「気の思想」というものです。
「気」は五感や科学的な方法では認知できないので、非物質的な現象ということになっているのですが、
私自身は、気が立ち込めてくるのは物質間の相互関係の中からこそであると思っています。
そのことは、東アジアの伝統的な書画工芸文物を通して私が学んできたことです。
そして「気が立ち込めてくる」というような現象を、ここで仮に「気韻」と呼んでみようということです。
この意味で私は、「気韻」というのがこれからの表現の一つの方向性を考える鍵になるのではという考えを持っているのですが、
KATACHI-JUKU No.02は、そのことの導入的な話題となっています。
日本的な文脈においては、「気韻」は「もてなしの文化」の基調としてもあるものでもあります。
この意味で、「かたち塾第2回」では、全体の趣向として観楼会を企画して「櫻工房のもてなし」とし、
て床の間に狩野養川院の三幅水墨画「雪月花」を掛けて、聴講の方々をもてなしました。
「気韻」については、中野みどりさんによる「染織」の話と、塾長(笹山)による概論的な話を二本柱としました。
塾終了後は中野さんの料理で、有機野菜を軸にした食材を味わい、季節感を愉しむ食事を堪能しました。
食材の味を愉しむということも、「気韻」を体感するひとつの領域です。
そのメニュー一式についても報告しています。
是非読んでみてください。
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