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モノ・語り

現代のクラフトの作り手と作品を主役とするライフストーリーを綴ります。

かたち塾会報「KATACHI-JUKU No.02」まもなく発行します

2015年04月17日 | 「かたち塾」



KATACHI-JUKU No.02をまもなく発行します。

去る3月7日に染織作家中野みどりさんの櫻工房で開催した「かたち塾第2回」の報告です。

テーマは「気韻を軸に」というものです。

最近は「気韻」という言葉があまり使われないので、聞いたことがない人も増えてきているようです。

聴講に来られた方の中にも、初めて聞く言葉だという人もいました。


そういうほとんど死語になりかけているものをここでわざわざ持ち出してきたのはなぜかというと、

「コンセプチュアル」というのが物質性を軽視する傾向があるのに対して、

「かたち」とか「工芸的」というのは物質性(生身性)ということに根ざして活動していく領域で成り立つものです。

そういったものの価値をどう受け止めていくかといったときに、

西洋近代の芸術論とか認識論とかではそれに対処することができませんが、

東アジアの伝統的な表現の在り方ならば、それを参考にすることができると思うのです。

それは「気の思想」というものです。


「気」は五感や科学的な方法では認知できないので、非物質的な現象ということになっているのですが、

私自身は、気が立ち込めてくるのは物質間の相互関係の中からこそであると思っています。

そのことは、東アジアの伝統的な書画工芸文物を通して私が学んできたことです。

そして「気が立ち込めてくる」というような現象を、ここで仮に「気韻」と呼んでみようということです。


この意味で私は、「気韻」というのがこれからの表現の一つの方向性を考える鍵になるのではという考えを持っているのですが、

KATACHI-JUKU No.02は、そのことの導入的な話題となっています。


日本的な文脈においては、「気韻」は「もてなしの文化」の基調としてもあるものでもあります。

この意味で、「かたち塾第2回」では、全体の趣向として観楼会を企画して「櫻工房のもてなし」とし、

て床の間に狩野養川院の三幅水墨画「雪月花」を掛けて、聴講の方々をもてなしました。

「気韻」については、中野みどりさんによる「染織」の話と、塾長(笹山)による概論的な話を二本柱としました。


塾終了後は中野さんの料理で、有機野菜を軸にした食材を味わい、季節感を愉しむ食事を堪能しました。

食材の味を愉しむということも、「気韻」を体感するひとつの領域です。

そのメニュー一式についても報告しています。

是非読んでみてください。

かたちの会からアクセスしてお申し込み下さい。



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「かたち塾」第2回のご案内

2015年02月14日 | 「かたち塾」

「かたち塾」会報KATACHI-JUKUを発行しました。



第2回目を3月7日(土)に、町田市の櫻工房で開きます。
タイトルは櫻工房のもてなし 「気韻」を軸に――紬織り、そして水墨画、現代美術へ」というものです。
詳細はこちらでご覧ください。
お申込は「かたち塾」HPからできます。

「おもてなし」と「もてなし」は違うものであるということを言ってる人がいるそうです。
私は未確認ですが、もし以下のような意味であれば、私も同感です。

「おもてなし」は当世流行の、客が一方的にサービスを受けることだと思い込んでいる接客法。
「もてなし」は亭主と客が対等の関係にあって、亭主の趣向を客が読み取りつつ、
「一座建立」を目指して互いに高め合うよう努力していくこと。

今回の「かたち塾」での「櫻工房のもてなし」は、言うまでもなく後者の路線を踏襲するもので、
庭の桜の木(開花にはちょっと早すぎるタイミングですが)を眺めつつ、
質素ながらも素材の味覚が楽しめる料理、櫻工房所蔵の掛け軸や器、
そして何よりも、「気韻」をテーマにしたレクチャーとフリートークで、
心尽くしのもてなしに努めたいと思っています。

レクチャーのテーマを「気韻」としたのは、会場の櫻工房が織物の工房で、
布の美を特徴づけるものが「気韻」ということであると考えるからです。
また、昨年の11月に発行した「かたちの会」の会誌最終号の特集で、
櫻工房主宰の中野みどりさんの仕事を紹介してタイトルを「布の気韻」としたということもあります。
(同特集では、前回のかたち塾のゲスト小川郁子さんも紹介して、タイトルは「ガラスの幻惑」としています。)

「気韻」という言葉は、もともとは中国の古典山水画を評価する言葉である「気韻生動」からとったものです。
現代の美術表現ではこの言葉は、日本画以外ではあまり使われることがないようです。
それもそのはず、現代の美術表現は西洋近代の影響を受けた、自己表現やコンセプチュアルな表現を目指すために、素材やわざといった物質的な与件を軽視する傾向にあるからに他なりません。

「気韻」は、現代においては「物質間の響鳴」として捉えなおすことができるかと考えますが、
そのためには素材に対する観察力や、素材を生かしきる作り手の「わざ」のレベルの問題を脱きにすることはできません。
レクチャーの前半は中野さんに織物(紬)の成り立ちの話を、布や糸を見せていただきながら聞きます。
後半は、更に水墨画や現代美術の話に敷衍して「気韻」ということの再認識を提起していきます。
これは美術表現の今後の方向性を占うような話になっていくと考えています。

櫻工房のブログでもご案内しています。

お申込は、 「かたち塾」HPからできます。
食材の取り寄せの都合がありますので、お早めに。

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