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特別支援教育

2006年01月08日 | 私見
小中学校の特殊学級、改称し存続 学校教育法改正案
今日の朝刊の一面にドンと掲載され、ちょっと驚きました。

この記事について、一般の人がどんな感想を持つのか、とても興味があります。というか、この記事は教員以外何のことか全く分からないのでは?と思うのです。1面に載せてあるぐらいならもう少し説明してくれていても良いと思うのですがね。確かに、細かく説明すればこれだけで本が出せてしまうでしょうけど・・・ちょっと補足します。

「現在、特殊教育と呼ばれているものが、平成19年より、特別支援教育に変わります。」
こんな話が、平成15年に突然飛び込んできました。ほとんどの教員が寝耳に水の話でした。
今まで、障害児教育は分離・別学が基本でした。これは「学校に行きたいけど、障害があるから行けない」という人が昔はかなりたくさんいたため、学校教育に特殊な配慮を施した「養護学校」や、小・中学校に「特殊学級」を作ることで、障害児の教育を受ける権利を守った事に始まりました。
しかし、現在では障害のある児童生徒は非常に多くなってきており、従来の養護学校や特殊学級だけでは収まりきれなくなっている状況です。また、近年話題になっているLDやADHDといった子を含めると、障害児の数は一気に5倍に増える計算になります。障害児一人一人を、今までのように別々の環境で教えていては埒があきません。そうではなく、通常は学級40名の中に在籍し、障害児一人一人の必要としているニーズに合わせて、必要な支援を行っていく、というのが「特別支援教育」の大まかな内容なのです。
つまり、この考え方の上だと、従来の養護学校や特殊学級は廃止するということになります。また、今まで特殊教育をした事のない先生でも、クラスの中に重度障害児を受け持つ可能性も出てくるというわけです。

現在の教員免許状制度は、小学校教諭、中学校教諭、盲学校教諭、養護学校教諭など、学校によって免許が必要なのですが、特学に関して免許がなくとも教えられるようになっています。現に僕が教えているくらいですからね。しかし、何も知らない人間が重度障害児を教えるのは、無謀を通り越して危険です。そのため、特別支援教育に携わる先生は必ず「特別支援学校教員免許(仮)」というものを持っていないといけない、ということになりました。これは、重度・重複障害にも対応できるように、現行の免許(盲・聾・養護単独免許)からさらに何単位か取らなくてはならないものになるそうです。
しかし、19年度からスタートすると言うのに、この免許状はまだスタートしていません。実は、19年開始と言うことは決まっているのに、免許状以外の問題についても、具体的な移行内容はほとんど決まっていないも同然だったのです。

こんな状態のまま19年度からよーいスタートとやっても、うまくいくはずがありません。そこで、より実現可能な方針になるよう、現在の養護学校や特殊学級はそのまま残し、大幅な転換は後の議論にして、とりあえず名称だけ変えて残していきましょう、ということにしたのが今回のニュースです。我々の間ではかなり前の段階でこうなることが分かっていた内容だったので、何を今更といった意味でちょっと驚いたニュースでした。

そんなわけで、一般の人にしてみれば「結局何が変わるんだ」という感じでしょうが、通常学級にいてADHDと診断された子が、そのまま通常学級に在籍となる理由づけができただけでも、養護学校や特殊学級がパンクするのを防げたことに意味があるのだと思います。本当、ココにいると、どの養護学校もあの手この手でパンクをゴマカしているような状況で、この転換が急務であることが良く分かります。1対1対応が必要だと判断されて養護学校に来ているのに、先生1人に生徒が何人もいるようでは意味がありませんからね。今後、養護学校は地区内の中心校となって各学校に情報を送っていくことになるそうで、我々はこの特別支援教育の最先端にいるわけですが、まるで不透明な液体の中を泳いでいるような感じで、全く先頭にいる気がしません。上の方を見ていてもそんな気配が濃厚ですので、まだまだ自分がその粋に達するのは相当先のようです。

数学教育が恋しい今日この頃・・・