月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

リセット週間

2016-10-05 | 生活
10月12日が日本酒の雑誌の入稿日なので、9月は少しバタバタしていた。
酒蔵の記事が3本、イベントの特集が2本、店舗記事が1本。
北海道や岐阜への取材も9月中だったので、大急ぎで原稿を仕上げた。

Y編集長は「復帰作としては上々ですね」と言ってくれたが、私としてはもう一段上に行きたいのに行けない自分にイラつく1ヶ月だった。
もちろん、「今の自分」にできる限界まで書ききったと言える。そういう仕事をしている。
でも、「今の自分」のレベルが低すぎて、仕上がった原稿を読み返しても「なんだか無難にまとめとるなぁ・・・」と思ってしまうのだ。

「無難にまとめる」のは、私の特技でもあり、またネックでもあると感じている。
無難なんてクソくらえ!(失礼!)で、もっと個性的でもっと弾けたものを書きたいのだが、だいたいいつも新しいカタチに挑戦するとY編集長に直される。
決して「新しいカタチ」を否定されているのではなく、それが完成されたものになっていないからだと自分でもわかっている。
あきらめたらそこまでなので、あきらめるつもりはないが、それでも才能の限界みたいなものは感じてしまう。

取材だ!
とにかくまずは取材だ!
いい取材をすれば、それだけ記事に可能性が広がる。

それもわかっているのだけど、まだ足踏み状態。
「酒造りのプロによる、プロのための記事」であればいいのだが、残念ながら「酒造りの素人による、酒造りのプロのための記事」なので、いつまで経っても追いつけない。
結局、「文章のプロ」としての無難な記事になってしまう。

そして、これだけ仕事を減らしているにも関わらず、先週は追い込みでかなり不規則な毎日を過ごしてしまった。
そうすると、以前とは違う、新たなストレスを感じる。

こんな生活していたら、また癌になるんじゃ・・・。
そういう不安。
不安と闘うストレス。

のどが少しイガイガするだけでも怖くなる。
のどを触って、しこりがないだろうかと探してしまう。
夜は眠れないことも増えた。
以前は「不眠」なんて縁遠く、「布団に入ったら3秒で眠れる」というのが自慢だったのに、明け方まで布団でもぞもぞしていることがある。

いろんな人に快気祝いをしてもらったのに、もし再発したらなんて言えばいいんだろう・・・なんて、そんなことまで考えたり。
ああ、こんなだからガンになるんだよ!と自分をたしなめ。

最後の抗がん剤治療から1ヶ月以上経ったときは、どんどん日常が戻って来て、病気だった自分が遠くなったのに、10月21日の定期検診が近づいてきたなと思うとまた急に不安が押し寄せてきた。
まだ1回目の検診なのに。
これが10年も続くのだから、今からまいってしまってどうするんだと思うのだけど・・・。
急に手術や抗がん剤治療のことを思い出した。
怖かった。

小林麻央ちゃんがブログで、抗がん剤5クール目を終えたときに、なんとかして逃げたいと思ったという話を書いていたけど、本当に、実感を持って、その気持ちがわかるのだ。
私は3クールで終わったけれど、もしもう一度・・・と考えると、それだけで逃げたくなる。
あそこにはもう戻りたくない、絶対に!!

夫はいつも「のんびりするんだよ」「ゆっくりね」と言ってくれるし、私もそうしたいと思っていたけれど、やっぱり仕事が普通に始まれば、そういうわけにもいかないんだなぁと実感した9月だった。
それでも、仕事量でいえば以前の半分どころか4分の1くらいだと思うので、まあ、よく頑張ってたなと昨年の自分を振り返るとあきれてしまう。(褒めてやりたい気持ちよりもあきれる)

かといって、仕事をこれ以上減らすと、それはそれでストレスになるのはわかっている。
メリハリが大事だと思い、今週は取材も入れず、人とも会わず、家で簡単な仕事をしたり、たまっていた家事をしたり、のんびり過ごすようにしている。
やりたいけど時間がなくてできなくてイライラしていたことも真っ先に終えた。(風呂掃除など)
毎日きちんと料理ができるだけでもホッとする。
気持ちは落ち着いてきている。今週でリセットできるかなと思う。

たぶんだけど・・・
たぶん、21日の1回目の検診が無事に終われば、気持ちも前向きになるのではないかと思う。
この引きずり戻されるのではないかという恐怖から逃れられると思う。

両親を連れて、お礼のランチへ

2016-10-01 | 美味しいもの
8月の母の誕生日も、9月の父の誕生日も何もできなかった。
そのうえ、両親には病気のことでいろいろ心配をかけたのに、何もお返しができていなかった。
そこで、両親を誘って、少し贅沢なランチへ。

京都・烏丸にある「アッシュ・スプランディード」さんへ。
入口はこんなところ。


よく「うなぎの寝床」というけれど、本当に長い長い細い道を歩いてドアにたどり着く。
こちらはランチもディナーもそれぞれ1日3組限定、1回転だけのお店。3つ部屋があるから、必ず個室になる。
通された部屋は密室という感じはなく、ドアも少しガラス部分があって、開放感がある。
今回は4人用にセッティングされていたが、端に使わない椅子とテーブルが置いてあったので、おそらく6人まではいけるのでは?
豪華すぎて緊張することもなく、アットホームすぎることもなく、ちょうどよい落ち着いた雰囲気。

料理は5500円(税込み)のコースを予約しておいた。

冷たい前菜は、ガラスのお皿に美しく盛り付けられていた。
信州鱒といろいろ野菜。
食べたことのないような珍しい野菜もあった。
こういう一皿は目にも嬉しい。


温かい前菜は、白身のお魚にラタトゥイユのソースが添えられていて、上に乗っているパセリとパン粉のカリカリの食感もいい。
とても美味しかった。


スープはいろんな野菜と豆が入っている。
体にいい感じ!すごく好きだ~


メインは4種類から選ばせてもらえた。
但馬牛のステーキ、カンザス牛(フィレ)のステーキ、牛タンの焼いたやつ、魚料理から。
両親は魚にすると思ったら、二人ともカンザス牛という。夫は但馬牛。同じではつまらないので、私は魚を頼んだ。

それが、魚料理がめっちゃ美味しそうで!


さあ食べようと思ったら、父がじーっと見て「かおり、牛と替えてやる」と言い出した。
どうやら、私の魚が美味しそうで食べたくなったらしい・・・。
「そういうときは、替えてやるではなくて、替えてください、でしょ!」と言いながらも仕方なく交換。

私は私で牛が食べたかったのでよかったんだけど。
こんなの。柔らかくて、ほとんどレアなんだけど、めっちゃジューシーで旨い~


夫のはこれ。夫の顔を見たら「めっちゃ美味しいんや!」とわかった。


デザートもいろいろ盛り合わせ


さらに紅茶(orコーヒー)と焼き菓子も。


どれも美味しくて大満足だった。
2時間くらいかけて、ゆっくり食べた。(と言っても、うちの両親はびっくりするほど早食いなのだが・・・)

お酒を飲みながらのフレンチは、もう少し家庭的な料理だったり、味付けのやや濃い目のボリュームあるものがいいが、ランチでコースの時は、少し味付け薄めのあっさりしたものがいい。
こちらはフレンチといっても野菜をたっぷり使っていて、ボリュームはあるのにぺろっと食べられた。
シェフが意欲的で、見た目に美しいのもいい。

ネットで予約した時、備考欄に「70歳を超えた両親を連れて行くので、あまりボリュームはなくてもいいです」と書いていたのだが、そんな心配は全く必要がなかった!
みんなひとかけらも残さず、そのうえ、パンのお代わりまでしていた!!
とにかくよく食べるのだ、うちは・・・。

何にしろ喜んでもらえてよかった。

翌日は夫の実家にも行き、これで両家にお礼ができた。
両方とも、両親たちはずっとニコニコしていて、ああ、本当に私の快復を喜んでくれているんだなぁと実感。
親にこれ以上心配かけないよう、再発しないように元気でいないといけないなと、改めて思った2日間だった。