扉
2016-10-19 | 想い
この1年の間に、自分の周りで「独立」した人が3人もいる。
独立する。
つまり、これまで勤めていた会社(組織)を辞め、個人事業主になる、もしくは会社を立ち上げるということ。
先週、この10年近くお世話になっていた制作会社のWEBディレクターさん(ポジションは副社長くらいの方)から「退社して東京を軸に頑張ります」とメールが来た。
大阪の小さな制作会社では収まりきらないその才能が、傍から見ていても溢れていたので、この報告には特別な驚きはなかった。
御祝に日本酒「獺祭 純米大吟醸 2割3分」を贈った。心からのエールと共に。
「ありがとうございます。必ず大成功します。ワクワクします」とお礼の返事が来た。
いいなぁと思った。
“成功”ではなく、“大成功”という表現も彼らしかった。
未知なる世界への扉を開けるとき、「ワクワクする」と感じられる人は、確かに成功する。
この人は、これまでの人生においても、まだ見ぬ世界への憧れと希望を抱いて次々と扉の前に立ち、恐れることなく開いてきたのだろう。
勇者だけが得られる冒険の楽しさと喜びを味わってきたのだ。
どこまで登りつめるのか、大阪からそっと見守らせてもらおう。
昨晩はもう一人、この夏に独立してフリーになったイラストレーターさんと食事をした。
私の快気祝いをしたい、とのこと。(祝杯はまだ続いている!)
私が行ったことのないお店で、自分ができる範囲の中で喜んでもらえそうなところへ案内したかったと、選んでくれたのはハイアットリージェンシー大阪の中にある「彩(いろどり)」という和食のお店。
彼女の実家が近くにあり、家族で何か美味しいものを食べたいときなど、時々訪れるのだという。
JR大阪駅から無料のシャトルバスが出ていて、一緒に乗っておしゃべりしていたので、遠いのもあまり気にならなかった。
日本庭園が見えるしっとりした和食のお店で、あまり人がいないのもよかった。
コース料理を予約してくれていたので、ビールや日本酒を飲みながら堪能した。
先付け
お造り
焼き物
煮物
ゴハンの後で、デザート
どれも美味しくて、量的にもちょうどいい感じだった。
ゆっくりしゃべることができたのもよかった。
フリーになって新しい案件を頑張っていること、周りのイラストレーター仲間の営業力のこと、お父さんがバイクを改造して乗っていること、安住アナウンサーのラジオのネタ、キャンプのこと、共通のクリエイターたちのこと・・・。
いろんな話を聞けた。
とても楽しくて、ずっと笑っていた。
7月にも彼女とランチをした時のことを思い返し、「やっぱりあの時の私は調子が悪かったんだな」と感じた。抗がん剤治療の真っ最中だった。
そのランチの帰り道、思っていることがうまくしゃべれなくて、ひどく落ち込んだことを思い出したのだ。
昨晩は違った。ただただ楽しかった。
別れてから、結局5時間もしゃべっていたんだなぁ、あっという間だったなぁと思った。
私の周りはどうしてもクリエイターだらけなので、独立した人、個人事業主(フリーランス)が多い。
「独立する」ということは、やっぱり大変だと思う。
私は「独立した」ことがない。それは大学を卒業して社会に出てからずっと個人事業主だからだ。
結婚するまでの9年間、一人で稼ぎ、一人で暮らしてきた。
気づけば、フリーライターとして20年も生きている。
よく人から「最初からフリーってすごいね」と言われるが、私はそれをずっと否定してきた。
何がすごいもんか。
単に組織に入ることを拒み続けた、ガマンのきかない、自己中なわがまま人間じゃないか!と。
ちゃんと就職活動をして、ちゃんと会社に就職して、数年間でも会社の中で働くことができた人のほうが、よほどすごい。
そんな誰もができる「当たり前のこと」すらできないほどの欠陥人間をなぜ賞賛するのか、私には本当に意味がわからなかった。
でも最近は、「すごいですね」と言われると、「まー、なんやかんやで20年やってこられました」と、相手の賞賛を否定はしないようにしている。
それは、20年間、頑張れたからだ。
ゼロからのスタート。10年後に一度、積み上げたものがすべてなくなり、またゼロからの再スタート。そしてまた10年経った。
今は好きな日本酒のことを書けるし、たくさんの信頼できるクリエイター仲間もいる。
何より、とにかく書きたい、書くことが好き、書かずにいられないという気持ちだけで社会に飛び出したあの頃の気持ちは、20年経った今も変わっていない。
何もかも中途半端で、何一つやり遂げられなかった私が唯一誇れること。
それは「書くことでゴハンを食べるんだ!」という夢を一度も捨てず、実現できているということ。
20年やれた今、ようやく頑張ってきた自分を認めて、褒めてやれる。
「案外、やるやん」と。
そして、20年経って、癌になった。
ある意味、来年は再々スタートだなと思う。
でも、今度は“ゼロから”ではない。知識と経験と人脈という財産を持っているから不安はない。
私もワクワクした気持ちで扉を開けよう。
扉の向こうには絶対に楽しい出来事が待っていると信じて、前へ進もう。
勇者になろう。
独立する。
つまり、これまで勤めていた会社(組織)を辞め、個人事業主になる、もしくは会社を立ち上げるということ。
先週、この10年近くお世話になっていた制作会社のWEBディレクターさん(ポジションは副社長くらいの方)から「退社して東京を軸に頑張ります」とメールが来た。
大阪の小さな制作会社では収まりきらないその才能が、傍から見ていても溢れていたので、この報告には特別な驚きはなかった。
御祝に日本酒「獺祭 純米大吟醸 2割3分」を贈った。心からのエールと共に。
「ありがとうございます。必ず大成功します。ワクワクします」とお礼の返事が来た。
いいなぁと思った。
“成功”ではなく、“大成功”という表現も彼らしかった。
未知なる世界への扉を開けるとき、「ワクワクする」と感じられる人は、確かに成功する。
この人は、これまでの人生においても、まだ見ぬ世界への憧れと希望を抱いて次々と扉の前に立ち、恐れることなく開いてきたのだろう。
勇者だけが得られる冒険の楽しさと喜びを味わってきたのだ。
どこまで登りつめるのか、大阪からそっと見守らせてもらおう。
昨晩はもう一人、この夏に独立してフリーになったイラストレーターさんと食事をした。
私の快気祝いをしたい、とのこと。(祝杯はまだ続いている!)
私が行ったことのないお店で、自分ができる範囲の中で喜んでもらえそうなところへ案内したかったと、選んでくれたのはハイアットリージェンシー大阪の中にある「彩(いろどり)」という和食のお店。
彼女の実家が近くにあり、家族で何か美味しいものを食べたいときなど、時々訪れるのだという。
JR大阪駅から無料のシャトルバスが出ていて、一緒に乗っておしゃべりしていたので、遠いのもあまり気にならなかった。
日本庭園が見えるしっとりした和食のお店で、あまり人がいないのもよかった。
コース料理を予約してくれていたので、ビールや日本酒を飲みながら堪能した。
先付け
お造り
焼き物
煮物
ゴハンの後で、デザート
どれも美味しくて、量的にもちょうどいい感じだった。
ゆっくりしゃべることができたのもよかった。
フリーになって新しい案件を頑張っていること、周りのイラストレーター仲間の営業力のこと、お父さんがバイクを改造して乗っていること、安住アナウンサーのラジオのネタ、キャンプのこと、共通のクリエイターたちのこと・・・。
いろんな話を聞けた。
とても楽しくて、ずっと笑っていた。
7月にも彼女とランチをした時のことを思い返し、「やっぱりあの時の私は調子が悪かったんだな」と感じた。抗がん剤治療の真っ最中だった。
そのランチの帰り道、思っていることがうまくしゃべれなくて、ひどく落ち込んだことを思い出したのだ。
昨晩は違った。ただただ楽しかった。
別れてから、結局5時間もしゃべっていたんだなぁ、あっという間だったなぁと思った。
私の周りはどうしてもクリエイターだらけなので、独立した人、個人事業主(フリーランス)が多い。
「独立する」ということは、やっぱり大変だと思う。
私は「独立した」ことがない。それは大学を卒業して社会に出てからずっと個人事業主だからだ。
結婚するまでの9年間、一人で稼ぎ、一人で暮らしてきた。
気づけば、フリーライターとして20年も生きている。
よく人から「最初からフリーってすごいね」と言われるが、私はそれをずっと否定してきた。
何がすごいもんか。
単に組織に入ることを拒み続けた、ガマンのきかない、自己中なわがまま人間じゃないか!と。
ちゃんと就職活動をして、ちゃんと会社に就職して、数年間でも会社の中で働くことができた人のほうが、よほどすごい。
そんな誰もができる「当たり前のこと」すらできないほどの欠陥人間をなぜ賞賛するのか、私には本当に意味がわからなかった。
でも最近は、「すごいですね」と言われると、「まー、なんやかんやで20年やってこられました」と、相手の賞賛を否定はしないようにしている。
それは、20年間、頑張れたからだ。
ゼロからのスタート。10年後に一度、積み上げたものがすべてなくなり、またゼロからの再スタート。そしてまた10年経った。
今は好きな日本酒のことを書けるし、たくさんの信頼できるクリエイター仲間もいる。
何より、とにかく書きたい、書くことが好き、書かずにいられないという気持ちだけで社会に飛び出したあの頃の気持ちは、20年経った今も変わっていない。
何もかも中途半端で、何一つやり遂げられなかった私が唯一誇れること。
それは「書くことでゴハンを食べるんだ!」という夢を一度も捨てず、実現できているということ。
20年やれた今、ようやく頑張ってきた自分を認めて、褒めてやれる。
「案外、やるやん」と。
そして、20年経って、癌になった。
ある意味、来年は再々スタートだなと思う。
でも、今度は“ゼロから”ではない。知識と経験と人脈という財産を持っているから不安はない。
私もワクワクした気持ちで扉を開けよう。
扉の向こうには絶対に楽しい出来事が待っていると信じて、前へ進もう。
勇者になろう。