月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

一人空気イス

2013-11-13 | 生活
大学生が受けるセミナーの内容をまとめる取材があって、昨日行ってきた。
大阪の某私立大学。
自分が大学を卒業したのはもう遥か昔のこと。私立のようにお金もなく、さらに10分で北門から南門まで歩けるような小さな大学だったので、私立大学の広さ、設備の良さに圧倒された。

300人くらい入りそうな広い教室に入ると、プラスチックでできたような長机。それに折りたたみ式の椅子がついている。
補助席のように、背もたれにくっついていて、座る時にはパタンと前に倒すタイプね。それも押さえていないと上がってしまう。
なるほど。これで通路のスペースをとらなくても、学生が通れるようになっているのか、合理的だなぁと感心。
長机を見ると、各席にコンセントとLAN用モジュラコンセントもある。すごいなぁ。
窓のブラインドも自動!自分の頃には考えられなかった!

そうやってハイテク教室が珍しくてキョロキョロしている間に、セミナーが始まった。
そのセミナーは10人程度の小さなものだったので、学生は前のほうに固まって座らされた。
私もその後ろの席に座って、同じように講義を聴いてメモしていた。
途中で資料を使うことになったのだが、私はもらっていなかったので、どうしようかなぁと思ったら、前の席に置いてある。
資料は先に席に置かれていて、前の席の学生は欠席だったのだ。
それを使わせてもらっても問題ないだろうと、腰を浮かせて手を伸ばして取り、座った。

ガタガタガタッ!!

一瞬、何が起こったのかわからなかった。
どうやら腰を浮かした時に椅子が背もたれのほうに戻ってしまっていたのだ、と気づいたのは、もう床に尻もちをついた時だった。
私は空気イスに腰掛けようとし、大きな音を立てながら思い切り床にひっくり返ったのだった。

「ぎゃっ!!」

私の大きな悲鳴と物音で、学生も講師もいっせいに私のほうを振り返った。

「大丈夫ですか?
「だ、だいじょうぶです・・・」

慌ててイスを倒して座りなおした。
「すみません!すみません!気にしないで続けてください!」

そう言ったが、気になるよね

しかし、何事もなかったかのように、講義は再開。
私はお尻と足のスネを思い切りぶつけて、本当は泣きたいような気持ちだったが、大人なのでこらえた。
恥ずかしくて穴があったら入りたかったが、なかったので座り続けた。

誰かがイスを引いて尻もちをつくいたずら・・・ちょうどあんな感じで、それも思い切りひっかかった人みたいにスッテンコロリン。本当にマンガみたいだった。(なぜかよくマンガのようなことが起きます・・・)

不幸中の幸いは、クライアントさんが私に取材は任せてお昼ご飯を食べに行ってくれていたこと。
見られていなかった。
だから黙っていたらわからないのに、講義が終了してからクライアントさんに「これこれこうで・・・」と話すと、ウケた(笑)
何でも笑いにしてしまうのが、関西人の悪いクセだ・・・

今もぶつけたスネが痛い。
あのタイプの椅子は気をつけよう・・・。

運がいい。

2013-11-12 | 仕事
京都の街にたった1店舗しかなかった企業が、10年で250店舗を超えた。
昨日、そんな企業の幹部を3人、取材した。
与えられた時間は1人1時間。休憩もない3時間の取材だったが、一瞬で過ぎ去った。
とにかく話が面白かったのだ。
そして、3人ともいいオーラがビシビシ出ていて、それを浴びているのが気持ちよかった。

思い出したのは、24歳から34歳まで10年間やっていたいろんな会社の社内報制作のこと。
そのクライアントの1つは、私が知った時、まだ40店舗ほどしかなかった。
そこの社長は大阪に1店舗オープンした時にこう言ったという。
「100店舗作ります!」
みんなが笑った。何を夢物語を言っているのだと。
でも、私が辞める時、その会社はとっくに東証一部上場を果たし、ナショナルチェーンで350店舗を展開してた。
社長はいつも言っていた。「100の夢がなければ、100の実現はない」と。
そして、私はいつも言っていた。
1つの企業が夢を叶えるまでをそばで見て、取材して、書き続けられるなんて、私は宝くじに当たるより運がいい!

昨日、同じように夢を叶えた企業の立役者たちを取材して、そんなことを思い出していた。
年間、何十社も取材するけれど、久しぶりにキラキラと輝く人たちを見た気がした。
この仕事をしていなければ、絶対に出会うことのなかった人たち。
いつも感動する。いい記事を書こうと思う。

私は企業取材が好きだ。人の想いや生き様を垣間見ることが幸せだ。
それができている今、やっぱり自分は運がいいなぁと思うのだ。

ひのきかっ!!

2013-11-07 | 仕事
80ページの冊子が、あとは取材企業からのチェックバックを残すのみとなった。
筆舌に尽くしがたいほどの大変さではあったが、出来上がった誌面を見れば、やはり嬉しいもの。

しかし、その中に、各企業を取材した学生のレポートが入っているのだが、これがもう・・・本当にひどくて。
多少は修正したが、「基本的にはそのままで掲載してください」と言われているのであまり手を加えるわけにはいかない。
読んでいて、憤りというか・・・わけのわからない悔しさというか、哀しみというか・・・いろんな思いがこみ上げてきて、泣きそうになった。

仮にも「大学生」である。
私立なので年間100~150万円くらいはかけているはずである。
それがこれなのか!!

たぶん、私がこう言うと、「そりゃ、あなたはプロのもの書きだから・・・」「私だって文章はうまくないわよ」という人もいるだろうと思う。
いやいや・・・。そういうレベルじゃないのだ。

「今回、企業の取材ツアーに参加して思ったことは、・・・・・・・・と僕は思いました」
「社長いわく、●●●●と言っておられました」
「社員にとって身近で物が製造されているという光景が拝見できることが魅力である」

こういう文章の羅列なのだ。
今の大学生のレベルって、こんなに低いの?
ひのき(私が教えていた補習塾)のCクラス(一番学力が低い)の作文と変わらない。

これを、彼らが言いたいことはそのままに、なるべく文章を変えず、企業様に失礼にならないような内容にしながら、きちんとした日本語に直す、という作業をやっていたら、なんだかもう情けなくて。
実はこの作業は得意なのだが、こんな特技をここで披露するとは思わなかった。
直しながら、「ひのきかっ!!」という、他人にはよくわからない自分ツッコミを何度も何度もした。
「なんて日だっ!」のトーンで。
この作業には本当にめちゃくちゃ時間がかかった。(なんと一人1000文字もあるのだ!)

でも、私は別にこの学生に対してイラついたわけではない。大変だったし、情けないなとは思ったけれど、人には得意不得意がある。
私だって走らせればカメのようだし、水の中では無様に溺れるし、絵を描かせれば幼稚園児と変わらない。
上手に文章を書けない人がいたって当然のこと。
これは、ひのきで一番最初に習ったことだ。

「そりゃ、先生にとったら簡単かもしれへんけど、俺らにとったら難しいねん」

最初に教えた中3の生徒から受けた洗礼。
この一言が私を覚醒させた。
そこから「自分にとったら」は一切考えないことにした。いつも「彼らにとって」どうなのかを考えて教えるということに徹した。
だから、私は決して優秀な先生でも賢い生徒を導ける先生でもなかったが、(愛すべき)アホたちには「わかる!」という言葉を引き出せたし、成績もそれなりに上げることができた。

そんな私が、学生のむちゃくちゃなレポートくらいでキレるわけがない。
私が憤っていたのは、その指導者たちだ。職員たちだ。
このレポートは職員を通して提出される。
「1回も目を通していないのか!!」
私が怒り狂っていたのは、そこだ。

大学の名前、学生の名前も一緒に掲載され、何千部と刷られていろんなところに配られる冊子だ。
なぜ目を通して、まともなものに書き換えてから提出しようとしないのか。
なぜ、自分の勤める大学を、学生を、貶めるようなことをするのか。
それが例えば見栄やプライドによるものでも構わない。
むしろ、そういう見栄やプライドなら持っていてほしい。

あんな中学生でも書かないようなむちゃくちゃな日本語のレポートを、大学の名前と個人の名前を入れたままで掲載しようとする、その神経がわからない。
いい大人なのに、仕事なのに、責任感というものはないのだろうか・・・。

前に書いたが、レポートにおいても、大学の差は歴然としていた。
あの取材ツアーで一生懸命指導してくれていた大学は、やはりレポートもよかった。
そして、何の指導もしていなかった大学が、このむちゃくちゃなレポートだった。

子供たちを、若者を、将来を、良くしたいとは思わないのだろうか。
それが大人の役目ではないのか。ましてや、大学の職員ともあろうものが・・・。
それを思うとギリギリと歯ぎしりするほど悔しかった。(これは大げさじゃない!)

しかし、この仕事は、良くも悪くも、本当にいろんなことを学ばせてくれたなぁと思う。
通常の3分の1くらいの金額でやらされたが、お金には代えられないこともいくつか得られた気はしている。

いつも「なんだかなぁ・・・」という出来事に遭遇したときは、こうつぶやくようにしている。
「どんなことでも、経験しないよりは、経験したほうがいい!」
今回も数十回、この言葉をつぶやいた。それだけ困難な出来事が多かったということだが・・・。

一番よかったのは、何と言っても「文章を書く」という感覚を思い出せたことだ。
とにかく書きまくった日々だった。
そして、「昔やっていたことが活かされている」と感じることができたこともよかった。
自分に交渉能力がないこともよくわかった。
無駄なことは何もない。

1枚1枚、デザイナーからあがってくる誌面を見るのは感慨深い。

そうやってひたっている間もなく、次の冊子がスタートした。
これは、私が大ファンのイラストレーターさんと初コラボ作品になるので、楽しみで仕方がない。
内容も、ややコラム的なので(内容は中小企業についてとか、シュウカツのポイントみたいなやつだけど)書いていても楽しい。
何より、一人じゃないということが心強い。信頼できるデザイナー兼ディレクターさんと一緒に動いているからだ。

そして、この後、12月からスタートする冊子がさらに楽しみで・・・。
これは、10人くらいの職人さんを取材するもの。考えるだけでわくわくする。

最近、こんなふうに、少しずつ私らしさを出せる仕事が増えてきた。
気がつけば、2013年も終わりに近づいている。(はやっ!)
年末にはきっと「今年はいい年だった。頑張れた!」と思えるような気がする。
くじけそうな自分を支えてくれるのは、過去に頑張ってきた自分だけ。
それを知っているから、まだ上りたいから、がんばることはやめられない。


束の間の休息

2013-11-05 | 生活
確か、「毎日書く!」と言っていたはず・・・。
それがいきなり3日空きかい!!
とつっこんだ人も多いだろう。

この連休は久しぶりに休みがとれたのだ。
土曜日は夕方まで仕事をしていたが、夜は夫の親友で沖縄に住んでいる原田くんと会った。
お兄さんの結婚式でこちらに帰って来ていたのだ。
なぜかまた原田くんのご両親や親戚と一緒に飲んだ。(ここは最近いつもそう。ご両親はうちにも遊びに来たことがある)
でも、とても楽しくて美味しい時間だった。

日曜は朝から晩まで家事をした。
大掃除してスッキリ!リビングも1時間半かけて雑巾がけ。つるつるピカピカになった。
衣替えもしたし、部屋と何度も少し片付けて、夜は久しぶりに夫と二人でおうちごはん。
そんな普通のことが今は楽しいし、ストレス解消になる。

祝日は姫子(姉)の家へお呼ばれ。
写真はまたの機会に。
とりあえず、料理12品とデザート3品を手作り!!
シンガポールに3年いた間に、シンガポール料理や中華料理を習っていたので本格的なのだ。
お菓子作りも素人のそれではない。
小林かなえ、津田陽子など、わりと有名な先生のところで何年か習っていたので、とにかくうまい。
最近は、堂島ロールを越えると言って、姫ロールの研究に明け暮れていた。
この日、それを披露してくれたが、確かにおいしかった。

そんな感じで3連休は毎日食べて飲んで暮らしていたら、夜はもうふらふらになって、気を失うように寝てしまっていたのだ。
もちろん、さらに太ったよ!!

でも、ちょうど80ページの入稿が終わったこともあり、2ヶ月ぶりに心からゆっくりできた。
ストレス解消できた気がする。

また今日からハードだけど、この休息のおかげでがんばれそうだ

幸せの味と眠り

2013-11-01 | 美味しいもの
今日から11月。
毎年のことながら、秋が過ぎ去るのが早い。
年賀状も発売された。ついこの間、お正月を迎えて皆でお祝していたような気がするのだけど。

10月はほとんどブログを更新しなかったので、月が変わったのを機に11月は毎日書こうと思う。
短くても内容がなくても(たとえ3行でも!)とにかく毎日書く。

今日も1日仕事をしているだけで話題には乏しいのだが(面白いこともなーんもないしね)、昨日は3ヶ月ぶりくらいにびりけんへ行った。
ちょっとだけ仕事が一段落したので、取材の後、一人で寄った。
本当はいろいろ終わっていなくて中途半端になったから今日行くべきだったんだけど、マスターに「行きます」と言っていたからやめるわけにもいかず・・・。

でも、ちょっと無理して行ってよかった。
お隣のお金持ってそうな商社マンと司法書士(?)のおじさまが、ワインを持ち込んでいたのだ。
アマローネとバローロ。
私もお相伴にあずかったのだが、そのワインが本当に美味しくて、ラッキーだった。

お料理も12品食べた。
・ひしの実
・ジェノベーゼソースを塗ったバゲット
・むかご
・ハヤトウリ、柿、カブ
・小鯵のお造り
・野菜を煮込んだ椀物
・柿、自家製ベーコン、じゃがいも、ゴルゴンゾーラの焼き物
・天然鰻の白焼き
・天然鰤大根
・牛スジと豆の煮込み
・野菜のムニエル
・鰹の酒盗を混ぜた焼きそば

どれも美味しくて最高だった。

途中、ずーとみんな日本シリーズを見ていたのだけど、おっちゃんらが3人とも名監督ぶりを発揮するのが面白くてたまらなかった。
サッカーでもよくやるけど、みんな偉そうなのだ。
あの口ぶりを見ていると、すぐ優勝できそうな感じ・・・。

私は横でケラケラ笑いながらお酒を飲んでいた。
やっぱりびりけんはいいなぁ。

最近、ろくなものを食べていなかったから、料理もお酒もしみた。
幸せの味。
なんだか久しぶりにリラックスして、すごく元気になった。

でも、修正が入っているのが気になったのと眠いのとで、終電どころか9時半くらいに店を出た。
眠くて眠くてたまらない。
でも、こんなに心が軽いのは久しぶり。

帰って修正だけやって、ふらふらのまま布団にもぐりこんだ。

明日も朝から頑張らないとなぁ・・・と思いながら。
幸せな眠りだった。