月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

これは奇跡を起こす手なんだろうか。

2021-05-21 | 仕事
最近、今後の仕事について、結構真剣に考えていた。お腹が痛くなるくらい考えていた。

今年50歳。
最低でもあと10年(できれば死ぬまで)、書いて稼いで、個人事業主として自立した生活(夫の扶養に入らず、自分で税金や社会保険料を払うということ)を続けるにはどうしたらいいのか。

2年前のガンの再発、そしてこの1年のコロナで、人生は何が起こるかわからないことを実感。
「現場で取材して記事を書く」という極めてアナログな仕事に、一体いつまで需要があるのか。
私はそれが好きだが、それを望む人がいなくなれば、単純に「食えなくなる」。
「数は少なくても、やりたいことだけをやろう」というスタンスなら、そこを追い求めて生きていけばいいが、多少自分の信念を曲げてでも、稼ぐこと、自立することのほうが私にとっては大事なわけで。

気づけば世の中には「WEBライター」と称する人々が溢れていた。
ずっとライターという職業は、大きく分ければ「取材ライター」と「コピーライター」の2つだと思っていたが、今は3つ目のWEBライターがいる。
いろいろ調べていると、WEBライターになるための講座や、検定資格まであるようだ。
クライアントと顔を合わせることなくネット上でのやりとりになるから、そういう資格のようなものが「信用」に結び付くのだろう。
ライティングだけでなく、SEO対策の知識とか、WordPressでの入稿の仕方とか、そういうことも学べる。
全く知らなかった。
私が知らないところで、いろんなことが動いていたんだ。

そんなにWEBライターという人が溢れているなら、仕事はたくさんあるんだろうと、そこもいろいろ調べてみたが、どうしても自分がやりたいと思える案件がない。
まず、「1文字○円」という報酬の金額設定に拒否反応が起きてしまう。
それは「安いから」ではない。
文字単価で自分の文章に値段を付けられることへの嫌悪だ。
なぜなら、先日も古賀氏の本の紹介で書いたが、推敲して一気に何百文字も削除することもあるわけで。
出来上がった原稿は、○円×文字数で計算できるようなものではないのだ。

それに、文字数やSEO対策を意識した文章は、自分が書きたいものとは違うように思う。
それこそ、これから先、AIにとって代わられるようなものも多いんじゃないか。
と考えると、WEBライターという仕事は、「ライター」と付いているだけで、私がやっている職業とはまったく別のものだと考えてもいいように思う。

さっき私は「多少自分の信念を曲げてでも、稼ぐこと、自立することのほうが私にとっては大事なわけで。」と書いていたが、これは「信念を曲げる」とか、そういうレベルの話ではなく、「違う職業に転職する」という話だ。
そう気づいたら、WEBライターの仲間入りをするという選択肢もなくなった。
さあ、困った。

それで、ここのところずっと、これからどうしようか、自分は何がしたいのか、どんなものを書きたいのか、誰とつながって、どんな仕事で世の中に役に立ちたいのか、そんなことを考えていた。
今は幸い、仕事はある。レギュラー案件もある。
だけど、これが来年も、5年後も、10年後もあるかどうかはわからない。
ならばやっぱり今のうちに、10年先までできる仕事をつくっておかなければならないのではないか。

春先に、少し年下のライターさん(数年前に知り合って3回ほど飲みに行った)から連絡があり、「今私がやっている案件のクライアントが、もう少しこのコンテンツを広げたいので、ライターを増やしておきたいと言うので、かおりさんをご紹介していいですか?」と言ってくれた。
仕事の幅が広がることはもちろん嬉しいが、同業者から声がかかるということが何より嬉しかった。
自分が認めているライターでなければ、大事なクライアントに紹介など絶対にしないはずだから。

でもこうやって、「待ち」の態勢でいていいんだろうか、とも思う。
常にいろんなクライアントやデザイナーさんから声がかかって、単発の案件をこなしてきたわけだが、もっと積極的に自分のやりたいことをアピールして仕事を取ってくるくらいのことをしないといけないんじゃないだろうか。
そうしないと、この先、50歳を超えて年を重ねていけば、もうお声もかからなくなってくるかもしれない。
そんなことをまた悶々と考える。

そうしたら、つい先日、また別のライターさんから連絡があった。
日本酒関連の仕事もされている人なので、その共通項でも話すことがあったが、もう何年も会っていない人。
びっくりしたが、「ライターとつながりたい人がいるので紹介したい」と言ってくれる。
「何年もご無沙汰しているのに、なぜ私に?」と尋ねると、「私は『想い』のある人が好きだから。そういう人と一緒に成長発展したいので」と言ってくれた。
その言葉で、やってみようと思えた。ありがたかった。

まだきちんと受注できるような仕事に発展するかはわからないが、彼女の属しているビジネスグループとつながりを持たせてもらえるとのこと。
その中に、地酒の販売をやっている人がいるようなので、その人のビジネスをライティングでお手伝いできるかもしれない。

そういえば私はまだ一度も異業種交流会のようなものに参加したことがない。
もしかしたら、こういうところにこそ、私がやりたい仕事が転がっているんじゃないかと、ハッとした。
自分がこれまでやってきたことは、取材とライティングで、いろんな企業や人のビジネスに役立つこと。
もちろん酒類業界のためになるなら嬉しいが、業界は何だっていいのだ。
書くことで、誰かのビジネス発展のために役立ちたい。やっぱりそれだ。

そこに気づいたら、目の前の霧がさーっと晴れていった。
新しいご縁、新しい仕事、いつも私が一番わくわくすること。
まだどうなるかわからないが、なんとなくうまくいくような、新たな道が拓けるような、そんな予感。

本当に不思議だけど、人生でいつも進むべき道に本気で悩んだ時は、必ずどこからか道を示す手が伸びてくる。
今回もそうだ。
「なぜこの人が?」というところからのお誘いだから、よけいにそう思う。奇跡の予感がする。
人生で何度か起きた奇跡の出会い。
今回もそうであってほしい。私に差し出されたのが、奇跡を起こす手であってほしい。

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