読みながら何度か「作者は私のブログを読んで資料にしたのではないだろうか」と思った。
そんなはずはないのだが、主人公の状況や考え方に似ているところがたくさんあって。
「ライオンのおやつ」著:小川 糸
30代で子宮がんになり辛い治療を続けたあげく、余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピス「ライオンの家」で残りの日々を過ごす。
これは雫がホスピスにやって来てから亡くなるまでの物語だ。
私自身がガンになってからの気づき、想い、決意、考え方の変化などが、同じように書かれている部分がたくさんあり、他の人ならスルーしてしまうような言葉が胸に刺さった。
例えばこんな文章。
「ありのままの自分を丸ごと受け入れて、醜い部分も、未熟な部分もすべて認めて、素直になろう。
看護師さんや周りの友人を気遣って、痛いのに痛くないふりをしたり、辛いのに平気だと笑うのも、もうやめよう。
いい子ちゃんを、卒業しよう。
それは、神さまから私への啓示のようだった。」
「自分がこれまでいかに無理をして、崖っぷちで生きていたかがよくわかる。
体は、必死に悲鳴をあげていた。
このままでは危ないと、警告を発し続けていた。
でも私は、その声を無視して、自分の生き方を変えなかった。
その結果が、ステージⅣだ。
意固地になって、ひとりでがんばりすぎたのかもしれない。」
「自分の運命を呪ってばかりいた過去の自分を反省した。
そして神さまに、感謝の気持ちを伝えたくなった。
それは、今ここに自分が生きて存在する、ということに対しての深い深い祈りにも似た感情だった。」
ガンではない人が読むよりもずっと、私は緊張感をもって、この物語を読み進めた。
なぜなら、雫がだんだん弱っていく様子、痛みがひどくなっていく様子、そして死ぬ間際の様子までが、本人目線でリアリティを持って書かれていたからだ。
そうか、私もガンが進行すれば、こんなふうに弱って、こんなふうにモルヒネで痛みを緩和させ、こんなふうに死と対峙するのかと思った。
でも、この物語は、「死」というものを「恐怖」だとはとらえていない。
むしろその逆で、読んでいくうちに「死ぬってそんなに怖いことではないのかもしれない」と思うようになる。
生まれた限り、誰もが必ず経験する「死」。遅かれ早かれ。
それだけは、男も女も関係ない。肌の色も、生まれた国も、金持ちか貧乏かも、どんな仕事をしているかも、どれだけ人に愛されているかも関係ない。非情なほどに平等だ。
そして生きている誰も「死」を知ることがない。だから恐怖なんだろう。未知なるものは怖いから。
この物語がたどり着いた「死の瞬間」は、あくまでも作者の想像であり創作でしかないもの。
ただ、読んだ人は少しだけ「死の瞬間」を恐れずに受け入れることができるかもしれない。生きていることをもっと大事に考えようと思えるかもしれない。
おそらく、それが作者の目指したところだと思うから、読後感はとても爽やかで、なんだかきれいな涙が流れた。
そんなはずはないのだが、主人公の状況や考え方に似ているところがたくさんあって。
「ライオンのおやつ」著:小川 糸
30代で子宮がんになり辛い治療を続けたあげく、余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピス「ライオンの家」で残りの日々を過ごす。
これは雫がホスピスにやって来てから亡くなるまでの物語だ。
私自身がガンになってからの気づき、想い、決意、考え方の変化などが、同じように書かれている部分がたくさんあり、他の人ならスルーしてしまうような言葉が胸に刺さった。
例えばこんな文章。
「ありのままの自分を丸ごと受け入れて、醜い部分も、未熟な部分もすべて認めて、素直になろう。
看護師さんや周りの友人を気遣って、痛いのに痛くないふりをしたり、辛いのに平気だと笑うのも、もうやめよう。
いい子ちゃんを、卒業しよう。
それは、神さまから私への啓示のようだった。」
「自分がこれまでいかに無理をして、崖っぷちで生きていたかがよくわかる。
体は、必死に悲鳴をあげていた。
このままでは危ないと、警告を発し続けていた。
でも私は、その声を無視して、自分の生き方を変えなかった。
その結果が、ステージⅣだ。
意固地になって、ひとりでがんばりすぎたのかもしれない。」
「自分の運命を呪ってばかりいた過去の自分を反省した。
そして神さまに、感謝の気持ちを伝えたくなった。
それは、今ここに自分が生きて存在する、ということに対しての深い深い祈りにも似た感情だった。」
ガンではない人が読むよりもずっと、私は緊張感をもって、この物語を読み進めた。
なぜなら、雫がだんだん弱っていく様子、痛みがひどくなっていく様子、そして死ぬ間際の様子までが、本人目線でリアリティを持って書かれていたからだ。
そうか、私もガンが進行すれば、こんなふうに弱って、こんなふうにモルヒネで痛みを緩和させ、こんなふうに死と対峙するのかと思った。
でも、この物語は、「死」というものを「恐怖」だとはとらえていない。
むしろその逆で、読んでいくうちに「死ぬってそんなに怖いことではないのかもしれない」と思うようになる。
生まれた限り、誰もが必ず経験する「死」。遅かれ早かれ。
それだけは、男も女も関係ない。肌の色も、生まれた国も、金持ちか貧乏かも、どんな仕事をしているかも、どれだけ人に愛されているかも関係ない。非情なほどに平等だ。
そして生きている誰も「死」を知ることがない。だから恐怖なんだろう。未知なるものは怖いから。
この物語がたどり着いた「死の瞬間」は、あくまでも作者の想像であり創作でしかないもの。
ただ、読んだ人は少しだけ「死の瞬間」を恐れずに受け入れることができるかもしれない。生きていることをもっと大事に考えようと思えるかもしれない。
おそらく、それが作者の目指したところだと思うから、読後感はとても爽やかで、なんだかきれいな涙が流れた。
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