月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

入院3日目のミッション

2020-04-25 | 
抗がん剤投与が昨日終わり、いつものように睡眠薬でももられたかのようにぐっすり眠って朝が来た。
副作用が強い人でも、副作用が始まるのは退院後だから、私など十分な睡眠をとっていつもより元気なくらいだ。
しかし、今回はあまり食欲が湧かない。
昨日の夜ご飯は最悪で、ハンバーグだった。
ハンバーグは大好物だが、それは肉や焼き方、ソースにこだわったもののことであり、病院のハンバーグは別物。
何の肉かわからない、業務用の冷凍ハンバーグを温めて(おそらく)、ケチャップをかけてある。
これが、なんとも食が進まない。
普段ならまだ食べれるが、抗がん剤の後は舌が妙に敏感になっており、熱い、辛いを嫌い、細やかな味をきき分けてしまう。
吐きそうになり、それでも頑張って7割は食べた。
せめてサラダでも、と別の皿の蓋をあけると、ひじきと大根に、しっかり刻んだきゅうりが混ぜられている。
きゅうりが食べられない私は、手もつけずに蓋を閉めた。
そして、水分量を間違えたとしか思えない、柔らかすぎる粒が形をなくした白飯だけかきこんだ。
ひどい眠気に襲われなかったら、空腹で眠れなかったかもしれない。

病院では、朝ごはんが一番好きだ。
一番しょぼいのだが、食べやすい。
牛乳、バナナ、ごはん、味噌汁、野菜か卵のおかず一品。
それに、ふりかけか海苔などがついてくる。
この「ごはんの友」が本当にありがたく嬉しい。
私はお酒のアテばかり作っているので、わりと味付けが濃い。と言っても、料理本などに載っている正しい分量だ。
必要以上に濃くしているという意味でなく、濃い目でアテになりそうな料理が好きということだ。
もちろん、出汁で食べさせるものや、素材を生かすような料理は別だし、後追いで調味料をかけることもほとんどない。
私は「薄味」と「味が足りない」料理は別だと思っているが、病院の料理はまさに後者。栄養士さんが考えて、塩分控えめになるようにしているのはわかるが、「あ~、あと醤油をちょっとかけるだけで美味しくなるのに」みたいなものが多い。
そういう気持ちがだんだん強くなってきて、どうしたわけかお腹はすいても食が進まない。
今日も昼ごはんを残してしまった。
パッサパサの赤魚の西京漬けはなんとか食べきったが、牛肉とピーマンのきんぴらは無理だった。

いつもなら土曜は夫が面会に来て、一緒に院内のドトールに行き、ちょっとおやつをつまんでカモミールティーを飲むのだが、面会禁止なので一人でドトールへ行く気持ちにはならない。
あまりにお腹が減るので自動販売機でコーヒーを買って飲んで紛らわしている。

退屈はそれほどしていない。
パソコンが使えたら、もっと楽しいのだが、読書三昧でのんびりと過ごしている。
天気も良いし、窓際でよかったとまた思う。

今年に入ってからだろうか、今更ながら宮尾登美子作品を読んでいっている。きっかけは「蔵」という新潟の酒蔵が舞台になっている作品を読みたかったからだ。
先ほど代表作「櫂」を読み終えた。
四部作になっているとは知らず、「仁淀川」から読み始めてしまい、おかしなことになったが、独立した物語なのでどこから読んでもなんとかなる。「スターウォーズ」みたいなものか?
1→2→3→4と読むところ、4→2→1→3となってしまった。残りは3だけ。

それも持参しているが、先に「サピエンス全史」を読む。これから取りかかる。上下巻あるので、せめて上だけでも読みきって帰りたい。

三年くらい前に流行った「サピエンス全史」。
イスラエル人歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリの著書で、日本だけでも121万部を突破している。
正直、特別興味のある分野ではないのだが、何年も前に仕事でお世話になり、今でも懇意にしてもらっている社長さんからメールが届き、「読んだことがありますか?」と。自分は以前読んで、再読中で改めて面白い。人生のナンバーワンかもと。
正直に未読であると伝えると、「読まれますか?」というので、「はい、読んでみます!」と答えたら(もちろん本気で読むつもり)、翌々日にはAmazonを通して上下巻が送られてきた。

ありがたいが、これは読まないわけにはいかなくなった。
近々会うときまでに!と思っていたらコロナでお会いできなくなり、私もバタバタで先延ばしにしていて、ようやく今日から取りかかることになったのだった。

なぜこんなに大層に書いているかといえば、内容が難しいのだ。
社長も「オリラジの中田がYouTubeで解説してるから、それを見てください」と最初に伝えてきた。
つまり、解説が必要なほど難しいのだ。
(3月にはTIME誌にコロナウイルスについての見解を寄稿している。)
http://web.kawade.co.jp/bungei/3455/

そんなわけで、「読む」のではなく、「取りかかる」と大げさに書いているというわけだ。
こうなると頼りはオリラジのあっちゃんだけ、、、
読破したら、ぜひここで感想をまとめたいと思う。