月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

祝杯

2016-08-23 | 
19日は夫がまだ夏休みだったので、病院に一緒に来てくれた。
いつものように3本採血して検査結果が出るまで1時間半待つ。
結局、診察室に呼ばれたのは3時間後だったのだが、待ち時間が長いのはもう慣れっこだなので特に何も思わなかった。

診察室に入るのが一人ではなく夫もいると心強い。
先週とったCTの結果とあわせて診断を聞いた。

腫瘍マーカーの結果はすべて正常値!
CTも特に治療が必要になるようなことはなかった。
細かく言えば、肺と甲状腺に本当に小さな小さな傷があったのだが、私くらいの年齢の人の肺で何も写らないほうが珍しいとのこと。
風邪を引いた時などにちょっとした炎症を起こし、それが治った後にできるという。
また、甲状腺も造影剤を入れて見てもまだわからないくらい小さなもので、普通のCTでは発見できないだろうとのこと。
とはいえ、先生がそういう話をし始めると緊張感が漂う。
まさか転移?!と勘ぐってしまう。

ただ、肺を取り出して検査するわけにもいかないので、今は「経過観察」ということになった。
年末くらいにもう一度CT検査をして、その「傷」がどう変化しているのか見ましょう、と。

こう書くと、「え!まだ検査あるのん?完治とちゃうやん!」と思うかもしれないが、「完治」だ。
逆に言えば、これが「完治」でないなら、私はもう一生「完治」することはない。
一度ガンになってしまえば、生きている間ずっと再発の可能性を持って生きなければならないのだから。
CTの結果に関わらずこれから1年間は2ヶ月ごとに腫瘍マーカー(血液検査)と超音波、細胞診などをしていかなければならない。
だんだん回数は減っていくが、それでも10年間、定期検診を受けるのだ。
「ガンになる」というのは、そういうことなんだなと改めて思った。

だから、今は「体の中にガン細胞が認められない」ので、これは私にとっては「完治」。
肺も甲状腺も私は心配していない。先生も「気にするほどでもない」という感じだった。
おそらくガンになっていない人が人間ドックなどでこのCTの結果が出てもスルーされる程度のこと。ただ、私の場合は「ちょっとでも疑わしいもの」があれば、早め早めに疑って突き詰めていくしかないのだ。

そんな感じで、ややモヤモヤした診断ではあったが、夫と手を取り合って喜んだ。

完治だ!!

これからはよくなっていくだけ。
脱毛も、足の痺れも、疲れやすいのも、これから悪くなることはない。
とにかくもう抗がん剤をしなくていいと思うと嬉しくて仕方がなかった。

この日は夫と乾杯してもよかったのだが、ゆうちゃんといわさきっちと約束があり、夫とは別れた。
ゆうちゃんのお誕生日会だったので、久しぶりに「れだん」へ。

いつもは3品1900円のコースを頼むのだけど、二人はいつもゴハンやデザートを欲するので、今回は初めて7品3900円コースに。

もし3品なら、こんな感じ。(内容は変わるけど、ボリュームなど)

最初に温かい前菜の1品があって、


お造りの盛り合わせ


いろんなアテの盛り合わせ


「3品」と言っても、品数でいうと3ではきかず、「3皿」というほうが正しい。
なので、「え!これで1900円?!」とコスパもよく感じられるし、酒飲みにしたらいろんなアテをちびちびやれるという嬉しさもあった。

7品にすると、あとは以下の4品がついた。

鱧とまつたけの土瓶蒸し


しめ鯖のサンドイッチ


うどん


ジェラート


正直に言うと、やっぱり3品にしておけばよかったなと思った。
土瓶蒸しはおいしかったが、最後の3品は特に必要なかったかな、と。(美味しくないという意味ではない)
サンドイッチあたりから、3人ともテンションが下っていくのがありありとわかった(笑)

でも、お酒も美味しかったし、楽しい会であったことは間違いない。


ゆうちゃんのお誕生日と、私の快気祝いと、いわさきっちの仕事での嬉しい話と。
いい話題ばかりで、幸せな空気が満ち満ちていた。

そして翌日。

神奈川にいるあいちゃんがお盆で帰って来ているということで、かどやから連絡があり、3人で飲みに行くことに。
かどやが少し遅れていて、あいちゃんと待ち合わせ場所で顔を合わせると、私の顔を見て急に泣き出してしまった。
「よかったなぁ・・・ほんまによかった・・・」と。
中学からの長い付き合いになるけれど、彼女が自分や私のことで泣くのを見たことがなかったので、びっくりして私も泣きそうになり、思わず場をごまかすために「そんな人間らしい感情、残ってたんか!」と言ったら「ひどい」と少し笑って、二人で笑って泣き止んだ。
手術の後、退院後もわざわざ来てくれたことを思い出し、また目の奥が熱くなる。

そのうちかどやが来て、店に移動。
昨日も友達と食事だったと話すとかどやがびっくりして、「夫婦でお祝いできてないやん!それはあかん!」と、夫を呼び出してくれた。
近くだったので夫も来てくれて、4人で乾杯した。

連日飲み会であまり飲めないかなと思ったけど、終電をなくすまで飲んで、みんなタクシーで帰った。
さすがに翌日は起き上がれなかったが、とても幸せな2日間だった。
本当にありがたいこと。

十代に出会った友達と20年、30年と一緒にいられること。
お互いが苦しい時には心を痛め、幸せなときには自分のことのように喜びあえること。
もちろん、この2日間に会った友達だけでなく、多くの人の“心”を感じられた闘病生活だった。
ありがとうと言葉を尽くしても感謝を伝えきれないから、いろんな人につなげてもらった命を大事にして生きていこうと思う。