月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

初めてのサシ飲み

2015-06-24 | 想い
「波長が合うなぁ」と感じる人、というのがたまにいる。
ディレクターのマキコちゃんもその1人で、昨年夏から冬にかけて、あるプロジェクトで仕事をさせてもらったのが出会い。
最初に話したときから、初めて会った人という気がしなくて。
数回ミーティングや取材で顔を合わせるうちに、より気軽に話せるようになった。

今度、介護施設の販促用フリーペーパーの制作をT社長から任せてもらえることになり、ディレクションをお願いした。
今日はその初めての打ち合わせで、T社長と3人で会った。
打ち合わせは非常にスムーズに進み、「やっぱりお願いしてよかった!」と心から思ったし、T社長もマキコちゃんを気に入ってくれたようでホッとした。

T社長と別れた後、自然と「軽く1杯行きますか?」ということになった。
大勢でのランチや打上げでの飲み会は2、3回あったけれど、サシで飲むのは初めて。
「軽く1杯ビールでも」ということだったので、エビスバーへ行った。

彼女はまだ2歳になろうかという小さな子供がいるので、お酒は好きでもなかなか外で飲む機会がないとのこと。
メニューを見て「わー!いっぱいあるー!」「どれにしよー!」とはしゃいでいる姿がかわいかった。

初めてのサシ飲みだというのに、緊張感のようなものは微塵もなく、まるで昔からの友達のような気安さ。
「1杯」のつもりがつい「4杯」となり、結局3時間近くしゃべっていた。
途中、「最初からしゃべりやすかった。波長が合うと思っていた」と告白すると、「私もそうです!」と。
なんだか嬉しかった。

年は私より6歳下。
ずっと広告やマーケティングの世界で、デザイナーやディレクターとして活躍している人。
これまで3回ほど転職されているが、面接の時に必ず聞いたのは「結婚、出産をしても働き続けてよいか?」ということだったという。
子供が産まれたけれど、産まれたときから心臓の病気で入院・手術があって、1年くらい本当に大変だったという話も聞いた。
そんな状況でもすぐに仕事に復帰し、病院に通いながら仕事をしていたらしい。
肉体的にも精神的にも普通ならまいってしまうような状況だろう。
でも、むしろ「仕事をしていたから」、子供の病気・子育てという厳しい現実も乗り越えられた、と。

そう話すのを聞いて、東村アキコさんの「かくかくしかじか」という漫画の最終巻を思い出した。
本当にやりたい仕事を持っている人って、強い。

辛い現実だけと向き合っていると、そのことで頭がいっぱいになってしまい、どんどん精神的にやられてしまう。
もちろん彼女だって平気だったわけではなく、子供の病気のことをネットでつい調べてしまい、悪いことが書かれているのを見ては落ち込んで、泣きじゃくっていたという。
だから、必死に仕事をした。
仕事をしている間だけは、忘れることができたから、と。
「仕事に救われる」という感覚はよくわかる。

私が最初から彼女に惹かれたのは、たぶんそういう強さなんだろうなと思った。
心が強いというわけではない。
私が思う「生命力の強さ」。

私自身もそうなのだ。
何か本当にキツイことがあったときには、生きる術を考える。
ある意味、図太いのかもしれないけれど、自分を闘わせて生きようとする。
そういうところが似ているし、波長が合うと感じた理由なのかな、と思った。

「仕事をしない人生は考えられない」というところも同じ。
「ものづくり」が好きなところも。
彼女と一緒だと、なんだか安心してライティングができる。

これからスタートするフリーペーパー。
内容は、これまで全く縁のなかった「介護」なので、また勉強の日々。
でも、また新しい世界を知れる。
それは、いいものを創るのと同じくらい、私にとっては嬉しいことだ。