カナ文字文庫(漢字廃止論)

日本文学の名作などをカナ書きに改めて掲載。

ガラスド の ウチ 4

2018-01-20 | ナツメ ソウセキ
 25

 ワタクシ が まだ センダギ に いた コロ の ハナシ だ から、 ネンスウ に する と、 もう だいぶ ふるい こと に なる。
 ある ヒ ワタクシ は キリドオシ の ほう へ サンポ した カエリ に、 ホンゴウ 4 チョウメ の カド へ でる カワリ に、 もう ヒトツ テマエ の ほそい トオリ を キタ へ まがった。 その マガリカド には その コロ あった ギュウヤ の ソバ に、 ヨセ の カンバン が いつでも かかって いた。
 アメ の ふる ヒ だった ので、 ワタクシ は むろん カサ を さして いた。 それ が テツオナンド の 8 ケン の フカバリ で、 ウエ から もって くる シズク が、 ジネンボク の エ を つたわって、 ワタクシ の テ を ぬらしはじめた。 ヒトドオリ の すくない この コウジ は、 スベテ の ドロ を アメ で あらいながした よう に、 アシダ の ハ に ひっかかる きたない もの は ほとんど なかった。 それでも ウエ を みれば くらく、 シタ を みれば わびしかった。 しじゅう とおりつけて いる せい でも あろう が、 ワタクシ の シュウイ には なにひとつ ワタクシ の メ を ひく もの は みえなかった。 そうして ワタクシ の ココロ は よく この テンキ と この シュウイ に にて いた。 ワタクシ には ワタクシ の ココロ を フショク する よう な フユカイ な カタマリ が つねに あった。 ワタクシ は インウツ な カオ を しながら、 ぼんやり アメ の ふる ナカ を あるいて いた。
 ヒカゲ-チョウ の ヨセ の マエ まで きた ワタクシ は、 とつぜん 1 ダイ の ホログルマ に であった。 ワタクシ と クルマ の アイダ には なんの ヘダタリ も なかった ので、 ワタクシ は トオク から その ナカ に のって いる ヒト の オンナ だ と いう こと に キ が ついた。 まだ セルロイド の マド など の できない ジブン だ から、 シャジョウ の ヒト は トオク から その しろい カオ を ワタクシ に みせて いた の で ある。
 ワタクシ の メ には その しろい カオ が たいへん うつくしく うつった。 ワタクシ は アメ の ナカ を あるきながら じっと その ヒト の スガタ に みとれて いた。 ドウジ に これ は ゲイシャ だろう と いう スイサツ が、 ほとんど ジジツ の よう に、 ワタクシ の ココロ に はたらきかけた。 すると クルマ が ワタクシ の 1 ケン ばかり マエ へ きた とき、 とつぜん ワタクシ の みて いた うつくしい ヒト が、 テイネイ な エシャク を ワタクシ に して とおりすぎた。 ワタクシ は ビショウ に ともなう その アイサツ と ともに、 アイテ が、 オオツカ クスオ さん で あった こと に、 はじめて キ が ついた。
 ツギ に あった の は それから イクカ-メ だったろう か、 クスオ さん が ワタクシ に、 「コノアイダ は シツレイ しました」 と いった ので、 ワタクシ は ワタクシ の アリノママ を はなす キ に なった。
「じつは どこ の うつくしい カタ か と おもって みて いました。 ゲイシャ じゃ ない かしら とも かんがえた の です」
 その とき クスオ さん が なんと こたえた か、 ワタクシ は たしか に おぼえて いない けれども、 クスオ さん は ちっとも カオ を あからめなかった。 それから フユカイ な ヒョウジョウ も みせなかった。 ワタクシ の コトバ を ただ ソノママ に うけとった らしく おもわれた。
 それから ずっと たって、 ある ヒ クスオ さん が わざわざ ワセダ へ たずねて きて くれた こと が ある。 しかるに あいにく ワタクシ は サイ と ケンカ を して いた。 ワタクシ は いや な カオ を した まま、 ショサイ に じっと すわって いた。 クスオ さん は サイ と 10 プン ばかり ハナシ を して かえって いった。
 その ヒ は それ で すんだ が、 ほどなく ワタクシ は ニシカタマチ へ あやまり に でかけた。
「じつは ケンカ を して いた の です。 サイ も さだめて ブアイソウ でしたろう。 ワタクシ は また にがにがしい カオ を みせる の も シツレイ だ と おもって、 わざと ひっこんで いた の です」
 これ に たいする クスオ さん の アイサツ も、 イマ では とおい カコ に なって、 もう よびだす こと の できない ほど、 キオク の ソコ に しずんで しまった。
 クスオ さん が しんだ と いう ホウチ の きた の は、 たしか ワタクシ が イチョウ ビョウイン に いる コロ で あった。 シキョ の コウコク-チュウ に、 ワタクシ の ナマエ を つかって さしつかえない か と デンワ で といあわされた こと など も まだ おぼえて いる。 ワタクシ は ビョウイン で 「ある ほど の キク なげいれよ カン の ナカ」 と いう タムケ の ク を クスオ さん の ため に よんだ。 それ を ハイク の すき な ある オトコ が うれしがって、 わざわざ ワタクシ に たのんで、 タンザク に かかせて もって いった の も、 もう ムカシ に なって しまった。

 26

 マス さん が どうして そんな に おちぶれた もの か ワタクシ には わからない。 なにしろ ワタクシ の しって いる マス さん は ユウビン キャクフ で あった。 マス さん の オトウト の ショウ さん も、 ウチ を つぶして ワタクシ の ところ へ ころがりこんで イソウロウ に なって いた が、 これ は まだ マス さん より は シャカイテキ チイ が たかかった。 コドモ の ジブン ホンチョウ の イワシヤ へ ホウコウ に いって いた とき、 ハマ の セイヨウジン が かわいがって、 ガイコク へ つれて ゆく と いった の を ことわった の が、 イマ かんがえる と ザンネン だ など と しじゅう はなして いた。
 フタリ とも ワタクシ の ハハカタ の イトコ に あたる オトコ だった から、 その エンコ で、 マス さん は オトウト に あう ため、 また ワタクシ の チチ に ケイイ を ひょうする ため、 ツキ に イッペン ぐらい は、 ウシゴメ の オク まで センベイ の フクロ など を テミヤゲ に もって、 よく たずねて きた。
 マス さん は その とき なんでも シバ の ハズレ か、 または シナガワ-ヂカク に ショタイ を もって、 ヒトリグラシ の ノンキ な セイカツ を いとなんで いた らしい ので、 ウチ へ くる と よく とまって いった。 たまに かえろう と する と、 アニ たち が よって たかって、 「かえる と ショウチ しない ぞ」 など と おどかした もの で ある。
 トウジ 2 バンメ と 3 バンメ の アニ は、 まだ ナンコウ へ かよって いた。 ナンコウ と いう の は イマ の コウトウ ショウギョウ ガッコウ の イチ に あって、 そこ を ソツギョウ する と、 カイセイ ガッコウ すなわち コンニチ の ダイガク へ はいる ソシキ に なって いた もの らしかった。 カレラ は ヨル に なる と、 ゲンカン に キリ の ツクエ を ならべて、 アシタ の シタヨミ を する。 シタヨミ と いった ところ で、 イマ の ショセイ の やる の とは だいぶ ちがって いた。 グードリッチ の エイコクシ と いった よう な ホン を、 イッセツ ぐらい ずつ よんで、 それから それ を ツクエ の ウエ へ ふせて、 クチ の ウチ で イマ よんだ とおり を アンショウ する の で ある。
 その シタヨミ が すむ と、 だんだん マス さん が ヒツヨウ に なって くる。 ショウ さん も いつのまにか そこ へ カオ を だす。 1 バンメ の アニ も、 キゲン の いい とき は、 わざわざ オク から ゲンカン まで でばって くる。 そうして ミンナ イッショ に なって、 マス さん に からかいはじめる。
「マス さん、 セイヨウジン の ところ へ テガミ を ハイタツ する こと も ある だろう」
「そりゃ ショウバイ だ から いや だって シカタ が ありません、 もって ゆきます よ」
「マス さん は エイゴ が できる の かね」
「エイゴ が できる くらい なら こんな マネ を しちゃ いません」
「しかし ユウビンッ とか なんとか おおきな コエ を ださなくっちゃ ならない だろう」
「そりゃ ニホンゴ で まにあいます よ。 イジン だって、 チカゴロ は ニホンゴ が わかります もの」
「へええ、 ムコウ でも なんとか いう の かね」
「いいます とも。 ペロリ の オクサン なんか、 アナタ よろしい ありがとう と、 ちゃんと ニホンゴ で アイサツ を する くらい です」
 ミンナ は マス さん を ここ まで おびきだして おいて、 どっと わらう の で ある。 それから また 「マス さん なんて いう ん だって、 その オクサン は」 と ナンベン も ヒトツコト を きいて は、 いつまでも ワライ の タネ に しよう と たくらんで かかる。 マス さん も シマイ には ニガワライ を して、 とうとう 「アナタ よろしい」 を ヤメ に して しまう。 すると コンド は 「じゃ マス さん、 ノナカ の イッポンスギ を やって ごらん よ」 と ダレ か が いいだす。
「やれ ったって、 そう おいそれと やれる もん じゃ ありません」
「まあ いい から、 おやり よ。 いよいよ ノナカ の イッポンスギ の ところ まで まいります と……」
 マス さん は それでも にやにや して おうじない。 ワタクシ は とうとう マス さん の ノナカ の イッポンスギ と いう もの を きかず に しまった。 イマ かんがえる と、 それ は なんでも コウシャク か ニンジョウバナシ の イッセツ じゃ ない かしら と おもう。
 ワタクシ の セイジン する コロ には マス さん も もう ウチ へ こなく なった。 おおかた しんだ の だろう。 いきて いれば ナニ か タヨリ の ある はず で ある。 しかし しんだ に して も、 いつ しんだ の か ワタクシ は しらない。

 27

 ワタクシ は シバイ と いう もの に あまり シタシミ が ない。 ことに キュウゲキ は わからない。 これ は コライ から その ホウメン で ハッタツ して きた エンゲイジョウ の ヤクソク を しらない ので、 ブタイ の ウエ に カイテン される トクベツ の セカイ に、 ドウカ する ノウリョク が ワタクシ に かけて いる ため だ とも おもう。 しかし それ ばかり では ない。 ワタクシ が キュウゲキ を みて、 もっとも イヨウ に かんずる の は、 ヤクシャ が シゼン と フシゼン の アイダ を、 ドッチツカズ に ぶらぶら あるいて いる こと で ある。 それ が ワタクシ に、 チュウゴシ と いった よう な おちつけない ココロモチ を ひきおこさせる の も おそらく リ の トウゼン なの だろう。
 しかし ブタイ の ウエ に コドモ など が でて きて、 カン の たかい コエ で、 あわれっぽい こと など を いう とき には、 いかな ワタクシ でも しらずしらず メ に ナミダ が にじみでる。 そうして すぐ、 ああ だまされた な と コウカイ する。 なぜ あんな に やすっぽい ナミダ を こぼした の だろう と おもう。
「どう かんがえて も だまされて なく の は いや だ」 と ワタクシ は ある ヒト に つげた。 シバイズキ の その アイテ は、 「それ が センセイ の ジョウタイ なの でしょう。 ヘイゼイ ナミダ を ヒカエメ に して いる の は、 かえって アナタ の ヨソユキ じゃ ありません か」 と チュウイ した。
 ワタクシ は その セツ に フフク だった ので、 イロイロ の ホウメン から ムコウ を ナットク させよう と して いる うち に、 ワダイ が いつか カイガ の ほう に すべって いった。 その オトコ は このあいだ サンコウヒン と して ビジュツ キョウカイ に でた ジャクチュウ の ギョブツ を タイヘン に うれしがって、 その ヒョウロン を どこ か の ザッシ に のせる とか いう ウワサ で あった。 ワタクシ は また あの ニワトリ の ズ が すこぶる キ に いらなかった ので、 ここ でも シバイ と おなじ よう な ギロン が フタリ の アイダ に おこった。
「いったい キミ に エ を ろんずる シカク は ない はず だ」 と ワタクシ は ついに カレ を バトウ した。 すると この イチゴン が モト に なって、 カレ は ゲイジュツ イチゲンロン を シュチョウ しだした。 カレ の シュイ を かいつまんで いう と、 スベテ の ゲイジュツ は おなじ ミナモト から わいて でる の だ から、 その ウチ の ヒトツ さえ うんと ハラ に いれて おけば、 タ は おのずから かいしえられる リクツ だ と いう の で ある。 ザ に いる ヒト の ウチ で、 カレ に ドウイ する モノ も すくなく なかった。
「じゃ ショウセツ を つくれば、 しぜん ジュウドウ も うまく なる かい」 と ワタクシ が ジョウダン ハンブン に いった。
「ジュウドウ は ゲイジュツ じゃ ありません よ」 と アイテ も わらいながら こたえた。
 ゲイジュツ は ビョウドウカン から シュッタツ する の では ない。 よし そこ から シュッタツ する に して も、 サベツカン に いって はじめて、 ハナ が さく の だ から、 それ を ホンライ の ムカシ へ かえせば、 エ も チョウコク も ブンショウ も、 すっかり ム に きして しまう。 そこ に なんで キョウツウ の もの が あろう。 たとい あった に した ところ で、 ジッサイ の ヤク には たたない。 ヒガ キョウツウ の グタイテキ の もの など の ハッケン も できる はず が ない。
 こういう の が その とき の ワタクシ の ロンシ で あった。 そうして その ロンシ は けっして ジュウブン な もの では なかった。 もっと センポウ の シュチョウ を とりいれて、 シュウトウ な カイシャク を くだして やる ヨチ は いくらでも あった の で ある。
 しかし その とき ザ に いた 1 ニン が、 とつぜん ワタクシ の ギロン を ひきうけて アイテ に むかいだした ので、 ワタクシ も メンドウ だ から つい ソノママ に して おいた。 けれども ワタクシ の カワリ に なった その オトコ と いう の は だいぶ よって いた。 それで ゲイジュツ が どう だの、 ブンゲイ が どう だの と、 しきり に べんずる けれども、 あまり ヨウリョウ を えた こと は いわなかった。 コトバヅカイ さえ すこし へべれけ で あった。 ハジメ の うち は おもしろがって わらって いた ヒトタチ も、 ついには だまって しまった。
「じゃ ゼッコウ しよう」 など と よった オトコ が シマイ に いいだした。 ワタクシ は 「ゼッコウ する なら ソト で やって くれ、 ここ では メイワク だ から」 と チュウイ した。
「じゃ ソト へ でて ゼッコウ しよう か」 と よった オトコ が アイテ に ソウダン を もちかけた が、 アイテ が うごかない ので、 とうとう それぎり に なって しまった。
 これ は コトシ の ガンジツ の デキゴト で ある。 よった オトコ は それから ちょいちょい くる が、 その とき の ケンカ に ついて は ヒトクチ も いわない。

 28

 ある ヒト が ワタクシ の ウチ の ネコ を みて、 「これ は ナン-ダイメ の ネコ です か」 と きいた とき、 ワタクシ は なにげなく 「2 ダイメ です」 と こたえた が、 アト で かんがえる と、 2 ダイメ は もう とおりこして、 そのじつ 3 ダイメ に なって いた。
 ショダイ は ヤドナシ で あった に かかわらず、 ある イミ から して、 だいぶ ユウメイ に なった が、 それ に ひきかえて、 2 ダイメ の ショウガイ は、 シュジン に さえ わすれられる くらい、 タンメイ だった。 ワタクシ は ダレ が それ を どこ から もらって きた か よく しらない。 しかし テノヒラ に のせれば のせられる よう な ちいさい カッコウ を して、 カレ が そこいらじゅう はいまわって いた トウジ を、 ワタクシ は まだ キオク して いる。 この カレン な ドウブツ は、 ある アサ ウチ の モノ が トコ を あげる とき、 あやまって ウエ から ふみころして しまった。 ぐう と いう コエ が した ので、 フトン の シタ に もぐりこんで いる カレ を すぐ ひきだして、 ソウトウ の テアテ を した が、 もう まにあわなかった。 カレ は それから 1 ンチ フツカ して ついに しんで しまった。 その アト へ きた の が すなわち マックロ な イマ の ネコ で ある。
 ワタクシ は この クロネコ を かわいがって も にくがって も いない。 ネコ の ほう でも ウチジュウ のそのそ あるきまわる だけ で、 べつに ワタクシ の ソバ へ よりつこう と いう コウイ を あらわした こと が ない。
 ある とき カレ は ダイドコロ の トダナ へ はいって、 ナベ の ナカ へ おちた、 その ナベ の ナカ には ゴマ の アブラ が いっぱい あった ので、 カレ の カラダ は コスメチック でも ぬりつけた よう に ひかりはじめた。 カレ は その ひかる カラダ で ワタクシ の ゲンコウシ の ウエ に ねた もの だ から、 アブラ が ずっと シタ まで しみとおって、 ワタクシ を ズイブン な メ に あわせた。
 キョネン ワタクシ の ビョウキ を する すこし マエ に、 カレ は とつぜん ヒフビョウ に かかった。 カオ から ヒタイ へ かけて、 ケ が だんだん ぬけて くる。 それ を しきり に ツメ で かく もの だ から、 カサブタ が ぼろぼろ おちて、 アト が アカハダカ に なる。 ワタクシ は ある ヒ ショクジチュウ この みぐるしい ヨウス を ながめて いや な カオ を した。
「ああ カサブタ を こぼして、 もし コドモ に でも デンセン する と いけない から、 ビョウイン へ つれて いって はやく リョウジ を して やる が いい」
 ワタクシ は ウチ の モノ に こう いった が、 ハラ の ナカ では、 コト に よる と ビョウキ が ビョウキ だ から ゼンチ しまい とも おもった。 ムカシ ワタクシ の しって いる セイヨウジン が、 ある ハクシャク から いい イヌ を もらって かわいがって いた ところ、 いつか こんな ヒフビョウ に なやまされだした ので、 キノドク だ から と いって、 イシャ に たのんで ころして もらった こと を、 ワタクシ は よく おぼえて いた の で ある。
「クロロフォーム か ナニ か で ころして やった ほう が、 かえって クツウ が なくって シアワセ だろう」
 ワタクシ は サン、 ヨタビ おなじ コトバ を くりかえして みた が、 ネコ が まだ ワタクシ の おもう とおり に ならない うち に、 ジブン の ほう が ビョウキ で どっと ねて しまった。 その アイダ ワタクシ は ついに カレ を みる キカイ を もたなかった。 ジブン の クツウ が ちょくせつ ジブン を シハイ する せい か、 カレ の ビョウキ を かんがえる ヨユウ さえ でなかった。
 10 ガツ に いって、 ワタクシ は ようやく おきた。 そうして レイ の ごとく くろい カレ を みた。 すると フシギ な こと に、 カレ の みにくい アカハダカ の ヒフ に モト の よう な くろい ケ が はえかかって いた。
「おや なおる の かしら」
 ワタクシ は タイクツ な ビョウゴ の メ を たえず カレ の ウエ に そそいで いた。 すると ワタクシ の スイジャク が だんだん カイフク する に つれて、 カレ の ケ も だんだん こく なって きた。 それ が ヘイゼイ の とおり に なる と、 コンド は イゼン より こえはじめた。
 ワタクシ は ジブン の ビョウキ の ケイカ と カレ の ビョウキ の ケイカ と を ヒカク して みて、 ときどき そこ に ナニ か の インネン が ある よう な アンジ を うける。 そうして すぐ その アト から ばからしい と おもって ビショウ する。 ネコ の ほう では ただ にゃにゃ なく ばかり だ から、 どんな ココロモチ で いる の か ワタクシ には まるで わからない。

 29

 ワタクシ は リョウシン の バンネン に なって できた いわゆる スエッコ で ある。 ワタクシ を うんだ とき、 ハハ は こんな トシ を して カイニン する の は めんぼくない と いった とか いう ハナシ が、 イマ でも おりおり は くりかえされて いる。
 たんに その ため ばかり でも あるまい が、 ワタクシ の リョウシン は ワタクシ が うまれおちる と まもなく、 ワタクシ を サト に やって しまった。 その サト と いう の は、 むろん ワタクシ の キオク に のこって いる はず が ない けれども、 セイジン の ノチ きいて みる と、 なんでも フルドウグ の バイバイ を トセイ に して いた まずしい フウフモノ で あった らしい。
 ワタクシ は その ドウグヤ の ガラクタ と イッショ に、 ちいさい ザル の ナカ に いれられて、 マイバン ヨツヤ の オオドオリ の ヨミセ に さらされて いた の で ある。 それ を ある バン ワタクシ の アネ が ナニ か の ツイデ に そこ を とおりかかった とき みつけて、 かわいそう と でも おもった の だろう、 フトコロ へ いれて ウチ へ つれて きた が、 ワタクシ は その ヨ どうしても ねつかず に、 とうとう ヒトバンジュウ ナキツヅケ に ないた とか いう ので、 アネ は おおいに チチ から しかられた そう で ある。
 ワタクシ は イツゴロ その サト から とりもどされた か しらない。 しかし じき また ある イエ へ ヨウシ に やられた。 それ は たしか ワタクシ の ヨッツ の トシ で あった よう に おもう。 ワタクシ は モノゴコロ の つく 8~9 サイ まで そこ で セイチョウ した が、 やがて ヨウカ に ミョウ な ゴタゴタ が おこった ため、 ふたたび ジッカ へ もどる よう な シギ と なった。
 アサクサ から ウシゴメ へ うつされた ワタクシ は、 うまれた ウチ へ かえった とは キ が つかず に、 ジブン の リョウシン を モトドオリ ソフボ と のみ おもって いた。 そうして あいかわらず カレラ を オジイサン、 オバアサン と よんで ごうも あやしまなかった。 ムコウ でも キュウ に イマ まで の シュウカン を あらためる の が ヘン だ と かんがえた もの か、 ワタクシ に そう よばれながら すました カオ を して いた。
 ワタクシ は フツウ の スエッコ の よう に けっして リョウシン から かわいがられなかった。 これ は ワタクシ の セイシツ が すなお で なかった ため だの、 ひさしく リョウシン に とおざかって いた ため だの、 イロイロ の ゲンイン から きて いた。 とくに チチ から は むしろ カコク に とりあつかわれた と いう キオク が まだ ワタクシ の アタマ に のこって いる。 それだのに アサクサ から ウシゴメ へ うつされた トウジ の ワタクシ は、 なぜか ヒジョウ に うれしかった。 そうして その ウレシサ が ダレ の メ にも つく くらい に いちじるしく ソト へ あらわれた。
 バカ な ワタクシ は、 ホントウ の リョウシン を ジイババ と のみ おもいこんで、 どの くらい の ツキヒ を クウ に くらした もの だろう、 それ を きかれる と まるで わからない が、 なんでも ある ヨ こんな こと が あった。
 ワタクシ が ヒトリ ザシキ に ねて いる と、 マクラモト の ところ で ちいさな コエ を だして、 しきり に ワタクシ の ナ を よぶ モノ が ある。 ワタクシ は おどろいて メ を さました が、 アタリ が マックラ なので、 ダレ が そこ に うずくまって いる の か、 ちょっと ハンダン が つかなかった。 けれども ワタクシ は コドモ だ から ただ じっと して センポウ の いう こと だけ を きいて いた。 すると きいて いる うち に、 それ が ワタクシ の ウチ の ゲジョ の コエ で ある こと に キ が ついた。 ゲジョ は くらい ナカ で ワタクシ に ミミコスリ を する よう に こう いう の で ある。――
「アナタ が オジイサン オバアサン だ と おもって いらっしゃる カタ は、 ホントウ は アナタ の オトッサン と オッカサン なの です よ。 さっき ね、 おおかた その せい で あんな に こっち の ウチ が すき なん だろう、 ミョウ な もの だな、 と いって フタリ で はなして いらしった の を ワタクシ が きいた から、 そっと アナタ に おしえて あげる ん です よ。 ダレ にも はなしちゃ いけません よ。 よ ござんす か」
 ワタクシ は その とき ただ 「ダレ にも いわない よ」 と いった ぎり だった が、 ココロ の ウチ では たいへん うれしかった。 そうして その ウレシサ は ジジツ を おしえて くれた から の ウレシサ では なくって、 たんに ゲジョ が ワタクシ に シンセツ だった から の ウレシサ で あった。 フシギ にも ワタクシ は それほど うれしく おもった ゲジョ の ナ も カオ も まるで わすれて しまった。 おぼえて いる の は ただ その ヒト の シンセツ だけ で ある。

 30

 ワタクシ が こうして ショサイ に すわって いる と、 くる ヒト の オオク が 「もう ゴビョウキ は すっかり オナオリ です か」 と たずねて くれる。 ワタクシ は ナンド も おなじ シツモン を うけながら、 ナンド も ヘントウ に チュウチョ した。 そうして その キョク いつでも おなじ コトバ を くりかえす よう に なった。 それ は 「ええ まあ どうか こうか いきて います」 と いう ヘン な アイサツ に ことならなかった。
 どうか こうか いきて いる。 ――ワタクシ は この イック を ひさしい アイダ シヨウ した。 しかし シヨウ する ごと に、 なんだか フオントウ な ココロモチ が する ので、 ジブン でも じつは やめられる ならば と おもって かんがえて みた が、 ワタクシ の ケンコウ ジョウタイ を いいあらわす べき テキトウ な コトバ は、 タ に どうしても みつからなかった。
 ある ヒ T クン が きた から、 この ハナシ を して、 なおった とも いえず、 なおらない とも いえず、 なんと こたえて いい か わからない と かたったら、 T クン は すぐ ワタクシ に こんな ヘンジ を した。
「そりゃ なおった とは いわれません ね。 そう ときどき サイハツ する よう じゃ。 まあ モト の ビョウキ の ケイゾク なん でしょう」
 この ケイゾク と いう コトバ を きいた とき、 ワタクシ は いい こと を おしえられた よう な キ が した。 それから イゴ は、 「どうか こうか いきて います」 と いう アイサツ を やめて、 「ビョウキ は まだ ケイゾクチュウ です」 と あらためた。 そうして その ケイゾク の イミ を セツメイ する バアイ には、 かならず オウシュウ の タイラン を ヒキアイ に だした。
「ワタクシ は ちょうど ドイツ が レンゴウグン と センソウ を して いる よう に、 ビョウキ と センソウ を して いる の です。 イマ こう やって アナタ と タイザ して いられる の は、 テンカ が タイヘイ に なった から では ない ので、 ザンゴウ の ウチ に はいって、 ビョウキ と ニラメックラ を して いる から です。 ワタクシ の カラダ は ランセイ です。 いつ どんな ヘン が おこらない とも かぎりません」
 ある ヒト は ワタクシ の セツメイ を きいて、 おもしろそう に はは と わらった。 ある ヒト は だまって いた。 また ある ヒト は キノドク-らしい カオ を した。
 キャク の かえった アト で ワタクシ は また かんがえた。 ――ケイゾクチュウ の もの は おそらく ワタクシ の ビョウキ ばかり では ない だろう。 ワタクシ の セツメイ を きいて、 ジョウダン だ と おもって わらう ヒト、 わからない で だまって いる ヒト、 ドウジョウ の ネン に かられて キノドク-らしい カオ を する ヒト、 ――すべて これら の ヒト の ココロ の オク には、 ワタクシ の しらない、 また ジブン たち さえ キ の つかない、 ケイゾクチュウ の もの が いくらでも ひそんで いる の では なかろう か。 もし カレラ の ムネ に ひびく よう な おおきな オト で、 それ が イチド に ハレツ したら、 カレラ は はたして どう おもう だろう。 カレラ の キオク は その とき もはや カレラ に むかって ナニモノ をも かたらない だろう。 カコ の ジカク は とくに きえて しまって いる だろう。 イマ と ムカシ と また その ムカシ の アイダ に なんら の インガ を みとめる こと の できない カレラ は、 そういう ケッカ に おちいった とき、 なんと ジブン を カイシャク して みる キ だろう。 しょせん ワレワレ は ジブン で ユメ の マ に セイゾウ した バクレツダン を、 おもいおもい に いだきながら、 ヒトリ のこらず、 シ と いう とおい ところ へ、 ダンショウ しつつ あるいて ゆく の では なかろう か。 ただ どんな もの を だいて いる の か、 ヒト も しらず ジブン も しらない ので、 シアワセ なん だろう。
 ワタクシ は ワタクシ の ビョウキ が ケイゾク で ある と いう こと に キ が ついた とき、 オウシュウ の センソウ も おそらく いつ の ヨ から か の ケイゾク だろう と かんがえた。 けれども、 それ が どこ から どう はじまって、 どう キョクセツ して ゆく か の モンダイ に なる と まったく ムチシキ なので、 ケイゾク と いう コトバ を かいしない イッパン の ヒト を、 ワタクシ は かえって うらやましく おもって いる。

 31

 ワタクシ が まだ ショウガッコウ に いって いた ジブン に、 キイ ちゃん と いう ナカ の いい トモダチ が あった。 キイ ちゃん は トウジ ナカチョウ の オジサン の ウチ に いた ので、 そう ミチノリ の ちかく ない ワタクシ の ところ から は、 マイニチ あい に ゆく こと が できにくかった。 ワタクシ は おもに ジブン の ほう から でかけない で、 キイ ちゃん の くる の を ウチ で まって いた。 キイ ちゃん は いくら ワタクシ が ゆかない でも、 きっと ムコウ から くる に きまって いた。 そうして その くる ところ は、 ワタクシ の イエ の ナガヤ を かりて、 カミ や フデ を うる マツ さん の モト で あった。
 キイ ちゃん には チチハハ が ない よう だった が、 コドモ の ワタクシ には、 それ が いっこう フシギ とも おもわれなかった。 おそらく きいて みた こと も なかったろう。 したがって キイ ちゃん が なぜ マツ さん の ところ へ くる の か、 その ワケ さえ も しらず に いた。 これ は ずっと アト で きいた ハナシ で ある が、 この キイ ちゃん の オトッサン と いう の は、 ムカシ ギンザ の ヤクニン か ナニ か を して いた とき、 ニセガネ を つくった とか いう ケンギ を うけて、 ジュロウ した まま しんで しまった の だ と いう。 それで アト に とりのこされた サイクン が、 キイ ちゃん を センプ の イエ へ おいた なり、 マツ さん の ところ へ サイエン した の だ から、 キイ ちゃん が ときどき ウミ の ハハ に あい に くる の は アタリマエ の ハナシ で あった。
 なんにも しらない ワタクシ は、 この ジジョウ を きいた とき で すら、 べつだん ヘン な カンジ も おこさなかった くらい だ から、 キイ ちゃん と ふざけまわって あそぶ コロ に、 カレ の キョウグウ など を かんがえた こと は ただ の イチド も なかった。
 キイ ちゃん も ワタクシ も カンガク が すき だった ので、 わかり も しない くせ に、 よく ブンショウ の ギロン など を して おもしろがった。 カレ は どこ から きいて くる の か、 しらべて くる の か、 よく むずかしい カンセキ の ナマエ など を あげて、 ワタクシ を おどろかす こと が おおかった。
 カレ は ある ヒ ワタクシ の ヘヤ ドウヨウ に なって いる ゲンカン に あがりこんで、 フトコロ から 2 サツ ツヅキ の ショモツ を だして みせた。 それ は たしか に シャホン で あった。 しかも カンブン で つづって あった よう に おもう。 ワタクシ は キイ ちゃん から、 その ショモツ を うけとって、 ムイミ に そこここ を ひっくりかえして みて いた。 じつは ナニ が なんだか ワタクシ には さっぱり わからなかった の で ある。 しかし キイ ちゃん は、 それ を しってる か など と ロコツ な こと を いう タチ では なかった。
「これ は オオタ ナンポ の ジヒツ なん だ がね。 ボク の トモダチ が それ を うりたい と いう ので キミ に みせ に きた ん だ が、 かって やらない か」
 ワタクシ は オオタ ナンポ と いう ヒト を しらなかった。
「オオタ ナンポ って いったい ナン だい」
「ショクサンジン の こと さ。 ユウメイ な ショクサンジン さ」
 ムガク な ワタクシ は ショクサンジン と いう ナマエ さえ まだ しらなかった。 しかし キイ ちゃん に そう いわれて みる と、 なんだか キチョウ の ショモツ らしい キ が した。
「いくら なら うる の かい」 と きいて みた。
「50 セン に うりたい と いう ん だ がね。 どう だろう」
 ワタクシ は かんがえた。 そうして なにしろ ねぎって みる の が ジョウサク だ と おもいついた。
「25 セン なら かって も いい」
「それじゃ 25 セン でも かまわない から、 かって やりたまえ」
 キイ ちゃん は こう いいつつ ワタクシ から 25 セン うけとって おいて、 また しきり に その ホン の コウノウ を のべたてた。 ワタクシ には むろん その ショモツ が わからない の だ から、 それほど うれしく も なかった けれども、 なにしろ ソン は しない の だろう と いう だけ の マンゾク は あった。 ワタクシ は その ヨ ナンポ ユウゲン―― たしか そんな ナマエ だ と キオク して いる が、 それ を ツクエ の ウエ に のせて ねた。

 32

 あくる ヒ に なる と、 キイ ちゃん が また ぶらり と やって きた。
「キミ キノウ かって もらった ホン の こと だ がね」
 キイ ちゃん は それ だけ いって、 ワタクシ の カオ を みながら ぐずぐず して いる。 ワタクシ は ツクエ の ウエ に のせて あった ショモツ に メ を そそいだ。
「あの ホン かい。 あの ホン が どうか した の かい」
「じつは あすこ の ウチ の オヤジ に しれた もの だ から、 オヤジ が たいへん おこって ね。 どうか かえして もらって きて くれ って ボク に たのむ ん だよ。 ボク も イッペン キミ に わたした もん だ から いや だった けれども シカタ が ない から また きた のさ」
「ホン を とり に かい」
「とり に って わけ でも ない けれども、 もし キミ の ほう で サシツカエ が ない なら、 かえして やって くれない か。 なにしろ 25 セン じゃ やすすぎる って いう ん だ から」
 この サイゴ の イチゴン で、 ワタクシ は イマ まで やすく かいえた と いう マンゾク の ウラ に、 ぼんやり ひそんで いた フカイ、 ――フゼン の コウイ から おこる フカイ―― を はっきり ジカク しはじめた。 そうして イッポウ では ずるい ワタクシ を いかる と ともに、 イッポウ では 25 セン で うった センポウ を いかった。 どうして この フタツ の イカリ を ドウジ に やわらげた もの だろう。 ワタクシ は にがい カオ を して しばらく だまって いた。
 ワタクシ の この シンリ ジョウタイ は、 イマ の ワタクシ が コドモ の とき の ジブン を カイコ して カイボウ する の だ から、 ヒカクテキ メイリョウ に えがきだされる よう な ものの、 その バアイ の ワタクシ には ほとんど わからなかった。 ワタクシ さえ ただ にがい カオ を した と いう ケッカ だけ しか ジカク しえなかった の だ から、 アイテ の キイ ちゃん には むろん それ イジョウ わかる はず が なかった。 カッコ の ナカ で いう べき こと かも しれない が、 トシ を とった コンニチ でも、 ワタクシ には よく こんな ゲンショウ が おこって くる。 それで よく ヒト から ゴカイ される。
 キイ ちゃん は ワタクシ の カオ を みて、 「25 セン では ホントウ に やすすぎる ん だ とさ」 と いった。
 ワタクシ は いきなり ツクエ の ウエ に のせて おいた ショモツ を とって、 キイ ちゃん の マエ に つきだした。
「じゃ かえそう」
「どうも シッケイ した。 なにしろ ヤスコウ の もってる もの で ない ん だ から シカタ が ない。 オヤジ の ウチ に ムカシ から あった やつ を、 そっと うって コヅカイ に しよう って いう ん だ から ね」
 ワタクシ は ぷりぷり して なんとも こたえなかった。 キイ ちゃん は タモト から 25 セン だして ワタクシ の マエ へ おきかけた が、 ワタクシ は それ に テ を ふれよう とも しなかった。
「その カネ なら とらない よ」
「なぜ」
「なぜ でも とらない」
「そう か。 しかし つまらない じゃ ない か、 ただ ホン だけ かえす の は。 ホン を かえす くらい なら 25 セン も とりたまい な」
 ワタクシ は たまらなく なった。
「ホン は ボク の もの だよ。 いったん かった イジョウ は ボク の もの に きまってる じゃ ない か」
「そりゃ そう に ちがいない。 ちがいない が ムコウ の ウチ でも こまってる ん だ から」
「だから かえす と いってる じゃ ない か。 だけど ボク は カネ を とる ワケ が ない ん だ」
「そんな わからない こと を いわず に、 まあ とって おきたまい な」
「ボク は やる ん だよ。 ボク の ホン だ けども、 ほしければ やろう と いう ん だよ。 やる ん だ から ホン だけ もってったら いい じゃ ない か」
「そう か そんなら、 そう しよう」
 キイ ちゃん は、 とうとう ホン だけ もって かえった。 そうして ワタクシ は なんの イミ なし に 25 セン の コヅカイ を とられて しまった の で ある。

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