カナ文字文庫(漢字廃止論)

日本文学の名作などをカナ書きに改めて掲載。

オオツゴモリ

2014-12-22 | ヒグチ イチヨウ
 オオツゴモリ

 ヒグチ イチヨウ

 ジョウ

 イド は クルマ にて ツナ の ナガサ 12 ヒロ、 カッテ は キタムキ にて シワス の ソラ の カラカゼ ひゅうひゅう と フキヌキ の サムサ、 おお たえがた と カマド の マエ に ヒナブリ の 1 プン は 1 ジ に のびて、 ワリキ ほど の こと も オオダイ に して しかりとばさるる ハシタ の ミ つら や、 はじめ ウケヤド の オバサマ が コトバ には オコサマ がた は ナンニョ 6 ニン、 なれども じょうじゅう ウチ に おいで あそばす は ゴソウリョウ と スエ オフタリ、 すこし ゴシンゾ は キゲンカイ なれど、 メイロ カオイロ を のみこんで しまえば たいした こと も なく、 けっく オダテ に のる タチ なれば、 オマエ の デヨウ ヒトツ で ハンエリ ハンガケ マエダレ の ヒモ にも コト は かく まじ、 ゴシンダイ は チョウナイ ダイイチ にて、 そのかわり しわき こと も ニ とは さがらねど、 よき こと には オオダンナ が あまい ほう ゆえ、 すこし の ホマチ は なき こと も ある まじ、 いや に なったら ワタシ の とこ まで ハガキ 1 マイ、 こまかき こと は いらず、 ヨソ の クチ を さがせ と ならば アシ は おしまじ、 いずれ ホウコウ の ヒデン は ウラオモテ と いうて きかされて、 さても おそろしき こと を いう ヒト と おもえど、 なにも わが ココロ ヒトツ で また この ヒト の オセワ には なる まじ、 ツトメ ダイジ に ホネ さえ おらば オキ に いらぬ こと も なき はず と さだめて、 かかる オニ の シュウ をも もつ ぞ かし、 メミエ の すみて ミッカ の ノチ、 ナナツ に なる ジョウサマ オドリ の サライ に ゴゴ より と ある、 その シタク は アサユ に みがきあげて と シモ こおる アカツキ、 あたたかき ネドコ の ウチ より ゴシンゾ ハイフキ を たたきて、 これこれ と、 これ が メザマシ の トケイ より ムネ に ひびきて、 ミコト とは よばれ も せず オビ より サキ に タスキガケ の かいがいしく、 イドバタ に いずれば ツキカゲ ナガシ に のこりて、 ハダエ を さす よう な カゼ の サムサ に ユメ を わすれぬ、 フロ は スエフロ にて おおきからねど、 フタツ の テオケ に あふるる ほど くみて、 13 は いれねば ならず、 オオアセ に なりて はこびける うち、 リンポウ の すがりし ユガミバ の ミズバキ ゲタ、 マエバナオ の ゆるゆる に なりて、 ユビ を うかさねば タワイ の なき よう なりし、 その ゲタ にて おもき もの を もちたれば アシモト おぼつかなくて ナガシモト の コオリ に すべり、 あれ と いう マ も なく ヨコ に ころべば イドガワ にて ムコウズネ したたか に うちて、 かわい や ユキ はずかしき ハダ は ムラサキ の なまなましく なりぬ、 テオケ をも そこ に なげいだして ヒトツ は マンゾク なりし が ヒトツ は ソコヌケ に なりけり、 これ の アタイ ナニホド か しらねど、 シンダイ これ が ため に つぶれる か の よう に ゴシンゾ の ヒタエギワ に アオスジ おそろしく、 アサハン の オキュウジ より にらまれて、 その ヒ イチニチ モノ も おおせられず、 1 ニチ おいて より は ハシ の アゲオロシ に、 この ヤ の シナ は タダ では できぬ、 シュウ の もの とて ソマツ に おもうたら バチ が あたる ぞえ と アケクレ の ダンギ、 くる ヒト ごと に つげられて わかき ココロ には はずかしく、 ソノゴ は モノゴト に ネン を いれて、 ついに ソソウ を せぬ よう に なりぬ、 セケン に ゲジョ つかう ヒト も おおけれど、 ヤマムラ ほど ゲジョ の かわる イエ は ある まじ、 ツキ に フタリ は ツネ の こと、 ミッカ ヨッカ に かえりし も あれば ヒトヨ いて にげいでし も あらん、 カイビャク イライ を たずねたらば おる ユビ に あの カミサマ が ソデグチ おもわるる、 おもえば オミネ は シンボウモノ、 あれ に むごく あたったらば テンバツ たちどころに、 コノゴ は トウキョウ ひろし と いえど も、 ヤマムラ の ゲジョ に なる モノ は ある まじ、 カンシン な もの、 みごと の ココロガケ と ほめる も あれば、 だいいち キリョウ が モウシブン なし だ と、 オトコ は じきに これ を いいけり。
 アキ より ただ ヒトリ の オジ が わずらいて、 ショウバイ の ヤオヤミセ も いつ と なく とじて、 おなじ マチ ながら ウラヤズマイ に なりし ヨシ は きけど、 むずかしき シュウ を もつ ミ の キュウキン を サキ に もらえば この ミ は うりたる も おなじ こと、 ミマイ に と いう こと も ならねば こころならねど、 オツカイサキ の イッスン の マ とて も トケイ を メアテ に して イクアシ イクチョウ と その シラベ の クルシサ、 はせぬけて も、 とは おもえど アクジ センリ と いえば せっかく の シンボウ を ムダ に して、 オイトマ とも ならば いよいよ ビョウニン の オジ に シンパイ を かけ、 ヤセゼタイ に 1 ニチ の ヤッカイ も キノドク なり、 その うち には と テガミ ばかり を やりて、 ミ は ここ に こころならず も ヒ を おくりける。 シワス の ツキ は セケン イッタイ ものせわしき ナカ を、 ことさら に えらみて キラ を かざり、 オトトイ でそろいし と きく それ の シバイ、 キョウゲン も おりから おもしろき シンモノ の、 これ を みのがして は と ムスメ ども の さわぐ に、 ケンブツ は 15 ニチ、 めずらしく ウチジュウ との フレ に なりけり、 この オトモ を うれしがる は ツネ の こと、 チチハハ なき ノチ は ただ ヒトリ の タイセツ な ヒト が、 ヤマイ の トコ に みまう こと も せで、 モノミ ユサン に あるく べき ミ ならず、 ゴキゲン に ちがいたらば それまで と して アソビ の カワリ の オイトマ を ねがいし に さすが は ヒゴロ の ツトメブリ も あり、 1 ニチ すぎて の ツギ の ヒ、 はやく ゆきて はやく かえれ と、 さりとは キママ の オオセ に ありがとう ぞんじます と いいし は おぼえで、 やがて は クルマ の ウエ に コイシカワ は まだ か まだ か と もどかしがりぬ。
 ハツネ-チョウ と いえば ゆかしけれど、 ヨ を ウグイス の ビンボウマチ ぞ かし、 ショウジキ ヤスベエ とて カミ は この コウベ に やどりたまう べき オオヤカン の ヒタイギワ ぴかぴか と して、 これ を メジルシ に タマチ より キクザカ アタリ へ かけて、 ナスビ ダイコ の ゴヨウ をも つとめける、 ウスモトデ を おりかえす なれば、 おりから ネ の やすうて カサ の ある もの より ホカ は サオ なき フネ に ノリアイ の キュウリ、 ツト に マツタケ の ハツモノ など は もたで、 ヤオヤス が もの は いつも チョウメン に つけた よう な と わらわるれど、 ヒイキ は ありがたき もの、 まがりなりにも オヤコ 3 ニン の クチ を ぬらして、 サンノスケ とて ヤツ に なる を ゴリン ガッコウ に かよわする ほど の ツトメ も しけれど、 ヨ の アキ つらし 9 ガツ の スエ、 にわか に カゼ が ミ に しむ と いう アサ、 カンダ に カイダシ の ニ を ワガヤ まで かつぎいれる と そのまま、 ホツネツ に つづいて ホネヤミ の いでし やら、 ミツキ-ゴシ の キョウ まで アキナイ は さら なる こと、 だんだん に たべへらして テンビン まで うる シギ に なれば、 オモテダナ の クラシ たちがたく、 ツキ 50 セン の ウラヤ に ヒトメ の ハジ を いとう べき ミ ならず、 また ジセツ が あらば とて ヒキコシ も ムザン や クルマ に のする は ビョウニン ばかり、 カタテ に たらぬ ニ を からげて、 おなじ マチ の スミ へ と ひそみぬ。 オミネ は クルマ より おりて そこここ と たずぬる うち、 タコ カミフウセン など を ノキ に つるして、 コドモ を あつめたる ダガシヤ の カド に、 もし サンノスケ の まじりて か と のぞけど、 カゲ も みえぬ に がっかり して おもわず ユキキ を みれば、 わが いる より は ムカイ の ガワ を ヤセギス の コドモ が クスリビン もちて ゆく ウシロスガタ、 サンノスケ より は タケ も たかく あまり やせたる コ と おもえど、 ヨウス の にたる に つかつか と かけよりて カオ を のぞけば、 やあ ネエサン、 あれ サン ちゃん で あった か、 さても よい ところ で と ともなわれて ゆく に、 サカヤ と イモヤ の おくふかく、 ドブイタ がたがた と うすくらき ウラ に いれば、 サンノスケ は サキ へ かけて、 トトサン、 カカサン、 ネエサン を つれて かえった と カドグチ より よびたてぬ。
 なに オミネ が きた か と ヤスベエ が おきあがれば、 ツマ は ナイショク の シタテモノ に ヨネン なかりし テ を やめて、 まあまあ これ は めずらしい と テ を とらぬ ばかり に よろこばれ、 みれば 6 ジョウ ヒトマ に 1 ケン の トダナ ただ ヒトツ、 タンス ナガモチ は もとより ある べき イエ ならねど、 みし ナガヒバチ の カゲ も なく、 イマドヤキ の シカク なる を おなじ ナリ の ハコ に いれて、 これ が そもそも この イエ の ドウグ らしき もの、 きけば コメビツ も なき ヨシ、 さりとは かなしき ナリユキ、 シワス の ソラ に シバイ みる ヒト も ある を と オミネ は まず なみだぐまれて、 まずまず カゼ の さむき に ねて おいで なされませ、 と カタヤキ に にし ウスブトン を オジ の カタ に きせて、 さぞさぞ たんと の ゴクロウ なさりましたろ、 オバサマ も どこやら ヤセ が みえまする、 シンパイ の あまり わずらうて くださりますな、 それでも ヒマシ に よい ほう で ござんす か、 テガミ で ヨウス は きけど みねば キ に かかりて、 キョウ の オイトマ を まち に まって やっと の こと、 なに ウチ など は どうでも よ ござります、 オジサマ ゴゼンカイ に ならば オモテ に でる も わけなき こと なれば、 1 ニチ も はやく よく なって くだされ、 オジサマ に なんぞ と ぞんじたれど、 ミチ は とおし ココロ は せく、 クルマヤ の アシ が いつ より おそい よう に おもわれて、 ゴコウブツ の アメヤ が ノキ も みはぐりました、 これ は ショウショウ なれど ワタシ が コヅカイ の ノコリ、 コウジマチ の ゴシンルイ より オキャク の ありし とき、 その ゴインキョ サマ スバク の おおこり なされて オクルシミ の ありし に、 ヨ を とおして オコシ を もみたれば、 マエダレ でも かえ とて くだされた、 それ や、 これ や、 オウチ は かたけれど ヨソ より の オカタ が ヒイキ に なされて、 オジサマ よろこんで くだされ、 つとめにくく も ござんせぬ、 この キンチャク も ハンエリ も みな イタダキモノ、 エリ は ジミ なれば オバサマ かけて くだされ、 キンチャク は すこし ナリ を かえて サンノスケ が オベントウ の フクロ に ちょうど よい やら、 それでも ガッコウ へは ゆきます か、 オセイショ が あらば アネ にも みせて と それ から それ へ と いう こと ながし。 ナナツ の トシ に テテオヤ トクイバ の クラブシン に、 アシバ を のぼりて ナカヌリ の コテ を もちながら、 シタ なる ヤッコ に モノ いいつけん と ふりむく トタン、 コヨミ に クロボシ の ブツメツ と でも いう ヒ で ありし か、 ネンライ なれたる アシバ を あやまりて、 おちたる も おちたる も シタ は シキイシ に モヨウガエ の ところ ありて、 ほりおこして つみたてたる キリカド に ズノウ したたか うちつけたれば かいなし、 あわれ 42 の マエヤク と ヒトビト ノチ に おそろしがりぬ、 ハハ は ヤスベエ が キョウダイ なれば ここ に ひきとられて、 これ も 2 ネン の ノチ ハヤリカゼ にわか に おもく なりて うせたれば、 ノチ は ヤスベエ フウフ を オヤ と して、 18 の キョウ まで オン は いう に およばず、 ネエサン と よばるれば サンノスケ は オトト の よう に かあゆく、 ここ へ ここ へ と よんで セ を なで カオ を のぞいて、 さぞ トトサン が ビョウキ で さびしく つらかろ、 オショウガツ も じきに くれば アネ が なんぞ かって あげます ぞえ、 カカサン に ムリ を いうて こまらせて は なりませぬ と おしゆれば、 こまらせる どころ か、 オミネ きいて くれ、 トシ は ヤツ なれど カラダ も おおきし チカラ も ある、 ワシ が ねて から は カセギテ なし の イリメ は かさなる、 シク ハック みかねた やら、 オモテ の シオモノヤ が ヤロウ と イッショ に、 シジミ を かいだして は アシ の およぶ だけ かつぎまわり、 ヤロウ が 8 セン うれば 10 セン の アキナイ は かならず ある、 ヒトツ は テントウサマ が ヤッコ の コウコウ を みとおして か、 となり かくなり クスリダイ は サン が ハタラキ、 オミネ ほめて やって くれ とて、 チチ は フトン を かぶりて ナミダ に コエ を しぼりぬ。 ガッコウ は すき にも すき にも ついに セワ を やかしたる こと なく、 アサメシ たべる と かけだして 3 ジ の ヒケ に ミチクサ の イタズラ した こと なく、 ジマン では なけれど センセイ サマ にも ホメモノ の コ を、 ビンボウ なれば こそ シジミ を かつがせて、 この サムゾラ に ちいさな アシ に ワラジ を はかせる オヤゴコロ、 さっして くだされ とて オバ も ナミダ なり。 オミネ は サンノスケ を だきしめて、 さても さても セケン に ムルイ の コウコウ、 オオガラ とて も ヤツ は ヤツ、 テンビン カタ に して いたみ は せぬ か、 アシ に ワラジクイ は できぬ かや、 カンニン して くだされ、 キョウ より は ワタシ も ウチ に かえりて オジサマ の カイホウ クラシ の タスケ も しまする、 しらぬ こと とて ケサ まで も ツルベ の ナワ の コオリ を つらがった は もったいない、 ガッコウザカリ の トシ に シジミ を かつがせて アネ が ながい キモノ きて いらりょう か、 オジサマ イトマ を とって くだされ、 ワタシ は もはや ホウコウ は よしまする とて とりみだして なきぬ。 サンノスケ は おとなしく、 ほろり ほろり と ナミダ の こぼれる を、 みせじ と うつむきたる カタ の アタリ、 ハリメ あらわ に キヌ やれて、 これ に かつぐ か ミルメ も つらし、 ヤスベエ は オミネ が イトマ を とらん と いう に それ は モッテノホカ、 ココロザシ は うれしけれど かえりて から が オンナ の ハタラキ、 それ のみ か ゴシュジン へは キュウキン の マエガリ も あり、 それっ、 と いうて かえられる もの では なし、 ウイボウコウ が カンジン、 シンボウ が ならで もどった と おもわれて も ならねば、 オシュウ ダイジ に つとめて くれ、 わが ヤマイ も ながく は ある まじ、 すこし よくば キ の ハリユミ、 ひきつづいて アキナイ も なる ドウリ、 ああ いま ハンツキ の コトシ が すぎれば ハル は よき こと も きたる べし、 ナニゴト も シンボウ シンボウ、 サンノスケ も シンボウ して くれ、 オミネ も シンボウ して くれ とて ナミダ を おさめぬ。 めずらしき キャク に チソウ は できねど コウブツ の イマガワヤキ、 サトイモ の ニコロガシ など、 たくさん たべろ よ と いう コトバ が うれし、 クロウ は かけまじ と おもえど みすみす オオミソカ に せまりたる イエ の ナンギ、 ムネ に ツカエ の ヤマイ は シャク に あらねど そもそも トコ に つきたる とき、 タマチ の コウリカシ より ミツキ シバリ とて 10 エン かりし、 1 エン 50 セン は テンリ とて テ に いりし は 8 エン ハン、 9 ガツ の スエ より なれば この ツキ は どうでも ヤクソク の キゲン なれど、 この ナカ にて なんと なる べき ぞ、 ヒタイ を あわせて ダンゴウ の ツマ は ヒトシゴト に ユビサキ より チ を いだして ヒ に 10 セン の カセギ も ならず、 サンノスケ に きかする とも かいなし、 オミネ が シュウ は シロカネ の ダイマチ に カシナガヤ の 100 ケン も もちて、 アガリモノ ばかり に ジョウキラ びびしく、 ワレ イチド オミネ への ヨウジ ありて カド まで ゆきし が、 1000 リョウ にて は できまじき ドゾウ の フシン、 うらやましき フウキ と みたりし、 その シュジン に 1 ネン の ナジミ、 キニイリ の ホウコウニン が ショウショウ の ムシン を きかぬ とは もうされまじ、 この ツキズエ に カキカエ を なきつきて、 オドリ の 1 リョウ 2 ブ を ここ に はらえば また ミツキ の ノベ には なる、 かく いわば ヨク に にたれど、 ダイドウモチ こうて なり サンガニチ の ゾウニ に ハシ を もたせずば シュッセ マエ の サンノスケ に オヤ の ある カイ も なし、 ミソカ まで に カネ 2 リョウ、 いいにくく とも この サイカク たのみたき ヨシ を いいだしける に、 オミネ しばらく シアン して、 よろしゅう ござんす たしか に うけあいました、 むずかしくば オキュウキン の マエガリ に して なり ねがいましょ、 ミルメ と ウチ とは ちがいて いずこ にも キンセン の ラチ は あきにくけれど、 オオク では なし それ だけ で ここ の シマツ が つく なれば、 ワケ を きいて いや は おおせらる まじ、 それ に つけて も シュビ そこのうて は ならねば、 キョウ は ワタシ は かえります、 また の ヤドサガリ は ハルナガ、 その コロ には ミナミナ うちよって わらいたき もの、 とて これ を うけあいける。 カネ は なんと して おこす、 サンノスケ を もらい に やろ か と あれば、 ほんに それ で ござんす、 ツネ さえ ある に オオミソカ と いうて は ワタシ の ミ に スキ は ある まじ、 ミチ の とおき に かわいそう なれど、 サン ちゃん を たのみます、 ヒルマエ の うち に かならず かならず シタク は して おきまする とて、 シュビ よく うけあいて オミネ は かえりぬ。

 ゲ

 イシノスケ とて ヤマムラ の ソウリョウ ムスコ、 ハハ の ちがう に テテオヤ の アイ も うすく、 これ を ヨウシ に いだして アト は イモトムスメ の ウチ に との ソウダン、 10 ネン の ムカシ より ミミ に はさみて おもしろからず、 イマ の ヨ に カンドウ の ならぬ こそ おかしけれ、 オモイ の まま に あそびて ハハ が ナキ を と テテオヤ の こと は わすれて、 15 の ハル より フリョウケン を はじめぬ、 オトコブリ ニガミ ありて リハツ らしき マナザシ、 イロ は くろけれど よき フウ とて アタリ の ムスメ ども が ウワサ も きこえけれど、 ただ ランボウ イチズ に シナガワ へも アシ は むくれど サワギ は その ザギリ、 ヨナカ に クルマ を とばして クルママチ の ゴロ が モト を たたきおこし、 それ サケ かえ サカナ と、 カミイレ の ソコ を はたきて ムリ を とおす が ドウラク なりけり、 とうてい これ に ソウゾク は セキユグラ へ ヒ を いれる よう な もの、 シンダイ ケフリ と なりて きえのこる ワレラ なにと せん、 アト の キョウダイ も フビン と ハハオヤ、 チチ に ザンゲン の たえまなく、 さりとて これ を ヨウシ に と もうしうくる ヒト コノヨ には ある まじ、 とかく は アリガネ の ナニホド を わけて、 ワカインキョ の ベツコセキ に と ナイナイ の ソウダン は きまりたれど、 ホンニン ウワノソラ に ききながして テ に のらず、 ブンパイキン は 1 マン、 インキョブチ ツキヅキ おこして、 ユウキョウ に セキ を すえず、 チチウエ なくならば オヤガワリ の ワレ、 アニウエ と ささげて カマド の カミ の マツ 1 ポン も わが タクセン を きく ココロ ならば、 いかにも いかにも ベッコ の ゴシュジン に なりて、 この ヤ の ため には はたらかぬ が カッテ、 それ よろしくば オオセ の とおり に なりましょ と、 どうでも イヤガラセ を いいて こまらせける。 コゾ に くらべて ナガヤ も ふえたり、 ショトク は バイ に と セケン の クチ より ワガヤ の ヨウス を しりて、 おかし や おかし や、 そのよう に のばして タ が もの に する キ ぞ、 カジ は トウミョウザラ より も でる もの ぞ かし、 ソウリョウ と なのる ヒノタマ が ころがる とは しらぬ か、 やがて まきあげて キサマタチ に よき ショウガツ を させる ぞ と、 イサラゴ アタリ の ビンボウニン を よろこばして、 オオミソカ を アテ に オオノミ の バショ も さだめぬ。
 それ アニサマ の オカエリ と いえば、 イモト ども こわがりて ハレモノ の よう に さわる モノ なく、 ナニゴト も イウナリ の とおる に いちだん と ワガママ を つのらして、 コタツ に リョウアシ、 エイザメ の ミズ を ミズ を と ロウゼキ は これ に トドメ を さしぬ、 にくし と おもえど さすが に ギリ は つらき もの かや、 ハハオヤ カゲ の ドクゼツ を かくして カゼ ひかぬ よう に コカイマキ なにくれ と マクラ まで あてがいて、 アス の シタク の ムシリゴマメ、 ヒトデ に かけて は ソマツ に なる もの と きこえよがし の ケイザイ を マクラモト に みしらせぬ。 ヒル も ちかづけば オミネ は オジ への ヤクソク こころもとなく、 ゴシンゾ が ゴキゲン を みはからう に イトマ も なければ、 わずか の テスキ に ツムリ の テヌグイ を まろめて、 コノホド より ねがいましたる こと、 おりから おいそがしき とき こころなき よう なれど、 キョウ の ヒルスギ に と サキ へ ヤクソク の きびしき カネ と やら、 オタスケ の ねがわれますれば オジ の シアワセ ワタシ の ヨロコビ、 いついつまでも ゴオン に きまする とて テ を すりて たのみける、 はじめ いいいでし とき にやふや ながら つまり は よし と ありし コトバ を タノミ に、 また の キゲン むつかしければ うるさく いいて は かえりて いかが と キョウ まで も ガマン しけれど、 ヤクソク は キョウ と いう オオミソカ の ヒルマエ、 わすれて か なんとも オオセ の なき ココロモトナサ、 ワレ には ミ に せまりし ダイジ と いいにくき を ガマン して かく と もうしける、 ゴシンゾ は おどろきたる よう の アキレガオ して、 それ は まあ なんの こと やら、 なるほど オマエ が オジサン の ビョウキ、 つづいて シャッキン の ハナシ も ききました が、 イマ が イマ ワタシ の ウチ から たてかえよう とは いわなかった はず、 それ は オマエ が なにぞ の キキチガエ、 ワタシ は すこしも オボエ の なき こと と、 これ が この ヒト の ジュウハチバン とは てもさても なさけなし。
 ハナモミジ うるわしく したてし ムスメ たち が ハルギ の コソデ、 エリ を そろえて ツマ を かさねて、 ながめつ ながめさせて よろこばん もの を、 ジャマモノ の アニ が ミルメ うるさし、 はやく でて ゆけ とく いね と おもう オモイ は クチ に こそ いださね、 モチマエ の カンシャク シタ に たえがたく、 チシキ の ボウサマ が メ に ごらんじたらば、 ホノオ に つつまれて ミ は クロケフリ に ココロ は キョウラン の おりふし、 いう こと も いう こと、 カネ は テキヤク ぞ かし、 ゲンザイ うけあいし は ワレ に オボエ あれど なんの それ を いとう こと かは、 おおかた オマエ が キキチガエ と たてきりて、 タバコ ワ に ふき ワタシ は しらぬ と すましけり。
 ええ タイキン でも ある こと か、 カネ なら 2 エン、 しかも くちずから ショウチ して おきながら トオカ と たたぬ に モウロク は なさる まじ、 あれ あの カケスズリ の ヒキダシ にも、 これ は テツカズ の ブン と ヒトタバ、 10 か 20 か ミナ とは いわず ただ 2 マイ にて オジ が よろこび オバ が エガオ、 サンノスケ に ゾウニ の ハシ も とらさるる と いわれし を おもう にも、 どうでも ほしき は あの カネ ぞ、 うらめしき は ゴシンゾ と オミネ は クチオシサ に モノ も いわれず、 つねづね おとなしき ミ は リクツヅメ に やりこめる スベ も なくて、 すごすご と カッテ に たてば ショウゴ の ドン の オト たかく、 かかる おりふし ことさら ムネ に ひびく もの なり。
 オハハサマ に すぐさま おいで くださる よう、 ケサ より の オクルシミ に、 シオドキ は ゴゴ、 ウイザン なれば ダンナ トリトメ なく おさわぎ なされて、 オトシヨリ なき イエ なれば コンザツ オハナシ に ならず、 イマ が イマ オイデ を とて、 ショウシ の ワケメ と いう ウイザン に、 サイオウジ の ムスメ が モト より ムカイ の クルマ、 これ は オオミソカ とて エンリョ の ならぬ もの なり、 イエ の ウチ には カネ も あり、 ノラ ドノ が ねて は いる、 ココロ は フタツ、 わけられぬ ミ なれば オンアイ の オモキ に ひかれて、 クルマ には のりけれど、 かかる とき キラク の オット が ココロネ にくく、 キョウ アタリ オキヅリ でも なき もの を と、 タイコウボウ が ハリアイ なき ヒト を つくづく と うらみて ゴシンゾ いでられぬ。
 ユキチガエ に サンノスケ、 ここ と ききたる シロカネ ダイマチ、 ソウイ なく たずねあてて、 ワガミ の みすぼらしき に アネ の カタミ を おもいやりて、 カッテグチ より こわごわ のぞけば、 タレ ぞ きし か と カマド の マエ に なきふしたる オミネ が、 ナミダ を かくして みいだせば この コ、 おお よく きた とも いわれぬ シギ を なんと せん、 アネサマ はいって も しかられ は しませぬ か、 ヤクソク の もの は もらって ゆかれます か、 ダンナ や ゴシンゾ に よく オレイ を もうして こい と トトサン が いいました と、 シサイ を しらねば ヨロコビガオ つら や、 まずまず まって くだされ、 すこし ヨウ も あれば と はせゆきて ウチト を みまわせば、 ジョウサマ がた は ニワ に でて オイハゴ に ヨネン なく、 コゾウ ドノ は まだ オツカイ より かえらず、 オハリ は 2 カイ にて しかも ツンボ なれば シサイ なし、 ワカダンナ は と みれば オイマ の コタツ に イマ ぞ ユメ の マッタダナカ、 おがみまする カミサマ ホトケサマ、 ワタシ は アクニン に なりまする、 なりとう は なけれど ならねば なりませぬ、 バチ を おあて なさらば ワタシ ヒトリ、 つこうて も オジ や オバ は しらぬ こと なれば おゆるし なさりませ、 もったいなけれど この カネ ぬすませて くだされ と、 かねて みおきし スズリ の ヒキダシ より、 タバ の ウチ を ただ 2 マイ、 つかみし アト は ユメ とも ウツツ とも しらず、 サンノスケ に わたして かえしたる シジュウ を みし ヒト なし と おもえる は おろか や。

     *     *     *     *

 その ヒ も クレ ちかく ダンナ ツリ より エビスガオ して かえらるれば、 ゴシンゾ も つづいて、 アンザン の ヨロコビ に オクリ の モノ に まで アイソウ よく、 コヨイ を しまえば また みまいまする、 アス は はやく に イモト ども の タレ なり とも、 ヒトリ は かならず てつだわする と いうて くだされ、 さてさて ゴクロウ と ロウソクダイ など を やりて、 やれ いそがし や タレ ぞ ヒマ な カラダ を カタミ かりたき もの、 オミネ コマツナ は ゆでて おいた か、 カズノコ は あらった か、 オオダンナ は おかえり に なった か、 ワカダンナ は と、 これ は コゴエ に、 まだ と きいて ヒタイ に シワ を よせぬ。
 イシノスケ その ヨ は おとなしく、 ハル は アス より の サンガニチ なり とも、 わが イエ にて いわう べき はず ながら ゴゾンジ の シマリナシ、 かたくるしき ハカマヅレ に アイサツ も メンドウ、 イケン も じつは ききあきたり、 シンルイ の カオ に うつくしき も なければ みたし と おもう ネン も なく、 ウラヤ の トモダチ が モト に コヨイ ヤクソク も ござれば、 ひとまず オイトマ と して いずれ ハルナガ に チョウダイ の カズカズ は ねがいまする、 おりから おめでたき ヤサキ、 オセイボ には なにほど くださります か と、 アサ より ねこみて チチ の カエリ を まちし は これ なり、 コ は サンガイ の クビカセ と いえど、 まこと ノラ を コ に もつ オヤ ばかり フコウ なる は なし、 きられぬ エン の チスジ と いえば ある ほど の イタズラ を つくして ガカイ の アカツキ に おちこむ は この フチ、 しらぬ と いいて も セケン の ゆるさねば、 イエ の ナ おしく わが カオ はずかしき に おしき クラ をも ひらく ぞ かし、 それ を みこみて イシノスケ、 コヨイ を キゲン の シャッキン が ござる、 ヒト の ウケ に たちて ハン を したる も あれば、 ハナミ の ムシロ に キョウフウ イチジン、 ゴロツキ ナカマ に やる もの を やらねば この オサマリ むずかしく、 ワレ は せんかたなけれど オナマエ に もうしわけなし など と、 つまり は これ の ほし と きこえぬ。 ハハ は おおかた かかる こと と ケサ より の ケネン ウタガイ なく、 いくら と ねだる か、 ぬるき ダンナ ドノ の ショチ はがゆし と おもえど、 ワレ も クチ にて は かちがたき イシノスケ の ベン に、 オミネ を なかせし ケサ とは かわりて チチ が カオイロ いかに と ばかり、 おりおり みやる シリメ おそろし、 チチ は しずか に キンコ の マ へ たちし が やがて 50 エン タバ ヒトツ もちきて、 これ は キサマ に やる では なし、 まだ えんづかぬ イモウト ども が フビン、 アネ が オット の カオ にも かかる、 この ヤマムラ は ダイダイ カタギ イッポウ に ショウジキ リチギ を マッコウ に して、 わるい ウワサ を たてられた こと も なき はず を、 テンマ の ウマレガワリ か キサマ と いう ワル の できて、 なき あまり の ムフンベツ に ヒト の フトコロ でも ねらう よう に ならば、 ハジ は わが イチダイ に とどまらず、 おもし と いう とも シンダイ は ニノツギ、 オヤキョウダイ に ハジ を みするな、 キサマ に いう とも カイ は なけれど ナミナミ ならば ヤマムラ の ワカダンナ とて、 いらぬ セケン に アクヒョウ も うけず、 わが カワリ の ネンレイ に すこし の ロウ をも たすくる はず を、 60 に ちかき オヤ に ナキ を みする は バチアタリ で なき か、 コドモ の とき には ホン の すこし も のぞいた ヤツ、 なぜ これ が わかりおらぬ、 さあ ゆけ、 かえれ、 どこ へ でも かえれ、 この イエ に ハジ は みするな とて チチ は おくふかく はいりて、 カネ は イシノスケ が フトコロ に いりぬ。

     *     *     *     *

 オフクロサマ ごきげんよう よい シンネン を おむかい なされませ、 さようならば まいります と、 イトマゴイ わざと うやうやしく、 オミネ ゲタ を なおせ、 オゲンカン から オカエリ では ない オデカケ だぞ と ずぶずぶしく オオデ を ふりて、 ユクサキ は いずこ、 チチ が ナミダ は イチヤ の サワギ に ユメ とや ならん、 もつ まじき は ノラムスコ、 もつ まじき は ノラ を したつる ママハハ ぞ かし。 シオバナ こそ ふらね アト は ひとまず はきだして、 ワカダンナ タイサン の ヨロコビ、 カネ は おしけれど ミルメ も にくければ イエ に おらぬ は ジョウジョウ なり、 どう すれば あのよう に ずぶとく なられる か、 あの コ を うんだ カカサン の カオ が みたい、 と ゴシンゾ レイ に よって ドクゼツ を みがきぬ。 オミネ は この デキゴト も なんと して ミミ に いる べき、 おかしたる ツミ の オソロシサ に、 ワレ か、 ヒト か、 サッキ の シワザ は と いまさら ユメジ を たどりて、 おもえば この こと あらわれず して すむ べき や、 マン が ナカ なる 1 マイ とて も かぞうれば メノマエ なる を、 ネガイ の タカ に ソウオウ の インズ テヂカ の ところ に なくなりし と あらば、 ワレ に して も ウタガイ は いずこ に むく べき、 しらべられなば なんと せん、 なんと いわん、 いいぬけん は つみふかし、 ハクジョウ せば オジ が ウエ にも かかる、 わが ツミ は カクゴ の うえ なれど ものがたき オジサマ に まで ヌレギヌ を きせて、 ほされぬ は ビンボウ の ナライ、 かかる こと も する もの と ヒト の いい は せぬ か、 かなし や なんと したら よかろ、 オジサマ に キズ の つかぬ よう、 ワガミ が トンシ する ホウ は なき か と メ は ゴシンゾ が タチイ に したがいて、 ココロ は カケスズリ の モト に さまよいぬ。
 オオカンジョウ とて この ヨ ある ほど の カネ を まとめて フウイン の こと あり、 ゴシンゾ それそれ と おもいだして、 カケスズリ に さきほど ヤネヤ の タロウ に カシツケ の モドリ あれ が 20 ござりました、 オミネ オミネ、 カケスズリ を ここ へ と オクノマ より よばれて、 もはや この とき わが イノチ は なき もの、 オオダンナ が オメドオリ にて ハジメ より の こと を もうし、 ゴシンゾ が ムジョウ ソノママ に いうて のけ、 ジュツ も なし ホウ も なし ショウジキ は ワガミ の マモリ、 にげ も せず かくられ も せず、 ヨク か しらねど ぬすみました と ハクジョウ は しましょ、 オジサマ ヒトツ で なき だけ を どこまでも のべて、 きかれずば かいなし その バ で シタ かみきって しんだ なら、 イノチ に かえて ウソ とは おぼしめす まじ、 それほど ドキョウ すわれど オクノマ へ ゆく ココロ は トショ の ヒツジ なり。

     *     *     *     *

 オミネ が ひきだしたる は ただ 2 マイ、 ノコリ は 18 ある べき はず を、 いかに しけん タバ の まま みえず とて ソコ を かえして ふるえど も かいなし、 あやしき は おちちりし カミキレ に いつ したためし か ウケトリ 1 ツウ。
   (ヒキダシ の ブン も ハイシャク いたしそうろう      イシノスケ)
 さては ノラ か と ヒトビト カオ を みあわせて オミネ が センギ は なかりき、 コウ の ヨトク は われしらず イシノスケ の ツミ に なりし か、 いやいや しりて ついでに かぶりし ツミ かも しれず、 さらば イシノスケ は オミネ が マモリ ホンゾン なる べし、 ノチ の こと しりた や。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする