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11 ガツ の さむい アメ の ふる ヒ の こと でした。 ワタクシ は ガイトウ を ぬらして レイ の とおり コンニャク エンマ を ぬけて ほそい サカミチ を あがって ウチ へ かえりました。 K の ヘヤ は ガランドウ でした けれども、 ヒバチ には ツギタテ の ヒ が あたたかそう に もえて いました。 ワタクシ も つめたい テ を はやく あかい スミ の ウエ に かざそう と おもって、 いそいで ジブン の ヘヤ の シキリ を あけました。 すると ワタクシ の ヒバチ には つめたい ハイ が しろく のこって いる だけ で、 ヒダネ さえ つきて いる の です。 ワタクシ は キュウ に フユカイ に なりました。
その とき ワタクシ の アシオト を きいて でて きた の は、 オクサン でした。 オクサン は だまって ヘヤ の マンナカ に たって いる ワタクシ を みて、 キノドク そう に ガイトウ を ぬがせて くれたり、 ニホンフク を きせて くれたり しました。 それから ワタクシ が さむい と いう の を きいて、 すぐ ツギノマ から K の ヒバチ を もって きて くれました。 ワタクシ が K は もう かえった の か と ききましたら、 オクサン は かえって また でた と こたえました。 その ヒ も K は ワタクシ より おくれて かえる ジカンワリ だった の です から、 ワタクシ は どうした ワケ か と おもいました。 オクサン は おおかた ヨウジ でも できた の だろう と いって いました。
ワタクシ は しばらく そこ に すわった まま ショケン を しました。 ウチ の ナカ が しんと しずまって、 ダレ の ハナシゴエ も きこえない うち に、 ハツフユ の サムサ と ワビシサ と が、 ワタクシ の カラダ に くいこむ よう な カンジ が しました。 ワタクシ は すぐ ショモツ を ふせて たちあがりました。 ワタクシ は ふと にぎやか な ところ へ ゆきたく なった の です。 アメ は やっと あがった よう です が、 ソラ は まだ つめたい ナマリ の よう に おもく みえた ので、 ワタクシ は ヨウジン の ため、 ジャノメ を カタ に かついで、 ホウヘイ コウショウ の ウラテ の ドベイ に ついて ヒガシ へ サカ を おりました。 その ジブン は まだ ドウロ の カイセイ が できない コロ なので、 サカ の コウバイ が イマ より も ずっと キュウ でした。 ミチハバ も せまくて、 ああ マッスグ では なかった の です。 そのうえ あの タニ へ おりる と、 ミナミ が たかい タテモノ で ふさがって いる の と、 ミズハキ が よく ない の と で、 オウライ は どろどろ でした。 ことに ほそい イシバシ を わたって ヤナギチョウ の トオリ へ でる アイダ が ひどかった の です。 アシダ でも ナガグツ でも むやみ に あるく わけ には ゆきません。 ダレ でも ミチ の マンナカ に しぜん と ほそながく ドロ が かきわけられた ところ を、 ゴショウ ダイジ に たどって ゆかなければ ならない の です。 その ハバ は わずか 1~2 シャク しか ない の です から、 てもなく オウライ に しいて ある オビ の ウエ を ふんで ムコウ へ こす の と おなじ こと です。 ゆく ヒト は ミンナ イチレツ に なって そろそろ とおりぬけます。 ワタクシ は この ホソオビ の ウエ で、 はたり と K に であいました。 アシ の ほう に ばかり キ を とられて いた ワタクシ は、 カレ と むきあう まで、 カレ の ソンザイ に まるで キ が つかず に いた の です。 ワタクシ は フイ に ジブン の マエ が ふさがった ので ぐうぜん メ を あげた とき、 はじめて そこ に たって いる K を みとめた の です。 ワタクシ は K に どこ へ いった の か と ききました。 K は ちょっと そこ まで と いった ぎり でした。 カレ の コタエ は イツモ の とおり ふん と いう チョウシ でした。 K と ワタクシ は ほそい オビ の ウエ で カラダ を かわせました。 すると K の すぐ ウシロ に ヒトリ の わかい オンナ が たって いる の が みえました。 キンガン の ワタクシ には、 イマ まで それ が よく わからなかった の です が、 K を やりこした アト で、 その オンナ の カオ を みる と、 それ が ウチ の オジョウサン だった ので、 ワタクシ は すくなからず おどろきました。 オジョウサン は こころもち うすあかい カオ を して、 ワタクシ に アイサツ を しました。 その ジブン の ソクハツ は イマ と ちがって ヒサシ が でて いない の です、 そうして アタマ の マンナカ に ヘビ の よう に ぐるぐる まきつけて あった もの です。 ワタクシ は ぼんやり オジョウサン の アタマ を みて いました が、 ツギ の シュンカン に、 どっち か ミチ を ゆずらなければ ならない の だ と いう こと に キ が つきました。 ワタクシ は おもいきって どろどろ の ナカ へ カタアシ ふんごみました。 そうして ヒカクテキ とおりやすい ところ を あけて、 オジョウサン を わたして やりました。
それから ヤナギチョウ の トオリ へ でた ワタクシ は どこ へ いって いい か ジブン にも わからなく なりました。 どこ へ いって も おもしろく ない よう な ココロモチ が する の です。 ワタクシ は ハネ の あがる の も かまわず に、 ヌカルミ の ナカ を やけに どしどし あるきました。 それから すぐ ウチ へ かえって きました。
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ワタクシ は K に むかって オジョウサン と イッショ に でた の か と ききました。 K は そう では ない と こたえました。 マサゴ-チョウ で ぐうぜん であった から つれだって かえって きた の だ と セツメイ しました。 ワタクシ は それ イジョウ に たちいった シツモン を ひかえなければ なりません でした。 しかし ショクジ の とき、 また オジョウサン に むかって、 おなじ トイ を かけたく なりました。 すると オジョウサン は ワタクシ の きらい な レイ の ワライカタ を する の です。 そうして どこ へ いった か あてて みろ と シマイ に いう の です。 その コロ の ワタクシ は まだ カンシャクモチ でした から、 そう フマジメ に わかい オンナ から とりあつかわれる と ハラ が たちました。 ところが そこ に キ の つく の は、 おなじ ショクタク に ついて いる モノ の ウチ で オクサン ヒトリ だった の です。 K は むしろ ヘイキ でした。 オジョウサン の タイド に なる と、 しって わざと やる の か、 しらない で ムジャキ に やる の か、 そこ の クベツ が ちょっと ハンゼン しない テン が ありました。 わかい オンナ と して オジョウサン は シリョ に とんだ ほう でした けれども、 その わかい オンナ に キョウツウ な ワタクシ の きらい な ところ も、 ある と おもえば おもえなく も なかった の です。 そうして その きらい な ところ は、 K が ウチ へ きて から、 はじめて ワタクシ の メ に つきだした の です。 ワタクシ は それ を K に たいする ワタクシ の シット に きして いい もの か、 または ワタクシ に たいする オジョウサン の ギコウ と みなして しかるべき もの か、 ちょっと フンベツ に まよいました。 ワタクシ は イマ でも けっして その とき の ワタクシ の シットシン を うちけす キ は ありません。 ワタクシ は たびたび くりかえした とおり、 アイ の リメン に この カンジョウ の ハタラキ を あきらか に イシキ して いた の です から。 しかも ハタ の モノ から みる と、 ほとんど とる に たりない サジ に、 この カンジョウ が きっと クビ を もちあげたがる の でした から。 これ は ヨジ です が、 こういう シット は アイ の ハンメン じゃ ない でしょう か。 ワタクシ は ケッコン して から、 この カンジョウ が だんだん うすらいで ゆく の を ジカク しました。 そのかわり アイジョウ の ほう も けっして モト の よう に モウレツ では ない の です。
ワタクシ は それまで チュウチョ して いた ジブン の ココロ を ひとおもいに アイテ の ムネ へ たたきつけよう か と かんがえだしました。 ワタクシ の アイテ と いう の は オジョウサン では ありません。 オクサン の こと です。 オクサン に オジョウサン を くれろ と メイハク な ダンパン を ひらこう か と かんがえた の です。 しかし そう ケッシン しながら、 イチニチ イチニチ と ワタクシ は ダンコウ の ヒ を のばして いった の です。 そう いう と ワタクシ は いかにも ユウジュウ な オトコ の よう に みえます、 また みえて も かまいません が、 じっさい ワタクシ の すすみかねた の は、 イシ の チカラ に フソク が あった ため では ありません。 K の こない うち は、 ヒト の テ に のる の が いや だ と いう ガマン が ワタクシ を おさえつけて、 イッポ も うごけない よう に して いました。 K の きた ノチ は、 もしか する と オジョウサン が K の ほう に イ が ある の では なかろう か と いう ギネン が たえず ワタクシ を せいする よう に なった の です。 はたして オジョウサン が ワタクシ より も K に ココロ を かたむけて いる ならば、 この コイ は クチ へ いいだす カチ の ない もの と ワタクシ は ケッシン して いた の です。 ハジ を かかせられる の が つらい など と いう の とは すこし ワケ が ちがいます。 こっち で いくら おもって も、 ムコウ が ナイシン ホカ の ヒト に アイ の マナコ を そそいで いる ならば、 ワタクシ は そんな オンナ と イッショ に なる の は いや なの です。 ヨノナカ では イヤオウ なし に ジブン の すいた オンナ を ヨメ に もらって うれしがって いる ヒト も あります が、 それ は ワタクシタチ より よっぽど セケンズレ の した オトコ か、 さも なければ アイ の シンリ が よく のみこめない ドンブツ の する こと と、 トウジ の ワタクシ は かんがえて いた の です。 イチド もらって しまえば どうか こうか おちつく もの だ ぐらい の テツリ では、 ショウチ する こと が できない くらい ワタクシ は ねっして いました。 つまり ワタクシ は きわめて コウショウ な アイ の リロンカ だった の です。 ドウジ に もっとも ウエン な アイ の ジッサイカ だった の です。
カンジン の オジョウサン に、 ちょくせつ この ワタクシ と いう もの を うちあける キカイ も、 ながく イッショ に いる うち には ときどき でて きた の です が、 ワタクシ は わざと それ を さけました。 ニホン の シュウカン と して、 そういう こと は ゆるされて いない の だ と いう ジカク が、 その コロ の ワタクシ には つよく ありました。 しかし けっして それ ばかり が ワタクシ を ソクバク した とは いえません。 ニホンジン、 ことに ニホン の わかい オンナ は、 そんな バアイ に、 アイテ に キガネ なく ジブン の おもった とおり を エンリョ せず に クチ に する だけ の ユウキ に とぼしい もの と ワタクシ は みこんで いた の です。
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こんな ワケ で ワタクシ は どちら の ホウメン へ むかって も すすむ こと が できず に たちすくんで いました。 カラダ の わるい とき に ヒルネ など を する と、 メ だけ さめて シュウイ の もの が はっきり みえる のに、 どうしても テアシ の うごかせない バアイ が ありましょう。 ワタクシ は ときとして ああいう クルシミ を ひとしれず かんじた の です。
そのうち トシ が くれて ハル に なりました。 ある ヒ オクサン が K に カルタ を やる から ダレ か トモダチ を つれて こない か と いった こと が あります。 すると K は すぐ トモダチ なぞ は ヒトリ も ない と こたえた ので、 オクサン は おどろいて しまいました。 なるほど K に トモダチ と いう ほど の トモダチ は ヒトリ も なかった の です。 オウライ で あった とき アイサツ を する くらい の モノ は たしょう ありました が、 それら だって けっして カルタ など を とる ガラ では なかった の です。 オクサン は それじゃ ワタクシ の しった モノ でも よんで きたら どう か と いいなおしました が、 ワタクシ も あいにく そんな ヨウキ な アソビ を する ココロモチ に なれない ので、 イイカゲン な ナマヘンジ を した なり、 うちやって おきました。 ところが バン に なって K と ワタクシ は とうとう オジョウサン に ひっぱりだされて しまいました。 キャク も ダレ も こない のに、 ウチウチ の コニンズ だけ で とろう と いう カルタ です から すこぶる しずか な もの でした。 そのうえ こういう ユウギ を やりつけない K は、 まるで フトコロデ を して いる ヒト と ドウヨウ でした。 ワタクシ は K に いったい ヒャクニン イッシュ の ウタ を しって いる の か と たずねました。 K は よく しらない と こたえました。 ワタクシ の コトバ を きいた オジョウサン は、 おおかた K を ケイベツ する と でも とった の でしょう。 それから メ に たつ よう に K の カセイ を しだしました。 シマイ には フタリ が ほとんど クミ に なって ワタクシ に あたる と いう アリサマ に なって きました。 ワタクシ は アイテ-シダイ では ケンカ を はじめた かも しれなかった の です。 サイワイ に K の タイド は すこしも サイショ と かわりません でした。 カレ の どこ にも トクイ-らしい ヨウス を みとめなかった ワタクシ は、 ブジ に その バ を きりあげる こと が できました。
それから 2~3 ニチ たった ノチ の こと でしたろう、 オクサン と オジョウサン は アサ から イチガヤ に いる シンルイ の ところ へ いく と いって ウチ を でました。 K も ワタクシ も まだ ガッコウ の はじまらない コロ でした から、 ルスイ ドウヨウ アト に のこって いました。 ワタクシ は ショモツ を よむ の も サンポ に でる の も いや だった ので、 ただ ばくぜん と ヒバチ の フチ に ヒジ を のせて じっと アゴ を ささえた なり かんがえて いました。 トナリ の ヘヤ に いる K も いっこう オト を たてません でした。 ソウホウ とも いる の だ か いない の だ か わからない くらい しずか でした。 もっとも こういう こと は、 フタリ の アイダガラ と して べつに めずらしく も なんとも なかった の です から、 ワタクシ は べつだん それ を キ にも とめません でした。
10 ジ-ゴロ に なって、 K は フイ に シキリ の フスマ を あけて ワタクシ と カオ を みあわせました。 カレ は シキイ の ウエ に たった まま、 ワタクシ に ナニ を かんがえて いる と ききました。 ワタクシ は もとより なにも かんがえて いなかった の です。 もし かんがえて いた と すれば、 イツモ の とおり オジョウサン が モンダイ だった かも しれません。 その オジョウサン には むろん オクサン も くっついて います が、 チカゴロ では K ジシン が きりはなす べからざる ヒト の よう に、 ワタクシ の アタマ の ナカ を ぐるぐる めぐって、 この モンダイ を フクザツ に して いる の です。 K と カオ を みあわせた ワタクシ は、 イマ まで おぼろげ に カレ を イッシュ の ジャマモノ の ごとく イシキ して いながら、 あきらか に そう と こたえる わけ に いかなかった の です。 ワタクシ は いぜん と して カレ の カオ を みて だまって いました。 すると K の ほう から つかつか と ワタクシ の ザシキ へ はいって きて、 ワタクシ の あたって いる ヒバチ の マエ に すわりました。 ワタクシ は すぐ リョウヒジ を ヒバチ の フチ から とりのけて、 こころもち それ を K の ほう へ おしやる よう に しました。
K は イツモ に にあわない ハナシ を はじめました。 オクサン と オジョウサン は イチガヤ の どこ へ いった の だろう と いう の です。 ワタクシ は おおかた オバサン の ところ だろう と こたえました。 K は その オバサン は ナン だ と また ききます。 ワタクシ は やはり グンジン の サイクン だ と おしえて やりました。 すると オンナ の ネンシ は たいてい 15 ニチ-スギ だ のに、 なぜ そんな に はやく でかけた の だろう と シツモン する の です。 ワタクシ は なぜ だ か しらない と アイサツ する より ホカ に シカタ が ありません でした。
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K は なかなか オクサン と オジョウサン の ハナシ を やめません でした。 シマイ には ワタクシ も こたえられない よう な たちいった こと まで きく の です。 ワタクシ は メンドウ より も フシギ の カン に うたれました。 イゼン ワタクシ の ほう から フタリ を モンダイ に して はなしかけた とき の カレ を おもいだす と、 ワタクシ は どうしても カレ の チョウシ の かわって いる ところ に キ が つかず には いられない の です。 ワタクシ は とうとう なぜ キョウ に かぎって そんな こと ばかり いう の か と カレ に たずねました。 その とき カレ は とつぜん だまりました。 しかし ワタクシ は カレ の むすんだ クチモト の ニク が ふるえる よう に うごいて いる の を チュウシ しました。 カレ は がんらい ムクチ な オトコ でした。 ヘイゼイ から ナニ か いおう と する と、 いう マエ に よく クチ の アタリ を もぐもぐ させる クセ が ありました。 カレ の クチビル が わざと カレ の イシ に ハンコウ する よう に たやすく あかない ところ に、 カレ の コトバ の オモミ も こもって いた の でしょう。 いったん コエ が クチ を やぶって でる と なる と、 その コエ には フツウ の ヒト より も バイ の つよい チカラ が ありました。
カレ の クチモト を ちょっと ながめた とき、 ワタクシ は また ナニ か でて くる な と すぐ かんづいた の です が、 それ が はたして なんの ジュンビ なの か、 ワタクシ の ヨカク は まるで なかった の です。 だから おどろいた の です。 カレ の おもおもしい クチ から、 カレ の オジョウサン に たいする せつない コイ を うちあけられた とき の ワタクシ を ソウゾウ して みて ください。 ワタクシ は カレ の マホウボウ の ため に イチド に カセキ された よう な もの です。 クチ を もぐもぐ させる ハタラキ さえ、 ワタクシ には なくなって しまった の です。
その とき の ワタクシ は オソロシサ の カタマリ と いいましょう か、 または クルシサ の カタマリ と いいましょう か、 なにしろ ヒトツ の カタマリ でした。 イシ か テツ の よう に アタマ から アシ の サキ まで が キュウ に かたく なった の です。 コキュウ を する ダンリョクセイ さえ うしなわれた くらい に かたく なった の です。 サイワイ な こと に その ジョウタイ は ながく つづきません でした。 ワタクシ は イッシュンカン の ノチ に、 また ニンゲン-らしい キブン を とりもどしました。 そうして、 すぐ しまった と おもいました。 セン を こされた な と おもいました。
しかし その サキ を どう しよう と いう フンベツ は まるで おこりません。 おそらく おこる だけ の ヨユウ が なかった の でしょう。 ワタクシ は ワキノシタ から でる キミ の わるい アセ が シャツ に しみとおる の を じっと ガマン して うごかず に いました。 K は その アイダ イツモ の とおり おもい クチ を きって は、 ぽつり ぽつり と ジブン の ココロ を うちあけて ゆきます。 ワタクシ は くるしくって たまりません でした。 おそらく その クルシサ は、 おおきな コウコク の よう に、 ワタクシ の カオ の ウエ に はっきり した ジ で はりつけられて あったろう と ワタクシ は おもう の です。 いくら K でも そこ に キ の つかない はず は ない の です が、 カレ は また カレ で、 ジブン の こと に イッサイ を シュウチュウ して いる から、 ワタクシ の ヒョウジョウ など に チュウイ する ヒマ が なかった の でしょう。 カレ の ジハク は サイショ から サイゴ まで おなじ チョウシ で つらぬいて いました。 おもくて のろい カワリ に、 とても ヨウイ な こと では うごかせない と いう カンジ を ワタクシ に あたえた の です。 ワタクシ の ココロ は ハンブン その ジハク を きいて いながら、 ハンブン どう しよう どう しよう と いう ネン に たえず かきみだされて いました から、 こまかい テン に なる と ほとんど ミミ へ はいらない と ドウヨウ でした が、 それでも カレ の クチ に だす コトバ の チョウシ だけ は つよく ムネ に ひびきました。 その ため に ワタクシ は マエ いった クツウ ばかり で なく、 ときには イッシュ の オソロシサ を かんずる よう に なった の です。 つまり アイテ は ジブン より つよい の だ と いう キョウフ の ネン が きざしはじめた の です。
K の ハナシ が ひととおり すんだ とき、 ワタクシ は なんとも いう こと が できません でした。 こっち も カレ の マエ に おなじ イミ の ジハク を した もの だろう か、 それとも うちあけず に いる ほう が トクサク だろう か、 ワタクシ は そんな リガイ を かんがえて だまって いた の では ありません。 ただ ナニゴト も いえなかった の です。 また いう キ にも ならなかった の です。
ヒルメシ の とき、 K と ワタクシ は ムカイアワセ に セキ を しめました。 ゲジョ に キュウジ を して もらって、 ワタクシ は いつ に ない まずい メシ を すませました。 フタリ は ショクジチュウ も ほとんど クチ を ききません でした。 オクサン と オジョウサン は いつ かえる の だ か わかりません でした。
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フタリ は メイメイ の ヘヤ に ひきとった ぎり カオ を あわせません でした。 K の しずか な こと は アサ と おなじ でした。 ワタクシ も じっと かんがえこんで いました。
ワタクシ は とうぜん ジブン の ココロ を K に うちあける べき はず だ と おもいました。 しかし それ には もう ジキ が おくれて しまった と いう キ も おこりました。 なぜ さっき K の コトバ を さえぎって、 こっち から ギャクシュウ しなかった の か、 そこ が ヒジョウ な テヌカリ の よう に みえて きました。 せめて K の アト に つづいて、 ジブン は ジブン の おもう とおり を その バ で はなして しまったら、 まだ よかったろう に とも かんがえました。 K の ジハク に イチダンラク が ついた イマ と なって、 こっち から また おなじ こと を きりだす の は、 どう シアン して も ヘン でした。 ワタクシ は この フシゼン に うちかつ ホウホウ を しらなかった の です。 ワタクシ の アタマ は カイコン に ゆられて ぐらぐら しました。
ワタクシ は K が ふたたび シキリ の フスマ を あけて ムコウ から トッシン して きて くれれば いい と おもいました。 ワタクシ に いわせれば、 サッキ は まるで フイウチ に あった も おなじ でした。 ワタクシ には K に おうずる ジュンビ も なにも なかった の です。 ワタクシ は ゴゼン に うしなった もの を、 コンド は とりもどそう と いう シタゴコロ を もって いました。 それで ときどき メ を あげて、 フスマ を ながめました。 しかし その フスマ は いつまで たって も あきません。 そうして K は エイキュウ に しずか なの です。
そのうち ワタクシ の アタマ は だんだん この シズカサ に かきみだされる よう に なって きました。 K は イマ フスマ の ムコウ で ナニ を かんがえて いる だろう と おもう と、 それ が キ に なって たまらない の です。 フダン も こんな ふう に オタガイ が シキリ 1 マイ を アイダ に おいて だまりあって いる バアイ は しじゅう あった の です が、 ワタクシ は K が しずか で あれば ある ほど、 カレ の ソンザイ を わすれる の が フツウ の ジョウタイ だった の です から、 その とき の ワタクシ は よほど チョウシ が くるって いた もの と みなければ なりません。 それでいて ワタクシ は こっち から すすんで フスマ を あける こと が できなかった の です。 いったん いいそびれた ワタクシ は、 また ムコウ から はたらきかけられる ジキ を まつ より ホカ に シカタ が なかった の です。
シマイ に ワタクシ は じっと して おられなく なりました。 ムリ に じっと して いれば、 K の ヘヤ へ とびこみたく なる の です。 ワタクシ は しかたなし に たって エンガワ へ でました。 そこ から チャノマ へ きて、 なんと いう モクテキ も なく、 テツビン の ユ を ユノミ に ついで 1 パイ のみました。 それから ゲンカン へ でました。 ワタクシ は わざと K の ヘヤ を カイヒ する よう に して、 こんな ふう に ジブン を オウライ の マンナカ に みいだした の です。 ワタクシ には むろん どこ へ ゆく と いう アテ も ありません。 ただ じっと して いられない だけ でした。 それで ホウガク も なにも かまわず に、 ショウガツ の マチ を、 むやみ に あるきまわった の です。 ワタクシ の アタマ は いくら あるいて も K の こと で いっぱい に なって いました。 ワタクシ も K を ふるいおとす キ で あるきまわる わけ では なかった の です。 むしろ ジブン から すすんで カレ の スガタ を ソシャク しながら うろついて いた の です。
ワタクシ には ダイイチ に カレ が かいしがたい オトコ の よう に みえました。 どうして あんな こと を とつぜん ワタクシ に うちあけた の か、 また どうして うちあけなければ いられない ほど に、 カレ の コイ が つのって きた の か、 そうして ヘイゼイ の カレ は どこ に ふきとばされて しまった の か、 すべて ワタクシ には かいしにくい モンダイ でした。 ワタクシ は カレ の つよい こと を しって いました。 また カレ の マジメ な こと を しって いました。 ワタクシ は これから ワタクシ の とる べき タイド を けっする マエ に、 カレ に ついて きかなければ ならない オオク を もって いる と しんじました。 ドウジ に これから サキ カレ を アイテ に する の が へんに キミ が わるかった の です。 ワタクシ は ムチュウ に マチ の ナカ を あるきながら、 ジブン の ヘヤ に じっと すわって いる カレ の ヨウボウ を しじゅう メノマエ に えがきだしました。 しかも いくら ワタクシ が あるいて も カレ を うごかす こと は とうてい できない の だ と いう コエ が どこ か で きこえる の です。 つまり ワタクシ には カレ が イッシュ の マモノ の よう に おもえた から でしょう。 ワタクシ は エイキュウ カレ に たたられた の では なかろう か と いう キ さえ しました。
ワタクシ が つかれて ウチ へ かえった とき、 カレ の ヘヤ は いぜん と して ヒトケ の ない よう に しずか でした。
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ワタクシ が ウチ へ はいる と まもなく クルマ の オト が きこえました。 イマ の よう に ゴムワ の ない ジブン でした から、 がらがら いう いや な ヒビキ が かなり の キョリ でも ミミ に たつ の です。 クルマ は やがて モンゼン で とまりました。
ワタクシ が ユウメシ に よびだされた の は、 それから 30 プン ばかり たった アト の こと でした が、 まだ オクサン と オジョウサン の ハレギ が ぬぎすてられた まま、 ツギ の ヘヤ を ランザツ に いろどって いました。 フタリ は おそく なる と ワタクシタチ に すまない と いう ので、 メシ の シタク に まにあう よう に、 いそいで かえって きた の だ そう です。 しかし オクサン の シンセツ は K と ワタクシ と に とって ほとんど ムコウ も おなじ こと でした。 ワタクシ は ショクタク に すわりながら、 コトバ を おしがる ヒト の よう に、 そっけない アイサツ ばかり して いました。 K は ワタクシ より も なお カゲン でした。 たまに オヤコヅレ で ガイシュツ した オンナ フタリ の キブン が、 また ヘイゼイ より は すぐれて はれやか だった ので、 ワレワレ の タイド は なお の こと メ に つきます。 オクサン は ワタクシ に どうか した の か と ききました。 ワタクシ は すこし ココロモチ が わるい と こたえました。 じっさい ワタクシ は ココロモチ が わるかった の です。 すると コンド は オジョウサン が K に おなじ トイ を かけました。 K は ワタクシ の よう に ココロモチ が わるい とは こたえません。 ただ クチ が ききたく ない から だ と いいました。 オジョウサン は なぜ クチ が ききたく ない の か と ツイキュウ しました。 ワタクシ は その とき ふと おもたい マブタ を あげて K の カオ を みました。 ワタクシ には K が なんと こたえる だろう か と いう コウキシン が あった の です。 K の クチビル は レイ の よう に すこし ふるえて いました。 それ が しらない ヒト から みる と、 まるで ヘンジ に まよって いる と しか おもわれない の です。 オジョウサン は わらいながら また ナニ か むずかしい こと を かんがえて いる の だろう と いいました。 K の カオ は こころもち うすあかく なりました。
その バン ワタクシ は イツモ より はやく トコ へ はいりました。 ワタクシ が ショクジ の とき キブン が わるい と いった の を キ に して、 オクサン は 10 ジ-ゴロ ソバユ を もって きて くれました。 しかし ワタクシ の ヘヤ は もう マックラ でした。 オクサン は おやおや と いって、 シキリ の フスマ を ホソメ に あけました。 ランプ の ヒカリ が K の ツクエ から ナナメ に ぼんやり と ワタクシ の ヘヤ に さしこみました。 K は まだ おきて いた もの と みえます。 オクサン は マクラモト に すわって、 おおかた カゼ を ひいた の だろう から カラダ を あっためる が いい と いって、 ユノミ を カオ の ソバ へ つきつける の です。 ワタクシ は やむ を えず、 どろどろ した ソバユ を オクサン の みて いる マエ で のみました。
ワタクシ は おそく なる まで くらい ナカ で かんがえて いました。 むろん ヒトツ モンダイ を ぐるぐる カイテン させる だけ で、 ホカ に なんの コウリョク も なかった の です。 ワタクシ は とつぜん K が イマ トナリ の ヘヤ で ナニ を して いる だろう と おもいだしました。 ワタクシ は なかば ムイシキ に おい と コエ を かけました。 すると ムコウ でも おい と ヘンジ を しました。 K も まだ おきて いた の です。 ワタクシ は まだ ねない の か と フスマゴシ に ききました。 もう ねる と いう カンタン な アイサツ が ありました。 ナニ を して いる の だ と ワタクシ は かさねて といました。 コンド は K の コタエ が ありません。 そのかわり 5~6 プン たった と おもう コロ に、 オシイレ を がらり と あけて、 トコ を のべる オト が テ に とる よう に きこえました。 ワタクシ は もう ナンジ か と また たずねました。 K は 1 ジ 20 プン だ と こたえました。 やがて ランプ を ふっと ふきけす オト が して、 ウチジュウ が マックラ な ウチ に、 しんと しずまりました。
しかし ワタクシ の メ は その くらい ナカ で いよいよ さえて くる ばかり です。 ワタクシ は また なかば ムイシキ な ジョウタイ で、 おい と K に コエ を かけました。 K も イゼン と おなじ よう な チョウシ で、 おい と こたえました。 ワタクシ は ケサ カレ から きいた こと に ついて、 もっと くわしい ハナシ を したい が、 カレ の ツゴウ は どう だ と、 とうとう こっち から きりだしました。 ワタクシ は むろん フスマゴシ に そんな ダンワ を コウカン する キ は なかった の です が、 K の ヘントウ だけ は ソクザ に えられる こと と かんがえた の です。 ところが K は サッキ から 2 ド おい と よばれて、 2 ド おい と こたえた よう な すなお な チョウシ で、 コンド は おうじません。 そう だなあ と ひくい コエ で しぶって います。 ワタクシ は また はっと おもわせられました。
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K の ナマヘンジ は ヨクジツ に なって も、 その ヨクジツ に なって も、 カレ の タイド に よく あらわれて いました。 カレ は ジブン から すすんで レイ の モンダイ に ふれよう と する ケシキ を けっして みせません でした。 もっとも キカイ も なかった の です。 オクサン と オジョウサン が そろって イチニチ ウチ を あけ でも しなければ、 フタリ は ゆっくり おちついて、 そういう こと を はなしあう わけ にも いかない の です から。 ワタクシ は それ を よく こころえて いました。 こころえて いながら、 へんに いらいら しだす の です。 その ケッカ ハジメ は ムコウ から くる の を まつ つもり で、 あんに ヨウイ を して いた ワタクシ が、 オリ が あったら こっち で クチ を きろう と ケッシン する よう に なった の です。
ドウジ に ワタクシ は だまって ウチ の モノ の ヨウス を カンサツ して みました。 しかし オクサン の タイド にも オジョウサン の ソブリ にも、 べつに ヘイゼイ と かわった テン は ありません でした。 K の ジハク イゼン と ジハク イゴ と で、 カレラ の キョドウ に これ と いう サイ が しょうじない ならば、 カレ の ジハク は たんに ワタクシ だけ に かぎられた ジハク で、 カンジン の ホンニン にも、 また その カントクシャ たる オクサン にも、 まだ つうじて いない の は たしか でした。 そう かんがえた とき ワタクシ は すこし アンシン しました。 それで ムリ に キカイ を こしらえて、 わざとらしく ハナシ を もちだす より は、 シゼン の あたえて くれる もの を とりにがさない よう に する ほう が よかろう と おもって、 レイ の モンダイ には しばらく テ を つけず に そっと して おく こと に しました。
こう いって しまえば たいへん カンタン に きこえます が、 そうした ココロ の ケイカ には、 シオ の ミチヒ と おなじ よう に、 イロイロ の タカビク が あった の です。 ワタクシ は K の うごかない ヨウス を みて、 それ に サマザマ の イミ を つけくわえました。 オクサン と オジョウサン の ゲンゴ ドウサ を カンサツ して、 フタリ の ココロ が はたして そこ に あらわれて いる とおり なの だろう か と うたがって も みました。 そうして ニンゲン の ムネ の ナカ に ソウチ された フクザツ な キカイ が、 トケイ の ハリ の よう に、 メイリョウ に イツワリ なく、 バンジョウ の スウジ を さしうる もの だろう か と かんがえました。 ようするに ワタクシ は おなじ こと を こう も とり、 ああ も とり した アゲク、 ようやく ここ に おちついた もの と おもって ください。 さらに むずかしく いえば、 おちつく など と いう コトバ は、 この サイ けっして つかわれた ギリ で なかった の かも しれません。
そのうち ガッコウ が また はじまりました。 ワタクシタチ は ジカン の おなじ ヒ には つれだって ウチ を でます。 ツゴウ が よければ かえる とき にも やはり イッショ に かえりました。 ガイブ から みた K と ワタクシ は、 なんにも マエ と ちがった ところ が ない よう に したしく なった の です。 けれども ハラ の ナカ では、 テンデン に テンデン の こと を カッテ に かんがえて いた に チガイ ありません。 ある ヒ ワタクシ は とつぜん オウライ で K に ニクハク しました。 ワタクシ が ダイイチ に きいた の は、 コノアイダ の ジハク が ワタクシ だけ に かぎられて いる か、 または オクサン や オジョウサン にも つうじて いる か の テン に あった の です。 ワタクシ の これから とる べき タイド は、 この トイ に たいする カレ の コタエ-シダイ で きめなければ ならない と、 ワタクシ は おもった の です。 すると カレ は ホカ の ヒト には まだ ダレ にも うちあけて いない と メイゲン しました。 ワタクシ は ジジョウ が ジブン の スイサツドオリ だった ので、 ナイシン うれしがりました。 ワタクシ は K の ワタクシ より オウチャク なの を よく しって いました。 カレ の ドキョウ にも かなわない と いう ジカク が あった の です。 けれども イッポウ では また ミョウ に カレ を しんじて いました。 ガクシ の こと で ヨウカ を 3 ネン も あざむいて いた カレ です けれども、 カレ の シンヨウ は ワタクシ に たいして すこしも そこなわれて いなかった の です。 ワタクシ は それ が ため に かえって カレ を しんじだした くらい です。 だから いくら うたがいぶかい ワタクシ でも、 メイハク な カレ の コタエ を ハラ の ナカ で ヒテイ する キ は オコリヨウ が なかった の です。
ワタクシ は また カレ に むかって、 カレ の コイ を どう とりあつかう つもり か と たずねました。 それ が たんなる ジハク に すぎない の か、 または その ジハク に ついで、 ジッサイテキ の コウカ をも おさめる キ なの か と とうた の です。 しかるに カレ は そこ に なる と、 なんにも こたえません。 だまって シタ を むいて あるきだします。 ワタクシ は カレ に カクシダテ を して くれるな、 すべて おもった とおり を はなして くれ と たのみました。 カレ は なにも ワタクシ に かくす ヒツヨウ は ない と はっきり ダンゲン しました。 しかし ワタクシ の しろう と する テン には、 イチゴン の ヘンジ も あたえない の です。 ワタクシ も オウライ だ から わざわざ たちどまって ソコ まで つきとめる わけ に いきません。 つい ソレナリ に して しまいました。
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ある ヒ ワタクシ は ヒサシブリ に ガッコウ の トショカン に はいりました。 ワタクシ は ひろい ツクエ の カタスミ で マド から さす コウセン を ハンシン に うけながら、 シンチャク の ガイコク ザッシ を、 あちらこちら と ひっくりかえして みて いました。 ワタクシ は タンニン キョウシ から センコウ の ガッカ に かんして、 ツギ の シュウ まで に ある ジコウ を しらべて こい と めいぜられた の です。 しかし ワタクシ に ヒツヨウ な コトガラ が なかなか みつからない ので、 ワタクシ は 2 ド も 3 ド も ザッシ を かりかえなければ なりません でした。 サイゴ に ワタクシ は やっと ジブン に ヒツヨウ な ロンブン を さがしだして、 イッシン に それ を よみだしました。 すると とつぜん ハバ の ひろい ツクエ の ムコウガワ から ちいさな コエ で ワタクシ の ナ を よぶ モノ が あります。 ワタクシ は ふと メ を あげて そこ に たって いる K を みました。 K は その ジョウハンシン を ツクエ の ウエ に おりまげる よう に して、 カレ の カオ を ワタクシ に ちかづけました。 ゴショウチ の とおり トショカン では ホカ の ヒト の ジャマ に なる よう な おおきな コエ で ハナシ を する わけ に ゆかない の です から、 K の この ショサ は ダレ でも やる フツウ の こと なの です が、 ワタクシ は その とき に かぎって、 イッシュ ヘン な ココロモチ が しました。
K は ひくい コエ で ベンキョウ か と ききました。 ワタクシ は ちょっと シラベモノ が ある の だ と こたえました。 それでも K は まだ その カオ を ワタクシ から はなしません。 おなじ ひくい チョウシ で イッショ に サンポ を しない か と いう の です。 ワタクシ は すこし まって いれば して も いい と こたえました。 カレ は まって いる と いった まま、 すぐ ワタクシ の マエ の クウセキ に コシ を おろしました。 すると ワタクシ は キ が ちって キュウ に ザッシ が よめなく なりました。 なんだか K の ムネ に イチモツ が あって、 ダンパン でも し に こられた よう に おもわれて シカタ が ない の です。 ワタクシ は やむ を えず よみかけた ザッシ を ふせて、 たちあがろう と しました。 K は おちつきはらって もう すんだ の か と ききます。 ワタクシ は どうでも いい の だ と こたえて、 ザッシ を かえす と ともに、 K と トショカン を でました。
フタリ は べつに ゆく ところ も なかった ので、 タツオカ-チョウ から イケノハタ へ でて、 ウエノ の コウエン の ナカ へ はいりました。 その とき カレ は レイ の ジケン に ついて、 とつぜん ムコウ から クチ を きりました。 ゼンゴ の ヨウス を ソウゴウ して かんがえる と、 K は その ため に ワタクシ を わざわざ サンポ に ひっぱりだした らしい の です。 けれども カレ の タイド は まだ ジッサイテキ の ホウメン へ むかって ちっとも すすんで いません でした。 カレ は ワタクシ に むかって、 ただ ばくぜん と、 どう おもう と いう の です。 どう おもう と いう の は、 そうした レンアイ の フチ に おちいった カレ を、 どんな メ で ワタクシ が ながめる か と いう シツモン なの です。 イチゴン で いう と、 カレ は ゲンザイ の ジブン に ついて、 ワタクシ の ヒハン を もとめたい よう なの です。 そこ に ワタクシ は カレ の ヘイゼイ と ことなる テン を たしか に みとめる こと が できた と おもいました。 たびたび くりかえす よう です が、 カレ の テンセイ は ヒト の オモワク を はばかる ほど よわく できあがって は いなかった の です。 こう と しんじたら ヒトリ で どんどん すすんで ゆく だけ の ドキョウ も あり ユウキ も ある オトコ なの です。 ヨウカ ジケン で その トクショク を つよく ムネ の ウチ に ほりつけられた ワタクシ が、 これ は ヨウス が ちがう と あきらか に イシキ した の は トウゼン の ケッカ なの です。
ワタクシ が K に むかって、 この サイ なんで ワタクシ の ヒヒョウ が ヒツヨウ なの か と たずねた とき、 カレ は イツモ にも にない しょうぜん と した クチョウ で、 ジブン の よわい ニンゲン で ある の が じっさい はずかしい と いいました。 そうして まよって いる から ジブン で ジブン が わからなく なって しまった ので、 ワタクシ に コウヘイ な ヒヒョウ を もとめる より ホカ に シカタ が ない と いいました。 ワタクシ は すかさず まよう と いう イミ を ききただしました。 カレ は すすんで いい か しりぞいて いい か、 それ に まよう の だ と セツメイ しました。 ワタクシ は すぐ イッポ サキ へ でました。 そうして しりぞこう と おもえば しりぞける の か と カレ に ききました。 すると カレ の コトバ が そこ で フイ に ゆきつまりました。 カレ は ただ くるしい と いった だけ でした。 じっさい カレ の ヒョウジョウ には くるしそう な ところ が ありあり と みえて いました。 もし アイテ が オジョウサン で なかった ならば、 ワタクシ は どんな に カレ に ツゴウ の いい ヘンジ を、 その かわききった カオ の ウエ に ジウ の ごとく そそいで やった か わかりません。 ワタクシ は その くらい の うつくしい ドウジョウ を もって うまれて きた ニンゲン と ジブン ながら しんじて います。 しかし その とき の ワタクシ は ちがって いました。
11 ガツ の さむい アメ の ふる ヒ の こと でした。 ワタクシ は ガイトウ を ぬらして レイ の とおり コンニャク エンマ を ぬけて ほそい サカミチ を あがって ウチ へ かえりました。 K の ヘヤ は ガランドウ でした けれども、 ヒバチ には ツギタテ の ヒ が あたたかそう に もえて いました。 ワタクシ も つめたい テ を はやく あかい スミ の ウエ に かざそう と おもって、 いそいで ジブン の ヘヤ の シキリ を あけました。 すると ワタクシ の ヒバチ には つめたい ハイ が しろく のこって いる だけ で、 ヒダネ さえ つきて いる の です。 ワタクシ は キュウ に フユカイ に なりました。
その とき ワタクシ の アシオト を きいて でて きた の は、 オクサン でした。 オクサン は だまって ヘヤ の マンナカ に たって いる ワタクシ を みて、 キノドク そう に ガイトウ を ぬがせて くれたり、 ニホンフク を きせて くれたり しました。 それから ワタクシ が さむい と いう の を きいて、 すぐ ツギノマ から K の ヒバチ を もって きて くれました。 ワタクシ が K は もう かえった の か と ききましたら、 オクサン は かえって また でた と こたえました。 その ヒ も K は ワタクシ より おくれて かえる ジカンワリ だった の です から、 ワタクシ は どうした ワケ か と おもいました。 オクサン は おおかた ヨウジ でも できた の だろう と いって いました。
ワタクシ は しばらく そこ に すわった まま ショケン を しました。 ウチ の ナカ が しんと しずまって、 ダレ の ハナシゴエ も きこえない うち に、 ハツフユ の サムサ と ワビシサ と が、 ワタクシ の カラダ に くいこむ よう な カンジ が しました。 ワタクシ は すぐ ショモツ を ふせて たちあがりました。 ワタクシ は ふと にぎやか な ところ へ ゆきたく なった の です。 アメ は やっと あがった よう です が、 ソラ は まだ つめたい ナマリ の よう に おもく みえた ので、 ワタクシ は ヨウジン の ため、 ジャノメ を カタ に かついで、 ホウヘイ コウショウ の ウラテ の ドベイ に ついて ヒガシ へ サカ を おりました。 その ジブン は まだ ドウロ の カイセイ が できない コロ なので、 サカ の コウバイ が イマ より も ずっと キュウ でした。 ミチハバ も せまくて、 ああ マッスグ では なかった の です。 そのうえ あの タニ へ おりる と、 ミナミ が たかい タテモノ で ふさがって いる の と、 ミズハキ が よく ない の と で、 オウライ は どろどろ でした。 ことに ほそい イシバシ を わたって ヤナギチョウ の トオリ へ でる アイダ が ひどかった の です。 アシダ でも ナガグツ でも むやみ に あるく わけ には ゆきません。 ダレ でも ミチ の マンナカ に しぜん と ほそながく ドロ が かきわけられた ところ を、 ゴショウ ダイジ に たどって ゆかなければ ならない の です。 その ハバ は わずか 1~2 シャク しか ない の です から、 てもなく オウライ に しいて ある オビ の ウエ を ふんで ムコウ へ こす の と おなじ こと です。 ゆく ヒト は ミンナ イチレツ に なって そろそろ とおりぬけます。 ワタクシ は この ホソオビ の ウエ で、 はたり と K に であいました。 アシ の ほう に ばかり キ を とられて いた ワタクシ は、 カレ と むきあう まで、 カレ の ソンザイ に まるで キ が つかず に いた の です。 ワタクシ は フイ に ジブン の マエ が ふさがった ので ぐうぜん メ を あげた とき、 はじめて そこ に たって いる K を みとめた の です。 ワタクシ は K に どこ へ いった の か と ききました。 K は ちょっと そこ まで と いった ぎり でした。 カレ の コタエ は イツモ の とおり ふん と いう チョウシ でした。 K と ワタクシ は ほそい オビ の ウエ で カラダ を かわせました。 すると K の すぐ ウシロ に ヒトリ の わかい オンナ が たって いる の が みえました。 キンガン の ワタクシ には、 イマ まで それ が よく わからなかった の です が、 K を やりこした アト で、 その オンナ の カオ を みる と、 それ が ウチ の オジョウサン だった ので、 ワタクシ は すくなからず おどろきました。 オジョウサン は こころもち うすあかい カオ を して、 ワタクシ に アイサツ を しました。 その ジブン の ソクハツ は イマ と ちがって ヒサシ が でて いない の です、 そうして アタマ の マンナカ に ヘビ の よう に ぐるぐる まきつけて あった もの です。 ワタクシ は ぼんやり オジョウサン の アタマ を みて いました が、 ツギ の シュンカン に、 どっち か ミチ を ゆずらなければ ならない の だ と いう こと に キ が つきました。 ワタクシ は おもいきって どろどろ の ナカ へ カタアシ ふんごみました。 そうして ヒカクテキ とおりやすい ところ を あけて、 オジョウサン を わたして やりました。
それから ヤナギチョウ の トオリ へ でた ワタクシ は どこ へ いって いい か ジブン にも わからなく なりました。 どこ へ いって も おもしろく ない よう な ココロモチ が する の です。 ワタクシ は ハネ の あがる の も かまわず に、 ヌカルミ の ナカ を やけに どしどし あるきました。 それから すぐ ウチ へ かえって きました。
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ワタクシ は K に むかって オジョウサン と イッショ に でた の か と ききました。 K は そう では ない と こたえました。 マサゴ-チョウ で ぐうぜん であった から つれだって かえって きた の だ と セツメイ しました。 ワタクシ は それ イジョウ に たちいった シツモン を ひかえなければ なりません でした。 しかし ショクジ の とき、 また オジョウサン に むかって、 おなじ トイ を かけたく なりました。 すると オジョウサン は ワタクシ の きらい な レイ の ワライカタ を する の です。 そうして どこ へ いった か あてて みろ と シマイ に いう の です。 その コロ の ワタクシ は まだ カンシャクモチ でした から、 そう フマジメ に わかい オンナ から とりあつかわれる と ハラ が たちました。 ところが そこ に キ の つく の は、 おなじ ショクタク に ついて いる モノ の ウチ で オクサン ヒトリ だった の です。 K は むしろ ヘイキ でした。 オジョウサン の タイド に なる と、 しって わざと やる の か、 しらない で ムジャキ に やる の か、 そこ の クベツ が ちょっと ハンゼン しない テン が ありました。 わかい オンナ と して オジョウサン は シリョ に とんだ ほう でした けれども、 その わかい オンナ に キョウツウ な ワタクシ の きらい な ところ も、 ある と おもえば おもえなく も なかった の です。 そうして その きらい な ところ は、 K が ウチ へ きて から、 はじめて ワタクシ の メ に つきだした の です。 ワタクシ は それ を K に たいする ワタクシ の シット に きして いい もの か、 または ワタクシ に たいする オジョウサン の ギコウ と みなして しかるべき もの か、 ちょっと フンベツ に まよいました。 ワタクシ は イマ でも けっして その とき の ワタクシ の シットシン を うちけす キ は ありません。 ワタクシ は たびたび くりかえした とおり、 アイ の リメン に この カンジョウ の ハタラキ を あきらか に イシキ して いた の です から。 しかも ハタ の モノ から みる と、 ほとんど とる に たりない サジ に、 この カンジョウ が きっと クビ を もちあげたがる の でした から。 これ は ヨジ です が、 こういう シット は アイ の ハンメン じゃ ない でしょう か。 ワタクシ は ケッコン して から、 この カンジョウ が だんだん うすらいで ゆく の を ジカク しました。 そのかわり アイジョウ の ほう も けっして モト の よう に モウレツ では ない の です。
ワタクシ は それまで チュウチョ して いた ジブン の ココロ を ひとおもいに アイテ の ムネ へ たたきつけよう か と かんがえだしました。 ワタクシ の アイテ と いう の は オジョウサン では ありません。 オクサン の こと です。 オクサン に オジョウサン を くれろ と メイハク な ダンパン を ひらこう か と かんがえた の です。 しかし そう ケッシン しながら、 イチニチ イチニチ と ワタクシ は ダンコウ の ヒ を のばして いった の です。 そう いう と ワタクシ は いかにも ユウジュウ な オトコ の よう に みえます、 また みえて も かまいません が、 じっさい ワタクシ の すすみかねた の は、 イシ の チカラ に フソク が あった ため では ありません。 K の こない うち は、 ヒト の テ に のる の が いや だ と いう ガマン が ワタクシ を おさえつけて、 イッポ も うごけない よう に して いました。 K の きた ノチ は、 もしか する と オジョウサン が K の ほう に イ が ある の では なかろう か と いう ギネン が たえず ワタクシ を せいする よう に なった の です。 はたして オジョウサン が ワタクシ より も K に ココロ を かたむけて いる ならば、 この コイ は クチ へ いいだす カチ の ない もの と ワタクシ は ケッシン して いた の です。 ハジ を かかせられる の が つらい など と いう の とは すこし ワケ が ちがいます。 こっち で いくら おもって も、 ムコウ が ナイシン ホカ の ヒト に アイ の マナコ を そそいで いる ならば、 ワタクシ は そんな オンナ と イッショ に なる の は いや なの です。 ヨノナカ では イヤオウ なし に ジブン の すいた オンナ を ヨメ に もらって うれしがって いる ヒト も あります が、 それ は ワタクシタチ より よっぽど セケンズレ の した オトコ か、 さも なければ アイ の シンリ が よく のみこめない ドンブツ の する こと と、 トウジ の ワタクシ は かんがえて いた の です。 イチド もらって しまえば どうか こうか おちつく もの だ ぐらい の テツリ では、 ショウチ する こと が できない くらい ワタクシ は ねっして いました。 つまり ワタクシ は きわめて コウショウ な アイ の リロンカ だった の です。 ドウジ に もっとも ウエン な アイ の ジッサイカ だった の です。
カンジン の オジョウサン に、 ちょくせつ この ワタクシ と いう もの を うちあける キカイ も、 ながく イッショ に いる うち には ときどき でて きた の です が、 ワタクシ は わざと それ を さけました。 ニホン の シュウカン と して、 そういう こと は ゆるされて いない の だ と いう ジカク が、 その コロ の ワタクシ には つよく ありました。 しかし けっして それ ばかり が ワタクシ を ソクバク した とは いえません。 ニホンジン、 ことに ニホン の わかい オンナ は、 そんな バアイ に、 アイテ に キガネ なく ジブン の おもった とおり を エンリョ せず に クチ に する だけ の ユウキ に とぼしい もの と ワタクシ は みこんで いた の です。
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こんな ワケ で ワタクシ は どちら の ホウメン へ むかって も すすむ こと が できず に たちすくんで いました。 カラダ の わるい とき に ヒルネ など を する と、 メ だけ さめて シュウイ の もの が はっきり みえる のに、 どうしても テアシ の うごかせない バアイ が ありましょう。 ワタクシ は ときとして ああいう クルシミ を ひとしれず かんじた の です。
そのうち トシ が くれて ハル に なりました。 ある ヒ オクサン が K に カルタ を やる から ダレ か トモダチ を つれて こない か と いった こと が あります。 すると K は すぐ トモダチ なぞ は ヒトリ も ない と こたえた ので、 オクサン は おどろいて しまいました。 なるほど K に トモダチ と いう ほど の トモダチ は ヒトリ も なかった の です。 オウライ で あった とき アイサツ を する くらい の モノ は たしょう ありました が、 それら だって けっして カルタ など を とる ガラ では なかった の です。 オクサン は それじゃ ワタクシ の しった モノ でも よんで きたら どう か と いいなおしました が、 ワタクシ も あいにく そんな ヨウキ な アソビ を する ココロモチ に なれない ので、 イイカゲン な ナマヘンジ を した なり、 うちやって おきました。 ところが バン に なって K と ワタクシ は とうとう オジョウサン に ひっぱりだされて しまいました。 キャク も ダレ も こない のに、 ウチウチ の コニンズ だけ で とろう と いう カルタ です から すこぶる しずか な もの でした。 そのうえ こういう ユウギ を やりつけない K は、 まるで フトコロデ を して いる ヒト と ドウヨウ でした。 ワタクシ は K に いったい ヒャクニン イッシュ の ウタ を しって いる の か と たずねました。 K は よく しらない と こたえました。 ワタクシ の コトバ を きいた オジョウサン は、 おおかた K を ケイベツ する と でも とった の でしょう。 それから メ に たつ よう に K の カセイ を しだしました。 シマイ には フタリ が ほとんど クミ に なって ワタクシ に あたる と いう アリサマ に なって きました。 ワタクシ は アイテ-シダイ では ケンカ を はじめた かも しれなかった の です。 サイワイ に K の タイド は すこしも サイショ と かわりません でした。 カレ の どこ にも トクイ-らしい ヨウス を みとめなかった ワタクシ は、 ブジ に その バ を きりあげる こと が できました。
それから 2~3 ニチ たった ノチ の こと でしたろう、 オクサン と オジョウサン は アサ から イチガヤ に いる シンルイ の ところ へ いく と いって ウチ を でました。 K も ワタクシ も まだ ガッコウ の はじまらない コロ でした から、 ルスイ ドウヨウ アト に のこって いました。 ワタクシ は ショモツ を よむ の も サンポ に でる の も いや だった ので、 ただ ばくぜん と ヒバチ の フチ に ヒジ を のせて じっと アゴ を ささえた なり かんがえて いました。 トナリ の ヘヤ に いる K も いっこう オト を たてません でした。 ソウホウ とも いる の だ か いない の だ か わからない くらい しずか でした。 もっとも こういう こと は、 フタリ の アイダガラ と して べつに めずらしく も なんとも なかった の です から、 ワタクシ は べつだん それ を キ にも とめません でした。
10 ジ-ゴロ に なって、 K は フイ に シキリ の フスマ を あけて ワタクシ と カオ を みあわせました。 カレ は シキイ の ウエ に たった まま、 ワタクシ に ナニ を かんがえて いる と ききました。 ワタクシ は もとより なにも かんがえて いなかった の です。 もし かんがえて いた と すれば、 イツモ の とおり オジョウサン が モンダイ だった かも しれません。 その オジョウサン には むろん オクサン も くっついて います が、 チカゴロ では K ジシン が きりはなす べからざる ヒト の よう に、 ワタクシ の アタマ の ナカ を ぐるぐる めぐって、 この モンダイ を フクザツ に して いる の です。 K と カオ を みあわせた ワタクシ は、 イマ まで おぼろげ に カレ を イッシュ の ジャマモノ の ごとく イシキ して いながら、 あきらか に そう と こたえる わけ に いかなかった の です。 ワタクシ は いぜん と して カレ の カオ を みて だまって いました。 すると K の ほう から つかつか と ワタクシ の ザシキ へ はいって きて、 ワタクシ の あたって いる ヒバチ の マエ に すわりました。 ワタクシ は すぐ リョウヒジ を ヒバチ の フチ から とりのけて、 こころもち それ を K の ほう へ おしやる よう に しました。
K は イツモ に にあわない ハナシ を はじめました。 オクサン と オジョウサン は イチガヤ の どこ へ いった の だろう と いう の です。 ワタクシ は おおかた オバサン の ところ だろう と こたえました。 K は その オバサン は ナン だ と また ききます。 ワタクシ は やはり グンジン の サイクン だ と おしえて やりました。 すると オンナ の ネンシ は たいてい 15 ニチ-スギ だ のに、 なぜ そんな に はやく でかけた の だろう と シツモン する の です。 ワタクシ は なぜ だ か しらない と アイサツ する より ホカ に シカタ が ありません でした。
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K は なかなか オクサン と オジョウサン の ハナシ を やめません でした。 シマイ には ワタクシ も こたえられない よう な たちいった こと まで きく の です。 ワタクシ は メンドウ より も フシギ の カン に うたれました。 イゼン ワタクシ の ほう から フタリ を モンダイ に して はなしかけた とき の カレ を おもいだす と、 ワタクシ は どうしても カレ の チョウシ の かわって いる ところ に キ が つかず には いられない の です。 ワタクシ は とうとう なぜ キョウ に かぎって そんな こと ばかり いう の か と カレ に たずねました。 その とき カレ は とつぜん だまりました。 しかし ワタクシ は カレ の むすんだ クチモト の ニク が ふるえる よう に うごいて いる の を チュウシ しました。 カレ は がんらい ムクチ な オトコ でした。 ヘイゼイ から ナニ か いおう と する と、 いう マエ に よく クチ の アタリ を もぐもぐ させる クセ が ありました。 カレ の クチビル が わざと カレ の イシ に ハンコウ する よう に たやすく あかない ところ に、 カレ の コトバ の オモミ も こもって いた の でしょう。 いったん コエ が クチ を やぶって でる と なる と、 その コエ には フツウ の ヒト より も バイ の つよい チカラ が ありました。
カレ の クチモト を ちょっと ながめた とき、 ワタクシ は また ナニ か でて くる な と すぐ かんづいた の です が、 それ が はたして なんの ジュンビ なの か、 ワタクシ の ヨカク は まるで なかった の です。 だから おどろいた の です。 カレ の おもおもしい クチ から、 カレ の オジョウサン に たいする せつない コイ を うちあけられた とき の ワタクシ を ソウゾウ して みて ください。 ワタクシ は カレ の マホウボウ の ため に イチド に カセキ された よう な もの です。 クチ を もぐもぐ させる ハタラキ さえ、 ワタクシ には なくなって しまった の です。
その とき の ワタクシ は オソロシサ の カタマリ と いいましょう か、 または クルシサ の カタマリ と いいましょう か、 なにしろ ヒトツ の カタマリ でした。 イシ か テツ の よう に アタマ から アシ の サキ まで が キュウ に かたく なった の です。 コキュウ を する ダンリョクセイ さえ うしなわれた くらい に かたく なった の です。 サイワイ な こと に その ジョウタイ は ながく つづきません でした。 ワタクシ は イッシュンカン の ノチ に、 また ニンゲン-らしい キブン を とりもどしました。 そうして、 すぐ しまった と おもいました。 セン を こされた な と おもいました。
しかし その サキ を どう しよう と いう フンベツ は まるで おこりません。 おそらく おこる だけ の ヨユウ が なかった の でしょう。 ワタクシ は ワキノシタ から でる キミ の わるい アセ が シャツ に しみとおる の を じっと ガマン して うごかず に いました。 K は その アイダ イツモ の とおり おもい クチ を きって は、 ぽつり ぽつり と ジブン の ココロ を うちあけて ゆきます。 ワタクシ は くるしくって たまりません でした。 おそらく その クルシサ は、 おおきな コウコク の よう に、 ワタクシ の カオ の ウエ に はっきり した ジ で はりつけられて あったろう と ワタクシ は おもう の です。 いくら K でも そこ に キ の つかない はず は ない の です が、 カレ は また カレ で、 ジブン の こと に イッサイ を シュウチュウ して いる から、 ワタクシ の ヒョウジョウ など に チュウイ する ヒマ が なかった の でしょう。 カレ の ジハク は サイショ から サイゴ まで おなじ チョウシ で つらぬいて いました。 おもくて のろい カワリ に、 とても ヨウイ な こと では うごかせない と いう カンジ を ワタクシ に あたえた の です。 ワタクシ の ココロ は ハンブン その ジハク を きいて いながら、 ハンブン どう しよう どう しよう と いう ネン に たえず かきみだされて いました から、 こまかい テン に なる と ほとんど ミミ へ はいらない と ドウヨウ でした が、 それでも カレ の クチ に だす コトバ の チョウシ だけ は つよく ムネ に ひびきました。 その ため に ワタクシ は マエ いった クツウ ばかり で なく、 ときには イッシュ の オソロシサ を かんずる よう に なった の です。 つまり アイテ は ジブン より つよい の だ と いう キョウフ の ネン が きざしはじめた の です。
K の ハナシ が ひととおり すんだ とき、 ワタクシ は なんとも いう こと が できません でした。 こっち も カレ の マエ に おなじ イミ の ジハク を した もの だろう か、 それとも うちあけず に いる ほう が トクサク だろう か、 ワタクシ は そんな リガイ を かんがえて だまって いた の では ありません。 ただ ナニゴト も いえなかった の です。 また いう キ にも ならなかった の です。
ヒルメシ の とき、 K と ワタクシ は ムカイアワセ に セキ を しめました。 ゲジョ に キュウジ を して もらって、 ワタクシ は いつ に ない まずい メシ を すませました。 フタリ は ショクジチュウ も ほとんど クチ を ききません でした。 オクサン と オジョウサン は いつ かえる の だ か わかりません でした。
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フタリ は メイメイ の ヘヤ に ひきとった ぎり カオ を あわせません でした。 K の しずか な こと は アサ と おなじ でした。 ワタクシ も じっと かんがえこんで いました。
ワタクシ は とうぜん ジブン の ココロ を K に うちあける べき はず だ と おもいました。 しかし それ には もう ジキ が おくれて しまった と いう キ も おこりました。 なぜ さっき K の コトバ を さえぎって、 こっち から ギャクシュウ しなかった の か、 そこ が ヒジョウ な テヌカリ の よう に みえて きました。 せめて K の アト に つづいて、 ジブン は ジブン の おもう とおり を その バ で はなして しまったら、 まだ よかったろう に とも かんがえました。 K の ジハク に イチダンラク が ついた イマ と なって、 こっち から また おなじ こと を きりだす の は、 どう シアン して も ヘン でした。 ワタクシ は この フシゼン に うちかつ ホウホウ を しらなかった の です。 ワタクシ の アタマ は カイコン に ゆられて ぐらぐら しました。
ワタクシ は K が ふたたび シキリ の フスマ を あけて ムコウ から トッシン して きて くれれば いい と おもいました。 ワタクシ に いわせれば、 サッキ は まるで フイウチ に あった も おなじ でした。 ワタクシ には K に おうずる ジュンビ も なにも なかった の です。 ワタクシ は ゴゼン に うしなった もの を、 コンド は とりもどそう と いう シタゴコロ を もって いました。 それで ときどき メ を あげて、 フスマ を ながめました。 しかし その フスマ は いつまで たって も あきません。 そうして K は エイキュウ に しずか なの です。
そのうち ワタクシ の アタマ は だんだん この シズカサ に かきみだされる よう に なって きました。 K は イマ フスマ の ムコウ で ナニ を かんがえて いる だろう と おもう と、 それ が キ に なって たまらない の です。 フダン も こんな ふう に オタガイ が シキリ 1 マイ を アイダ に おいて だまりあって いる バアイ は しじゅう あった の です が、 ワタクシ は K が しずか で あれば ある ほど、 カレ の ソンザイ を わすれる の が フツウ の ジョウタイ だった の です から、 その とき の ワタクシ は よほど チョウシ が くるって いた もの と みなければ なりません。 それでいて ワタクシ は こっち から すすんで フスマ を あける こと が できなかった の です。 いったん いいそびれた ワタクシ は、 また ムコウ から はたらきかけられる ジキ を まつ より ホカ に シカタ が なかった の です。
シマイ に ワタクシ は じっと して おられなく なりました。 ムリ に じっと して いれば、 K の ヘヤ へ とびこみたく なる の です。 ワタクシ は しかたなし に たって エンガワ へ でました。 そこ から チャノマ へ きて、 なんと いう モクテキ も なく、 テツビン の ユ を ユノミ に ついで 1 パイ のみました。 それから ゲンカン へ でました。 ワタクシ は わざと K の ヘヤ を カイヒ する よう に して、 こんな ふう に ジブン を オウライ の マンナカ に みいだした の です。 ワタクシ には むろん どこ へ ゆく と いう アテ も ありません。 ただ じっと して いられない だけ でした。 それで ホウガク も なにも かまわず に、 ショウガツ の マチ を、 むやみ に あるきまわった の です。 ワタクシ の アタマ は いくら あるいて も K の こと で いっぱい に なって いました。 ワタクシ も K を ふるいおとす キ で あるきまわる わけ では なかった の です。 むしろ ジブン から すすんで カレ の スガタ を ソシャク しながら うろついて いた の です。
ワタクシ には ダイイチ に カレ が かいしがたい オトコ の よう に みえました。 どうして あんな こと を とつぜん ワタクシ に うちあけた の か、 また どうして うちあけなければ いられない ほど に、 カレ の コイ が つのって きた の か、 そうして ヘイゼイ の カレ は どこ に ふきとばされて しまった の か、 すべて ワタクシ には かいしにくい モンダイ でした。 ワタクシ は カレ の つよい こと を しって いました。 また カレ の マジメ な こと を しって いました。 ワタクシ は これから ワタクシ の とる べき タイド を けっする マエ に、 カレ に ついて きかなければ ならない オオク を もって いる と しんじました。 ドウジ に これから サキ カレ を アイテ に する の が へんに キミ が わるかった の です。 ワタクシ は ムチュウ に マチ の ナカ を あるきながら、 ジブン の ヘヤ に じっと すわって いる カレ の ヨウボウ を しじゅう メノマエ に えがきだしました。 しかも いくら ワタクシ が あるいて も カレ を うごかす こと は とうてい できない の だ と いう コエ が どこ か で きこえる の です。 つまり ワタクシ には カレ が イッシュ の マモノ の よう に おもえた から でしょう。 ワタクシ は エイキュウ カレ に たたられた の では なかろう か と いう キ さえ しました。
ワタクシ が つかれて ウチ へ かえった とき、 カレ の ヘヤ は いぜん と して ヒトケ の ない よう に しずか でした。
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ワタクシ が ウチ へ はいる と まもなく クルマ の オト が きこえました。 イマ の よう に ゴムワ の ない ジブン でした から、 がらがら いう いや な ヒビキ が かなり の キョリ でも ミミ に たつ の です。 クルマ は やがて モンゼン で とまりました。
ワタクシ が ユウメシ に よびだされた の は、 それから 30 プン ばかり たった アト の こと でした が、 まだ オクサン と オジョウサン の ハレギ が ぬぎすてられた まま、 ツギ の ヘヤ を ランザツ に いろどって いました。 フタリ は おそく なる と ワタクシタチ に すまない と いう ので、 メシ の シタク に まにあう よう に、 いそいで かえって きた の だ そう です。 しかし オクサン の シンセツ は K と ワタクシ と に とって ほとんど ムコウ も おなじ こと でした。 ワタクシ は ショクタク に すわりながら、 コトバ を おしがる ヒト の よう に、 そっけない アイサツ ばかり して いました。 K は ワタクシ より も なお カゲン でした。 たまに オヤコヅレ で ガイシュツ した オンナ フタリ の キブン が、 また ヘイゼイ より は すぐれて はれやか だった ので、 ワレワレ の タイド は なお の こと メ に つきます。 オクサン は ワタクシ に どうか した の か と ききました。 ワタクシ は すこし ココロモチ が わるい と こたえました。 じっさい ワタクシ は ココロモチ が わるかった の です。 すると コンド は オジョウサン が K に おなじ トイ を かけました。 K は ワタクシ の よう に ココロモチ が わるい とは こたえません。 ただ クチ が ききたく ない から だ と いいました。 オジョウサン は なぜ クチ が ききたく ない の か と ツイキュウ しました。 ワタクシ は その とき ふと おもたい マブタ を あげて K の カオ を みました。 ワタクシ には K が なんと こたえる だろう か と いう コウキシン が あった の です。 K の クチビル は レイ の よう に すこし ふるえて いました。 それ が しらない ヒト から みる と、 まるで ヘンジ に まよって いる と しか おもわれない の です。 オジョウサン は わらいながら また ナニ か むずかしい こと を かんがえて いる の だろう と いいました。 K の カオ は こころもち うすあかく なりました。
その バン ワタクシ は イツモ より はやく トコ へ はいりました。 ワタクシ が ショクジ の とき キブン が わるい と いった の を キ に して、 オクサン は 10 ジ-ゴロ ソバユ を もって きて くれました。 しかし ワタクシ の ヘヤ は もう マックラ でした。 オクサン は おやおや と いって、 シキリ の フスマ を ホソメ に あけました。 ランプ の ヒカリ が K の ツクエ から ナナメ に ぼんやり と ワタクシ の ヘヤ に さしこみました。 K は まだ おきて いた もの と みえます。 オクサン は マクラモト に すわって、 おおかた カゼ を ひいた の だろう から カラダ を あっためる が いい と いって、 ユノミ を カオ の ソバ へ つきつける の です。 ワタクシ は やむ を えず、 どろどろ した ソバユ を オクサン の みて いる マエ で のみました。
ワタクシ は おそく なる まで くらい ナカ で かんがえて いました。 むろん ヒトツ モンダイ を ぐるぐる カイテン させる だけ で、 ホカ に なんの コウリョク も なかった の です。 ワタクシ は とつぜん K が イマ トナリ の ヘヤ で ナニ を して いる だろう と おもいだしました。 ワタクシ は なかば ムイシキ に おい と コエ を かけました。 すると ムコウ でも おい と ヘンジ を しました。 K も まだ おきて いた の です。 ワタクシ は まだ ねない の か と フスマゴシ に ききました。 もう ねる と いう カンタン な アイサツ が ありました。 ナニ を して いる の だ と ワタクシ は かさねて といました。 コンド は K の コタエ が ありません。 そのかわり 5~6 プン たった と おもう コロ に、 オシイレ を がらり と あけて、 トコ を のべる オト が テ に とる よう に きこえました。 ワタクシ は もう ナンジ か と また たずねました。 K は 1 ジ 20 プン だ と こたえました。 やがて ランプ を ふっと ふきけす オト が して、 ウチジュウ が マックラ な ウチ に、 しんと しずまりました。
しかし ワタクシ の メ は その くらい ナカ で いよいよ さえて くる ばかり です。 ワタクシ は また なかば ムイシキ な ジョウタイ で、 おい と K に コエ を かけました。 K も イゼン と おなじ よう な チョウシ で、 おい と こたえました。 ワタクシ は ケサ カレ から きいた こと に ついて、 もっと くわしい ハナシ を したい が、 カレ の ツゴウ は どう だ と、 とうとう こっち から きりだしました。 ワタクシ は むろん フスマゴシ に そんな ダンワ を コウカン する キ は なかった の です が、 K の ヘントウ だけ は ソクザ に えられる こと と かんがえた の です。 ところが K は サッキ から 2 ド おい と よばれて、 2 ド おい と こたえた よう な すなお な チョウシ で、 コンド は おうじません。 そう だなあ と ひくい コエ で しぶって います。 ワタクシ は また はっと おもわせられました。
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K の ナマヘンジ は ヨクジツ に なって も、 その ヨクジツ に なって も、 カレ の タイド に よく あらわれて いました。 カレ は ジブン から すすんで レイ の モンダイ に ふれよう と する ケシキ を けっして みせません でした。 もっとも キカイ も なかった の です。 オクサン と オジョウサン が そろって イチニチ ウチ を あけ でも しなければ、 フタリ は ゆっくり おちついて、 そういう こと を はなしあう わけ にも いかない の です から。 ワタクシ は それ を よく こころえて いました。 こころえて いながら、 へんに いらいら しだす の です。 その ケッカ ハジメ は ムコウ から くる の を まつ つもり で、 あんに ヨウイ を して いた ワタクシ が、 オリ が あったら こっち で クチ を きろう と ケッシン する よう に なった の です。
ドウジ に ワタクシ は だまって ウチ の モノ の ヨウス を カンサツ して みました。 しかし オクサン の タイド にも オジョウサン の ソブリ にも、 べつに ヘイゼイ と かわった テン は ありません でした。 K の ジハク イゼン と ジハク イゴ と で、 カレラ の キョドウ に これ と いう サイ が しょうじない ならば、 カレ の ジハク は たんに ワタクシ だけ に かぎられた ジハク で、 カンジン の ホンニン にも、 また その カントクシャ たる オクサン にも、 まだ つうじて いない の は たしか でした。 そう かんがえた とき ワタクシ は すこし アンシン しました。 それで ムリ に キカイ を こしらえて、 わざとらしく ハナシ を もちだす より は、 シゼン の あたえて くれる もの を とりにがさない よう に する ほう が よかろう と おもって、 レイ の モンダイ には しばらく テ を つけず に そっと して おく こと に しました。
こう いって しまえば たいへん カンタン に きこえます が、 そうした ココロ の ケイカ には、 シオ の ミチヒ と おなじ よう に、 イロイロ の タカビク が あった の です。 ワタクシ は K の うごかない ヨウス を みて、 それ に サマザマ の イミ を つけくわえました。 オクサン と オジョウサン の ゲンゴ ドウサ を カンサツ して、 フタリ の ココロ が はたして そこ に あらわれて いる とおり なの だろう か と うたがって も みました。 そうして ニンゲン の ムネ の ナカ に ソウチ された フクザツ な キカイ が、 トケイ の ハリ の よう に、 メイリョウ に イツワリ なく、 バンジョウ の スウジ を さしうる もの だろう か と かんがえました。 ようするに ワタクシ は おなじ こと を こう も とり、 ああ も とり した アゲク、 ようやく ここ に おちついた もの と おもって ください。 さらに むずかしく いえば、 おちつく など と いう コトバ は、 この サイ けっして つかわれた ギリ で なかった の かも しれません。
そのうち ガッコウ が また はじまりました。 ワタクシタチ は ジカン の おなじ ヒ には つれだって ウチ を でます。 ツゴウ が よければ かえる とき にも やはり イッショ に かえりました。 ガイブ から みた K と ワタクシ は、 なんにも マエ と ちがった ところ が ない よう に したしく なった の です。 けれども ハラ の ナカ では、 テンデン に テンデン の こと を カッテ に かんがえて いた に チガイ ありません。 ある ヒ ワタクシ は とつぜん オウライ で K に ニクハク しました。 ワタクシ が ダイイチ に きいた の は、 コノアイダ の ジハク が ワタクシ だけ に かぎられて いる か、 または オクサン や オジョウサン にも つうじて いる か の テン に あった の です。 ワタクシ の これから とる べき タイド は、 この トイ に たいする カレ の コタエ-シダイ で きめなければ ならない と、 ワタクシ は おもった の です。 すると カレ は ホカ の ヒト には まだ ダレ にも うちあけて いない と メイゲン しました。 ワタクシ は ジジョウ が ジブン の スイサツドオリ だった ので、 ナイシン うれしがりました。 ワタクシ は K の ワタクシ より オウチャク なの を よく しって いました。 カレ の ドキョウ にも かなわない と いう ジカク が あった の です。 けれども イッポウ では また ミョウ に カレ を しんじて いました。 ガクシ の こと で ヨウカ を 3 ネン も あざむいて いた カレ です けれども、 カレ の シンヨウ は ワタクシ に たいして すこしも そこなわれて いなかった の です。 ワタクシ は それ が ため に かえって カレ を しんじだした くらい です。 だから いくら うたがいぶかい ワタクシ でも、 メイハク な カレ の コタエ を ハラ の ナカ で ヒテイ する キ は オコリヨウ が なかった の です。
ワタクシ は また カレ に むかって、 カレ の コイ を どう とりあつかう つもり か と たずねました。 それ が たんなる ジハク に すぎない の か、 または その ジハク に ついで、 ジッサイテキ の コウカ をも おさめる キ なの か と とうた の です。 しかるに カレ は そこ に なる と、 なんにも こたえません。 だまって シタ を むいて あるきだします。 ワタクシ は カレ に カクシダテ を して くれるな、 すべて おもった とおり を はなして くれ と たのみました。 カレ は なにも ワタクシ に かくす ヒツヨウ は ない と はっきり ダンゲン しました。 しかし ワタクシ の しろう と する テン には、 イチゴン の ヘンジ も あたえない の です。 ワタクシ も オウライ だ から わざわざ たちどまって ソコ まで つきとめる わけ に いきません。 つい ソレナリ に して しまいました。
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ある ヒ ワタクシ は ヒサシブリ に ガッコウ の トショカン に はいりました。 ワタクシ は ひろい ツクエ の カタスミ で マド から さす コウセン を ハンシン に うけながら、 シンチャク の ガイコク ザッシ を、 あちらこちら と ひっくりかえして みて いました。 ワタクシ は タンニン キョウシ から センコウ の ガッカ に かんして、 ツギ の シュウ まで に ある ジコウ を しらべて こい と めいぜられた の です。 しかし ワタクシ に ヒツヨウ な コトガラ が なかなか みつからない ので、 ワタクシ は 2 ド も 3 ド も ザッシ を かりかえなければ なりません でした。 サイゴ に ワタクシ は やっと ジブン に ヒツヨウ な ロンブン を さがしだして、 イッシン に それ を よみだしました。 すると とつぜん ハバ の ひろい ツクエ の ムコウガワ から ちいさな コエ で ワタクシ の ナ を よぶ モノ が あります。 ワタクシ は ふと メ を あげて そこ に たって いる K を みました。 K は その ジョウハンシン を ツクエ の ウエ に おりまげる よう に して、 カレ の カオ を ワタクシ に ちかづけました。 ゴショウチ の とおり トショカン では ホカ の ヒト の ジャマ に なる よう な おおきな コエ で ハナシ を する わけ に ゆかない の です から、 K の この ショサ は ダレ でも やる フツウ の こと なの です が、 ワタクシ は その とき に かぎって、 イッシュ ヘン な ココロモチ が しました。
K は ひくい コエ で ベンキョウ か と ききました。 ワタクシ は ちょっと シラベモノ が ある の だ と こたえました。 それでも K は まだ その カオ を ワタクシ から はなしません。 おなじ ひくい チョウシ で イッショ に サンポ を しない か と いう の です。 ワタクシ は すこし まって いれば して も いい と こたえました。 カレ は まって いる と いった まま、 すぐ ワタクシ の マエ の クウセキ に コシ を おろしました。 すると ワタクシ は キ が ちって キュウ に ザッシ が よめなく なりました。 なんだか K の ムネ に イチモツ が あって、 ダンパン でも し に こられた よう に おもわれて シカタ が ない の です。 ワタクシ は やむ を えず よみかけた ザッシ を ふせて、 たちあがろう と しました。 K は おちつきはらって もう すんだ の か と ききます。 ワタクシ は どうでも いい の だ と こたえて、 ザッシ を かえす と ともに、 K と トショカン を でました。
フタリ は べつに ゆく ところ も なかった ので、 タツオカ-チョウ から イケノハタ へ でて、 ウエノ の コウエン の ナカ へ はいりました。 その とき カレ は レイ の ジケン に ついて、 とつぜん ムコウ から クチ を きりました。 ゼンゴ の ヨウス を ソウゴウ して かんがえる と、 K は その ため に ワタクシ を わざわざ サンポ に ひっぱりだした らしい の です。 けれども カレ の タイド は まだ ジッサイテキ の ホウメン へ むかって ちっとも すすんで いません でした。 カレ は ワタクシ に むかって、 ただ ばくぜん と、 どう おもう と いう の です。 どう おもう と いう の は、 そうした レンアイ の フチ に おちいった カレ を、 どんな メ で ワタクシ が ながめる か と いう シツモン なの です。 イチゴン で いう と、 カレ は ゲンザイ の ジブン に ついて、 ワタクシ の ヒハン を もとめたい よう なの です。 そこ に ワタクシ は カレ の ヘイゼイ と ことなる テン を たしか に みとめる こと が できた と おもいました。 たびたび くりかえす よう です が、 カレ の テンセイ は ヒト の オモワク を はばかる ほど よわく できあがって は いなかった の です。 こう と しんじたら ヒトリ で どんどん すすんで ゆく だけ の ドキョウ も あり ユウキ も ある オトコ なの です。 ヨウカ ジケン で その トクショク を つよく ムネ の ウチ に ほりつけられた ワタクシ が、 これ は ヨウス が ちがう と あきらか に イシキ した の は トウゼン の ケッカ なの です。
ワタクシ が K に むかって、 この サイ なんで ワタクシ の ヒヒョウ が ヒツヨウ なの か と たずねた とき、 カレ は イツモ にも にない しょうぜん と した クチョウ で、 ジブン の よわい ニンゲン で ある の が じっさい はずかしい と いいました。 そうして まよって いる から ジブン で ジブン が わからなく なって しまった ので、 ワタクシ に コウヘイ な ヒヒョウ を もとめる より ホカ に シカタ が ない と いいました。 ワタクシ は すかさず まよう と いう イミ を ききただしました。 カレ は すすんで いい か しりぞいて いい か、 それ に まよう の だ と セツメイ しました。 ワタクシ は すぐ イッポ サキ へ でました。 そうして しりぞこう と おもえば しりぞける の か と カレ に ききました。 すると カレ の コトバ が そこ で フイ に ゆきつまりました。 カレ は ただ くるしい と いった だけ でした。 じっさい カレ の ヒョウジョウ には くるしそう な ところ が ありあり と みえて いました。 もし アイテ が オジョウサン で なかった ならば、 ワタクシ は どんな に カレ に ツゴウ の いい ヘンジ を、 その かわききった カオ の ウエ に ジウ の ごとく そそいで やった か わかりません。 ワタクシ は その くらい の うつくしい ドウジョウ を もって うまれて きた ニンゲン と ジブン ながら しんじて います。 しかし その とき の ワタクシ は ちがって いました。