鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

立つ鳥跡を濁す

2021-09-18 11:19:41 | 日本の時事風景
台風14号はこの一週間余り、ぐずぐずした天気をもたらしていたが、昨夜のうち福岡県北部に上陸したあと速度を速め、今朝は四国の松山市に再上陸したという。

今朝は早朝から天気は回復に向かい、10時現在の今はすっかり晴れ上がり、日差しも強くなってきた。

3日ほど前から彼岸花が咲きだし、陽光に艶やかな紅色を見せている。


秋彼岸が近づくと決まってその前に咲き始める彼岸花。球根にはアルカロイドという毒性のある成分を含むので、地中の虫に食われることはないそうだ。飢饉の時には食用にされたとも聞く。

すっくと立ちあがった紅色の強さが亡き人の想いの勁さを連想させて、彼岸にはふさわしい花だ。

真夏の暑さも峠を越えたようで、今朝、ウメの散歩に出た時はまだ台風の余波の風が吹いていて、実に清々しかった。

朝刊を読んでいると、あまり目立たない箇所に「米軍の普天間飛行場内に保管してあった海兵隊移転後の跡地に置かれていたフッ素化合物の汚染水36万リットルの焼却処分で、日本がその費用を持つということで沖縄米軍と合意した」という記事があった。

この汚染水をめぐっては、今年の7月だったか、米軍側が汚染水の一部のフッ素化合物を中和させるために、消火剤の泡状の物を大量に発生させて、沖縄県を緊張させたのだが、結局、協議に応じず一般排水として処理場に流してしまった。

これではいけないと、防衛省沖縄防衛局と米軍側が話し合いに入ったのであるが、結局のところ「日本側が処分します」ということになった。要するに米軍の尻ぬぐいだが、日米安保及び日米地位協定によって、米軍に押し切られたわけである。

「飛ぶ鳥跡を濁さず」ではなく「跡を濁す」とはまさにこのことだろう。

アメリカ側としては「日米同盟により日本を守るために基地を置いているんだから、そのくらいなことは日本がやれ。我々はいざとなったら血を流すんだぞ」という腹だろう。

なるほどその通りだ、日米安保がある以上は。

しかし日本も見くびられたものだ。しかし当のアメリカも、日本が自分では自国を守れないと本気では思っていないはずだ。

むしろアメリカから手を引かれたら困惑し、かつ怖気づくのは「日米のこれまでにない強固な同盟関係」をオウム返しのように繰り返す日本の保守層で、1955年の保守合同以来、「自主憲法制定」を唱えるだけの自由民主党支持層である。

今の日本国憲法は実質上「マッカーサー欽定憲法」であり、明治憲法の制定の時の方がまだ日本国民の「自主憲法」への関心が高かったし、実際に条文を作ってしまった民権家もいたほどであった。

未曽有の壊滅的な敗戦であり、連合軍の占領統治下であったから致し方ないとしても、もう「マッカーサー欽定憲法」の改めるべきは改めた上で、改憲したほうがよくはないか。自民党のスローガンは「自主憲法制定」ではなく「自主的憲法改定」にすべきだろう。

憲法問題の今日的状況を作ったマッカーサーだが、日本国憲法制定をめぐっては一つ良いことを言っている。

それは「日本はスイスのように永世中立国になるのがふさわしい」と。

だが、残念ながらその見解、朝鮮動乱が起きてからは封じてしまったのだ。

もう一度その考えを吟味したいものだ。

今度の自民党総裁選挙に出た4名の議員のうち、そんなことに言及する人は皆無である。

「敵基地攻撃能力を考慮する。電磁波で敵基地を無力化する」などと勇ましい政策を口にする候補者がいるのは残念だ。