鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

「皇室と日本語」が一番の礎

2021-09-12 22:10:18 | 日本の時事風景
自民党総裁選に出馬を表明した3人目の河野行革担当相が会見を開き、自分の政策を発表した。

この中で河野氏の持論の「脱原発」と「女系天皇容認」は、自民党の保守層である派閥の長老たちの支持を得ていない、ということで封印した。

選挙のための一時的な封印に過ぎないという見方もあるが、選挙には「選挙戦術」というものが欠かせないという観点からすれば、先に立候補した岸田氏が「森友学園文書改ざん問題の再調査はしない」と前言を翻したのと大同小異だろう。

中でも耳目を集めたのが「日本の長い歴史と伝統文化に裏付けられた皇室と日本語が一番の礎」というフレーズだ。

河野氏がこの見解に到った経緯については寡聞にしてよく知らないが、保守層の長老はもとより日本の歴史を学ぶ者なら、客観的に見てその通りと頷くはずだ。

日本の皇室は、アフリカの旧エチオピア皇帝国家が無くなった段階で世界で最も長く続く「王室」である。それも断トツの古さなのだ。それもただ古いというだけではなく、奈良朝の時代から今に至るまで行われている「皇室による祭祀」の継続性において群を抜く。

皇室のみならず日本各地に見られる祭祀(祭り行事)の多種多様さは、日本全体が世界遺産と言ってもよいくらいで、その頂点にあるのが「皇室祭祀」なのである。

日本の皇室はただ「仰ぐべきである」という「である」存在なのではなく、「祭祀する」という「する」存在なのであり、常に国民の安寧を祈る仕事を連綿と継続している。

そして日本語。

日本語(倭語)については先のブログ「倭人語(日本語)のルーツ」や「古代日本が中国語化しなかったワケ」でも述べたように、表意記号の「漢字・漢語」と音声記号の「かな・カタカナ」をうまく混在させ、あらゆる情報を盛り込める世界でも屈指の豊かな表現が可能になった言語である。

私のブログでは常に「人気10位以内」に入っている「西鋭夫教授の歴史観」で、アメリカ在住のスタンフォード大学教授・西鋭夫氏が持論で「日本語こそ守らねばならぬ」と言っているが、河野氏の見解とまさに同じ。

先に立候補した岸田氏も「日本型資本主義を目指す」と公約に掲げていたが、我々はもうアメリカ型の行き過ぎた自由(規制緩和)から目覚めなければならない。

「金があれば何でもできる」とか「自由さえあれば何でもできる」、これを合体して「金と自由があればできないことはない」という考えは、実は民主主義とは相容れない考え方であることに気付かなければならない。それは単なる「金主主義」なのだ。

自由と民主主義を根付かせる、と言って始められたアメリカのアフガニスタン侵攻とイラク戦争のこの20年で、アメリカは200兆円以上も注ぎ込んだというが、結果は御覧の通り。米兵数千人の命と当該地域の数十万の命を奪って、結局何のための戦いだったのか。

アメリカは第二次大戦後、対外戦争でいったい何人の無辜の民の命を奪ったのだろうか。ベトナム、アフガニスタン、イラク・・・、すべてアメリカ的な「自由と民主主義」を守るため、あるいは植え付けるための戦争であったり、キャッチフレーズの響きは良いが、結局は自己満足でしかなかったようだ。

喜んでいるのは軍需産業だけではないか。注ぎ込んだ200兆円のうちどれだけが軍需産業に回ったかは知る由もないが、3割としても60兆円だ。

「戦争をしたがるのはそれによって大儲けをする輩がいるからだ」とは、バチカンのフランシスコ教皇の言葉だが、おそらくその通りだろう。

アメリカは実はすでにそんな「金主主義」の輩に支配されているのかもしれない。

河野氏も岸田氏もその点には気付いていると思う。したたかに日本型の自由と民主と資本主義を堅持して欲しいものだ。