イギリスで開催されたG7が終了し、現地の会見で日本の菅総理は、各国から東京オリンピック開催に支持を得たとして喜んでいる。「やる気満々宣言」で、もう何としても開くしかないと肚をくくっているようだ。
これでは「やるっきゃない」だろう。今の感染状況では「無観客」が当然だが、パブリックビューイングもおそらく無理だろう。
海外からの観戦客はゼロでも、選手、引率者、各国OCの役員、報道陣それにIOC役員など6万人とかいう数の人々が一時期に海外から来て、ほぼ東京都内に集まって過ごすのだから、新型コロナウイルス(特に変異株)にとってはまたとない感染のチャンスである。
しかもこのクソ暑い真夏の東京圏でやろうというのだから、選手も役員も大変だろう。体力を消耗して免疫力を落とさないことを願うばかりだ。
この20日で切れる緊急事態宣言のあと、国内の感染状況がどうなて行くのか、ワクチン次第だと聞く。いま現在、65歳以上の高齢者のワクチン接種率がようやく1回目が3割を超えたが、仮に7月末までに2回目まで終了しても、64歳以下はオリンピックが始まってもまだせいぜい1割かそのくらいだろう。
いくら家でテレビの前で応援しろと言っても、夏休みだから親類や児童・生徒・学生の友人たちが集まって来るだろう。それを止めることはほぼ不可能だ。したがって今の状態でオリンピックを開けば、感染拡大を誘発するのは間違いない。
高齢者と医療関係者、施設などにクラスタ―は起きないにしても、低年齢層、学生や児童生徒間のクラスタ―などは多くなろう。
政府はそれを見越しているはずだと思うが、もし夏休みに本当に感染の「第5波」が起きたら、9月か10月かの衆議院選挙では「オリンピックは成功したが、自民党は惨敗した」という結果になるかもしれない。
ところで今度のG7サミットの主題は「いかに中国を抑えるか」だったが、英米首脳はついに「新大西洋憲章」なるものをぶち上げた。
これは勿論かつての「大西洋憲章」を念頭に置いたものだが、「旧」が対枢軸国(主としてドイツ)だったのに対して、「新」は対中国(ロシアも標的)で、2010年に日本を抜いて世界第二の経済大国になったことが大きい。
それだけ大きな経済力を持ちながら、相変わらず共産党一党独裁を貫いており、ウイグル族問題、香港問題、台湾問題などに専制的な力をチラつかせている非民主政府、はG7に参加している諸国とは価値観として相容れない。その上、南シナ海での軍事的な海洋進出が東南アジアのみならず、世界各国の脅威となっている。
「新大西洋憲章」は英米の「自由と民主主義」理念を再び世界共通の理念として高らかに宣言しようというのだが、そもそも旧大西洋憲章が宣言されたのは1941年の夏のことで、イギリスが交戦しているヒットラードイツの敗北後の世界秩序を謳ったものであった。
宣言して、1か月には共鳴する国々を誘って15か国になった。これはまさに「集団的自衛権」そのものだが、イギリスがアメリカを我が陣営に呼び込もうというのがそもそものきっかけで、それに応じたアメリカが「理想の国際観念」を上塗りし、のちの「国連憲章」の基本となった。
アメリカにはまだ老大国のしたたかさを受け容れない初々しさがあった。だからイギリスの搾取的な植民地主義をチクリと刺したりもしている。(※しかしながら、イギリスが本当に植民地の搾取的支配を終了させたのは、太平洋戦争前の日本の理念「大東亜協栄圏」構想による人種に拠らない互恵的な各国の独立自尊という旗印に触れて、各植民地が目覚めたことによる。ただしミャンマーはアウンサンスーチーがイギリス国籍を捨てていないことで、民主化運動が複雑になってしまった。)
さて、この「集団的自衛権」国家群の中に旧ソ連が含まれていたことは余り知られていない。
日本とソ連が中立条約を結んだのは1941年の4月だったが、同じ年の7月にイギリスがソ連と「相互援助条約」を結んでいる。ドイツを背後から衝いて欲しいというわけである。またアメリカも8月には「米ソ協定」を締結しているが、これはイギリスに慫慂されたアメリカがソ連に武器を援助するのが目的だった。とにかく憎きドイツをやっつけるには、共産主義だろうが何だろうが自陣に引き入れるのに躊躇はしないのが、百戦錬磨の老大国のやり方なのだ。
太平洋戦争終戦間際に日本は日ソ中立条約によりソ連に終戦の仲介を頼もうとしていたのだが、これら英米とソ連との間で結ばれた条約と協定に基づいて開かれた「ヤルタ会談」の結果、日ソ中立条約はすでに反古になっていたのである。
何も知らない日本はお目出度いという他ないが、このヤルタ秘密協定があればこそ、終戦間際のソ連軍満州侵攻、シベリア抑留、北方領土の占領が行われ、英米、特にアメリカがこの点に関しては是とも非とも何も表明しない理由である。(※ロシア政府は以上3つの案件に対して、第二次大戦の結果として行われたもので、補償も返還もないと言うようになった。盗人ロシアの背景には英米の影があったということができる。)
ところで、今度出されるという新大西洋憲章によって、強力な対中国包囲網が構築されるのだろうか?
G7のうち、英米を除く5か国の対応は様々で、イタリア、ドイツなど中国との結び付きの強い国は反対はしないまでも、積極的には賛成せず、フランスはもともと独自路線の国だから是非は言わず、カナダはイギリス連邦の一国だから当然賛成、して日本はとなると、尖閣問題があるので積極的に賛成したいものの、全体の貿易量で4割を占める中国には強く出られず、板挟みになるしかない。
何しろ去年の2月に5回にわたってチャーター便を飛ばして、ロックダウン中の武漢から日本に引き揚げた現地企業の日本人駐在員たちの数が800人、関係会社の数が160社もあったというのである。中国全土でいったいどれだけの日本企業があるのか見当もつかない。それだけ経済的な結びつきは強くなっている。
この状況では、中国への制裁に関して、手加減せざるを得ないだろう。
そもそもこんな一党独裁の共産主義国家を、成立した翌1950年に承認してしまったイギリスもだが、「ピンポン外交」から始まった米中融和が1972年の中国の国連加盟に繋がり、それまで中華民国(台湾政府)占めていた「国連安保理の常任理事国」の座をみすみす共産中国に与えてしまったのはアメリカである。
今さら、という気がしないでもないが、日本としてはこの機会に、旧敵国条項(53条)を削除した「国連憲章」の改訂を訴えておきたいものだ。
これでは「やるっきゃない」だろう。今の感染状況では「無観客」が当然だが、パブリックビューイングもおそらく無理だろう。
海外からの観戦客はゼロでも、選手、引率者、各国OCの役員、報道陣それにIOC役員など6万人とかいう数の人々が一時期に海外から来て、ほぼ東京都内に集まって過ごすのだから、新型コロナウイルス(特に変異株)にとってはまたとない感染のチャンスである。
しかもこのクソ暑い真夏の東京圏でやろうというのだから、選手も役員も大変だろう。体力を消耗して免疫力を落とさないことを願うばかりだ。
この20日で切れる緊急事態宣言のあと、国内の感染状況がどうなて行くのか、ワクチン次第だと聞く。いま現在、65歳以上の高齢者のワクチン接種率がようやく1回目が3割を超えたが、仮に7月末までに2回目まで終了しても、64歳以下はオリンピックが始まってもまだせいぜい1割かそのくらいだろう。
いくら家でテレビの前で応援しろと言っても、夏休みだから親類や児童・生徒・学生の友人たちが集まって来るだろう。それを止めることはほぼ不可能だ。したがって今の状態でオリンピックを開けば、感染拡大を誘発するのは間違いない。
高齢者と医療関係者、施設などにクラスタ―は起きないにしても、低年齢層、学生や児童生徒間のクラスタ―などは多くなろう。
政府はそれを見越しているはずだと思うが、もし夏休みに本当に感染の「第5波」が起きたら、9月か10月かの衆議院選挙では「オリンピックは成功したが、自民党は惨敗した」という結果になるかもしれない。
ところで今度のG7サミットの主題は「いかに中国を抑えるか」だったが、英米首脳はついに「新大西洋憲章」なるものをぶち上げた。
これは勿論かつての「大西洋憲章」を念頭に置いたものだが、「旧」が対枢軸国(主としてドイツ)だったのに対して、「新」は対中国(ロシアも標的)で、2010年に日本を抜いて世界第二の経済大国になったことが大きい。
それだけ大きな経済力を持ちながら、相変わらず共産党一党独裁を貫いており、ウイグル族問題、香港問題、台湾問題などに専制的な力をチラつかせている非民主政府、はG7に参加している諸国とは価値観として相容れない。その上、南シナ海での軍事的な海洋進出が東南アジアのみならず、世界各国の脅威となっている。
「新大西洋憲章」は英米の「自由と民主主義」理念を再び世界共通の理念として高らかに宣言しようというのだが、そもそも旧大西洋憲章が宣言されたのは1941年の夏のことで、イギリスが交戦しているヒットラードイツの敗北後の世界秩序を謳ったものであった。
宣言して、1か月には共鳴する国々を誘って15か国になった。これはまさに「集団的自衛権」そのものだが、イギリスがアメリカを我が陣営に呼び込もうというのがそもそものきっかけで、それに応じたアメリカが「理想の国際観念」を上塗りし、のちの「国連憲章」の基本となった。
アメリカにはまだ老大国のしたたかさを受け容れない初々しさがあった。だからイギリスの搾取的な植民地主義をチクリと刺したりもしている。(※しかしながら、イギリスが本当に植民地の搾取的支配を終了させたのは、太平洋戦争前の日本の理念「大東亜協栄圏」構想による人種に拠らない互恵的な各国の独立自尊という旗印に触れて、各植民地が目覚めたことによる。ただしミャンマーはアウンサンスーチーがイギリス国籍を捨てていないことで、民主化運動が複雑になってしまった。)
さて、この「集団的自衛権」国家群の中に旧ソ連が含まれていたことは余り知られていない。
日本とソ連が中立条約を結んだのは1941年の4月だったが、同じ年の7月にイギリスがソ連と「相互援助条約」を結んでいる。ドイツを背後から衝いて欲しいというわけである。またアメリカも8月には「米ソ協定」を締結しているが、これはイギリスに慫慂されたアメリカがソ連に武器を援助するのが目的だった。とにかく憎きドイツをやっつけるには、共産主義だろうが何だろうが自陣に引き入れるのに躊躇はしないのが、百戦錬磨の老大国のやり方なのだ。
太平洋戦争終戦間際に日本は日ソ中立条約によりソ連に終戦の仲介を頼もうとしていたのだが、これら英米とソ連との間で結ばれた条約と協定に基づいて開かれた「ヤルタ会談」の結果、日ソ中立条約はすでに反古になっていたのである。
何も知らない日本はお目出度いという他ないが、このヤルタ秘密協定があればこそ、終戦間際のソ連軍満州侵攻、シベリア抑留、北方領土の占領が行われ、英米、特にアメリカがこの点に関しては是とも非とも何も表明しない理由である。(※ロシア政府は以上3つの案件に対して、第二次大戦の結果として行われたもので、補償も返還もないと言うようになった。盗人ロシアの背景には英米の影があったということができる。)
ところで、今度出されるという新大西洋憲章によって、強力な対中国包囲網が構築されるのだろうか?
G7のうち、英米を除く5か国の対応は様々で、イタリア、ドイツなど中国との結び付きの強い国は反対はしないまでも、積極的には賛成せず、フランスはもともと独自路線の国だから是非は言わず、カナダはイギリス連邦の一国だから当然賛成、して日本はとなると、尖閣問題があるので積極的に賛成したいものの、全体の貿易量で4割を占める中国には強く出られず、板挟みになるしかない。
何しろ去年の2月に5回にわたってチャーター便を飛ばして、ロックダウン中の武漢から日本に引き揚げた現地企業の日本人駐在員たちの数が800人、関係会社の数が160社もあったというのである。中国全土でいったいどれだけの日本企業があるのか見当もつかない。それだけ経済的な結びつきは強くなっている。
この状況では、中国への制裁に関して、手加減せざるを得ないだろう。
そもそもこんな一党独裁の共産主義国家を、成立した翌1950年に承認してしまったイギリスもだが、「ピンポン外交」から始まった米中融和が1972年の中国の国連加盟に繋がり、それまで中華民国(台湾政府)占めていた「国連安保理の常任理事国」の座をみすみす共産中国に与えてしまったのはアメリカである。
今さら、という気がしないでもないが、日本としてはこの機会に、旧敵国条項(53条)を削除した「国連憲章」の改訂を訴えておきたいものだ。