万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

「2と3分の1」ミラーシステム?

2006-08-20 18:55:23 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介した万華鏡、「アーキダイクロイック」の内部映像です。5ポイントの映像ですから、36度の角度にミラーを組み、ミラーシステムの第3面を一部ミラーを残して黒で覆った結果、中心の映像から帯のような10本のラインが手前に迫ってくる映像です。アイホールからの撮影には限界があり、写真では全部を均等に撮りきれていません。ラインがあちこちに向いているように映っていますが、実際はまっすぐの反射映像が均等に手前に迫ってきて、その映り込みの奥に広がりを感じる映像です。
この映像は、透明なセルの方です。透明といっても、セルの底に透明なダイクロイックガラスを、ランダムなモザイク状に並べて貼り付けてあります。背景に黒のディスクを置くと、セルの回転により、光の当たる角度が変化し、ダイクロイックガラスの色合いが青や紫に変化します。背景に何も置かないと、光を通し、黄色やピンク、淡い青などの色が浮かび上がります。オイルの中にはグリーンやブルーのビーズが浮かび、映像に深みと質感を与えています。ジュディス・ポールの選ぶオブジェクトはそのままでも美しく、組み合わさって映像となってまた別の美しさを生みます。そして、トム・ダーデンの作るオイルセルは、ほとんどオイル漏れを起こさないことに定評があります。
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ダイクロイックガラスが魅力的な万華鏡

2006-08-19 23:59:12 | 万華鏡ブログ
4枚のダイクロイックガラスのパネルが台座を飾るこの万華鏡は、ジュディス・ポールとトム・ダーデン夫妻による限定版作品「アーキダイクロイック」Archidichroic です。彼らのパーラータイプは、簡単に交換できるオブジェクトセルが付いていて、雰囲気や色合いの違う映像など、ひとつの万華鏡で、2倍も3倍も楽しめるように工夫されています。作品によっては18種類もの楽しみ方があるものもありました。この「アーキダイクロイック」は、ダイクロイックガラスがそのテーマであり、外観のみならず、セルの中のオブジェクトにもふんだんに使われています。2つのセルのうち、ひとつは、黒いバックで、真ん中で仕切られており、半分はブルー/グリーンにまとめられ、もう半分はイェロー/ゴールドにまとめられています。もうひとつのセルは背景が透明なガラスで、透明なダイクロイックガラスのオブジェクトやメタルオブジェクトが見られます。さらに、1枚の黒いディスクが付いていて、透明なセルの後ろに置くと、ダイクロイックガラスの色が変化します。ダイクロイックガラスの面白さを堪能できる作品です。製作しているうちに、様々な楽しみを見つけて、盛り込んでいった作品なのではないでしょうか。
ミラーシステムは2ミラーと3ミラーの中間です。というのは、第3面が、中心1/3だけが鏡で、その両脇の部分は黒く覆われているために2ミラーのマンダラ映像から、さらに外に向けて帯状の反射映像が映りこみます。ちょっと変わった映像です。
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角敏郎さんの万華鏡

2006-08-17 21:53:36 | 万華鏡ブログ
この作品はIKA展招待部門に出品された、日本を代表する万華鏡作家の一人、角敏郎さんの「Mother A-2」です。アルミや真鍮などの金属のボディー、歯車やモーターを使った機械仕掛けのおもちゃや時計のような万華鏡が、角さんの万華鏡の特徴です。精巧な造りですが、どこかユーモアや遊び心を感じる暖かさのある作品が多いと思います。アメリカでも金属を素材とした作品を創る作家さんもいますが、角さんのようなデザインは見られず、その個性が光っていると思います。いろいろな工夫を凝らした作品は、きっと角さんご自身が一番楽しまれて創られているのでしょう。この作品は2つの筒から違ったタイプの映像が見られるようになっています。下部のねじを回して、オブジェクトセルを回転させて変化する映像を楽しみます。母性を感じさせるボディーの内部映像はどんなものだろうと好奇心を掻き立てられますね。
また、角さんは誰もが楽しめる万華鏡キットの考案にも熱心で、手作り万華鏡教室で講師を務め、万華鏡の普及に努めていらっしゃいます。
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佐藤元洋さんの「螺鈿」シリーズ万華鏡

2006-08-15 22:55:11 | 万華鏡ブログ
IKA展に出品された佐藤元洋さんの万華鏡「螺鈿(らでん)パーラータイプ」です。パーラータイプというのは、万華鏡を支えるスタンドや台が一体となって組み込まれたもので、手で持って覗くタイプと区別するための呼び方です。手で持ち上げることなく、ゆっくりと覗くことができ、そのトータルなデザインが、手持ち型に比べ、より評価されるタイプといえるでしょう。佐藤さんの吹くガラスは明るい透明感のあるものも素敵ですが、この螺鈿シリーズはまた違った雰囲気で魅力的です。黒のガラスを加工する過程で銀箔を巻き溶着させ、そのガラスを吹くことによって銀箔に細かく亀裂が入って、このような模様になるそうです。この万華鏡の特徴は、そのオブジェクトセルにあります。今回はドライタイプ、3ミラーシステムで、先端のセルの回転がスムーズです。今までのパーラータイプは、オブジェクトセルを外から支える部品もデザインの中に組み込まれていましたが、今回は、本体にベアリングのシステムを内包しているので、セルを支えるものがなく、すっきりとしたつくりになっています。この技術をマスターしたことで、さらにパーラータイプの可能性が広がったということですので、これからがますます楽しみです。日本では初めての吹きガラスの万華鏡作家として、技術的な限界にも挑戦し、どんどん進化なさっている作家さんだと思います。
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ぬいぐるみの万華鏡

2006-08-13 17:54:10 | 万華鏡ブログ
「おとなも楽しむ万華鏡」展で、奥の棚に可愛らしく並んでいたテレイドスコープの数々です。羊毛、布、刺しゅうなどを使い、ぬくもりのある質感をモットーに万華鏡を製作なさっている中野☆千晶さんの作品。思わず手にとって覗きたくなりますね。表情のあるぬいぐるみの作品には、創り手の暖かさが伝わってくるようです。
改めて万華鏡の素材の多彩さを感じます。この作品展だけでも、ガラス、陶器、金属(アルミ、ステンレス、真鍮、銅、真鍮)、紙、布、羊毛、アクリル、プラスチックなどがありました。自分の好きな素材で、万華鏡を作ってみる。浮かんできたアイディアを万華鏡に創りあげる。そして先輩作家の指導を受けたり、あるいは独学で、「万華鏡大賞」や「IKA公募展」などに応募しながら、その道を極めつつ、独自の世界を築きつつある作家さんの歴史。そんなところにも思いを馳せた最近のふたつの万華鏡展、「IKA」展と「おとなも楽しむ万華鏡」展でした。アメリカで起こったカレイドスコープルネッサンスが紹介されて15年ほど経った今、日本でも多くの万華鏡作家が生まれてきて、オリジナルな万華鏡を作られるようになったことに感慨深い思いです。
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手毬のような万華鏡映像

2006-08-12 17:39:52 | 万華鏡ブログ
IKA展招待部門に出品された切敷章さんの「手毬」という万華鏡の内部映像です。外部のデザインは落ち着いた和風の色合いで、縦長・箱型のステンドガラスの作品です。そのまま照明として見れば、やわらかな光が、ガラスのデザインを浮き上がらせています。ベネチアンガラス風のミルフィオーリという小花をそっと入れ込んだり、曲線と直線を生かした構成など、よく考えられたデザインです。そして上部の覗き口から見える映像がこの写真です。おそらくこのふくらみのある映像から「手毬」と名付けられたのではないかと思いますが、外部のデザインからは想像しにくい、ユニークな映像です。そしてこの作品は覗くと、仄かにお香のにおいが立ち上ってくる演出がなされています。やさしい光とかぐわしさ、そしてふくらみのある丸い映像に癒される人も多いのではないでしょうか。このほかに「球状星団」という作品も出品されていますが、こちらはホイールタイプの作品で、球状の繰り返し映像が視野いっぱいに映りこむものです。この作品もステンドガラスの美しさを堪能できます。切敷さんの作品をいくつかの万華鏡展で拝見しましたが、心温まるテーマだったり、思いがけない楽しさを演出なさったりしていて、見る人の気持ちを明るくしてくれる気がします。
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「泉」の万華鏡映像

2006-08-11 19:38:18 | 万華鏡ブログ
昨日の「Fountain 泉」という万華鏡の内部映像です。窓のところにカメラを近づけて撮ったものです。中心映像の周りを囲むガラスは背後から光と色が動き、水の流れというか、水を湛える感じを表していますね。中心映像は鮮やかな色と微妙な変化を見せる背景の色あいで、独特の世界を表現しています。鮮やかで、妖しい魅力です。台座のところにもいろいろな仕掛けが組み込まれているのでしょうか。不思議な万華鏡です。このように、上からだけでなく、側面の窓からも大きな映像が見えるので、開かれたミラーシステムを覗いているのかなと思いましたが、どうも納得がいきません。でも万華鏡は不思議なもの。理由が分からないのも楽しいかなと思いつつ、その謎に少しずつアプローチしていこうと思います。また覗いてみたい作品です。
小嶌さんと喜多さんの万華鏡は、「おとなも楽しむ万華鏡」展でも拝見できました。いずれも、外部デザインと映像へのアプローチが独特で、個性的なアート作品だと思いました。
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小嶌淳さん・喜多理加さんの万華鏡

2006-08-10 20:48:07 | 万華鏡ブログ
IKA展招待部門に出品された、小嶌淳さん・喜多理加さんの作品「Fountain 泉」をご紹介します。独特の雰囲気を持つ陶器の部分が陶芸家、喜多さんの担当です。小嶌さんは、独学で万華鏡について学び、さまざまなミラーシステムやデザインに挑戦し、独自の表現世界を持つ作家さんです。 お二人は美大の同窓生だそうですが、今までにも数多くのコラボレーションの万華鏡の作品があり、いずれもユニークで、外部デザインが内部映像の雰囲気をさらに高めている点が素晴らしいと思います。
この作品では、前面の窓からと上部の覗き口から中の映像を見ることができます。映像も素晴らしく、大きな窓から見えてくる映像は乾いた印象の外部のデザインに、みずみずしい感覚を与えます。電動で、スイッチを押すと映像が変化するようですが、正直なところ、ミラーシステムはどこにあるのだろうと思いました。どの部分が自分の目で見る反射映像なのか、よくわからなくて、あるべき仕掛けがわからない手品の箱みたいだと思いました。摩訶不思議なものが大好きとおっしゃる小嶌さんに「やられた!」という感じです。(もしかしたら煙に巻かれているのは私だけかもしれません。)次回映像をご紹介します。
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ドイツから届いた万華鏡

2006-08-09 19:21:18 | 万華鏡ブログ
IKA展招待部門に海外から参加なさった作家のうち、日本ではまだあまり見る機会がないと思われるドイツのモニカ&ユーリック・カール夫妻の万華鏡「Jules」をご紹介します。昨年からザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーに加わり、コンベンションで初参加者のピープルズ・チョイス・アウォードを受賞なさったことは、前回テントのような万華鏡「TIPI」をご紹介した時に書きました。 その「TIPI」も今回、展示されていましたので、今後日本でも見ることができると思います。
(5月24日http://blog.goo.ne.jp/kaleidoscopesjapan/d/20060524
30日http://blog.goo.ne.jp/kaleidoscopesjapan/d/20060530のブログ)
この写真の万華鏡の特徴は、大きな2枚のホイールです。それぞれ本体の左右に軸で止められて、上部の取っ手を回すと、ギアとゴムペルトでその回転が伝わり、連動して2枚が回るようになっています。1枚はいろいろなガラスオブジェクトがびっしりと張り付いている透明なホイール(手前に見えるもの)でとてもきれいです。もう一枚は(よく見えませんが)透明なアクリルに鮮やかに色を塗ったものです。その2枚の重なる部分を、2ミラーシステムを通して見ると、よく光を通し、大きな6ポイントの鮮やかな映像が見えます。違うタイプのホイールをずらして使うことによって、予期せぬ面白さが生まれます。本体の金属の彩色も落ち着いた色合いで、ホイールの鮮やかさを際立たせています。ドイツで長い間万華鏡を作ってきた実力派の作家さんご夫妻ですが、常に新しいアイディアを形にすることを苦労しながらも楽しんでいるそうです。
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ミラーのない万華鏡

2006-08-08 19:08:07 | 万華鏡ブログ
「おとなも楽しむ万華鏡」展で見つけたとても可愛い万華鏡をご紹介したいと思います。透明なアクリルのケースに、小さな鶴が2羽入っています。思わず手に取り、「これが万華鏡ですか?」と聞いてしまいました。光の具合によって色々な色が混ざってオーロラのように見える紙で折った鶴は光が当たると虹色に輝くオブジェクトになります。箱の上に付いているアクリルの棒(筒ではなく!)がミラーシステムの代わりになっていて、サークルミラーと同じ働きをしています。棒を真上から見ると、びっくりするほど色鮮やかな渦が立ち上ってくる感じです。透明なアクリル棒、ホログラムの折り紙、そしてミラーなしの万華鏡というアイディアの作品です。
このほかにも細いアルミの筒を使い、ミラーなしの作品がありました。こちらもアルミの内側の面が鏡の役割を果たしているのですが、とても良く反射してきれいな映像でした。オブジェクトは先端のビー玉と筒の中全体を動くガラスオブジェクトで、それらの色がぐるぐる回る映像を生み出します。
よく材質を選び丁寧に作られていて、どちらもとても人気があったようです。
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