2週間振りの海は、上り潮が通していた。
青味があって、気持ちがスッキリする様な、綺麗な潮になっていた。
時化て船が出せない間、道路から見ていた青い潮は、この上り潮だったようだ。
「今日は、良いかも…しれない」
膨らんでくる期待感に、気持ちがソワソワする。
気になっていたベイト反応も、良い感じで蛇行して居る。

黒木さんに、いきなりガツンと、強いアタリが来た。
竿先が、海面に突き刺さるように、弧を描いている。
「ハガツオですよ」
その引き具合から、塩田さんが判断してアドバイス。
魚が見えてきた。
「ハガツオとヤイトガツオが、ダブルだ」

引きの強い魚のダブルヒットで、今日の釣りはスタートした。
塩田さんにも、アタリが来ている。

良い感じの曲がりだ。

良型の真鯵が、ヒットしてきた。

35センチ超の真鯵が、連続してヒットしてくる。
アタリが来ては外れるが、直ぐに次のアタリが来る。
鯵が大きいのだが、針掛かりは皮一枚と言ったハラハラドキドキが続く。

黒木さんにも、良型の真鯵がヒットしてくる。
ベイト反応も、海底から15メートルくらいの幅がある。
柱になっていたり、固まりになっていたりと、反応が色々と変わっていく。




アタリの正体は、真鯵と分かっているのだが、鯵自体の大きさが災いするのか、針外れも可成りある。
それでも、真鯵のアタリ連発が続いた。

大きなイトヒキアジも、ヒットしてきた。
そんな中、気になっていたのは風の変化。
天気予報では、9時頃には北西の風が強くなってくると、なっている。
「他のポイントに移動します」
風が吹き出す前に、何カ所かのポイントを攻めてみたい。
沖目のポイントに移動。
直ぐに仕掛けを落としていく。
すると、船首の方で「来た」と塩田さんの声がした。
仕掛けを入れて、直ぐに何かがヒットした。
「シーラが寄っている」
見ると、海面にシーラが群れて姿を見せていた。
そのシーラが、塩田さんの仕掛けにヒットしてきた。

「シーラのトリプルヒットだ」
船内に笑い声が湧き上がった。
次に移動したポイントでも、良い感じのベイト反応が出ている。
古い魚礁が崩れているポイントで、その岩が広い範囲に転がっている様に魚探に映る。
塩田さんに強いアタリが来た。

「真鯛かな、ニベの様にも感じるな」
その引きを楽しみながら、ラインを巻き上げ行く。
「見えてきました。ニベですね」

4キロクラスのニベが、上がってきた。
このニベがヒットして「今から、チャンスが来るかな」と、思った頃から真西の風が強く吹き始めた。
「余り長くはやれないかも…」
船を戻して、2度目の流しに入る。
直ぐに、塩田さんにアタリが来た。

竿先を叩く強いアタリ。
「今度は、真鯛ですね」
その引き具合から、真鯛だと判断。
やがて姿が見えてきた。

2キロ弱の、綺麗な真鯛が上がってきた。
「良かった、真鯛が釣れて嬉しいですね」
塩田さんの笑顔に「よっしゃ、まだ行けるかも」と、思ったが…。
西風が強さを増して、岸からの白波が立ち始めた。
ウネリも、段々高くなってきた。
「此処までですかね。引き上げましょうか」
西風が一段と強くなる前に、帰港した。
