回遊魚の旅日記

時の流れる音をききながら歩いたり歌ったり
少しづつ昔の暮らしをとりもどしつつ。

冬は早朝(つとめて)

2016-11-25 12:49:48 | 和文化・着物・能・茶・骨董

清少納言の「枕草子」の冬の段。

春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、・・ときて冬はどうするんだろう?と想像していると、

なんと「冬は早朝(つとめて)」と来る。

いやはや清少納言さま、おそれいりました。

いちばん寒い季節にいちばん寒い時間帯をもってくるとは。これこそ「いとをかし」の精神そのもの。

「雪の降りたるは、言ふべきにもあらず、

霜のいと白きも、また、さらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭もて渡るも、いとつきづきし。

昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりてわろし。」

今でこそ暖房器具があるものの、この時代は部屋を暖める器具は唯一、炭火。

昨日はお茶のお稽古、東京では53年ぶりの11月の雪でした。

 

 

雪の降る夕景を眺めながら、炉の中で燃え尽きる寸前の炭火の、真っ赤な色と匂いと音に心奪われ、

ぴーんと寒さの張りつめた今朝、この「冬は早朝」の一節が頭に浮かびました。

「白き灰がちになりてわろし」・・・なんとも言い当て妙でございます(^^)

 


2 コメント

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Unknown (オムライス)
2016-11-28 09:24:04
清少納言の時代は、宮廷も華やかだったらしく、
彼女の才能がいかんなく発揮されたそうですね。
枕草子は、色も香りも音も、風や冷たい感触や肌触りなどが感じられますよね。
今とは違う感覚もありますが、基本的に五感は共感できます。
昔の小説も、あらすじは意外とシンプルなのに、
言葉と言葉の間からさまざまなものが匂い立つようで好きです。
しかし、冬は早朝(つとめて)・・・は、さすがと思いつつも
私は、ぴしゃりと閉めて生活しています。
無粋ですねぇ。
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オムライスさんへ (やまびこ)
2016-11-28 21:25:04
まさにおっしゃるとおり!
シンプルだからこそ受け取る方はかえってイマジネーションが膨らみますよね。
少納言の、ものを見る卓越した才能をかんじます。
情報は「核」の部分だけあればよい(^^)


昔はサッシはもちろん、ガラス戸もなかったわけですから(襖や障子はあったかなあ?)炭火ひとつでどうやって寒さをしのいでいたのだろうと思います・・。
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