「なまず(鯰)を食べに行こう」と誘われた時は、「えっ?なまずって食べられるの?」というのが最初の反応でした。
場所は埼玉県吉川市。JR武蔵野線で、千葉県との県境に近い「吉川駅」下車。駅前に黄金の鯰のオブジェがあり、この地における「なまず」の存在感の大きさを実感しました。
目指す鯰料理の店は「糀家(こうじや)」という料亭。駅から約1キロのところにあります。
それまでの道すがらも、「なまず」があちこちに・・・。
吉川は、この地を流れる「中川」の舟運により、江戸時代、北関東一帯の物資の集散地として栄えたという街。また、古くから、淡水魚の豊富な産地としても知られ、「糀家」は、その歴史を今に伝える創業400年の老舗です。
道路沿いに見えた「糀家」と染め抜かれた暖簾を、当然の如く、くぐって、「ごめんください」と声をかけたら、そこは勝手口でした。昔は、店の入口が街道に面していたのでしょう。その面影が残る勝手口です。
で、改めて裏に回ると、そこが表玄関。
中に入ると、窓越しに見える庭と、飾られた美術品に、目を奪われますが、まずはお料理。注文したのは、ランチメニューの「なまず天ぷら御膳」
なまずの卵の煮付けの「小鉢」。なまずの切り身の「天ぷら」。そして、中落ちや骨、頭、肝を包丁で叩き、味噌で味付けしたツミレを丸めて揚げた「たたき揚げ」。つみれ団子入りの「汁椀」。「ご飯」。「香物」。「デザート」
以上、なまずづくしの2100円です。なまずは淡白で、白身魚に似ていますが、もっとふわっとした食感でした。
初めてのなまず料理に満足した後は、店内見学。
壁に飾られているのは、谷文晁の「なまず絵」
この他、各部屋、廊下、ホールの壁には、所狭しと、美術品がいっぱい。
また、雪見灯籠や赤玉石を当時のまま残しているという庭園も、格調高く、心地良い佇まいを見せています。
江戸時代初期の創業というこの店には、歴史上の人物も大勢やって来たそうで、近藤勇や板垣退助、勝海舟などが名を連ねています。
そして勝海舟も愛用したという沓脱石ならぬ「草履脱ぎ石」も、そのまま置かれています。多くの人に使われ、すり減って、へこんでいる石の姿にも、歴史が感じられるのでした。
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