20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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新刊3冊ご紹介

2012年06月18日 | Weblog
 友人の作家の皆さんの新刊を3冊、ご紹介いたします。

 まずは小学校低学年向け作品を2作。
           

『とびだせ!そら組“ごくひ”ちょうさたい』(田部智子・岩崎書店)
『とびだせ!そら組』シリーズの,第二巻目です。
 今回、二年そら組の「コータ」を悩ますのは、子ネコ。クラスメートでかわいい「モモちゃん」は自分の家で飼いたいと主張していますが、なかなか結論がでません。
 ネコが大好きな「モモちゃん」はなんとしても自分で飼うんだと、ネコに「ピーちゃん」という名前までつけています。「コータ」はわがままだけれどかわいい「モモちゃん」に気を使いながらも、どうしたらいいか困ってしまいます。
 早く飼い主を見つけなくちゃいけないし、「コータ」の家ではおばあちゃんがアレルギーでネコが飼えないし・・・。
 そこで目をつけたのが、校長先生。
 はて、ネコちゃんの運命は・・・。
 このシリーズでおもしろいのは、大人たちの描出です。
 1巻は図工の「みどり先生」、そしてこの2巻では「校長先生」
 ぜひその愉しさを、お読みになって確かめて下さい。

            

『おねえちゃんって、もうたいへん!』(いとうみく・岩崎書店)
 同じく、上記の田部智子さんの『とびだせ!そら組』シリーズと同じ、岩崎書店の「おはなしトントン」からの新刊です。
 とにかく、キャラクターが立っています。
「ココちゃん」は、お母さんの再婚で、3歳の「ナッちゃん」のお姉さんになりました。
 けれど、「ココちゃん」はおもしろくありません。 
 だって、この3歳児。一年生の「ココちゃん」より図体が大きく、太っているときています。
 おまけに、汚いし、ギャアギャア騒がしいのです。
「ココちゃん」にしてみれば、そんな「ナッちゃん」は「かいじゅう」としか思えません。
 おまけに、よその人は、そんな妹、いや「かいじゅう」をお姉さんとしか見てくれません。
 そんな3歳児のハチャメチャさと、バイタリティー。好奇心が、あますことなくダイナミックに描かれています。
 圧巻なのは「ナッちゃん」が迷子になってしまったあと。テンポのいいスピード感あふれる文体で、「ココちゃん」の不安を描写していきます。二人の関係性だけではなく、ふたりを取り巻く外部。それを知ることで、「ココちゃん」は、自分がおねえちゃんだったんだということに気づきます。
 この気づきの瞬間を、とても鮮やかに捉えた作品です。

           

『「物語」のつくり方入門 7つのレッスン』(円山夢久・雷鳥社)
 ライトノベルで活躍していらっしゃる円山さんによる、物語のつくり方入門のご本です。
 ライトノベルや、高学年向けの作品を書くための細かいつくりかたの方法や、ヒントがつまっています。
 巻頭の「あなたの今の状態を知る」にはじまり、
「物語のおおまかな輪郭を作る」
「物語全体の流れを作る」
「キャラクターの考え方」
「主人公を作る」
「敵対者を作る」
「援助者を作る」
「ディテールと演出」
 など、具体的な手立てから、細かく、物語のつくりかたを教えてくれています。
 初心者から、少し書き始めた人まで、行き詰まったとき参考になりそうです。

 皆さま、この3冊、ぜひお読みになってください。
コメント (4)
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