春らしい陽気です。
久しぶりに、ベートーベンの「チェロ・ソナタ第三番イ短調」を聴きました。
私は以前『ベートーベン』の伝記を書いたことがあります。いまでもこの本は増刷を続けていて、すでに17~8刷になっています。
「ベートーベン」の伝記といえば、まさに古典ともいえるロマン・ロランの『ベートーベンの生涯』(岩波文庫)が有名です。
数年前、ベートーベンの伝記を書きながら、私はなんども嗚咽しながら、彼の生涯を文章に綴っていったことを思い出します。
そんなベートーベンの作品は重厚で、とてつもなく深く、絶望に打ちのめされながらも狂おしく人間を渇望する、彼の強い意志を感じます。
だからベートーベンの曲からは、軽やかさとは別の次元にある、重厚さを感じるのです
でも、この「チェロ・ソナタ第三番イ短調」は、軽やかです、一見、モーツアルトと聞きまちがえるくらい。
この曲は、ベートーベン31歳の夏。医者から「耳の病気がひどくなっている。夏のあいだ、どこかのんびりしたところで過ごしたらどうか」と言われ、出向いていったハイリゲンシュタットの村で作ったものです。
そこには、彼のお気に入りの散歩道があって、緑にあふれたその村でのひと夏は、疲れたこころを癒してくれたのです。
のびのびと優雅な旋律を聴いていると、夏のある日、ベートーベンがどんな気持ちで、その村で過ごしていたのかが、こちらに伝わってくるようです。
手術前の体のストレス。その後のまだ解消しきれていない体のストレス。そんなものから未だ解放されていない私の、焦燥にも似た気持ちを、前へ前へとおし進めてくれるようです。
久しぶりに、ベートーベンの「チェロ・ソナタ第三番イ短調」を聴きました。
私は以前『ベートーベン』の伝記を書いたことがあります。いまでもこの本は増刷を続けていて、すでに17~8刷になっています。
「ベートーベン」の伝記といえば、まさに古典ともいえるロマン・ロランの『ベートーベンの生涯』(岩波文庫)が有名です。
数年前、ベートーベンの伝記を書きながら、私はなんども嗚咽しながら、彼の生涯を文章に綴っていったことを思い出します。
そんなベートーベンの作品は重厚で、とてつもなく深く、絶望に打ちのめされながらも狂おしく人間を渇望する、彼の強い意志を感じます。
だからベートーベンの曲からは、軽やかさとは別の次元にある、重厚さを感じるのです
でも、この「チェロ・ソナタ第三番イ短調」は、軽やかです、一見、モーツアルトと聞きまちがえるくらい。
この曲は、ベートーベン31歳の夏。医者から「耳の病気がひどくなっている。夏のあいだ、どこかのんびりしたところで過ごしたらどうか」と言われ、出向いていったハイリゲンシュタットの村で作ったものです。
そこには、彼のお気に入りの散歩道があって、緑にあふれたその村でのひと夏は、疲れたこころを癒してくれたのです。
のびのびと優雅な旋律を聴いていると、夏のある日、ベートーベンがどんな気持ちで、その村で過ごしていたのかが、こちらに伝わってくるようです。
手術前の体のストレス。その後のまだ解消しきれていない体のストレス。そんなものから未だ解放されていない私の、焦燥にも似た気持ちを、前へ前へとおし進めてくれるようです。