goo blog サービス終了のお知らせ 

20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

ベートーベン=チェロ・ソナタ

2008年03月08日 | Weblog
 春らしい陽気です。
 久しぶりに、ベートーベンの「チェロ・ソナタ第三番イ短調」を聴きました。
 
 私は以前『ベートーベン』の伝記を書いたことがあります。いまでもこの本は増刷を続けていて、すでに17~8刷になっています。
「ベートーベン」の伝記といえば、まさに古典ともいえるロマン・ロランの『ベートーベンの生涯』(岩波文庫)が有名です。
 数年前、ベートーベンの伝記を書きながら、私はなんども嗚咽しながら、彼の生涯を文章に綴っていったことを思い出します。
 
 そんなベートーベンの作品は重厚で、とてつもなく深く、絶望に打ちのめされながらも狂おしく人間を渇望する、彼の強い意志を感じます。
 だからベートーベンの曲からは、軽やかさとは別の次元にある、重厚さを感じるのです

 でも、この「チェロ・ソナタ第三番イ短調」は、軽やかです、一見、モーツアルトと聞きまちがえるくらい。
 この曲は、ベートーベン31歳の夏。医者から「耳の病気がひどくなっている。夏のあいだ、どこかのんびりしたところで過ごしたらどうか」と言われ、出向いていったハイリゲンシュタットの村で作ったものです。
 そこには、彼のお気に入りの散歩道があって、緑にあふれたその村でのひと夏は、疲れたこころを癒してくれたのです。
 
 のびのびと優雅な旋律を聴いていると、夏のある日、ベートーベンがどんな気持ちで、その村で過ごしていたのかが、こちらに伝わってくるようです。
 
 手術前の体のストレス。その後のまだ解消しきれていない体のストレス。そんなものから未だ解放されていない私の、焦燥にも似た気持ちを、前へ前へとおし進めてくれるようです。

 
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする