ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

デンマークでの農場体験(12) <デンマーク人の高い精神性>

2014-02-12 15:56:59 | 日記
これからお話することも当農場での出来事です。

4月下旬(2012年)にこの農場に着いた時、真っ先に家族全員を紹介していただきました。加えて一人年配の女性がいて名前だけ紹介されました。年令的には50代に見えたのですが、ホスト家族との関係はよくわかりませんでした。

しかし、私が到着した日も含め、ほぼ夕食は一緒なのです。決って昼過ぎぐらいにどこからか現れます。ボルボのワゴン車に乗って現れることもわかりました。どこから来ているのか? 親戚か? 2・3日は敢えて質問することもなく過ぎて行きました。

たまたま奥さんしかいない時間帯があったので「あの人は親戚の方ですか?」と聞いてみました。すると意外な答えが返ってきたのです。それによると。

彼女(年配のご婦人のこと)は近所の方であって、親戚等ではありません。2ヶ月ほど前に、彼女が一緒に暮していた高齢の実父が亡くなられ、一人暮しになってしまったのです。とても可哀そうなので夕食は一緒に食べているのです。

えっ! と思いました。後からわかったことですが、近所と言っても道なりに距離をたどると3kmぐらいは離れている場所に住んでいるのでした。もっとも、農村地帯なので隣家と言えども相応に距離があるのですが。それにしても日本では考えにくい事例であったのでもう少し聞いてみました。

こうした援助のような対応はデンマークではよくあることなのですか?の問に対して奥さんは、デンマークでも多くはない。珍しいことだと考えているとの発言でした。その時はこれ以上に聞けなかったので「へぇ~!」と感心するしかなかったのです。

しかし後日、次のような事柄もわかってきました。

一つは、デンマークは人口550万人ほどで人口的には言わば小国でありますが、アフガニスタンに平和維持軍として派兵を続けているそうです(2012年情報)。派兵人数は大規模ではないことを聞きましたが、国際平和に寄与するためには自国からの人員派遣を行うことを実践しており、戦死者も出てしまっているのです。このことはデンマークに行くまで私は知りませんでした。

もう一つは、現地の学校の先生から直に聞いた内容ですが、デンマークの各地の学校(国民学校=日本の小中学校を一元化したようなもの)では紛争当事国からの孤児を受け入れているとのことです。

これらを合わせて考えて行くと、デンマークの人の高い精神性を感じざるを得ませんでした。ホストの家に来ているご婦人との関連に何か共通的な精神的なものを感じた次第です。

ホストの奥さんは「可哀そうだから」と言っていただけですが、デンマーク人の心に根付いている「弱者には手を差し伸べる」と言う精神がそうさせているのではないだろうかと。だから、誰かに頼まれたとか指示されたからではなく、ごく自然にあたかも当然であるかのように手を差し伸べているに違いないと考えた次第です。

私は80日間に渡ってこの農場にお世話になりましたが、このご婦人は99%夕食を共にしていました。その代わりではありませんが、買い物に行ったり夕食の準備をしたりとお手伝いは惜しんでない彼女(ご婦人)でありました。

いや~、日本では考えられないなぁと思ってしまいました。デンマークの一面を見た思いです。「Denmark is not big, but great!」とどなたかが言ったそうですが、正にその通りだと思います。 ~続く~


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