ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

デンマークでの農場体験(11) <ネズミとの壮絶な戦いの一日>

2014-02-12 12:32:58 | 日記
今回は鶏、いやどちらかと言うと雛(ひよこ)にまつわるお話です。

雛は、ほぼ毎月のペースで250羽ぐらいが購入されてこの農場に連れてこられます。少し大きめの段ボール箱に入れられて運ばれてきます。段ボール箱には空気穴がいくつか開けられているのでした。

到着すると、母屋近くにあるグリーンハウス(ガラス張りの温室)に入れられます。少し大きく育つまではここが彼等の鶏舎になるのです。給餌バケットも水場もこの中に置いてありますので、昼間は外で自由にしていても夕方にでもなると自然にこの鶏舎に戻ってきます。夜はこの中で眠るのでした。

この鶏舎の中には、既に大きくなった鶏も何羽かは勝手に寝泊りするので、時には踏み潰されて死ぬ雛もいます。また体調不良で死んでしまう雛もいるようです。朝の給餌の際に5羽ほど死んでいるのを確認したこともあります。そしてその数は変動するのですが、日常茶飯事的な出来事でもあるのでした。

ある時、その事実を知った老練のご婦人が「鶏舎の中が暑すぎるのではないか」ともアドバイスしてくれました。同時に雛の糞を見て「水っぽい糞は不健康、少し固まっているような糞は健康の証拠」とも教えてくれました。その老練のご婦人はホストの奥さんの実母でした。ホストの奥さんは農家育ちであることを最初の方のブログに書きましたが、まさに、奥さんのルーツそのものであり師匠でもある方です。

話を戻します。可哀そうなのですが、毎日のように何羽かの雛が死んで行くのは事実でした。結果的に雛の数が減って行くのですが、その減り方に異常があることに気が付きました。奥さん曰く「ねずみ(ラット)が雛を食べているかも知れない」と。急遽、ねずみ退治作戦が始まったのです。

グリーンハウス内は不要なガラクタ類もそのまま残されており、そうした場所はねずみの住みかになっているのかも知れないのです。3人がかりでそのガラクタ類を全て外に出す事になりました。同時に、奥さんがハウスの中に入って地面のレンガもはがして行きます。犬のダルメシアン2匹もハウスの中に入って土を前足で掘り返しています。

すると、小ぶりのねずみが何匹か土の中から発見されました。見つけ次第処分です。猫も協力しています。猫が自分で捕らえたねずみもあります。その場で食べています。

ハウスの中のガラクタ類は一掃されました。今度はホースを引っ張ってきて巣穴付近めがけて注水です。ねずみは水を嫌うのであわてて飛び出してきます。犬や猫が見つけ次第捕捉します。

そうこうしている間に、なんと巨大なねずみが飛び出してきました、胴体部分の体長が25cmぐらいでしょうか、尾の長さはそれ以上です。ハウスから飛び出して近くにあった材木が積み上げてある場所の下部にもぐりこみました。全員でそちらを包囲した上で、思いっきり注水しました。1分ほど経った時、大きなねずみが飛び出してきました。ハウスの方に戻ろうとしています。

この時が見ものでした。ダルメシアンの雌(名前はビクトリア)が間髪を入れず大きな体の割には実に俊敏な動きで、逃げるねずみの背中に噛み付いたのです。ねずみはそっくり返るようにしてビクトリアの口のまわりを噛み返しています。ビクトリアはそれを振り払うように自分の頭を左右に大きく振りました。そしてくわえた大きなねずみを口から放すことはありませんでした。

このビクトリアの俊敏な動作を私は目の当たりにして驚嘆したものです。凄い!の一言です。この日、数時間の戦いでねずみは30匹以上捕獲処分されました。多分、小屋を住みかにしていた一族は壊滅したと思われます。但し、ねずみは畑でも見かけたことがありますので、いずれこの小屋にも再び現れるかも知れないのです。

それはそれは長い一日に思えた私でした。 ~続く~

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