「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

久々の拍手喝采ニュース、FIFA理事当選

2015年05月01日 19時40分38秒 | FIFA、サッカー協会
日本サッカー協会からFIFA理事選に立候補していた田嶋幸三さんが、AFC総会選挙で当選したというニュースが入ってきました。

久々の拍手喝采だ。田嶋さんをはじめ協会関係者の皆さんに、心から「おめでとうございます。ここまで、ご苦労さまでした」

当ブログが、日本サッカー協会には少し辛口に構えていることは否定しませんが、要は、今回のような実績を積み上げて欲しいという願望からきています。

ザッケローニでブラジルW杯に惨敗して、アンダーカテゴリーでも次々と世界キップを逃し続けては、この先5年、10年に必ずW杯出場権獲得失敗といった事態を招きます。

23年前の1993年、日本で開催されたU-17世界選手権に、開催国として出場の機会を得たことから、中田英寿、宮本恒靖、松田直樹といった、のちの日本サッカーの中心選手となる素材を強化して大会に臨み、見事に決勝トーナメント出場を果たしたのを機に、1995年のU-19、1996年のU-23五輪代表と、アンダーカテゴリーの日本代表が次々と世界大会出場権を自力で勝ち取るようになりました。

その後も若手年代の育成の手を緩めずに世界大会への出場を重ね、それがフル代表への質の高い選手供給へとつながり、5大会連続のW杯出場を果たし続けていることは、サッカーを愛する者であれば、誰にでもわかることです。

それが、ここにきてアンダーカテゴリー年代が弱体化しているということは、当然、これから先のフル代表に影響が出ることになります。とりわけ問題なのは中東諸国や中国などが豊富な資金力にものを言わせて、15年前、20年前とは比べものにならない程、育成に力を入れているということです。

アジアから世界大会に出場できる枠というのは、この先も当分のあいだ、劇的に増えるなどということはありません。したがって、以前は韓国、サウジアラビア、イランぐらいが強力なライバルだったところに、UAE、クウェート、中国そしてオーストラリアなどが加わってくれば、当然、出場権獲得が難しくなります。

私が日本サッカー協会に対して、強くもの申したいのは、こうしたアジア全体の相対的なパワーバランスの変化を見切った強化策を講じないところです。そう言うと「われわれも当然それなりにパワーバランスの変化を把握している」とか「それに対応した強化策を講じている」などと反論があるに違いありませんが、それは反論ではなく言い訳にしかすぎません。

ACL・アジアチャンピオンズリーグに対するサポートにしてもそうですし、その他もろもろ、あまりにも日本サッカー協会は「お役所しごと」になり下がってしまっています。

私は、これは、ある意味、大企業病だと思っています。会社の成長・発展・停滞・衰退のサイクルと同じ道を歩んでいると思うのです。20年前、協会は社会的注目度もあがり、協会運営も責任感に満ちた活力ある組織だったと思います。

しかし、会長はじめ首脳陣と言われる人たちが、情実で選任されたのだろうと揶揄されるような形で引き継がれていくうち、日本サッカーの進歩発展、代表チームの世界におけるレベルアップといったことに対するギラギラとした情熱は失われ、首脳陣そのものの保身や官僚的運営のみが支配する組織に変質してしまったのです。

それが、アンダー世代でのアジア敗退を招いているのです。当事者たちは認めたくないでしょうが、逃れられない現実です。

おそらく、FIFA理事への役員送り込みといった布石を着々を打ち続けて、日本に必要な対応策を先手先手で打っていく必要性については、協会自身もよくよく承知していたと思います。問題は、それを実現させる戦略や行動力が足りなかったわけです。

今回、そのうちの一つに布石を打つことができました。これを機に戦略・行動力にさらに拍車をかけて欲しいのです。会社と同じで、現状に安住していたら競争社会で、それは退歩、敗北につながるのです。

どうか、協会幹部という居心地のいい組織で安住しないでください。日本の社会の中でも注目度が高い大切な組織を預かっているのです。周りの変化に対応して成果をあげ続けていくための、不断の努力、高い集中力、そして強い責任感といった資質と実行力が求められているのです。日本でも、どこでもトップ企業において情実人事などということは、もはや考えられない時代です。

グローバル競争に勝ち抜いていくために、決してかじ取りを誤らずに、組織を鼓舞しながら最大限の力を発揮できる能力を備えた人材は誰なのか、次を託すリーダーを誤りなく選び出す、それがトップの最重要課題の一つでもあるのです。ですから、時々、副社長や専務を飛ばして常務クラスから後継者に抜擢される人事が飛び出すのです。

日本サッカー協会の今はどうですか? 大仁さんの次は田嶋さん、その次は原さん、そこまではもう決まりでしょ。協会専従職員に人材が限られているというのも一つの理由だと思いますが、Jリーグの村井さんのように、誰もが認める人材なら外部から来られたって、何の問題もない。ところが協会には、外部から招いた犬飼さんを引きずり下ろしたという歴史があります。

私は、今回の田嶋さんのFIFA理事当選を、心の底からお祝い申しあげます。ですから、どうか協会の将来も、あくまで、日本サッカーの進歩発展、代表チームの世界におけるレベルアップという基本課題を達成できる人材として誰がふさわしいのか、協会内部だけという保身、官僚的思考から早く脱却して、決めていって欲しいと思います。

早いもので、もう名前が忘れ去られそうになっている前日本代表監督アギーレ氏の疑惑問題が世間を騒がせた時、協会幹部の責任追及も厳しかったが、その時「代表監督を更迭させるたびに協会幹部が責任をとっていたら、たまったものではない。協会幹部というのは何も代表監督選びばかりやっているわけではない」とのたまわった御仁がいました。

その論法には意義ありでした。アギーレ問題で責任をとる必要があるかどうかは議論のあるところですが、少なくとも「事と次第によっては協会幹部が責任をとって辞める必要があることもある」という部分を忘れて欲しくありませんでした。

アギーレ問題で協会幹部責任問題が議論されたのは、やはり現体制は能力的に問題あり、さきに企業を例にとってご紹介したように、この難しい時代に、凡庸な方々に舵取りをされては困るという危機意識から出ている議論だと思います。

幸い、後任のハリルホジッチが、協会幹部への疑念を忘れさせてくれています。でも、また、なんのキッカケで協会幹部への不満、疑念が再燃するかわかりません。どうか「任せておいて安心だな」と思わせるようなメッセージを出すことも含めて、お考え直しいただければと思います。

以上、FIFA理事ご当選のお祝いにかえて、申しあげました。

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