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飲みに行かなければ、部下の育成はできないのか

2018年12月19日 | コンサルティング

「最近は飲みに行かなくなったから、部下を育てることが難しくなった。俺たちが若い頃は、飲み会で上司から仕事のやり方を教えてもらったからな」

近年、弊社が部下育成研修を担当させていただく際には、「人材育成に関する悩みや問題点」を考えていただく演習を行っていますが、冒頭の言葉は必ず問題点として挙げられる一つです。

確かに今の管理職が若手の頃には、「ノミニュケーション」(飲むとコミュニケーションを組み合わせた造語)の機会は、今よりもはるかに多かったです。

そこでは、仕事の悩みを聞いてもらったり、上司からアドバイスをもらったりするなど、職場を離れた場所だからこそ、ざっくばらんに話せることや聞けることがあったわけです。それは上司にとっても部下にとっても有用な場となっていたものです。

しかし、いつの頃からか、職場の「ノミニュケーション」の機会がどんどん減っていったのは確かです。最近の若い世代は、職場の付き合いよりも自分のプライベートを優先する人も多いそうです。歓送迎会や忘年会など公式に開催されるもの以外の、残業後に「軽く一杯行く?」といった「ノミニュケーション」の機会は明らかに減っているようです。

それが、良いことなのか残念なことなのかは一概には言えないとは思います。しかし、見過ごすことができないのは、部下の育成が順調に進まない理由を飲みに行かなったことのせいにすることです。

もし、飲む機会がなければ部下を育成できないということになれば、極端に言えば、飲めない上司は部下を育成する機会がないことになってしまいます。逆に飲めない部下も上司から育成される機会はないことになってしまいます。

さらに言えば、朝から飲み始めて一日中飲み続けていれば、部下の育成がどんどん進むという、おかしなことになってしまいかねません。

少々極端な例を挙げましたが、ここであらためて申し上げたいのは、部下育成が順調に進まない理由を飲み会のせいだけにはしないでいただきたいということなのです。

そもそも、人材は一朝一夕に育つものではありません。また、人材には様々なタイプがあり、世話なしに成長する人がいる一方で、簡単には育たない大器晩成型の人がいるのも事実です。ですので、上司は部下それぞれに合った形での育成につとめることが必要であり、人が育たない理由を飲みに行かなくなったことだけに求めるのはいかがなものかと言わざるを得ないです。

飲み会の場で行う部下指導は、あくまで仕事の場で行うもののプラスαであって、部下育成のメインの場所を飲み屋で行うなどは本来はあり得ないことです。

部下育成が順調に進んでいないと思っていらっしゃる管理職の皆さん、どうか飲みに行かないことを「隠れ蓑」にしてはいけない、部下それぞれに合った育成が求められているのだということを、今一度肝に銘じていただくようにお願いいたします。

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