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価格は安易に上げたり下げたりしてはいけない

2018年01月10日 | コンサルティング

 お正月明けから、一斉に恒例のセールが始まりました。「正札から30%引き」が主流のようですが、ときには半額というものもあります。

毎年、このタイミングでセールが行われるため、私自身セールまで欲しいものを買うことを控えることもよくあります。

さらにセール期間中であっても、実は「購入するタイミング」が結構重要なのです。というのは、以前買おうかどうしようか迷ったものを、いったんは買うのを止めることにしたのです。しかし、「やっぱり欲しい」と思い、翌日店に行ったところ再値下げされていたことがありました。1日前に買わなくてよかったと思うと同時に、とても得をしたような気持ちになった経験があるからです。

同時に、逆にセールにはならないだろうと思い、正札の金額で購入したものが値下げされているのを見たりすると、とても損をしたような気持ちになることもあります。

私自身、過去に何度となくこうした経験があるのですが、今年のセール期に、ふと「吉田カバン」の吉田社長のことを思い出しました。新聞や書籍に掲載されることも多い「吉田カバン」は、「原則として値下げをしないという信念があり、お客様やものづくりの現場を大切にしたいと思っている」ということで有名です。

吉田社長は「値下げをしないのは、定価で買ってくださったお客様に申し訳ないからだ」とおっしゃるのと同時に、「値下げすることはブランドイメージを崩すことになる。ブランドイメージを大切にしており、裁縫職人、部材屋、すべての心ある人々との継承が商品であるということ」ともおっしゃっています。

弊社で営業研修やコンサルティングの仕事を担当させていただくと、「顧客からの値引きの依頼にどのように答えればよいのか」、「不本意だけれどついつい値下げに応じざるをえず、その結果利益を減らしてしまっている」という声を頻繁に聞きます。

 お客様からのこうした依頼に対してどのように対応するのか。個々の営業パーソン任せにせず、会社としての明確な軸が必要となるのは明らかです。しかし「吉田カバン」の例からもわかるように、これは決して安易なものではないはずです。

価格は会社のイメージ、その商品ができるまでにかかわった人々との信頼関係を反映しているわけです。だからこそ経営者は価格に対しては誠意をもって対応しなければなりませんし、敏感でもありたいわけです。

もう一つ、価格に対して明確な意思を持っている企業の例を上げたいと思います。それは、通信販売の「カタログハウス」です。カタログハウウスはテレビのCMでもお馴染みですが、独自の販売戦略をとっている会社です。

弊社が昨秋カタログハウスで購入した掃除機がこの1月から値下げをしたとのことで、先日値下げ分の1,750円を次回の買い物金額から差額還元するとのダイレクトメールが来ました。1,750円高く購入してしまった顧客へのお詫びの意味とともに、新たに1,750円分の需要も生むことにもなるであろうこうした対応は、いかにも「カタログハウスらしい」個性のあるやり方だと感じました。

この2つの例から、価格は上げるにしろ下げるにしろ、安易にはできないものであるということがよくわかります。経営者の手腕の見せ所と言えるのかもしれません。

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